UNSUNG EVOLUTIONS   作:B.O.A.

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Break-12

・市内、某所。

 

 

 

「あれ、さやか? 何で此処に?」

「――――何で、じゃないよ全く!」

 

 案内された一室にて、高そうな「医療機器」に囲まれたベッドの上に横たわる上条恭介のキョトンとした顔を見たさやかが最初に発したのは怒りの篭った声だった。

 とは言え、大げさに彼から顔を背けた仕草と微かに震える肩からも、その真意はその辺りに疎い恭介ですら筒抜けではあったが。

 

「父さんや母さんは「学校には伝えるのは明日にする」って言ってたのに、ひょっとして夜のうちに連絡してたのかな」

「……え、恭介のパパやママは知ってるのこれ?」

「うん。でも場所までは伝えてない筈だけど、さやかは一体どうやって此処に?」

「え、えっと……アハハ」

 

 突然の病院からの医療器具付きの失踪が両親許諾の下の行動である、という驚きと、流石に「自力で探知した」では目の前の彼は納得しないという思いとで、さやかは返答の言葉に詰まる。

 それを見かねたのか、側に居たミラが助け舟を出した。

 

「私が病院で仕事をしてる際にどうやら入れ違いに君を訪ねてきたみたいで、病院から戻る際に後を付けられたみたいです。……で、迷った所を私の「依頼者」が運良く遭遇、保護したのを引き取ってきました」

「う……そ、そうなんだよ。あたしも流石に後先考えなさ過ぎだったわ」

「さやかは昔からそうだよね。ミラさんに謝っときなよ、迷惑かけたんだし」

「結構です。大事にならなかった時点でも儲け物ですよ」

 

 さやかは恭介のベッドの側に歩み寄り、無意識に彼の右手の様子を確認しようとする。

 リラックスした様子でベッドに横たわる恭介はその視線に気づいて、小さく微笑みながら、彼女に見せるようにその手を開閉してみせた。

 

「――――っ」

「悪いことは重なる、なんていうのはよく聞くけど、不思議なことや良いことも重なったりするものなのかな。突然動くようになったのはお医者さんもビックリしてたよ」

「――っあ。そ、そうだね、絶望的とか、言われてたからね」

「……さやか?」

「ごめん、結構ビックリしちゃって。……ちょっと落ち着いてくるね」

 

 くるりと背を向けて、スタスタと部屋の扉へと引き返していくさやかの後ろ姿をポカンとした恭介が見送る。

 そのまま彼女は、部屋の入口から見守っていたミラを押し退けるように出ていった。

 

「……様子を見てきますね。此処までかなり冒険してますし、それなりに疲弊してるはず。大丈夫だとは思いますが、一応は念を入れねば」

「僕だけじゃなく、さやかまで貴方に面倒をかけてしまって、何かすいません」

「迷惑というより、これは寧ろ私の「不祥事」でしょうか。仕事のミスの結果みたいなものですから、君が責任を感じる必要はないんですよ。上条くん」

 

 少年を一人残し、ミラはさやかの後を追う。

 探す手間は必要なかった。

 彼女はドアの直ぐ前の廊下の途中で、ぼんやりと突っ立っていたからだ。

 

「満足しましたか?」

「――まぁ、一先ずね」

 

 落ち着いた様子に努めようとしている風だが、その声色は僅かに浮ついたものだった。

 だがそれでも当人はミラに対して惚気けるつもりはないのは間違い無さそうだった。

 

「で、教えてくれるの?」

「――、」

「家族になんて伝えたのか知らないけど、こんなの明らかにおかしいでしょ。今更ダンマリ決められるとでも」

 

 

 

「彼女を責めてやるな、「捜査情報の守秘義務」って奴さ」

 

 

 

 何時から居たのだろう。

 ミラの後ろに伸びた影が動いたかのようにゆらりと姿を見せた「スカヴェラ」は、ミラの顔を覗き込むように見つめて言う。

 

