惑星ダソミアの試練においてライトセーバーを壊してしまったカルは新たなライトセーバーを作るべくジェダイの寺院がある惑星へ来ていた。
吹雪で視界が悪い惑星をカルはBD-1と共に進んでいく。
いくつかの装置を解除して、カルはカイバー・クリスタルの呼ぶ声の方を目指していた。
「わっ!」
大きな音と共に足元で亀裂が起こり、冷たい水の中へ落ちるカル。
BD-1へ先に行けと言いながら冷たい水の中を泳ぐカル。
ようやく光がみえるも、寒さによって体力を奪われて意識が朦朧としていく。
必死に抜け出そうと足掻くカルへ懐かしい声が響いた。
『諦めちゃだめだよ』
水底へ沈もうとしているカルへ伸ばされる手。
その手をみて、カルは必死に泳ぎ、氷水から脱出する。
「今の……」
意識が朦朧としている中でみた幻覚なのか、自分の願いなのかはわからないが。
「(幼い自分……そして、マスターノビ)」
クローン戦時中、短い期間ながら自分のマスターとして色々な事を教えてくれた二人目のマスター。
ダソミアの遺跡における幻影に彼は現れなかった。
フォースが導いてくれたのかはわからないも、カルは立ち上がる。
彼は懐へ手を入れて、取り出す。
ライトセーバーを作るために託されたもの。
シア・ジュンダのライトセーバー。
そして、ノビタ・ノビのライトセーバー。
新たなセーバーを作るためにシア、そして、モールから託されたものだ。
二つともカイバー・クリスタルはない。
だが、セーバーのパーツとしての利用はできるのだ。
新たな一歩を踏み出す為、カルはカイバー・クリスタルの声へ意識を集中させる。
「さぁ、私の手を取れ!カル・ケスティス。私と手を組もう!そうすれば、私が手にする力を、お前にも、分けてあげられる!」
ダソミアの遺跡の試練を再び受けたカル。
今度は幻影に囚われる事無く突破した彼の前に現れた試練、否、敵というべき相手。
待ち構えていた元ジェダイのタロン・マリコスの誘いをカルは断る。
「愚か者め、オーダーなど、意味はない!目先の力を欲しないものは、ここで処分する!」
マリコスは二本の赤い刃を放つライトセーバーを取り出して構える。
彼は元ジェダイでありながらダソミアの闇と狂気に染まっており、もはや、ジェダイと別の存在になっていた。
ダソミアと深いかかわりのあるモールはかつてのナイトシスターと交わした契約により、今回の件に関わることはできない。
――お前が代わりに救ってほしい。我が故郷を。
再び、ダソミアへ降り立つ時に言われたモールの言葉を思い出しながらカルは新たに作ったライトセーバーを握りしめる。
振るわれる二本のライトセーバーを受け止めて押し戻すカル。
マリコスが再び攻撃を仕掛けようとした時、ダソミアの魔術による攻撃が彼を狙う。
「貴様、邪魔をするのか!」
「お前は、ダソミアに必要ない」
カルを助け、マリコスを妨害するのはダソミアの魔女、ナイトシスター。
彼女は家族をジェダイ達によって殺されたと思い込み、マリコスの言葉に騙されて、ダソミアの秘術を教えてしまった。
それから人を信じていなかったが、滅ぼされた教義の生き残りという共通点を持つカルと接しているうちに協力してくれるようになる。
彼女の放つ魔術に翻弄されるマリコスへライトセーバーで戦うカル。
フォースの暗黒面の力と類似した技を放つマリコスに苦戦しつつも、カルの振り下ろした一撃がマリコスの持つライトセーバーの一本を破壊する。
追撃を仕掛けるカルをマリコスはフォースで宙に持ち上げる。
「愚か者め!弟子にならぬというのなら、このまま」
マリコスがフォースでカルの首の骨をへし折ろうとした時。
強力な力によって彼の動きが封じ込められる。
「な、なんだぁ!?」
体の自由を奪われたマリコスの前にナイトシスター、否、メリンが現れる。
「ダソミアはお前を必要としない。貴様はここで生き埋めとなれ!」
「や、やめろぉぉぉおおおおおおおおお!?」
