「(まずいことになった)」
カル・ケスティスは貨物列車の中でこれからの事を考えていた。
彼はブラッカで帝国が輸送してくる宇宙船の解体作業をしている。
賃金は安く、危険も多い。
今回の仕事も一歩間違えていたら相棒のブラウフと一緒に死んでいたかもしれない。
いや、死んでいた。
あの時、巨大クリーチャーへ真っ逆さまに落ちていくブラウフをフォースで一時的に動きを止めるなんてことをしなければ、確実にブラウフは死んでいただろう。
「(あの時、咄嗟とはいえ、フォースを使ったのは間違いだった。早くブラッカから立ち去らないと帝国に気付かれる)」
自分の宿している力。
フォースを操る者であることがバレたら命の危険に繋がる。
今の時代、フォースを操れる者は帝国にとって粛清の対象だ。
カルの脳裏に黒焦げになって潰れていたジェダイ・スターファイターが脳裏を過る。
使わなければ良かった。
今になって後悔するカル、しかし、脳裏にある人物の事が過る。
「(あの人は……褒めてくれたかな?)」
ふと、カルは隣にいたブラウフがいないことに気付く。
「ブラウフ?」
視線を動かすと先頭車両へ歩いていくブラウフ。
どこへいくのか?
立ち上がって追いかけるカル。
しかし、後を追っても、追ってもブラウフに近付けない。
それどころか、周囲の景色も変わっていく。
薄汚れた貨物車両からあの日、あの日の艦内へ。
前も後ろもシャッターで閉ざされた時、シャッターが開いて自分の目の前で死んだマスターが現れる。
「マスター!」
驚いて動けないカルをフォースで持ち上げるマスター。
「カル」
マスターは表情を変えずに真っすぐカルをみる。
「フォースだけを信じるんだ」
「ま、マスター!?」
「フォースだけを信じるんだ」
貨物列車が止まった衝撃でカルは目を覚ます。
「なんだ?止まったな」
ブラウフは戸惑った声をあげる。
カルは嫌な予感がした。
「全員、降りろ!」
貨物列車の入口が開いて帝国の兵士、ストーム・トルーパーが呼びかける。
「これはまずいことになった」
雨が降る中、貨物列車を降ろされるカル達。
外には武装したトルーパー。
そして、普通のストーム・トルーパーと異なる存在感を放つパージ・トルーパー。
一機のTIEファイターが着陸すると漆黒の帝国軍服に仮面をかぶった人物が降り立つ。
「これで全部か?」
「イエス、セカンドシスター」
トルーパーの答えにセカンドシスターは静かに頷いた。
「この中に帝国に反抗しようとする勢力がいる。ジェダイオーダーの信奉者だ」
カルは懐から細長い道具を取り出して隠す。
「速やかに名乗り出れば、命は保障しよう。しかし、名乗りでなければ、全員を殺す」
身構えるトルーパー達。
怯える作業員たちを前に、カルはどうするか考える。
「もう、我慢できない」
カルの横にいたブラウフが前に出る。
「ブラウフ!よせ!」
止めようとするがブラウフはカルを一瞥してセカンドシスターの前に立つ。
拙い口でブラウフは間違っているとセカンドシスターの前に告げる。
帝国を非難することは命の危険に繋がる。
それをわかっていて、ブラウフは叫ぶ。
これは間違っていると。
「その通りだ」
ブラウフの指摘をセカンドシスターは認めると同時にライトセーバーで彼の心臓を貫いた。
「がはっ!?」
「やめろぉぉぉおお!」
カルはブラウフが殺される瞬間を見て隠していたライトセーバーを抜いてセカンドシスターへ振り下ろす。
動きを読んでいたセカンドシスターはカルのセーバーの一撃を受け止める。
「みろ、ライトセーバーだ!こいつはジェダイだ!」
笑いながらフォースプッシュでカルを突き飛ばす。
突き飛ばされた彼をナインスシスターが受け止める。
「さて、どうしてやろうか?ジェダイ」
嗤うナインスシスターだが、カルが暴れた為にその手を放してしまう。
崖から落下したカルは運よく走行中の貨物列車へ落下。
逃走劇がはじまる。
