UNSUNG EVOLUTIONS   作:B.O.A.

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Ch-4-Act-04

・ホテル街、街道

 

 

 

 ホテルの倒壊から早数分、粉塵が晴れて来たので3人は隣の建物から通りに出て来た。

 建物の壁に寄り添ってあまり動かず、周囲を恐る恐ると見渡すほむらの足元に意識の戻らないまどかを残し、竜二は足速にホテルの残骸の方に向かっていく。

 壁やら天井、果ては鉄骨や家具の破片の積もった山を一つ乗り越えると、その直ぐ向こうに残骸から突き出した巨大な節足が見えた。

 胴体を瓦礫に埋まらせたまま逆さに突き出しているそれは、既に闇に染まった空に向けて伸びたままピクリともしない。

 試しに彼が何度か蹴ってみるが、まるで反応は無かった。

 

――巻き込まれずに生きていても可笑しくない奴の羽虫、さっきから全く姿が見えんな。共生相手を失って逃げ出したのか――

 

 周囲を見渡してそう判断した彼は、背後の二人の方に振り返って言う。

 

「始末できたようだ。これで一安心だな」

「そう……、本当にそうだと良いのだけど」

 

 二人の元に戻って来た彼に、ほむらは気になっていた事を聞いてみる事にした。

 

「貴方、始めからホテルを丸ごとぶっ壊すつもりだったの?」

「まさか。本当は奴が壊して脆くなってた区画だけを抜いて巻き込むつもりだったさ。だが、“見取り図”を見た時に気が変わった」

 

 そう言って、彼は「ホテルの建築時の見取り図」を残骸の方へ放り棄てる。

 

「奴が重点的に破壊していた資材倉庫や受付側のブロックの反対側に、丁度レストランの大規模な厨房が備わってた。然も、このホテルの大きな柱は其々四隅の方にあるが、客間の関係上で受付と厨房側以外の二隅に関してはやや内側寄り(・・・・・・)にもなってたんだ。そこでふと考えた……、厨房全体にガスを充満させた状態で爆発させた場合、二隅の柱では倒壊の勢いを殺しきれないのでは、とね」

「爆発が柱を抜ける事に確信はあったの?」

「具体的な提示は出来ないから半分は勘だったな。とは言え、少なくともホテルの土台を纏めて揺るがせる事は出来るだろうとは思ってたし、そうすれば奴が降りるなり暴れるなりすれば遅かれ早かれ落ちるだろうという予測はしてた」

 

 その言葉に迷いはなく、始めから本当にその様に計画していたのだろうという印象をほむらは受けた。

 

「じゃぁ、アレは? 奴からまどかを引き剥がしたアレは何だったの?」

「ほむら。お前はロボットアニメとか見る方か?」

「特に見ないけど、それが?」

「ならオーソドックスに話すか。アレは圧力鍋を利用した即席の「杭打機」だ。構造自体は銃から弾丸が発射される原理と然程変わらん。唯一違うのが、銃弾は撃鉄が後ろから叩くが、アレは前の瓦礫に衝撃を与えて信管を作動させるって事ぐらいだな」

「……因みに、見てたらなんて説明したの」

「“パイルバンカー”は男の浪漫」

 

 何故か少し得意げな、所謂「ドヤ顔」で答えた彼のノリに付いて行けず、呆れたような表情を作るほむら。

 それに気付いても、全く動揺する素振りもなく己のペースで彼は続ける。

 

「奴が彼女を引っ掛けていたのは比較的細い脚だったからな、即席ものでも衝撃を与えて弾いてやる事は出来ると思ってやったんだ。(……まさか1m以上宙に吹っ飛ぶとは思わなかったから、肋骨を折って無いかヒヤヒヤだったけどな……)」

「ふぅん……って、最後なんて言った?」

「いや何も」

 

