のび太は夢を見る。
戦場でクローン・トルーパー達が声を上げながら戦っている。
しかし、空爆や現地のクリーチャーの襲撃を受けて負傷、命を落とす兵士が次々と出ていく。
残された兵士達はそれでも戦い続ける。
兵士達は共和国の平和を願って戦っている。それがインプットされた事だとしても、彼らにとって果たさねばならないことだ。
ある任務が発生した。
トルーパー達は先制攻撃を仕掛ける。
その結果、彼らは勝利した。
しかし、その勝利に代償があった。
敵対者と思っていた相手は自分達と同じクローンだった。
彼らはその時に理解してしまう。
自分達が命令に従って戦っていた為に、同士討ちをしてしまった。
その最悪な未来に一人のクローンが空に向かって叫ぶ。
「っ!」
ガバッとのび太は体を起こす。
全身から嫌な汗が噴き出す。
「ゆ、夢?」
それにしては酷くリアリティのあるものだった。
まるで自分がその戦場を体験していたような。
「これって、フォースの未来予知?いや、でも、今までにそんなことなかったしなぁ」
のび太はフォースの力を借りて戦うジェダイだが、他のマスターやアナキン・スカイウォーカーのように未来予知をしたことがなかった。
正確に言うとジェダイになってからというのが正しいのかもしれない。
ジェダイになる前は夢をみていると、それが現実に起こっていた出来事だったりした。
「僕、疲れているのかなぁ」
のび太がため息を零した時、目の前にアナキンの気配を感じた。
「アニー?」
『ノビタ?どうしたんだ。真っ青じゃないか!』
目の前にいない筈なのにアナキンの顔がある。
自分を心配してくれる友達の姿にのび太は安心する。
「うん、怖い夢をみて、でも、大丈夫」
『それならいいけど、どんな夢だった?』
「クローン達が戦う夢……とてもリアリティがあって怖かったよ」
『そうか』
「ねぇ、アニー」
のび太は少し間をおいて自らの悩みを打ち明けることにした。
「僕はどうすればいいのかな?」
『なんだ?また何かに悩んでいるのか』
「昔はこういうことに悩むことはなかったんだけどね。良いことなのかな?」
『どうだろうな』
「今の状況ははっきりいってクローン達にとって最悪だ。マスタークレルは最適なルートをとっているけれど、それは戦うクローン達にとって疲弊させることばかり、勝つことが大事だってわかるけれど、その犠牲が多いことが本当に正しいのかな」
『難しいことだな。僕も戦争の中で何度、悩んだ事だろう。最速で僕が敵を倒せば戦いが終わるというわけじゃない。一人でも死者を出さないように考える必要もある。僕自身、時々、どうすれば正解だったのか悩むことがある』
「そう、だよね」
『ノビタ、何が正しいのか、それはすぐに答えが出せないかもしれない。だけど、今、ノビタは戦場にいる。彼らを率いるのがクレルだとしても、彼らの事を第一に考えているのはノビタの筈だ。ノビタのやりたいことをやればいいんじゃないか?』
「それって、つまり、アニー流ってこと?」
『おいおい、それだと僕が問題児みたいに聞こえるぞ』
「ごめんごめん……アニー」
『なんだ?』
「ありがとう、どうすればいいかわかった気がする」
『いつも助けられているんだ。役立てるならいいことだ』
「目を覚ましたのか」
モールに呼ばれてのび太は周りを見る。
占拠した空軍基地の一室。
物資が積まれている場所の一角でのび太は寝ていた事を思い出す。
コンテナの一つに腰掛けてモールがそこにいた。
彼の目は不思議そうにのび太をみていた。
「あぁ、ごめん。もしかして起こしに?」
「いや、近くを通った時に不思議な感覚があった。気になってきたらお前がいた」
「そっか」
しばらく沈黙が続く。
「大丈夫なのか?」
静かにモールは尋ねた。
「え?」
「この任務を受けてからお前はつらそうな顔ばかりしている。無理をしていないか心配したのだ」
「…………ありがとう、大丈夫だよ」
のび太は一瞬、呆けた表情を浮かべるも笑顔になって答えた。