「その構えは知っている。師は誰だ?ジェダイ。私が殺した奴か?それとも、私がこれから殺す奴か?」
帝国の攻撃は激しく、カルは追い詰められていた。
「生憎、世俗から切り離されていてね。アンタが殺した奴かどうか知らないし、知りたいとも思えない」
「軽口を叩けるとは余裕があるようだ。果たして、これからも軽口を叩けるかな?」
赤いライトセーバーを展開して襲い掛かるセカンドシスター。
カルは冷静に動きを見極めて戦おうとするもフォースに心を開かなくなって数年、経過しており、思っている以上に動きが悪かった。
それに対して、相手はジェダイ殺しの尋問官。
カルのような相手を倒すことなど造作もない。
鍔迫り合いで押し負けたカルへ剣先を突き付けるセカンドシスター。
「殺す前に一つ、貴様に聞いておこう」
じりじりと近づいてくるセカンドシスターは問いかける。
「ノビタ・ノビはどこにいる?」
「は?」
セカンドシスターが告げた名前にカルは戸惑う。
「知らないか?知らないなら――」
上空から感じた気配にセカンドシスターは後退する。
彼女がいた場所に振り下ろされるライトセーバー。
「アンタは!」
「また、貴様か」
乱入してきた人物をカルは知っていた。
粛清の日に死んだと思っていた存在との遭遇にカルは驚きを隠せない。
セカンドシスターは面倒そうな声を漏らす。
「そうだ。俺だ」
ライトセーバーを構えるモールにセカンドシスターも身構える。
「後ろの船へ乗り込め」
「え?」
「早くしろ」
モールに言われて振り返るといつの間にか帆船を模したような船が接近している。
「こっちよ!早く!」
ハッチが開いて先ほど、自分を助けてくれた女性が手を伸ばしていた。
カルはライトセーバーを握りしめたまま、走り出す。
「させんぞ」
追いかけようとするセカンドシスターの前にモールが立ちはだかる。
「何度、我々の邪魔をすれば気が済む」
「何度でも俺は貴様らの邪魔をする」
「かつては同じアナノムジナだったくせに」
「否定はせん。俺はあの人と出会ったからこそ、変われた。ただ、それだけだ」
先ほどのカルと戦った時と別人のような動きを行うセカンドシスターだが、モールは的確にその動きを読んで刃を躱す。
彼らが戦っている間に帆船は帝国の追跡を躱してハイパースペースへ飛び込む。
「貴様は逃がさん!」
「無駄だ」
モールを守るようにジェダイ・スターファイターのレーザーがセカンドシスターへ降り注ぐ。
その場を離れるセカンドシスター。
モールはやってきたスターファイターに乗り込むと後を追う様にブラッカを抜け出した。
夢の中。
カルの脳裏にセーバーで殺されるブラウフの姿が。
死に絶えるマスターの姿。
そして、自分に笑みを浮かべる“彼”の姿。
「!!」
目を覚ますカル。
そんな彼を覗き込むように四本腕のグリーズがみていた。
「魘されていたぞ。誰かの名前を呼んでいたな、そいつは知り合いか?」
「……そんなところだ」
グリーズの視線から逃げるようにカルは立ち上がる。
「シアが呼んでいる。準備ができたら来いってさ」
「わかった」
グリーズが去った後にカルは腰に下げていたライトセーバーをみる。
「マスター……」
「貴方の力が必用なの。オーダー再建のために」
自分を助けてくれた元ジェダイのシア・ジュンダがカルを助けたのは当然のことながら理由があった。
クローン戦争、粛清の後、宇宙は何か理由がなければ誰かを助けない世界になっている。
そんなことをわかりきっているカルだったが、シアの傍で腕を組んだまま沈黙している人物へ視線を向けた。
「アンタに聞きたいことがある」
「なんだ」
目を閉じたままモールが尋ねる。
「俺を襲撃した尋問官はマスターノビを狙っていた。粛清を、マスターノビは生き延びたのか?」
尋問官はノビタ・ノビの行方を問いかけてきた。
その事から粛清を彼は生き延びたのだろう。
ならば、彼は今もどこかで?