「公職務めってのも難儀なものだな。上の命に言いたい事すらロクに言えず、家族にも半ば令状で黙らせた程の緊急事態、君の性格からしても一番嫌な行動だろう?」

「それ以上言うと貴方のそれも違反行為と見なしますよ?」

「コワイコワイ、仕事を終えてきたのにタダ働きになるのは勘弁だ」

 

 ヘラヘラと笑って二人の間に入ってきたスカヴェラは、さやかの方に目を向けるや、少し愉快そうにフンと息を吐く。

 

「無事に再会できたようだな。彼の方も多少知った人が居たとは言え、心細かっただろう。ミラよ、結果的に良い方向になってるんじゃないか?」

「私に聞かれても困ります」

「それもそうか。で、彼の様子はどうだったんだ。喜んでいたのか?」

「あんたに答える必要があんの?」

「釣れないなぁ、良いだろう其れくらい聞いても」

「出会い頭に殺そうとしてきた相手には良くないよね」

「実感が湧いて来ているようで何より。では話をしようか」

 

 さやかの憎まれ口を全く意に介さないスカヴェラは、ムスッとした彼女の顔をジロリと覗き込む。

 その端正な顔付きは、先程からずっと何処か嗜虐的な感情を滲ませている。

 普段接しないタイプの人間の様子に、無意識に身体を引き気味にしたさやかの前で、スカヴェラは余りに唐突に話した。

 

 

 

 

 

「君、()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……は?」

 

 

 

 

 

 思わず聞き返していた。

 何故いきなり、この少女から「魔法少女」のワードが飛び出すのかが全く理解できなかった。

 

「――ちょっと」

「こういう時は直球の方がいい。「エーワックス」ではないが、少なくとも、君よりもこの手の話術は通じているんだよ。私は」

 

 当のさやかよりも焦った表情のミラを軽くいなして、不敵な表情を変えないスカヴェラは畳み掛けるように続ける。

 

「夕刻の彼の不可解な「完治」。そしてその直後に誰にも告げなかった筈の「隠れ家」の、まさにその目の前に現れた君。……気が急くのは仕方ないが、少しは関連を疑われても文句はないと思うけど?」

「待ってよ。何であんたが――、」

「魔法少女を知っているか、だろう? これでも君よりも永く生きているからね。この界隈にいれば、そう言った話も耳にするものだよ」

「――はぐらかしてるんじゃないわよ!」

「落ち着け。ちゃんと答えるとだな、仕事でつるんだ奴らの中にそう言う「連中」が居たんだよ。丁度お前みたいな奴が、唐突に得た力に気を大きくして飛び込んでくる事が多いのさ」

「……、」

「モノの例えだ、睨むなよ。それでだ、君がそうだとして、その能力をこんな真夜中に自慢しに行った訳でもないんだったら、大方目的も察しがつく。……つまり」

 

 そこで、スカヴェラは改めてミラに目を向ける。

 スカヴェラの語りをただ黙って聞いていた彼女に向けて、さながら宣言するようにスカヴェラは言い放った。

 

「彼女は最早この件の「関係者」だ。それも一つの問題の根幹に深く食い込んでいるのがほぼ確定。「上」の審議を待つ必要はない。現場の判断で、彼女にも()()()()()()()のが最適だと進言する」

 

 聞き届けたミラは、頭を抱えたそうな渋い表情で小さく息を吐いて、一瞬だけさやかの方に視線を送った。

 

「……流石に根拠も無い状況証拠だけでは、早計だと思いますよ」

「なら根拠有る証拠を示せばいいだけだ……という訳で、見せろ」

 

 スカヴェラは再びさやかに目を向ける。

 正直、会話の3割も意味を理解できていなかったが、それでも彼女は仏頂面のまま即答した。

 

「嫌」

「出来ない、とは言わないんだな」

「出来ても、あんたの為には絶対にしない」

「私の為ではないよ。これは君と、更に「扉の向こうの彼」の為と言っていい」

「信じらんない」

「信じるか信じないかは君に任せるが、生憎これは信用や感情の問題ではないんだ。先も言っただろう、私達には()()()()()()()()()()()()()()()()()があると」

