独立遊撃部隊。
それは共和国軍の501大隊と異なり、様々な部隊の支援を目的としている部隊。
部隊は野比のび太、モールを含めた二人だけ。
元シスの肩書きを持つモールの扱いに困ったジェダイ評議会の決定によって組織された。
今回、のび太は惑星アンバラで現地の抵抗組織と戦っている501大隊の支援をしている。
首都攻略のための応援としてのび太はシャトルでモールと共に501大隊の応援へ来たのだが。
「そうか、お前がノビタ・ノビか」
「失礼、貴方は?」
「クレルだ。ジェダイマスターでコルサントへ戻ったスカイウォーカーに代わって501大隊の指揮をとることになった」
「そうなんですね。僕はノビタ。こっちは」
「あぁ、そっちは知っている。裏切りが常套の元シス、モールだったな」
「そんな言い方!」
「構わん、奴の言うことは事実だ」
ジェダイは元シスのモールに対して冷たい。
中には仲間として受け入れてくれるジェダイもいたが、ほとんどがクレルのような態度をとっていた。
「……それで、任務の状況は?」
「今から首都を攻める為に大隊を率いて進軍する。お前達には我々と共に進軍してもらう」
「わかりました」
沈黙で肯定したモールと共にのび太は準備の為、クレルから離れる。
「ごめんね、モール」
「気にしてはいない。俺が元シスであるという事実は消えない」
「そうかもしれないけど、みんな固すぎるんだよ。シスとかジェダイなんか、拘るから」
「……お前はそういうものに拘らないな」
「まぁね」
「(そんなお前だからこそ、俺は信じられるのだろう)」
モールはのび太をみながら心の中で思う。
話をしている二人へ声をかける者がいた。
「ノビ将軍、モール、久しぶりだな」
「レックス!」
クローン・トルーパーのレックス、元ドミノ分隊のファイヴスやヘヴィー、カタップの姿もある。
拳を打ち鳴らしながら喜びを表すファイヴス。
少し前の戦いでファイヴスやヘヴィーはARCトルーパーに昇格していた。
「久しぶりだね。二人とも」
「一緒に作戦を行動できて光栄です!」
「カミーノの戦い以来ですね!」
クローン達はモールを元シスだとみない。
共に戦いを潜り抜けてきたことで戦友の関係を築いていた。
「お二人がいれば、心強いです」
「頑張るよ。任せて!」
「あぁ」
のび太とモールは力強く答える。
しかし、事態は彼らの予想を超えて最悪なことばかりだった。
クレル将軍率いる第501大隊はアンバラの首都攻略のための進軍を開始した。
開始したが、いつ敵に襲われるかわからない状況や不安定な足場、何より非常に速いペースの進軍によってトルーパー達に疲労が出ている。
「ノビ将軍、兵士に疲労がみえます」
「クレル将軍はなんて?」
「進軍続行とのことです」
「あの人は俺達の事をドロイドか何かだと思っているのか?」
「よせ、ファイヴス」
悪態をつくファイヴスを止めるヘヴィー。
のび太は足早にクレルの隣へ向かう。
「なんだ?ノビ」
「兵士に疲労がみれます。ここで不意打ちを受けたら全滅する危険もあります。休憩すべきです」
「ノビよ。後ろをみろ。ここには大勢の兵士がいる。我々の目的を忘れたのか?首都の奪還だ!」
「奪還の前に疲弊でまともに動けなくなります!」
「甘いな。共和国はそんな甘い考えを許さん。進軍を続けよ!」
のび太が意見しても考えを曲げることなくクレルが進軍を命ずる
その直後、敵の襲撃を受けてしまう。
部隊が危機に陥るものび太、レックス、モールの機転によって危機を脱するも。
「CT-7567!お前は私の命令を無視した!このルートは敵に支配された!作戦が台無しだ!」
「クレル将軍、差し出がましいようですがキャプテンは大隊を救いました!そのことにお気づきでないのですか?」
「ART-5555、黙っていろ!」
「やめてください!」
ライトセーバーを取り出したクレルの動きに気付いたのび太は腰のライトセーバーを取り出して刃を防ぐ。
「ノビ!貴様はクローンを庇うのか!」
「僕達は戦争をしています。相手はドロイドだけど!味方はドロイドじゃない!人間だ!命なんです!そんな命を無碍にするようなこと、僕は嫌です!」
クレルの刃を弾き飛ばしてのび太は叫ぶ。
「いいだろう。だが、作戦は台無しになったのだ。貴様が代わりの作戦を立案して首都を奪還するのだ!」
刃を戻してクレルは離れていく。
のび太は緊張の糸がきれたのかライトセーバーの刃を収納して腰に下げる。
「すいません、将軍」
「いいよ。レックスやファイヴスの言うことが正しいから……」
その後、オビ=ワンから敵の空軍基地を奪取せよという命令が下される。
首都占拠において抵抗を支援する空軍基地からの補給を断つ必要がある。
「これは、嫌な予感がする」
クレルは進軍と命じるのみ。
のび太はこのままでは疲弊して全滅の危険があるとして。