「心配してくれたんだね。ありがとう」
「心配……そうか、これが心配か」
のび太に指摘されてモールは自身がのび太を心配していたのだという事を理解する。
「お前に教えてもらってばかりだ」
「そんなことないよ。僕も助けられている」
立ち上がったのび太の顔に迷いはない。
彼は覚悟を決めた表情でモールを見上げる。
「助けてくれるかい?」
「友の頼みなら引き受けよう」
レックスは戸惑っていた。
クレルから新たに任務が下された。
敵が近づいている。
しかも、武装を奪ってクローン・トルーパーに変装しているという。
そんなことがありえるのかとレックスは疑問を浮かべる。
敵の勢力がわからないも大量の武装が奪われるという事態になれば作戦中止もありえるというのにクレルは作戦続行といって聞かない。
――こんな時、スカイウォーカー将軍ならどうするのだろう。
尊敬し頼りにしている上官の不在がレックスの心にぽっかりと穴をあけてしまった気分だ。
ファイヴスやヘヴィー、カタップ達などがサポートをしてくれているもいずれ不満は爆発するかもしれない。
「レックス」
悩んでいたレックスへ声をかけるものがいた。
顔を上げると野比のび太が近づいてくる。
「ノビ将軍……」
「疲れた顔をしているね。マスタークレルから何か言われた?」
「そんなことは……いえ、ジェダイに嘘は通じませんね」
「ジェダイじゃなくてもレックスが何かを思い悩んでいることはわかるよ?」
「……新たにクレル将軍から任務が下されました。敵がトルーパーの装備を奪い、変装している。その状態で進軍をせよと」
「そうか」
「将軍、はっきりいってクレル将軍の作戦は納得できないことが多すぎます。兵士として上官の命令は絶対です。ですが、この作戦を部下へ強いることに自分は、どうすればいいのか」
「大丈夫」
ポンとレックスの肩にのび太の手が置かれる。
アーマー越しだというのに不思議とその部分が温かくなったようにレックスは思った。
「僕がなんとかしてみせる」
力強く答える彼の目にレックスは自然と頷いた。
のび太から指示を受けたレックスは兵士達を集める。
「野郎ども!新たな任務が下された!」
「また、クレルの消耗作戦か」
「俺達を何だと思っているんだ!」
「静かにしろ!」
「キャプテンの話を聞くんだ!」
騒ぐトルーパー達をヘヴィーやカタップが叫ぶ。
「敵が俺達の装備を奪って待ち構えている。俺達はスタンモードの武装で進軍して敵を無力化する。兄弟の武装を奪った連中たちを裸にひん剥いてやるんだ!」
「スタンモードか」
「殺すなってことか」
「準備をはじめろ」
「よし、キャプテンの指示は聞いたな?すぐにかかれ!」
「しかし、敵が俺達の武装を奪ったのに進軍するなんてどうかしていないか?」
「あの将軍の考えている事なんかわかるかよ」
タップやハードケースが話している会話を聞きながらレックスは通信回線を開いた。
「こちらの準備は完了した」
中央センターでクレルは腕を組んでいる。
彼の思い描く未来は徐々に近づいていた。
そのことにクレルは自然と笑みを浮かべていた。
クローン達は自分の命令に従って装備を奪って変装している敵勢力と戦っている事だろう。
クレルの嘘を信じて、同じクローン・トルーパーで同士討ちを。
自分の指示通りに動く優秀な駒。
ふと、クレルは周囲のフォースが揺らいだことに気付く。
腰に収めている二本のライトセーバーへ手を伸ばす。
中央センターの扉が開いた瞬間、武器を構えたクローン・トルーパー達が流れ込んでくる。
「これは裏切りか!クローン!」
叫び振り返るクレルに対して我慢できないという風にファイヴスが叫んだ。
「ふざけるな!どちらが裏切り者だ!」
「クレル将軍、我々は貴方の指示を受けて指定されたポイントで敵を待ち構えました。貴方は仰いましたね?敵は我々の装備を奪って装着していると」
今にも引き金へ指をかけようとするファイヴスを止めてレックスが前に出る。
「そうだとも」