叫びながら抗おうとするマリコスはメリンの秘術によって地面の中へ埋められていく。
悲惨な断末魔をあげて、地面の中にマリコスは消えた。
カルはすべての試練をクリアした事でボガーノの宝物庫へ来ていた。
宝物庫の中でカルはある未来をみる。
フォース感応者リストが記録されているホロクロンで多くの子ども達をジェダイにするために集めていく。
しかし、帝国の攻撃で次々と命を落とす者達。
帝国に捕まり、拷問を受ける者達。
多くの命が失われていく未来。
カルは絶望して、セカンドシスター、否、トリラの前に屈した。
そして、カルが尋問官となった未来。
「これは一つの可能性。キミがジェダイオーダーを再建しようとした中で起きた一つ未来だ」
「マスター……ノビ?」
カルの前に現れたのは野比のび太。
ジェダイローブのフードで素顔が隠れているが、声は彼のものだ。
「マスター、ノビ、俺はどうすれば?こんな未来が待っているならホロクロンを手にすべきではないというんですか!?」
「これは一つの可能性。フォースは表裏一体。ライトサイドがあればダークサイドもある。たったちょっと傾いただけで人は簡単に表や裏になってしまう」
「そんな」
「でもね?」
先ほどまでの固い言葉から一転して、暖かい気持ちがフォースを通してカルへ伝わってくる。
「自分を、フォースを信じるんだ。カル。今は暗黒の時代かもしれない。でも、ずっと、暗黒が続くことはない。フォースを信じて、前に進むんだ」
「ま、待って!」
急に遠ざかるのび太を追いかけようとするカル。
しかし、どれだけ走っても、壁をよじ登ってもどんどん彼との距離は遠ざかっていく。
「フォースと、そして、自分を信じて、カル」
「マスターノビ!」
ハッとカルが周りを見るとボガーノの宝物庫の中。
みると宝物庫の中心にホロクロンが浮いている。
カルは浮いているホロクロンを掴む。
「フォースと自分を、信じろ」
ぽつりと彼が告げた言葉を思い出しながらカルはライトセーバーを取り出して後ろへ振るう。
「おや、気付いたのか」
不意打ちが失敗しながらも表情を崩さないセカンドシスター、否、シアの元パダワンであるトリラだ。
「トリラ……」
「ホロクロンを渡してもらおうか?」
「それはできない。これを渡せば多くのフォース感応者が危険にさらされる」
「ジェダイにすると愚かな行為をするからだ」
トリラの言葉にカルは少し間を置きながら。
「彼らの未来はフォースに委ねる」
「その結果、多くの命が失われる」
「そうならない為に、俺は………いや、俺がジェダイになって止める。最悪の未来、あんなことにならないために!戦争中、大勢の為に戦っていたノビタ・ノビのように」
「気安くあの人の名前を呼ぶな!」
叫びと共に振るわれるライトセーバーを受け流してカルは問いかける。
「アンタはどうして、あの人に執着する!アンタの憎悪はシアだけじゃない。マスターノビにも向けられている!」
「理解できないだろうね。お前みたいな奴に!」
激昂したセカンドシスターの猛攻をカルは冷静にいなす。
最初の頃ならば、彼女の攻撃に敗れていただろう。
試練を潜り抜けて成長したカル・ケスティスならば、冷静さを欠いているセカンドシスターの攻撃をいなすことは苦ではない。
フォースプッシュでセカンドシスターを突き飛ばすと同時に彼女のライトセーバーを奪う。
瞬間、フォースを通してカルはセカンドシスターの記憶が浮き上がる。
まだ、シアがジェダイだった時、粛清から逃れた彼女達を帝国は執行に追跡していた。
追跡から逃れる為にシアは単身、囮になろうとする。
トリラはそれを必死に止めようとするが彼女は飛び出してしまう。
シアが戻ってくるまでの間、トリラは不安がる子供達を励ましていた。
けれど、彼女達は帝国に捕まってしまう。
帝国に捕まったトリラは拷問を受けた。
――助けて、マスター!助けて!マスターノビ!