「マスタークレル、僕に作戦があります」
「ほう、お前に名案が?」
「はい」
疑うようなクレルの言葉にのび太はまっすぐみる。
「少数精鋭を率いて基地を占拠します。これなら大隊の疲弊を防ぐことができ、消耗も少ないです」
「よかろう、やってみるがいい」
「はぁ、やっちゃった」
のび太はぺたんとその場に座りたくなる衝動を堪える。
いくらクレルが気に入らないといっても、あんな真っ向から反抗するのはよくなかったかもしれない。
「いいや、あれでよかったぞ」
沈黙を貫いていたモールがのび太へ声をかける。
「しかし、少数精鋭で基地を占領か、作戦はあるのか?」
「実のところ、ないです」
「だろうな」
表情を変えずにモールは尋ねる。
「作戦はないけど、突撃することは変わらないかな」
「俺も行くぞ。お前は無鉄砲なところがある」
「ありがとう、モール」
のび太とモールが話をしていると二人のトルーパーが声をかける。
「クレルとの話を聞きました。その少数精鋭に自分達を加えてください」
「アイツに一泡吹かせてやりましょう!」
「ヘヴィー、ファイヴス」
敬礼する二人のトルーパー。
「キャプテンの許可は得ています」
「でも、いいの?」
「自分達は命令に従う兵士。兵士ですが、その命令が正しいか正しくないかを考えることはできます!」
「クレルの作戦は滅茶苦茶だ。無駄死にする作戦に従うことはできません」
二人の強い言葉にのび太は少し悩みながら。
「わかった。参加を認める」
「「イェッサー!」」
その後、レックスの部隊からハードケース、タップの二人が作戦に協力することになった。
のび太、モール、ヘヴィー、ファイヴス、ハードケース、タップの六人は大隊から離れて敵の空軍基地の近くにきている。
「それで、将軍の作戦は?」
「透明マントを使って基地内に侵入。敵の拠点のいくつかを無力化させる。僕とモールが派手に動くからその間に罠の設置を四人には頼むよ」
「了解です」
「くそっ、俺も暴れたいぜ」
ハードケースが残念がる姿に他のクローン達は笑う。
「じゃあ、作戦通りに」
トルーパー達が透明マントで姿を隠したことを確認してのび太とモールが基地の中央に立つ。
「やっほー!」
「……」
基地の中心と言える場所へ普通に現れたのび太とモールに敵は呆然としてしまう。
最初は呆然としていたが、すぐに敵だと気づいた兵士達は攻撃を開始する。
「じゃあ、行くよ」
「あぁ」
暗闇に緑と黄色のライトセーバーが煌めく。
遠くから聞こえる砲撃や銃撃音を聞きながらヘヴィーやファイヴス達は爆破の準備をしていた。
「よし、設置完了だ」
「将軍たちへ合図を送るんだ」
「よし!」
タップが信号弾を空へ撃ちあげる。
「モール!」
準備完了の合図をみたのび太は近くにいた兵士へライトセーバーを振り下ろしながらモールを呼ぶ。
くるくると回転しながらダブル=ブレードライトセーバーを振るうモールは頷いた。
二人は目の前の敵を蹴散らしながら走る。
一時間後、クレルの率いる501大隊は敵の妨害もなく空軍基地へ入り込んだ。
「今回は幸運が味方したようだな。ノビ」
「幸運なんかじゃないですよ。僕を信じてついてきてくれた友と兵士達が優秀だったおかげです」
「勝利に代償はつきものだ。お前もいずれ知るだろう」
「代償が必要な勝利ならいりません。僕はできるなら不要な犠牲を出さないことが望みですから」
「高望みすれば、痛い目にあうことを知るんだな」
クレルはそういうと基地内へ入っていく。
のび太の後ろにいたモールやヘヴィー達はクレルがいなくなると笑みを浮かべた。
振り返ったのび太と共にハイタッチを交わす。
基地を占拠した事で首都占領が優位になるかと思ったのだが、軌道上の艦隊からの直接補給を受けている為に戦況が不利のままらしい。
その為、オビ=ワンからの援軍要請で501大隊はクレルの指揮で出撃することになるのだが。
「どう?壊れている?」
「いいえ、使えます」
のび太は空軍基地の格納庫に保管されていた敵の戦闘機をタップ達に頼んでみてもらっていた。
「壊れてはいないのですが、将軍、これの操縦方法を調べるのに時間がかかります」
「まぁ、すぐに出撃にならないなら……」
「どうやらそうは問屋がおろさないようだぞ」
モールの言葉にのび太が振り返ると意気消沈した様子のレックスがやってくる。
「みんな、聞いてくれ……将軍の指示で十二時間後に首都へ向けて進軍を開始する」
レックスの言葉にトルーパー達は不平不満を漏らす。
「また自爆作戦か……首都の防衛は完璧だ」
「クローン浪費作戦か、まったく」
呆れた様子のトルーパー達をなだめるレックス。
「どうやら時間がなさそうだね」
溜息を吐きながらのび太はレックスの方へ向かう。
「レックス」
「ノビ将軍……クレル将軍から首都進撃の指示がでました」
