最高議長救出作戦
クローン戦争勃発から三年。
共和国軍は分離主義勢力との戦争において優位に立っていた。
ジェダイとクローン達は銀河系の様々な惑星で勝利をおさめ、戦争終了を感じ始めていた時、コルサントをグリーヴァス将軍の艦隊が襲撃。
パルパティーン最高議長を誘拐する。
議長を救出するため、銀河を飛び回っている最高のジェダイの騎士が駆け付けようとしていた。
コルサントの近くで戦う分離主義勢力の艦隊と共和国軍の艦隊。
その隙間を縫うように二機のスターファイターが飛んでいく。
艦隊の砲弾が飛び交う中を一糸乱れずに進んでいくファイター。
二機のジェダイ・スターファイターに乗っているジェダイは英雄と言われる者達だ。
一人は知略と冷静さで戦況を見極めて勝利を掴んできたオビ=ワン・ケノービ。
もう一人は勇敢で怖いもの知らず、どんな状況でも諦めずに突き進むアナキン・スカイウォーカー。
黄色のジェダイ・スターファイターの中でアナキンは笑みを浮かべていた。
「さぁ、行くぞ」
様々な戦場を駆け抜けてきたアナキンは操縦桿を握りしめて戦火の中へ飛び込む。
「マスター、前方にグリーヴァスの旗艦がみえます」
アナキンは師であり友であり兄弟のような関係のオビ=ワンへ呼びかける。
『あれなら侵入は簡単だな。オッドボール、聞こえるか?』
『はい、将軍』
オビ=ワンは通信で戦闘に参加しているクローンのパイロットへ呼びかける。
『私の位置をマークしろ。中隊を後方に並べるんだ』
指示通りにオビ=ワンとアナキンの後ろにクローンの操縦するスターファイターの編隊が続く。
敵を視認したグリーヴァスの旗艦“インヴィジブル・ハンド”からドロイドがスターファイターに変形して攻撃の為に接近してくる。
『戦闘態勢!』
オビ=ワンの合図と共にジェダイ・スターファイター、107スターファイターが攻撃態勢に入る。
スターファイターのソケットにいるR2が悲鳴を上げるほどにたくさんのドロイドが接近してくる。
操縦席にいるアナキンも少し息を飲むほどの勢い。
しかし、それだけだ。
アナキンやオビ=ワンにとってこの程度のことはいつもの事に過ぎなかった。
『後ろにつかれた!振り切れない!援護を!』
通信に焦るクローンの声が聞こえてきた。
一機のドロイドにクローンのスターファイターが攻撃を受けている。
回避運動をとっているが撃墜されるのは時間の問題だった。
「任せろ!すぐ援護に」
『ダメだ!彼らに任せるんだ!自分の任務を優先しろ!』
救出へ向かおうとしたアナキンをオビ=ワンが止める。
その言葉にアナキンは顔をしかめた。
「しかし!」
『いぃぃぃゃっほぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおう!』
通信機から聞こえる歓声にアナキンは笑みを深めた。
――彼がきた!
