ダース・シディアスはシスとしての復讐を果たす為に長い時間を費やして計画を練ってきた。
その中で彼はクワイ=ガン・ジンが連れてきたアナキン・スカイウォーカーに目をつける。
彼をダークサイドへ堕とし若く強いシスにする。
その為に様々なアプローチを仕掛けてきた。
何故なら、彼が予言にある選ばれし者だと直感していたからだ。
しかし、彼の行動すべてが失敗してしまう。
それはアナキンと共にやってきた野比のび太によって。
アナキンが精神的に不安定になり、パルパティーンにとって有利になると、まるでバランスを戻そうとするようにのび太が光の側へ呼び戻す。
何度も、何度も失敗してのび太を暗殺しようとまで考えたシディアスだったが、途中であることに気付く。
野比のび太とアナキン・スカイウォーカー。
二人のフォースは同じもので、二人は一つの存在である。
フォースによって二人の意識はリンクして、遠く離れていても近くにいるように会話ができる。極まれな存在。
その事実に気付いてからシディアスは理解する。
二人で一つの存在である彼らこそが選ばれし者だと。
それから二人を闇へ堕としてしまうことも考えたがある実験を思いつく。
成功するかわからない実験。
ただの戯れだったのだが、それは意外にもシディアスにとって良い方向に事態を進める事となった。
「僕と同じ顔?」
「まさか、クローンか!?」
「正解」
アナキンの言葉にのび太と同じ顔のカイロ・レンはにやりと笑う。
「俺ともう一人、ベイダーはお前達の遺伝子を基にして作られたクローン。だが、只のクローンじゃない。フォースを操ることが出来るし、成長速度を速めたものの短命というわけでもない」
近くのコンテナをフォースで浮かばせて落とすといったことを行うカイロ・レン。
「キミは、何が目的なの?」
「シスの悲願。ジェダイの抹殺!長い時代を闇の中で潜んできたシスの復讐!まぁ、それは我らが師の願い、俺とベイダーが願うことは一つ」
カイロ・レンから湧き上がる膨大な殺意。
のび太の顔で獰猛な笑みを浮かべ、袖に隠していたライトセーバーを起動する。
赤い刃を展開して、カイロ・レンは殺意を滾らせた。
「オリジナルを殺してその人生を手にする!それが俺とベイダーが望むこと!ノビタ・ノビ。俺は貴様を殺す!」
獣のような雄叫びを上げて飛び掛かるカイロ・レン。
不意打ちにのび太は驚きながらもライトセーバーで応戦する。
「ぐっ!」
「どうしたぁ?この程度か!」
獣染みた激しい動きでのび太に襲い掛かるカイロ・レン。
後ろにアナキンがいることからのび太は防御に徹している。
レイ・シールドがあるとはいえ、何かの拍子に刃がアナキンを貫くかもしれない。
そんな不安と恐怖がのび太の心の片隅にあり、守りに徹しさせていた。
勿論、カイロ・レンはその事をわかっている。
彼のポケットにレイ・シールドを解除するリモコンがあり、のび太が避ければシールドを解除してアナキン・スカイウォーカーを殺す。
本来であれば、ベイダーがやりたいことなのだが、彼自身は既に行動を起こしており“ついで”にレンが始末してくれるなら大助かりでもある。
「守るだけじゃあ、俺に勝てないぞ!」
大ぶりに振るわれた一撃を受けてのび太は近くのコンテナに体がぶつかる。
砂埃をまき散らしながら地面に倒れるのび太へレンは落胆の表情を浮かべた。
「おいおい、これが銀河を救った英雄様か?弱すぎるだろう。それとも、同じ顔だから戦えまちぇんなんて事いわないよな?だとしたら、笑えないジョークだぜ?おい」
「別に……そんなことはないよ。驚いているけれど、キミは僕じゃない」
「あ?」
「同じ顔だけど、キミは僕と全然違う。最初は驚いたけれど、キミから感じるフォースは悪意や殺意に包まれている。そんなキミと僕は全然違う」
「口はよくまわるようだが、セーバーの技術は俺が上みたいですけど」
「どうだろうね。それに、僕はただ守りに徹していたわけじゃないんだ」
「あ?それは」
どういう意味か?というレンの言葉はすぐ近くで起きた爆発によってかき消される。
「がぁああああああああああああああ!?」
間近で起こった爆発を浴びた事で顔を抑えてのたうち回るレン。
同時にアナキンの周囲を覆っていたレイ・シールドが解除される。
「アニー!」
のび太はアナキンに駆け寄るとライトセーバーで手錠を切り裂く。
「逃げるよ」
「そうした方がよさそうだな」
二人は出口に向かって走る。
「ぐぞぉぉ、にがさねぇぞぉ、このぉおお!」
顔の半分に火傷を負いながらカイロ・レンは追いかけようとするが爆発と続けて起こった煙幕によって視界を遮られてしまう。
煙幕が消えた時、そこに二人の姿はなかった。
「くそがぁああああああああああああ!」
カイロ・レンは怒りに震え、ライトセーバーで近くにあったコンテナを次々と切り裂く。
指示を受けて周囲を探索していたトルーパー達は工場の中から聞こえる音を聞いて、静かに迂回した。
「ノビ将軍!スカイウォーカー将軍!」
のび太がアナキンを助けて工場を抜け出すとファイヴスが駆け寄ってくる。
「!!」
「アニー、落ち着いて、ファイヴスは味方だよ」
「ファイヴスだって!?彼は死んで」
「自分の命をノビ将軍が助けてくれたのです」
ヘルメットを脱いでファイヴスが手短に説明する。
工場へ入る直前、のび太と別れたファイヴスはアナキンの状況を察すると密かに爆薬を設置。
レンに気付かれないようにのび太へ情報を伝えてタイミングを見計らい爆破のスイッチを押した。
アナキン救助を優先していたのび太はその為、カイロ・レンへ反撃せず防御に徹していたのである。
「それと、こちらを」
偶然、発見したアナキンのライトセーバーをファイヴスは差し出す。
「あぁ、助かった」
「爆破でトルーパーが集まってきます。ひとまず、ここから離れましょう」
「そうだな……そうだ、ノビタ、ファイヴス」
ライトセーバーを腰から下げてアナキンは二人を呼ぶ。
「助けてくれてありがとう。それと、ライトセーバーを無くしていた事はマスターに黙っていてくれ」
少し調子を取り戻したいつものアナキンの言葉にのび太は苦笑する。
「二人ともよく似ているよ」