 何か最後に聞き捨てならない事を抜かしていたような気がして、問い詰めてやろうと彼に詰め寄ろうとしたその時、彼女の耳が小さな呻き声を聞きつけた。

 彼もそれを聞いたらしく、二人で同時に足元の少女を見下ろす。

 呻き声を上げていたその少女、まどかの瞼がヒクヒクと動くや、ゆっくりとした動きでその目が開かれていく。

 

「まどか……っ」

 

 感極まった感じでほむらがしゃがんで、まどかの上体をゆっくりと起こすのを竜二は静かに見守る。

 最初こそぼんやりとただ正面を見詰めていたまどかだったが、ふと直ぐ脇で体を支えるほむらに目を向けた。

 

「……ほむらちゃん」

「まどか、お腹は痛んでない? 眩暈とか寒気とかは――」

 

 

「ほむらちゃん、どうして私なの(・・・・・・・)?」

 

 

「……え」

 

 不意にそう言われて面食らって絶句するほむらに、顔を下に向けたまどかの表情は分からない。

 だけど、その声色は不信感と怒り、悲しみなどをゴチャゴチャにした様なものだった。

 

「だって、分かんないもん。私は、確かに魔法少女の才能が有るって言われた。でもこれは、この状況は魔女の仕業じゃない。だって、ほむらちゃんは真っ先に「あの人」に説明を求めたから」

「……、」

「私は無関係なはず。こんな事に巻き込まれる謂れはない筈。なのに、なんで私はほむらちゃん側に残されたの? 何でパパやママと一緒に姿を消す方にならなかったの?」

「まどか、それは……、」

「分かるよ、マミさんが言ってた“深刻な問題”ってこれでしょ? 魔法少女が一人で動くと危ないって言うのも、何故かほむらちゃんが「あの人」と一緒に動いてるのも、全部その事でしょ? 分かってる、分かってるの。でも……」

 

 

「こんな事になる位だったら、始めから“知らない方が良かった”っていう事か?」

 

 

 呆けるほむらに代わって、そう言ったのは竜二だった。

 違う方面からの返答に、まどかがゆっくりとそちらに目を向ける。

 その瞳に彼が感じたのは「混乱」だった。

 余りに多くの出来事、それも「魔法少女」や薄々感じていた「もう一つの問題」の悩みを抱えてた上に、突如降りかかった謎の現象に家族を奪われ、そして現れた怪物に命すらも奪われかけた。

 それらの壮絶な経験が、恐らく彼女に極度の疑心暗鬼を生んでしまっているのだろう。

 

「……、」

 

 彼女は何も答えない、それもある意味当然だ。

 恐らく、この場において最も彼女の猜疑心を受けやすいのは他ならぬ彼なのだから。

 

 

 

 恐らく、クリスなら自らの経験を通して語りかけ、彼女の疑念を少しずつ解き明かすのだろう。

 仮にあの「先輩」なら、ひょっとしたらある程度突き放した上で、その行動で示して見せるかもしれない。

 だけど、彼はその二人とも違う、ある種「最悪の手段」を持ち出した。

 

 

 

「そうか、なら良いだろう。そんなお前にもう一つ悪い知らせを教えてやる」

「……、」

「お前が知ろうが知るまいが、マミちゃんが相手しようがしまいが、ほむらが居ようが居まいが、何方にせよこの事態は起きただろう。お前がどちら側に居るのかは知らないが、決してどちらも良い結果ではないな」

「…………、」

「更に言うなら、実は俺は奴らに招かれた節がある。つまり、“俺が居なければこんな事は起きなかったかもしれない”な」

「ちょ、貴方……!」

 

 流石にその物言いに焦ったのか、ほむらが咎める様に彼に声を掛けるが、彼はまるでそれを聞いてない。

 飽くまで目の前の、睨む眼光の強くなった一人の少女に彼は語り掛ける。

 

「奴らにとっては俺は必要な存在らしい。つまり、俺が“知り合った人間”を巻き込んでおけば、一先ず人情論的に一つの楔を打てるかもしれん」

「……あなたと知り合ったのが、原因だったと?」

「否定はしない。俺を知りさえしなければ、今頃は家族と一緒にリビングでジッとしていられたかもしれないしな」

「…………、」

「憎いか? ある意味、俺はこの事件の引き金だともいえるのだぞ」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべる竜二。