「……、」

「私は兎も角、この彼女の「立場」は知っている筈だ。詭弁やデマカセで言っている訳ではない、これは、公には出せないが「警察の仕事」なんだよ。……本来なら、今直ぐ君を帰らせても、「保護」しても良いのが彼女だ。こうやって話している事自体が、()()()()()()()()()()()()()()()事を分かって欲しい」

 

 さやかがミラの方に視線を向けると、ジッと静観していた彼女は視線に気付いて此方に目を向けた。

 少しの間、互いの視線が交わされる。

 その間、二人の表情は片や仏頂面、片や無表情に変わらなかったが、最後にさやかの方が苛立ったように視線を背け、後ろ髪を掻いてから答えた。

 

「……分かったわよ! 証拠を見せれば良いんでしょ」

 

 そう言って、彼女はポケットから自らの「証」――青い宝石の様な物体――を取り出す。

 手に載せたそれを、乱暴に突き出して二人に見せる。

 その輝きを瞳に映したスカヴェラは、フム、と腕を組んで鼻を鳴らし、ミラは何故か()()()()()()()()()()

 

「何だったか、名称は忘れたが、皆同じものを持っていた記憶がある」

「ソウルジェム、あたし達魔法少女の契約の証。コレを持ってることが「証明」よ!」

「と言っているが、どうだ? 間違いはないか?」

「……間違いなく、本物です。彼女の契約は証明されました」

 

 確認を取った辺りで、二人もミラの仕草に気付いたらしい。

 不思議そうにするスカヴェラの前で、さやかは不機嫌そうにソウルジェムをポケットに仕舞いながら言った。

 

「あたしがマミさんみたいになったのがそんなに気に食わない?」

「……いいえ、そうでは」

「私も気になるな」

 

 意外にもスカヴェラがこの流れに乗ってきた。

 視線だけを横のミラへ向けた彼女が続ける。

 

「私は彼の「移送」を()()――、っと、移送の「手伝い」をするのを君に依頼されたが……、それが実際に法的根拠を持った行動であることを知っていたから何も言わなかったが、その「理由」を聞いてはいなかった」

 

 スカヴェラがミラの前に移動する、宛ら、先程のさやかにしたような仕草で彼女は追求する。

 

「今の今に至るまでそれ自体に興味など無かったが、先程からの彼女への態度を見ていて気が変わった。其処まで君が彼女――端的に言えば年端の行かない娘――に萎縮する理由は何だ? それと関係があるのか?」

 

 急に仲間割れをし出したぞ、と思ったさやかが事を見守っていると、少し困った様子で視線を下に向けていたミラは、やがて根負けしたかのように顔を上げて口を開いた。

 

「全てをお話する訳にはいきません。が、全てを隠すのも不味いですね。……一つ、約束して欲しい事があります」

「聞こう」

「此処からの話、()()()()()()()()()()()。端的に言えば、それが「致命的」になるので」

「……致命的? 何で恭介の命が危ないの?」

「その前に、まず約束を」

 

 ミラの態度は、今までの何処か一歩引いた物から一転し、強硬で四の五の言わせる雰囲気ではない。

 先程からずっと後手後手になっていくのに苛立ちを隠せないさやかでも、反目するのが不味いという予感を感じる程の剣幕であった。

 彼女がスカヴェラの方にも視線を向けると、見返す彼女の表情もまた、同じ結論に至っていると伝えている。

 成り行きばかりではあるが、仕方ない。

 

「全く。こう言うのは、もう最後にしてよね」

「異議はない、続けろ」

 

 返答を聞いて小さく頷いたミラは、彼女達に背を向けながら言った。

 

 

「見せたい物があります、ついて来て下さい」

 

 

 

 

 

・「隠れ家」より200m圏内、警察署内。

 

 

 