視線を向けるとコルサントから急上昇する緑のジェダイ・スターファイターがある。
スターファイターは信じられない速度でクローンを狙うドロイドをあっという間にスクラップにした。
『大丈夫かい?』
『将軍、助かりました』
クローンと親友のやり取りに心強い安心感を覚える。
――野比のび太。
アナキン・スカイウォーカーにとってかけがえのない親友。
最愛の人と同じくらい大切な存在。
『遅れたかな?』
「そんなことはないぞ!」
通信機から聞こえた親友の声にアナキンは応える。
「これから楽しいパーティのはじまりだ!」
『全く、お前達がそろうとトラブルの予感しかないな』
『あ、酷いこと言うなぁ~。マスターに言われて猛スピードで飛んできたのに』
様々な宙域にのび太とマスターであるクワイ=ガンもアナキン達と同じように飛び回っていたのだが、偶然にも彼らはコルサントへ戻ってきていた。
クワイ=ガンは元老院や市民を安心させるためにコルサントへ残り、援軍としてのび太がやってきたのである。
『それに、最高記録更新だよ!』
「最高記録か?あれが最高だったら僕の方がまだまだ上があるぞ!」
『あ、いったなぁ!僕の実力を見せてやる!』
『勘弁してくれ』
楽しそうに答えるのび太。
呆れるように息を吐くオビ=ワン。
不思議と戦場だというのに誰も恐れない、そんな空気を彼らが作っていた。
ホロネットで過去に特集が組まれるほどにアナキン、オビ=ワン、のび太の三人は有名だった。
アナキン・スカイウォーカーは勇敢で怖いもの知らず。
オビ=ワン・ケノービは知的で冷静に物事を見極める。
野比のび太は風変わりで誰よりも平和を願う。
そんな彼らがいれば大丈夫とジェダイに不信感を抱き始めているものすら思ってしまうほど、彼らは凄かった。
パズドロイドによってオビ=ワンのR4の頭部が千切れ、ファイターが半壊するという事態に陥るということがありながらもグリーヴァスの旗艦“インヴィジブル・ハンド”の格納庫へ侵入することに成功した。
格納庫内にいたバトルドロイド達が一斉にブラスターを構える。
その中でハッチを切り裂いて飛び出すオビ=ワン。
着陸しながらゆっくりとハッチから降りるアナキン。
「ウテ!」
ドロイド達が攻撃しようとした瞬間、彼らはフォースを身にまとい、神速のごとく行動を起こす。
ブラスターのビームを弾きながら次々とドロイドをライトセーバーで切り裂くアナキン。
オビ=ワンはゆっくりと洗練されたソレスの型を用いてドロイドを破壊する。
「アナキン、ノビタは?」
「彼は外でかく乱してもらっています。アイツが派手に暴れれば、そちらへ意識が向きます」
「その間に我々は議長の救助だな」
「R2」
アナキンはR2を呼んでコンピューターに接続するように指示する。
R2はよちよち歩きしながらコンピューターへ接続。
アナキンの指示で艦内の情報を表示した。
「これは罠だな」
議長のシグナルが表示されたことでオビ=ワンは敵が自分達を誘導していることを見抜く。
「えぇ、ですが無視をするわけにもいかないです」
「つまり……」
「いつも通りという事ですね」
「そうらしいな」
二人は頷いて議長救出の為、移動を始める。
ついていこうとするR2をオビ=ワンは止めた。
「R2はここで待機だ」
嫌々という風に体を揺らすR2にオビ=ワンはコムリンクを投げた。
「これで連絡を取る、何かあれば頼んだぞ」
渋々という様子でR2はコムリンクをキャッチして待機する。
エレベーターでひと騒動ありながら二人は議長が囚われている区画に到着する。
議長は椅子に拘束されているだけで手荒なことをされていないことにアナキンとオビ=ワンは一安心した。
二人を見てパルパティーンは笑顔を浮かべる。
「マスターケノービ、スカイウォーカー」
「議長、助けに来ましたよ」
「これは罠だ」
拘束されているパルパティーンの言葉にオビ=ワンとアナキンの表情は変わらない。
「いつものことです」
「罠なら突破するだけです」
入口にスーパーバトルドロイドを引き連れてドゥークー伯爵が現れる。
身構えるオビ=ワンとアナキン。
「議長の前で恥をさらすことになるぞ」
余裕の表情を浮かべるドゥークーは指示をだしてスーパーバトルドロイドを下がらせる。
「ここは我々に」
「相手はシスだ!降伏しよう!」
「シスの相手は我々の役目です」
降伏を促すパルパティーンに対してオビ=ワンとアナキンは戦う気満々だった。