 その顔をジッと睨み続けるまどか。

 その二人の間で、珍しくオロオロした様子のほむら。

 暫くの無言の時間が過ぎて、そして、

 

 

 

「……全く、あなたは卑怯です。“竜二さん”」

 

 

 

 そう言ったまどかの瞳から、疑心の色が褪せていくのが見えた。

 そのまま、瞳だけでなく顔も彼に向けて、微かに微笑みながらまどかは続ける。

 

「命の恩人を憎める訳ないじゃないですか。それに、これは勘みたいなものですけど、竜二さんが私の前に姿を見せたのって「偶然」じゃないですよね?」

「……それは考え過ぎだ」

「いいえ、多分ですけど、あの中で魔法少女じゃない私を気遣って傍にいた(・・・・)のではないですか? そうじゃなかったら、あんなタイミングで私の前に姿を見せられませんよね? 幾ら周りが見えてなくても、あの通りで雑踏が全く聞こえなくなるのに何分も気付かないって事はありません」

「…………こりゃ参った、正直侮っていたよ。まさかここまで勘の回る子だったとはね」

 

 竜二は悪戯を見つかった子供の様な、おどけた様な笑みを作って頭を掻いた。

 つられるように、まどかの笑みもハッキリとしたものになっていく。

 

「少しスッキリしました。此処で誰かの所為にしたって何も進む訳がないんです。もっと真実を知らないと、仲間で足の引っ張り合いをすることにしかならないんです」

「辛い事が有り過ぎたんだ、誰かに全部押し付けたくなる思いは分からない事は無いよ。だから全部引き受けてやろうと思ったんだが、まどかちゃん、君は相当強い子だな」

「強くなんてないです。私は……(あれ、今思えば、何で私大人の人の、然もどう考えてもスパイっぽい強い人にあんな強い態度出来たんだろう……、あれ、これもし竜二さんが優しい人じゃなかったら今頃私は――)」

「……お、おーい?」

 

 見ている間にどんどん顔色が真っ青になっていきながら、次第に何かブツブツ呟いて目が虚ろになっていくまどかを本気で心配して、顔の前で手を振ったりしてみる竜二。

 と、急にまどかがしかめっ面になってお腹を気にする素振りを見せた。

 そこにある傷は深くは無かったものの、腹を横に一閃する様な大きな物だった。

 眠っている間にほむらが持参していた医療キットで応急処置を施しているものの、何かの拍子に開く可能性は否めない。

 慌てた様子で、傍にいるほむらが彼女の顔を覗き込むようにして言う。

 

「大丈夫? やっぱりまだ響く? もう一度手当てしようか?」

「ううん。気が抜けちゃって、お腹の力が抜けちゃったからその所為だよ……。ごめんね、心配掛けちゃって」

「それには及ばないわ」

 

 余り表情を作らないほむらだが、今は誰が見ても安堵したのが分かる表情を作っていた。

 そのやり取りを竜二は静かに見守っている。

 

 

 

 

 

 異常な気迫を背に感じたのはその時だった。

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 竜二が焦るままに振り返ると、先ほど自分が登った瓦礫の山の上にいつの間にか少女が一人立っている。

 その風貌出で立ちに彼は覚えがあった、嘗てほむらから聞いた「エーワックス」の風貌そのものだ。

 

「コイツ……ッ!!」

 

 ほむらも彼女に気付いて、両手は塞がっているので双眸でしっかり睨んで威嚇する。

 対してまどかは、突然現れた彼女の気迫に飲まれてすっかり固まっているようだった。

 そして竜二は、素早く拳銃を抜き出すと油断なく彼女に向けた。

 

「よぉ、お前が「エーワックス」って奴か?」

『……、』

 

 彼の問いに全く答えず、それどころか見向きもせずに彼女は残骸の奥、怪物の死骸の方を向いている。

 彼は一歩一歩慎重に歩みながら、もう一度口を開く。

 

