報告番号:SPG-004-AFN
名称:カマキリ型害虫(仮称)
危険度指定:一般
開示判断:閲覧制限→一般非公開→部分的オープン
代表報告者:■■研究員
この害虫は、肉食性の強い雑食のカマキリ型の大型害虫です。
主に森林の深部を生息地としており、森の外はおろか外縁付近にも滅多に姿を表しません。
基本的に十匹から数十匹集まった中規模で群れで生活しており、森の奥深くから出てこないため目撃情報や遭遇事例はさほど多くありません。
カマキリ型害虫(仮称)の食事は肉を中心としており、基本的に動物を食料としています。猪や鹿、熊のような大型の野生動物から犬、鳥、果ては鼠や水中の魚に至るまでサイズを問わずあらゆる動物を捕食対象とみなします。
また動物以外にも縄張りに入り込んだ野生の益虫や他種の害虫も獲物にし、群れの個体数が増え縄張り内が過密状態になると、同じカマキリ型害虫(仮称)さえも捕食対象とみなして幼虫、成虫を問わず共食いします。
しかし群れの個体数が減少すると共食いを止め、代わりに果実を食べて獲物の数が回復するまでの間の飢えを凌ぐようになります。*1
カマキリ型害虫(仮称)は羽を持ちますが、飛翔能力はあまり高くない上に積極的には行おうとせず、稀に短距離の移動に用いるのみとなります。
代わりに細長い体型と緑の体色は森に溶け込みやすく非常に隠密性に優れており、獲物を狩る際も可能な限り隠れながら近付いて襲いかかります。
生息域が障害物が多い森であり、なおかつ自分達の存在を周囲に知らせないために飛ぶことをさほど重要視していないことが飛翔能力の低さの理由と思われます。
この飛翔能力の低さと生い茂った森に特化した身体がカマキリ型害虫(仮称)の生息域の狭さの一因となっており、食料を獲得できる範囲が制限されているため前述の同族すら食料にしてしまうほどの悪食になったと考えられます。
カマキリ型害虫(仮称)の体液は非常に強力な毒性を持っており、唾液や涙、汗、血液、■■に至るまであらゆる体液が毒を有しています。
この毒を経口摂取したり粘膜に触れて体内に取り込むと、全身の強い倦怠感と手足の筋肉の弛緩によって上手く力が入らず、また平衡感覚が失われ立つことすら出来なくなります。*2
しかし傷口等が無ければ皮膚に直接触れても毒素が体内に浸透することは殆ど無く、またカマキリ型害虫(仮称)も自らの毒を武器として積極的に利用する手段を持っていないため、戦闘等において毒を意識する必要は殆どありません。
カマキリ型の種の最大の特徴は鎌状に発達した前肢であり、カマキリ型害虫(仮称)も例外ではありません。
しかしカマキリ型害虫(仮称)が他種のカマキリ型と大きく異なる点は、雌雄で前肢の構造が違うことです。
雌のカマキリ型害虫(仮称)の前肢は多くのカマキリ型と同様に斬ることに特化した非常に鋭利な刃になっており、殺傷能力に優れています。
その切れ味は成長した個体ほど鋭くなり、生まれたばかりの幼体では殆ど切断能力が無いのに対し、長い年月を生きた雌個体は木はもちろん鉄さえも容易に切断します。
反対に雄のカマキリ型害虫(仮称)の前肢は刃になっておらず、成体であっても雌の幼体と同じく切断能力は全くありません。
代わりに雌に比べて非常に力が強く、加えて物を挟み込める形状になっているため、捕獲及び運搬に特化した作りになっています。
この雌雄の前肢の違いによって、カマキリ型害虫(仮称)は群れの中での役割が性別で決まっています。
雌は主に狩りを担当して刃を用いて獲物を仕留め、雄は前肢で掴んで獲物を運搬したり倒木の除去などの力仕事を行います。
花騎士等の外敵との戦闘の際も、最初に殺傷能力の高い雌が前に出て力が強い雄はその後に続く形で戦います。
またカマキリ型害虫(仮称)は非常に知能が高く、群れでの狩りや花騎士との戦闘では連携を取るなどの行為が見られます。
簡単な絵や記号を理解することも可能であり、過去にはカマキリ型害虫(仮称)の縄張り内を通過する道に設置した標識を意図的に隠したり別の位置に移動させ通行者を誘導した事例も存在します。
また上記の事例は認識能力の高さに裏付けされたものであり、記憶力も優れているため、自分を傷付けた相手の顔を忘れることはありません。
カマキリ型害虫(仮称)の戦闘能力は前肢を用いた攻撃力と、縄張りである森を活用した隠蔽力に起因します。
群れが四周から連携して襲撃してくるため、たとえ花騎士であろうとも少人数であれば非常に危険であり、群れの存在に気付かず森の中で奇襲されれば騎士団であっても敗北する可能性は無視できるものではありません。
しかし裏を返せば、あらかじめ群れの存在を知って準備と警戒を怠らなければ十分に対処可能な害虫です。
カマキリ型害虫(仮称)の繁殖は特定のパートナーを作って行われます。
繁殖期になるとカマキリ型害虫(仮称)は番を作り、期間中は常に共に行動してその相手とのみ繁殖活動を行います。
番になった雌は巣の付近の木に卵嚢を作り、その中におよそ20〜50個ほどの卵が産み付けられます。