それは想像を絶するものだった。
いつしか、トリラはシアが裏切った。自分を見捨てたと思うようになる。
その憎しみや怒りによってシアはダークサイドに堕ちた。
シアの目の前でトリラは尋問官……セカンドシスターの証となる仮面を装着する。
その際、シアはショックで一時的にダークサイドの力を使ってしまい、拘束を壊して逃走した。
「これは頂いていく」
動きが止まったカルの隙をついてトリラはホロクロンを奪って逃走する。
カルは荒い息を吐きながら深呼吸した。
「あんな過去……」
シアと話をした時、カルは信じられなかった。
だが、セカンドシスターのライトセーバーを通してトリラの過去を見て、カルは後悔した。
「……ホロクロンを奪われた、取り戻さないと」
カルは遺跡を抜け出す。
外は周囲を警戒しているトルーパーで溢れていた。
「ここも帝国に見つかった!」
カルは妨害するトルーパー達を撃退しながらマンティスへ急ぐ。
マンティスの前にモールが立っていた。
「戻ってきたな」
「……ホロクロンを奪われた」
「取り戻さないといけないな」
「マンティスを守ってくれたんだな。ありがとう」
モールの周りに多くのストーム・トルーパーが倒れている。
マンティスへ攻撃を仕掛けようとした連中だろう。
「これくらいなら造作もない」
モールと共にマンティスに戻り、シアへ謝罪をして、ホロクロンが奪われた事を伝える。
ホロクロンを取り戻すため、マンティスは尋問官の本拠地を目指す。
カルとシアの二人は尋問官の本拠地へ攻め込む。
多くのパージ・トルーパーやストーム・トルーパーの攻撃にさらされながら、カルはトリラのいる場所へ辿り着いた。
「お前を殺せば、私の失点はなくなる。いや、このホロクロンを届ければ、大尋問官になることもできるだろう」
「トリラ、そんなことをすれば多くのフォース感応者達が危険にさらされる。お前のような子が増えるんだぞ!」
「もっと増えればいい!」
「憎しみに囚われすぎている。トリラ、そんな姿を見たらマスターノビはきっと」
「その人の名前をだすなぁああああああ!」
叫びと共にライトセーバーを振るうトリラ。
フォースを操り、ライトセーバーを投擲してきたり、高速で移動して、カルの背後を取ろうとする。
そんな彼女に、カルは攻撃をいなし、時に反撃、フォースプッシュで動きを阻害して、追い詰めていく。
やがて、カルの一撃がトリラのライトセーバーを破壊する。
破壊した隙をついて、トリラからホロクロンを取り戻す。
そのタイミングでシアが部屋に入ってきた。
「こっちは終わった」
「トリラ……どれだけ後悔しても過去は消せない。私が貴方を見捨てたという事実は、決して」
「……シア、私は貴方を憎んだわ。そして、マスターノビも……あの時みたいに彼が助けてくれるのではないかと思っていた。でも、彼は来なかった。シア……貴方の事を恨んではいる。でも……」
トリラは言葉を止める。
先ほどまで感じなかった冷たい空気のようなものが部屋を包み込んでいく。
ゆっくりとトリラの近くに漆黒の存在が降り立つ。
彼をみて、カルとシアは嫌なものを感じ取った。
カルは嘗てタトゥイーンで感じたものと似ていると感じた。だが、それよりも恐ろしく強いもの。
震えているトリラの傍に大尋問官は降り立つ。
「失敗したな?尋問官」
「……」
「失敗したものはどうなるか、わかっているな」
震えているトリラの前で起動するダブル=ブレードライトセーバー。
赤い刃をみて、トリラはシアをみる。
「シア、私は貴方を」
トリラ目掛けて迫るライトセーバー。
だが、その刃は現れたモールのライトセーバーによる斬撃で阻まれる。
「貴様か」
「……」
大尋問官は怒りに顔を歪めながらモールを激しい剣激を繰り広げる。
「お前達は逃げろ」