「生憎だが、お前さんのペットなら其処でくたばっちまってるよ。ちょっとはしゃぎ過ぎて遊具をぶっ壊しちゃったみたいだな」

『……仕方ない。此処まで出来るのだもの、リスクと考慮しても背に腹は代えられない』

「……何を言っている?」

 

 その全体に響くような異様の発声にやや驚くような彼の仕草を見ているのか否か、「エーワックス」はくるりと彼らに向き合ってこう切り出した。

 

 

 

 

 

『単刀直入に言う。予期せぬ事態が起こった。人手が要るから協力しなさい』

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 流石に彼も想定外だったのか、思わず言葉を失う。

 対して、ほむらの方はまどかを支えていた腕がある程度自由になったらしい、いつの間にか片手で彼と同型の拳銃を構えて苛立ったような調子で口を開いた。

 

「自分で言ってるが分かってるの? 此処までして私の動きを封じて来た癖に、先は“それ”で此方を襲った癖に、今更協力しろと言われて「はいそうですか」と応じると考えてるの?」

『……ああ、勘違いは良くないよ。これは提案でも要請でもない。脅迫(・・)だから』

「何?」

『素人故に想像力に乏しい貴方にも分かりやすぅぅく説明するからしっかり聞きなさい』

「……、」

 

 不快感を隠さずに黙る彼女を、目の前の「エーワックス」は全く気にしてないようだ。

 一方で、「エーワックス」自体の表情は今一表情の掴めない印象だったが、それでもその口振りに多少の焦りがある様に彼女は感じていた。

 

『ええと、“エミリー”……ああ違う、「セイクウ」だったか。兎に角、私共の管理してたB.O.W.の“一体”が勝手に起動した。あれは細かい設定を端折って動かすと非常に不味い状態を産む代物だから、速やかに無力化したい』

不味い状態(・・・・・)?」

『有り体に言えば「暴走」よ。折角態々隔離して民間の危害を減らそう(・・・・・・・・・・)と努力してたのに、私達だけでは恐らく数百人単位、今向かってるだろうBSAAの戦力を考慮しても少なくとも70人以上の死傷者が発生するのは確信できる。だから貴方たちにも動いてと言っているの』

「どういう基準でその数字を出しているの?」

『悪いけど、これ以上の話は現地でしたい。乗るか乗らないか、決めて』

 

 その口調には、最早予断を許さない印象が込められていた。

 少女二人は、やや前方に立つ彼の背を見詰める。

 彼もその様子に気付いていたのか、どうしようもないと言った風に肩を竦めて答えた。

 

「動かない、って手は無い。お前を今すぐにでも引っ立ててやりたいのは山々だが、その「セイクウ」とやらを止めない事には意味が無いんだろうしな」

『話が速い様で助かるわ。端末を見せなさい』

 

 ここで、彼がちらりと後ろに目をやると、まだ二人は此方を見詰めていた。

 二人の表情はまだ協力に納得出来てない様子だったが、ほむらの方が諦める様に目を瞑って軽く頷いた事から、一先ず彼の方針に従うようだ。

 彼が端末を彼女の方に向けると、勝手に端末の電源が入るや否や、何かのファイルのダウンロードが始まった。

 彼女の方を見るが、機械どころか何も手に持ってはいない。

 

『訝しげに見ても何も出ないよ。送ったのは目的地の地図と付近の細かい地形などの画像ファイルだから安心して見なさい。今更ウィルスなんて送りつけても無駄だからね』

「……遠隔起動出来る時点でウィルスも糞もないがな、畜生」

 

 帰ったら真っ先にコレぶっ壊そう、そう彼が考えていると『現地で待ってる』と言い残して彼女は残骸の山の向こう側に降りて行って姿を消す。

 後ろの方で物音がして振り返ると、まどかを肩で支える様にして二人が起ち上がっている所だった。

 

「今更帰れとは言わないでよ。此処まで来て、大人しく引き返せるほど優等生じゃないの」

「離れるなと言った手前、そんな事は言わないが……お前は大丈夫なのか?」

 