ジェダイローブを脱ぎ捨ててライトセーバーを構えるオビ=ワンとアナキン。
ドゥークーは呆れたように肩を竦めながらライトセーバーを手に取る。
「二人だけで大丈夫かな?見たところ、ポケットにマスターヨーダを忍ばせているわけでもあるまい?」
「僕は前よりも比べものにならないくらい成長している」
「我々とそこはいってほしかったな」
二人は青い刃のライトセーバー。
「やれやれ、代償は高くつくぞ?お前達の命だ」
赤い刃を展開してドゥークーはライトセーバーを構える。
「今度は一緒にやろう」
「僕は元からそのつもりですよ」
二人は同時にドゥークーへ攻撃を仕掛ける。
ジェダイの二人を相手にしながらドゥークーは余裕の態度を崩さずに赤いライトセーバーを振るう。
オビ=ワンが攻撃を防ぎ、アナキンが仕掛ける。
二人の息の合った連携は三年間に及ぶクローン大戦の中でさらに研鑽されていた。
「よし、行け!行け!」
拘束されているパルパティーンが応援する。
最初は余裕の態度だったドゥークーだが二人の猛攻に追い詰められていく。
状況を打破するためにフォースでオビ=ワンを宙へ吊り上げた。
近付こうとするアナキンをフォースプッシュで壁に叩きつける。
宙に釣り上げたオビ=ワンを遠くの地面へ投げ飛ばす。
そのまま彼の頭上にあるパネルの一部を壊して叩きつける。
一人はこれで無力化した。
ドゥークーがオビ=ワンを無力化させた隙をついてアナキンが殴る。
殴られたドゥークーは回転しながら床に落ちた。
回転しながら着地したアナキンはライトセーバーを振り下ろす。
ドゥークーはライトセーバーで振り下ろされる一撃を受け止めた。
アナキンは冷静にかつ的確にドゥークーの動きを見切る。
三年前と異なりアナキン・スカイウォーカーはジェダイとして成長していた。
ライトセーバーの技術も友であり相棒であるのび太と共に研鑽を続けている。
ドゥークーはアナキンの猛攻に追い詰められた。
やがて、ライトセーバーを持つドゥークーの右手が斬り落とされる。
アナキンはドゥークーのライトセーバーを掴み、二本のライトセーバーを交差させて首元へ突きつける。
「素晴らしい」
拘束されているパルパティーンが感嘆の声を上げた。
「素晴らしいぞ。アナキン、さぁ、殺すのだ」
パルパティーンが告げた言葉にアナキンは耳を疑った。
その言葉に一番、驚いているのはドゥークーだ。
彼は信じられないという目でパルパティーンをみると叫ぶ。
「議長!貴方は約束したはずだ!」
なりふり構っていられない。
そんな表情を浮かべているドゥークーをパルパティーンは冷酷に「殺せ」と促す。
アナキンはパルパティーンをみて、そして、ドゥークーをみた。
ライトセーバーと片手を失った哀れな老人。
彼を殺す必要はない。
何より分離主義勢力のトップ、敗戦宣言をさせればこの戦争も終わる。
アナキンの天秤が傾き、ライトセーバーを収納した。
「できません。コイツに今までの罪を償ってもらう。多くの命を奪った責任を果たしてもらいます」
「……そうか、そうだな。よかろう」
アナキンの意見に納得する様子でパルパティーンは頷いた。
議長も同意した事でアナキンはライトセーバーを収める。
「私を助けるのか、スカイウォーカー」
「アンタの為じゃない。戦争を終わらせるためだ……しいて言うなら」
少し迷いながらアナキンは驚いた顔をしているドゥークーをみる。
「アンタが死ねば、アンタの元弟子が悲しむ。それも避けておきたいだけだ」
「……」
アナキンの言葉にドゥークーの戦意は完全に喪失する。
これで戦争が終わる。
そう、気が緩んでいたアナキン。
「スカイウォーカー!」
ドゥークーは何かに気付いてアナキンを突き飛ばす。
少し遅れてブラスターの音が室内に響く。
「何が」
呆然としているアナキンの前で床に崩れ落ちるドゥークー。
「ドゥークー!」
アナキンは駆け寄りドゥークーを抱き起す。
彼の胸はブラスターによって穴が開いていた。
「くそっ、何が」
「気を付けるのだ……スカイウォーカー」
「喋るな!すぐに手当をすれば」
アナキンの手を掴み、ドゥークーは必死の表情で見つめる。
「気をつけろ、シスの罠はすぐ、そこだ」
「伯爵!そんな!伯爵!」
必死にアナキンがドゥークーへ呼びかけるも、彼が目を開くことはなかった。
「そんな!」
悔しさで拳を地面へ叩きつけるアナキン。
撃った張本人を探そうとするも、室内に誰もいなかった。