卵嚢はかなりの大きさと重量になりますが非常に接着力が強いため、木から剥がれ落ちることは殆どありません。
加えて卵嚢は非常に高い強度を誇るため、落下はもちろん外部からの攻撃や雨風も防いで卵を守ります。*3
産み付けられた卵嚢は耐衝撃性はもちろん耐火性や耐酸性などにも優れていますが、唯一カマキリ型害虫(仮称)の体液で容易く溶解する性質を持っています。*4
そのため、雄は卵嚢内の卵を■■させるために唾液である程度表面を溶かし、掘り進めた後に■■させた■■を挿入して■■で卵嚢内部を溶かして卵まで■■を届けます。
じゅうぶんに■■を注入し■■させた後、雌は雄が開けた穴を塞いで卵嚢を閉じます。
卵嚢内で孵化した幼虫は内側から唾液で溶かして掘り進み生まれてきます。
カマキリ型害虫(仮称)は子育てをする習慣がないため、その時点から幼虫は自力で生きていくことになります。
しかし幼虫が産まれてくることにより縄張り内の個体数が過密状態になるため共食いが発生し、殆どの幼虫は成体及びまだ上手く狩りが出来ない同種の他の幼虫に捕食されてしまいます。
それは卵嚢の近くに巣を用意していた親も例外ではなく、過密状態では自分達の子供であっても捕食してしまいます。
共食いは成虫同士であっても発生するため、短期間で一気に増えた群れの個体数は短期間で再び激減し、全体のバランスが取れます。*5
本研究所ではカマキリ型害虫(仮称)の卵嚢の強度を利用した製品の開発を実施しています。
以下は現在開発中の製品の一覧になります。
・卵嚢塗料
卵嚢の耐火性、耐水性、耐酸性等を利用した塗料であり、粉末状にした卵嚢を溶剤と混ぜて主に建物の壁面に使用する予定です。
数はそれほど多く取れないため、建物全体ではなく特殊な用途を目的とした部屋の壁面への塗布を想定しています。
卵嚢がカマキリ型害虫(仮称)の体液で溶ける性質を利用しており、卵嚢に■■を混ぜて液体にしたものを塗料として用います。
追記:皮膚に触れても問題ないとはいえ体液には毒が含まれており、加えて溶剤として害虫の■■を使用していることによる忌避感によって不満が殺到したため開発は中止になりました。
・卵嚢武装
卵嚢の硬度を利用した武器及び防具です。
使用する卵嚢の大きさや形状に個体差があるため、現状は試験的に頬当、手甲、双節棍の3種類のみ製作しています。
当初は盾、胴当て、兜も作成していましたが、複雑な形状への加工技術確立のため現在は上記3種となっています。今後はより複雑な形状への加工技術を開発し種類を増やす予定です。
追記:実地での試験を行ったところ、武具ほどのサイズでの運用では経年劣化が著しく、未使用状態であっても半年以上経てば各種の耐久性が大幅に減少することが判明しました。使用可能期間に対する加工コストがあまりにも高いため開発は中止になりました。
・卵嚢ジョークグッズ
カマキリ型害虫(仮称)が繁殖活動の際に卵嚢に■■を挿入する習性から着想を得た、男性向けの■■用■■です。
各研究で余った卵嚢の端材に■■挿入用の穴を空けて中に男性向け■■用■■の素材を貼り付けました。
現在独身の男性職員に配布し試験を行っています。
追記:男性職員から満場一致で全項目最低評価が下されたため開発は中止になりました。
追記2:所長の指示により『今年の人気投票で優勝した某花騎士の■■を完全再現!』と銘打ってテストユーザーを募集したところ応募が殺到したため、抽選を行い開発を再開しました。
追記3:記載の虚偽によるコンプライアンス違反及び某国騎士団からの抗議のため開発は中止になりました。指示を出した所長は半年間の減給となりました。以後、カマキリ型害虫(仮称)の卵嚢を用いた■■用■■の開発はいかなる理由を以てしても禁止とします。
補遺1.捕獲したカマキリ型害虫(仮称)を運搬する際は、拘束前に確実に前肢の破壊を行ってください。■■研究員
補遺1-2.雌個体の場合は前肢の刃部の100%喪失処置を行ってください。雄個体の場合は前肢の長さが50%未満になるよう切断してください。
補遺1-3.収容していた雌個体の脱走事故が発生しました。幸い人的被害は無く、捕まえた個体を確認したところ、前肢の刃の処置が完全になっておらず約10%残っていました。檻の切断面とも一致しており、処置を担当した職員は3ヶ月の減給となりました。
補遺2.カマキリ型害虫(仮称)の体液に含まれる毒は■■に最も多く含まれており、次点で血液になります。■■研究員
補遺2-2.それ以外の体液では雌雄で毒の濃度に違いは見られませんでした。
補遺3.特定地域に生息する別種のカマキリ型の害虫が本種と特徴が一致しており、同種である可能性があります。コダカラソウ研究員見習い
補遺3-2.同種の疑いがあるカマキリ型の害虫は雌がいるにも関わらず雄が人間の女性と■■して幼虫を■■・■■させる繁殖方法を取っており、何故そのような方法で繁殖しているのか現在調査中です。