モールはカルとシアを一瞥する。
二人は頷くと脱出経路を目指そうとした。
「逃がすと思うか?」
新たに現れた存在にカルとシアは呼吸を忘れそうになった。
大尋問官と比べ物にならないフォースの力。
暗黒面を極めたといっても過言ではない存在を前に二人は息を飲む。
「ホロクロンを渡せば、命は助けてやろう」
シアはライトセーバーを起動して、ダース・ベイダーへ斬りかかる。
しかし、ベイダーはシアを軽々と投げ飛ばす。
シアはマグマの中へ落ちていく。
「シア!」
カルはライトセーバーを起動するもすべての攻撃をベイダーに無効かされてしまう。
咄嗟に天井に設置されている機材を落下させてベイダーの気をそらせることに成功したカルは必死に逃走する。
道中、トルーパーが立ちはだかろうとするが、邪魔者をベイダーに見なされて奈落の底へ堕とされていく。
ターボリフトでベイダーから逃走するカル。
「もう、大丈夫だ」
カルは火口に落ちたシアや大尋問官と戦うモールを残した事に後悔しながら目の前の隔壁を開けようとした瞬間。
「儂からは逃げられんぞ」
ベイダーが現れてライトセーバーを振るう。
逆手に持ちながらカルは攻撃を防ぐ。
しかし、バランスを崩して倒れるカル。
落としたライトセーバーをフォースで引き寄せようとするもベイダーの力が強くライトセーバーを手元へ引き寄せられない。
「ホロクロンを渡せ。渡さなければ死が待っているぞ」
「断る!」
「ならば、死だ」
ベイダーがカルのライトセーバーをフォースで操り、彼の体を貫く。
BD-1がカルを心配して不安声を上げる。
ゆっくりとベイダーがカルへとどめを刺そうとした瞬間。
火口に落ちていた筈のシアがライトセーバーでベイダーに不意打ちを仕掛ける。
ベイダーはその不意打ちを読んでおり、攻撃を受け流してシアを地面に叩きつけた。
シアは暗黒面の力を引き出す。
その力を見て、感嘆の声をあげるベイダー。
「素晴らしい。力だ。お前なら立派な尋問官になれるぞ」
「よせ、シア!暗黒面に取り込まれてしまう!」
カルが痛む体を抑えながらシアへ呼びかける。
呼びかけにシアは暗黒面の力を止めてしまう。
ベイダーはため息を零す。
「愚か者め、お前達に待つのは死だ」
近付いてくるベイダーを前にシアはフォースを操って通路のガラスを破壊する。
彼らがいるのは海の底。
窓ガラスが割れれば、浸水してくる。
浸水を防ぐために意識を集中するベイダーの隙をついて、カルは気絶したシアを抱きかかえて外へ飛び出す。
痛みで意識が朦朧とする中、必死に海上を目指していた。
意識が沈みかけていた時、誰かが自分の手を掴んでくれる。
そこでカルの意識は途切れた。
「坊主!気が付いたか!」
「グリーズ、シアは?」
「大丈夫だ!モールもいるぞ。あぁ、後。新入りも」
グリーズの顔を見て、安心感を覚えるのはそれだけ心を許している事だろうか?
そんなことを思いながらカルが起き上がるとメリンが安心して抱きしめてくる。
「あぁ、ごめんなさい」
「いや、大丈夫だから」
メリンはカルがケガしていたことを思い出して謝罪する。
カルは大丈夫といって腰かけた。
シア、モール、そして、トリラ。
「無事だったんだな」
「……そこのお節介な奴に助けられたのよ」
「そういうことだ」
顔を顰めているトリラの前でいつも通り座禅を組んでいるモール。
「私も帝国に追われることになった。貴方達についていく」
「そうか」
「それで、ホロクロンをどうする?」
モールの問いかけにカルはホロクロンを握りしめる。
少し考えて。
「フォース感応者の未来はフォースに委ねよう」
そういってシアをみる。
シアも頷く。
カルはライトセーバーでホロクロンを破壊する。
「それで?これからどうする?」
「そうだな。次は」
次回から新たなる希望に入ります。