 車での移動の後、通されたのは小さめの会議室。

 ミラの立場を考えたら、確かに最も「機密を保持できる」場所。

 その中央の会議用の長机の一角に、彼女は持ち込んでいた鞄を置き、中身を開く。

 

「貴方には少し読み難い資料かもしれません。が、先に了承して下さい」

「……?」

 

 訝しむさやかの前で、ミラは鞄から取り出したラップトップPCを動かし始める。

 スカヴェラが椅子を持ってきたので、立ったまま作業する彼女の横に並ぶ形で二人は座って待機する。

 時間にして2分程だろうか、彼女は目的の画面を開いてPCを2人の方へと向けた。

 

「うっわ英語……」

 

 嫌な顔をしたさやかの横で、画面内の文字をサラリと見たらしいスカヴェラが解説を始めた。

 

「こりゃ、外科用のカルテか? 日時はおよそ半年前、名前は……って例の「彼」じゃないか」

「え? ……()()()()()()?」

「なんだってこんな物が英訳されてやがるんだ。日本人の彼なら当然カルテだって――――、――――――っ」

 

 突然言葉を失ったスカヴェラは、驚愕と緊張を隠さずに自らPCの前に乗り出して画面をスクロールさせていく。

 それを一歩引いて、今度は落ち着いた佇まいで見届けるミラ。

 一方で、突然「半年前の親友のカルテ(病状)」が話題になった上、突然スカヴェラが黙り始めた事で一層不安を煽られたさやかが、居ても立っても居られずに立ち上がりながら口を開いた。

 

「ちょっと、黙ってないでよ。何が書いてあるの」

「――――落ち着いて、聞いて欲しい。君には刺激が強いかもしれない」

 

 スカヴェラが今までになく神妙に言う。

 それに釣られて思わず息を呑んださやかは、顔を少し強張らせながら小さく彼女に頷いた。

 

「これは彼の「事故直後の外傷」に関するカルテだ。そして、丁度この辺りが詳しい状態を示している」

 

 マウスに連動する画面上のカーソルで示す辺りは、簡単なスケッチもあって辛うじてさやかにも意味が分かる。

 そのスケッチでは、赤いマーキングの様なものが右手全体と胴体の方まで伸びているのが確認できる。

 カーソルは、その赤いマーキングの上を踊っていた。

 

「彼の事故直後の状態は……何というか、()()()()()()()()()()()()()()

「ハッキリ言いなさいよ」

「なら言わせてもらうが、――――彼は、その」

 

 今まで余裕を見せる喋り方ばかりのスカヴェラが、初めて困惑したように言い淀む。

 少し間を置いて、深呼吸するように息を吸って、彼女はさやかへと顔を向けて視線を合わした。

 

 

 

「「()()」、しているんだ」

 

 

 

「……………………、は?」

 

 やっと、それだけだった。

 一歩引いた位置に居たミラが、「言ってしまったか」と渋い表情を作るのにも気付かず、たださやかは呆然と呟いた。

 全くあり得ない、普通に考えてもオカシイ事を言ったスカヴェラも、その自覚は有るようで言葉に焦りが生じていた。

 

「この記載では、丁度右肩の辺りを中心にトラックの角に激突した上、()()()()()()()()()()()()()()()()みたいだ。肩から先は()()()()()、心臓を含む「内臓の7割」を損傷する大怪我だ。……こんな怪我、ショック死しなくとも出血多量でまず助からない。というか()()()()()()()()()()のだから出血死も糞もない。完全に「即死」なんだよ、彼は」

 

 早口で捲し立てるスカヴェラだが、さやかにはまるで理解が追いつかない。

 事故で「即死」している、「彼」は。

 なら30分前に会った「上条恭介」は誰だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんてあり得ない。

 だが、一定の結論をさやかが出す前に、怒りの表情すら見せるスカヴェラはミラに詰め寄った。

 

「説明を求める。彼女が「願った」のはつい先日だ。だがそれでは今生きている彼の説明がつかない。……そもそも、「即死の傷を受けて生存する」事と「今になって隔離される」事の因果関係が全く見えない。「お前」は一体彼に()()()()