「ふざけるな!何が装備を奪った敵だ!指定されたポイントを訪れたのは俺達と同じクローンだ!」
「アンタは俺達を駒としか思っていない。だが、同士討ちさせようとするなんて共和国に対する裏切りに等しい!」
「ここで粉みじんにしてやるぜ!」
平然と答えるクレルに兄弟の殺し合いという最悪な状況を作り出した事でヘヴィー、タップ、ハードケースは怒り心頭だ。
「あぁ、お前達は私を殺そうというのか、上官の命令を逆らう裏切り者め!」
「将軍、貴方を拘束します」
レックスが指示を出してトルーパーが前に出た瞬間、フォースプッシュで入口のトルーパー達を吹き飛ばす。
クローンに背を向けるとそのまま中央センターの窓を壊して外へ飛び出す。
着地したクレルに外で待機していたトルーパー。
そして。
「どこへいくんですか?マスタークレル」
クレルの前にのび太とモールが立つ。
「良いところにいた!ノビ!クローンの反乱だ!我々を殺そうとしているぞ!」
「白々しい、ジェダイは嘘をつく事が下手なのか?」
モールが呆れたように肩を竦める。
「貴様の嘘はもうバレている。どれだけ取り繕ったところで意味がない」
「……どういう意味だ」
今まで余裕の態度を崩さなかったクレルがわずかに戸惑う。
「マスタークレル、貴方がマスターケノービに連絡して敵の座標と偽りながら501大隊の居場所を教えたことはわかっています。既にマスターケノービから評議会へ報告されています」
「……ほう」
「評議会は真偽を確かめる為、貴方をコルサントへ連れてくるようにという指示をだしています」
淡々と告げるのび太。
「それと、アンタは俺達が同士討ちしているところをみたかったのかもしれないが、それは失敗だ。なぜなら俺とモールがケノービ将軍へ情報の確認として伝えていたからな!」
傍に待機していたカタップの言葉にクレルは目を細めた。
「計画が失敗した気分はどうだ?といっても、お前の計画は遠回し過ぎて無駄が多かったな」
「覚悟するんだな!裏切り者!」
腕を組んだまま告げるモール、ブラスターを構えるカタップ。クレルは大きな声をあげて笑う。
「今更!今になってようやく気付いたのか?遅すぎるわ!評議会などもはや意味がないという事を知らぬ証拠だな!」
「抵抗しないでいただきたい。僕は貴方を斬りたくない」
「そういうのは力のある者が言うことだ!こういう風に!」
フォースを操りライトセーバーをのび太に向かって投げる。
モールが割り込んで片側のライトセーバーを起動して弾き飛ばす。
プルで引き戻してダブル=ブレードライトセーバーを構えるクレル。
片方の手にもう一本のダブル=ブレードライトセーバーを起動した。
「撃て!」
周囲に展開していたトルーパー達がブラスターで攻撃を開始する。
クレルは二本のダブル=ブレードライトセーバーを操りながらクローンの攻撃を防ぐ。
近くにいるクローンへタックルして包囲網を抜けようとする。
そんな彼の前にのび太が立つ。
「邪魔だぞ!」
叫びながら黄色い刃がのび太を刈り取ろうと迫る。
瞬間。
緑の刃が煌めく。
クレルは危機感を覚えて後ろへ下がる。
視線をライトセーバーに向けると片側の刃の射出口が切り落とされていた。
驚いているクレルへブラスター・ピストルを撃つ。
早撃ちに対してライトセーバーでビームを弾く。
しかし、連射した二発目は躱しきれず、肩を掠めてしまう。
「ぐぅううう!」
怒りに顔をゆがめたクレルは近くのクローンをフォースで宙に持ち上げてのび太へ目掛けて投げ飛ばす。
「!!」
のび太は慌てて落下してくるトルーパー達を受け止めた。
その間にクレルは基地の外にある森へ駆け出そうとした。
「わかりやすい陽動だな、ジェダイ!」
「邪魔だぞ!裏切り者め!」
「それはこちらのセリフだ!」
道を阻むモールとライトセーバーで斬りあう。
片方のライトセーバーを壊され肩を負傷していながらもクレルの技に衰えはない。
むしろ、モールを圧倒する程の勢いがある。
「どうした!この程度か?未熟者!」