「わからん」
「え?」
だが、期待していた言葉はモールの口から出なかった。
呆然としているカルへモールは告げる。
「粛清の時、何があったのか俺は知らん。知りたければ、シア・ジュンダの依頼とやらを受けてみることだな」
「……そんなこと」
「カル・ケスティス」
モールは瞳をあけてカルを見据える。
出会った時と変わらない力強い瞳にカルは後ろへ下がった。
「お前の目でこの銀河をみてみろ。フォースとの繋がりを閉じていたお前の目で」
帆船型の宇宙船、マンティスが降り立った惑星はボガーノ。
帝国の支配を受けておらず、限られた者しか知らない惑星。
その奥にある神殿があり、カルを待つ者はそこにいるという。
シアからのクエストを受けたカルは危険性物を撃退しながら進んでいく。
道中、フォースと繋がるべく瞑想を試みるが、過去の出来事がフラッシュバックして長く繋がることができなかった。
「はぁ……はぁ……、やはり、ダメか」
カルがため息をついていると、自分を見上げているドロイドがいた。
BDユニットと言われるドロイドで自らをBD-1と名乗る。
「あぁ、悪いけど、俺はあそこへ行くんだ」
「!!」
BD-1は自分もそこへ行くという、しかも、道を知っているという。
カルは驚きながらもBD-1と共に行動を開始する。
『報告を聞こう、セカンドシスター』
セカンドシスターは膝をついている。
「はい、ベイダー卿。ブラッカにて潜伏していたジェダイオーダーの信奉者を発見。逮捕しようと試みましたが抵抗勢力の妨害を受けて逃がしてしまいました」
『抵抗勢力だと?』
「はい、元ジェダイのシア・ジュンダ。そして、モール」
バチン!
派手な音が響く。
しかし、音はセカンドシスターのいる場所ではない。
ダース・ベイダーのいる方向からだろう。
彼の側近である将校が怯えた表情をしている。
『モールだと?そこに要注意人物は存在していたか?』
「いいえ」
『逃した事は不問にする。必ずや連中の足取りを掴むのだ』
「わかりました」
通信が終えて、セカンドシスターは仮面の中で息を吐く。
尋問官を束ねるトップである大尋問官を超えた力を持つダース・ベイダー。
粛清の日から皇帝に忠誠を誓い、多くのジェダイや危険分子を始末している。
そんな彼が執着する存在。
既にいくつかを始末しているとはいえ、関わっている可能性を聞くとベイダー卿は酷く荒ぶる。
その時は近づかない方がいい事を尋問官含め帝国の将校達は知っていた。
「(ノビタ・ノビが生きているかもしれない?)」
ブラッカで発見した元ジェダイ、否、パダワンだったカル・ケスティスのデータを帝国は保管している。
その中のデータで気になる項目があった。
「カル・ケスティス、必ず見つけ出す」
仮面の向こうで激しい嫉妬や憎悪の炎を抱いた目でセカンドシスターは銀河の海を見つめる。
惑星ボガーノの宝物庫。
多くの危険なクリーチャーを退け、フォースとの繋がりを取り戻したカルがたどり着くと、BD-1から情報が告げられる。
ジェダイ、イーノ・コルドヴァが残したフォース感応者を記録したホロクロンが宝物庫に収められているという。
ホロクロンを手に入れる為にはイーノ・コルドヴァが辿った道を進まなければならない。
「フォース感応者のリスト」
それがあれば、ジェダイオーダーを再建することもできる。
もしかしたら、彼の行方もわかるかもしれない。
マンティスへ戻ったカルはシアやグリーズと共にコルドヴァの足跡を追いかけていく。
足跡を追いかけていくカルだったが、行く先は帝国に占領されている惑星、帝国と戦う者達がいる惑星、そして、世間から隔離された惑星等。
多くのクエストをカルは相棒となったBD-1と潜り抜けていく。