「それは――――、」

 

 

 

『何をしたも何も、貴方なら想像付くでしょうが。ずっとそういうモノに触れてきた貴方が、()()()()()()()の間に勘が鈍る訳無いでしょうに』

 

 

 

 そんな透き通った、()()()()()()()()が響く。

 ギョッとしたさやかが顔を上げると、何時の間にか開いていた会議室の窓枠に腰掛けるように「白い少女」が現れている。

 「Mu.Ro.」や「スカヴェラ」に近い風貌の、だけど彼女らよりも幼そうな印象の少女。

 薄青のワンピースに茶色のチョッキ、腰まで伸びる白髪に金色に光る2房のアホ毛。

 足元に転がした「大きなケース」をブーツで触れながら、その「少女」は深海のような碧眼をスカヴェラに向ける。

 

『それとも、想像したくなかったのかな。彼女の事を考えるなら、そうもいかないものだと覚悟していると思ってたけど。その辺ぐらいは短期間に鈍っても仕方ないという評価、になるかなぁ』

「……そうだな。出来れば会いたくなかったし、こんな形で「関わり合い」になるのも御免だった」

 

 心底から言っているような低い声で、スカヴェラは答える。

 睨みを効かせる様に少女へと目を向け、彼女は少女へと歩み寄る。

 少女もまた、()()()()()()()()()()()ゆったりさで床に足を降ろし、スカヴェラに答えるように歩み寄った。

 1mの間隔を超えた辺りで同時に立ち止まり、最初に口を開いたのはスカヴェラだった。

 

「先に聞こう。()()()()()

『……コレが適当かな。「ユイ=レーゼヴァイル」です』

 

 「ユイ=レーゼヴァイル」と名乗った少女はそう答えるや、身体を曲げて奥のさやかの方をスカヴェラ越しに覗いてきた。

 

『それにしても、厄介なタイミングで面倒な事をしてしまったね、美樹さやかちゃん。君なりに彼を想っていた行動では有るのだろうけど、世の中には「有難迷惑」って言葉があるの。学校で習ってるかな?』

「……なんだと」

 

 理解が追いつかない事態に、謎の新キャラの出現、それでも自らの行い(契約)をけなされる事にはさやかは機敏に反応した。

 この場で変身してやろうかとすら思い、ポケットの中のソウルジェムを意識し始める。

 

 

 

『ミラも、スカヴェラも案外優しいからねぇ。とっとと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と伝えればいいのに、回りくどい示し方や問答をするもんだから。こっちの要件を済ませて報告に来てただけなのについ顔を出しちゃったよ』

 

 その攻撃的な意識が、一瞬で萎んだ。

 

 

 

「流石にその言い方には異議がある、彼女が意図して望んだことではない」

『そりゃそうだよ。だから、これは「事故みたいなもの」。半年前と一切何も違わない不幸よ。違うのは、その「過失の元凶」なだけ。……でも責任の所在は彼女にも有るでしょ? 遅かれ早かれ、背負う罪の意識に変化はないはずだけども』

 

 ミラが強い口調でさやかを庇うように発言しても、「ユイ」にはどこ吹く風のようである。

 でも重要なことは、大事なことはそれではない。

 さやかでも、流石にそれは理解できる。

 

「……どういう事ですか。()()()()って、どういう事なんですか」

 

 意味がわからないのに、何故かとても恐ろしく感じた。

 普段通りの彼女なら、有り得ないと一蹴したかもしれない。

 目の前の降って湧いた「少女」が言うだけなら、そう出来たかもしれない。

 

 ミラが、庇わなければ。

 それが()()()()()()()()事に、さやかが気付かなければ。

 

 

 

「彼の「即死」を癒やした物――本来、それ以上は眠っている筈の物――が、恐らく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のです。……私が半年も彼の側に居た「理由」、その「功績」が()()()()で実りつつある。それを避ける為に、今隔離を行っているのです」

 

 

 

 

 

 

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