 彼は、腹に決して浅くはない傷を受けたまどかを見て言う。

 だが彼の心配とは裏腹に、まどかは強く頷いて見せた。

 

「足手纏いにはなっちゃうと思うけど、でも……」

「……そうだな。現状、俺達と居るのが一番安全だからな」

 

 それに答える様に、もう一度強く頷いた。

 彼は彼女から目を離して手元の端末のダウンロードが終わったのを確認し、ファイルを開く。

 「エーワックス」の言った通りファイルは幾つかの画像データで構成されており、目的地 の番地などが入った地図を見て彼は言った。

 

「少し遠いな。急がないといけないだろうし、足を調達するか」

「それが良いわ。まどかの事もあるし、余り無理はさせるべきじゃない」

 

 丁度近くに、瓦礫などを被っていない手頃な乗用車を見付けた彼らは、幸いにも鍵が刺さったままなのを良い事にそのまま拝借する事に。

 後席に二人を乗せた彼は、不思議と一台も残って居ない道路を出来る限り急いで走らせる。

 暫しの安息の時間、彼は運転しつつも今後の方針に思いを巡らす。

 

――奴の仕草を考慮するに、被害を出したくないという意志は本気なのだろう。違法な兵器商人が人命尊重と言うのも皮肉な話だが。だがこれは願ってもない機会だ――

 

 彼女にとっても未曽有の事態となった今だけは、ある意味奴の掌から外れた混沌の状態だ。

 上手く出し抜いてやれば、何か尻尾と掴んでやる事も不可能ではないだろう。

 そうじゃなくても、今の邂逅だけでも彼女は幾つかの“手掛かり”を残していっている。

 いずれ相対するだろう奴の力を暴き、弱点を突く取っ掛かりとして利用する為にも、ここは一先ず彼女の言葉に合わせて踊り、分析を続けるのが最適解だろう。

 バックアップと切り離されている今、自分で全てを賄わなければならないのだから。

 

 

 

 その一方で、ほむらの方も傍らのまどかを気にしながらも、先ほどの彼等の言葉が気になっていた。

 確かに、まどかは自分やマミ達と関わりを持っているし、キュゥベェと接触さえできれば何時でも自分の様な「魔法少女(イレギュラー)」になれる。

 奴は自分への接触の仕方からして、余り「イレギュラー」を歓迎する物腰には見えなかった。

 でも、それなら尚更、彼女の家族や一般人の様に脇へどかしておいた方(・・・・・・・・・・)が、契約されるリスクが少なく済む筈である。

 自分や彼に守らせる事で契約をさせないつもりであるとするにも、いずれ自分たちを始末する際に圧倒的にリスクが高まる事になるので得策じゃない。

 最初に自分に会った際、真っ先にキュゥベェを排除している行動からも、彼女が彼らと魔法少女の関係性を知らないとは考えにくい。

 先んじて始末しよう、と考えるにしても、そうするとあの巨獣の行動が気になった。

 凶暴性や攻撃性の強いあの怪物が彼女を手元に残したまま、寧ろ生かしておいたまま戦い続けていたのが、今になって不可解に思えてくる。

 怪物に「人質を取る」なんていう知恵でもない限り、極端に言えば、始めから殺すつもりなど無かった(・・・・・・・・・・・・・・・)と言われても納得出来てしまう。

 そして、あの怪物に知性があるか否かと言われると答えは恐らく後者だろう。

 

――案外、分からなくなって来たわね。何故「まどか」までも此処に巻き込んだのか、が――

 

 それとも始めから「契約」させる事自体を目的にしているのか。

 だとしても、キュゥベェとまどかを切り離した行動が筋に合わないのも事実。

 

――結局、この先に行く以外に知る術はない、か――

 

 

 

 そして、其々の思惑を胸に、彼等は更なる騒乱の最中へと進んでいった。

 

 

 






Chapter4 Complete...



だけど事態はもうちょっとだけ続くんじゃ。
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