「そうみたいだね……出撃開始時間は?」
「十二時間後です」
「じゃあ、六時間ほど、僕達に時間をくれないかな?」
「何をするつもりです……?」
「敵の補給艦を叩く。この基地の戦闘機を使って補給艦に侵入して内部から破壊する。そうすれば、敵の猛攻も弱まってマスターケノービも楽になるでしょ」
「……それでは将軍に負担が」
「別に大丈夫だよ。それよりもマスタークレルに悟られないように気を付けて」
「わかりました」
レックスと別れてのび太は格納庫へ向かう。
「将軍、何をやらかすつもりですか!俺達も参加させてください!」
格納庫へ入るとハードケースが声をかけてくる。
「好戦的だね。ハードケースは、まぁ、これから行く場所はかなり危険だよ?」
「構いませんよ。共和国の為なら!」
力強く答えるハードケース。
「まぁ、調整済みの戦闘機の数が少ないから僕と一緒だよ?」
「やったぜ!」
調整をしていたタップが駆け寄ってくる。
「将軍、準備が完了しました。使えるのは三機です」
「ありがとう、タップ」
「俺も行こう」
のび太へモールが声をかける。
「それなら俺も!」
「自分も!」
ファイヴスやカタップも集まってくる。
のび太は少し考えて。
「モール、頼みがあるんだけど」
「なんだ?」
「実は」
「ん?あの戦闘機はなんだ?おい、誰が操縦している!」
「将軍、ノビ将軍の判断で少数精鋭で敵の補給艦を撃破するために作戦を開始しました」
「私は連絡を受けていないぞ。これは問題ではないのか?現在、この補給基地は第501大隊を指揮している私が管理している。キャプテン、お前は報告する義務があった。作戦の事をお前は知っていたはずだ。これは問題では」
「失礼するぞ」
管理センターの扉をあけてモールが入ってくる。
モールの姿を見たクレルは舌打ちしつつ、視線を向けた。
「何の用だ?」
「遅れながら伝達だ。ノビ将軍が作戦を実行する」
モールの手には作戦を知らせる連絡情報があった。
「そうか、ならば、そこへ置いていただこう」
「あぁ」
情報をデスクへ置いて去る。
去り際にレックスがモールへウィンクした。
モールは肩を竦めながら部屋を出る。
数時間後、のび太達の作戦が成功して敵の補給艦が墜落していく。
空軍基地でその様子を見ていたレックスや他のトルーパー達は喜びの声を上げる。
やがて、脱出した戦闘機が基地へ戻ってきた。
出迎えるトル―パー達だが、レックスやヘヴィーの表情は暗い。
出撃した三機のうち二機しか戻ってきていない。
誰かが落とされたということになる。
緊張しているレックス達の前に降り立つ戦闘機。
降りてきたのはタップ、ファイヴスの二人。
「そんな!」
ヘヴィーが信じられないという表情でファイヴスへ駆け寄る。
「おい、ファイヴス!将軍は!?」
「ノビ将軍は……」
ファイヴスが言葉をつづけようとした時。
「おーい」
空からのび太の声が響く。
トルーパー達が視線を向けるとハードケースを抱えたのび太がタケコプターでゆっくりと降りてくるところだった。
「将軍、心配しましたよ」
「いやぁ、到着したけれど、戦闘機が故障してね?ハードケースと一緒にこうして、危険な空の旅をすることになっちゃったよ」
「将軍のおかげで助かりました。空の旅はこりごりです」
ヘルメットを外して肩を竦めるハードケース。
駆け寄っているトルーパー達が笑い声をあげる。
「では、作戦は成功したという事だな?ノビ」
聞こえた声に全員の視線が向く。
背中に腕を回しながらゆっくりとクレルが現れる。
「えぇ、モールから作戦の連絡は届いていましたよね?」
「勿論。だが、キミ達が発進した後というのはいささか問題にさせてもらおう」
「敵から奪取した戦闘機を一つ壊してしまいましたけど、もともと戦力としてカウントしていないものですから良いですよね?」
「構わんとも、しかし、キミは勇敢だな」
「僕だけじゃないです。ここにいる兵士達もいたから出来た事です」
「結構、ケノービ将軍と打ち合わせをするのでセンターへ戻らせてもらう。首都迎撃作戦について話し合うのでね」
話を一方的に打ち切ってクレルは去っていく。
ファイヴスが「本当に嫌な奴だ」と悪態をついて数人のトルーパーが同意する。
「ふぅ」
のび太は緊張を解いてぺたりと座り込む。
「あの威圧感、怖いなぁ。ママやジャイアンを思い出しちゃうよ」
尤も、それ以上に恐ろしいものを何度も体験しているのび太。しかし、怖いものは怖いのである。
「将軍、大丈夫ですか?」
「ありがとう、ファイヴス」
「いえ、それよりこのままクレルに指揮を任せて大丈夫なのでしょうか?」
「これ以上、無茶な指令がないことを祈るけど」
――いやぁな予感がするよなぁ。
ファイヴスへ告げずにのび太は心中で呟いた。
カルは本来のマスターのところへ戻りました。