モールを挑発するクレルは防御に徹している事を笑う。
フッと小ばかにする笑みを浮かべたモール。
その意味を理解しようとした瞬間。
背後からスタンモードの攻撃を受けてクレルは地面に崩れ落ちる。
「……」
スタンモードのブラスターを構えるレックス。
「コイツを牢屋へ閉じ込めておくんだな」
「わかっている。おい、連行しろ」
ライトセーバーを収納してモールが告げると疲れた表情でレックスは部下へ指示を出した。
マスタークレルは評議会で尋問を受ける為、コルサントへ連行されることとなった。
首都攻略はコルサントから戻ってきたアナキンが引き続き行うこととなり、その報告を受けたトルーパー達は喜びのあまりヘルメットをその場から放り投げるほど。
離れたところで様子を見ていたのび太とモール。
「あれでよかったのかと悩んでいるな?」
「わかる?」
「不思議とわかる」
モールの言葉にのび太は小さく笑う。
「あれが正しかったのかどうかわからん。だが、あのままだと、多くの兵士が命を落とし、いずれお前やケノービにも奴は手を出していたかもしれん」
「励ましてくれているんだね。ありがとう」
「昔の俺ならそんなことはいわなかった。どうしたのだろうな」
自らに戸惑うように手をみるモール。
「それだけモールが人間らしさを取り戻したということだね」
「……人間らしさ、か」
「うん」
のび太の優しい言葉にモールは困ったような表情を浮かべていた。
とある宙域。
惑星コルサントへ向かうシャトル。
シャトルの中には拘束されたクレルの姿がある。
フォースで操られない対策として周囲にトルーパーはいない。
失敗したがこれで終わりだとクレルは思っていない。
なぜなら終わりは近い。
どうジェダイやクローンが足掻いたところでいずれくる終わりに対処できない。
全てを飲み込もうとする闇が近づいている。
その足音をクレルは聞いて笑みを深めた。
「ん?」
ふと、シャトルが停止した事に気付く。
ハイパースペースしているとはいえ、まだコルサントへ着くことはない。
では、なぜ?
疑問を浮かべていると目の前のハッチが音を立てて開く。
「ハハッ!」
現れた人物にクレルは笑みを浮かべる。
「いつくるかと!待っておりました」
拘束された状態でありながらクレルは相手を敬う。
暗闇ではっきりと姿は見えないが黒いローブやフードで全身を覆っている。
「……」
フードの人物はフォースを操り、クレルを拘束しているシステムを停止させる。
体が自由になったクレルは改めて目の前の人物へ膝をついた。
ローブの中から手を伸ばしてクレルへ手をかざす。
クレルは喜びの中にいた。
瞬間、その顔が苦痛に歪む。
視線を下すと胸元を“赤い刃”が貫いていた。
「な、なぜ!」
戸惑いを隠せないクレルが目を見開く。
跪いている彼は気づいた。
フードの中にいる人物が何者か。
「貴様、どういう――」
最後までクレルが言葉を発することはなかった。
引き抜いた赤いライトセーバーの一閃によってクレルの首は胴体から落ちる。
相手が死んだことを確認するとライトセーバーを仕舞って、シャトルに爆弾を設置した。
操縦してきた船へ戻り、シャトルを切り離す。
数秒後、シャトルは大爆発を起こした。
クレルを殺した人物は通信を開く。
「マスター、用済みの駒を始末しました」
『素晴らしい。拘束されているとはいえ、マスタークラスを簡単に始末できたお前は私の教えを身に付けているようで安心したぞ』
「ありがとうございます」
褒められたことが嬉しいのかフードの隙間から覗く表情が柔らかい。
『では、次の任務を与える。貴様は取り急ぎ、次の指定する座標へ向かい、ジェダイを暗殺せよ。よいか、くれぐれもジェダイ、そして、ティラナスに悟られてはいかんぞ』
「はい、マスター」
『よろしい、吉報を期待しているぞ。我が弟子……ダース・ベイダーよ』
シスの復讐について、ですがEP4に展開は繋げるのですが、オリジナリティある展開にしたいと思っています。
どこまでやれるかわかりませんが。