UNSUNG EVOLUTIONS   作:B.O.A.

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 崩壊の序曲は、裏切りと復讐の二重奏(デュエット)へ。




 それは、哀しき正義の狂想曲(カプリッチオ)




Chapter8:「慟哭」・「昇華」・「無垢の罪」




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Ch-8-Act-01


・見滝原市内。

 

 

 

 何処をどう走ったかなんて、もう覚えていない。

 気が付けば、見覚えのない街並みが辺りを埋め尽くしている。

 通行人の姿は無い。

 あれだけの騒動があれば当然と言えるが、今の彼女にはそれさえ浮かぶ余裕が無い。

 

 何もかもから、取り残されて。

 真っ裸のまま森の中(自然)の中に放り出された、そんな想像が頭を埋め尽くしていた。

 

 荒い息を整える様に、壁に手を付いて立ち止まる。

 自分が何処に居るのか、それを知る為に止まったつもりなのに、次の瞬間には崩れ落ちる様にその膝が折れた。

 その足が、生まれたての小鹿の様に震えている。

 それだけじゃない、最早体全体が、凍える様に震えを発している。

 それは、単なる生理現象によるものでは無かった。

 

 彼女は周囲を見渡す、丁度正午になる筈の街並みは異様に静かで、風が発する唸り程度しか聞こえて来ない。

 日陰に蹲る彼女を、まるで森林の木々の様に静かな建物は取り囲む。

 何でもない、そんな風景が、まるで異界の様な印象を与える。

 彼女は、左手を右手の甲に添える。

 その手に伝わるヒンヤリとした感触は、彼女の力の源である「ソウルジェム」のもの。

 己の力であり、武器であるべきもの。

 だがその冷たい温度は、逆に自身が既に「死人」であるような錯覚さえ感じてしまう。

 少しでも鼓舞するつもりの行動が、全て裏目にでてしまう。

 

 

 

 

 

『……流石の君も、相当取り乱しているみたいだね』

 

 そんな所に、泣き面に蜂の如く響く声。

 

 

 

 

 

 

 前を向く。

 すぐ近くのゴミバケツの蓋の上に、白い生き物が乗っている。

 猫の様に座ったソレは、彼女の様子に何の感慨も持ってない風な口調で続ける。

 

『まぁ其れも訳ないだろう。僕ですら、既に彼女が“あの領域”にあったとは思って無かったから。だが同時に、何故彼女が君達の前に堂々と姿を晒せるのかも理解できた』

「……あの子の力は、既に万全だったと?」

『飽くまで結果論だ。その力と「コレ」が単純に繋がっているとは思えない。……次に探るべきはその間なのだろうけど、それは僕よりも彼等や、ひょっとしたら君の方が(・・・・)早く辿り着くかもしれない』

 

 飽くまで惜しげも無く話す様子からも、彼等が意図的に(・・・・)何かを隠している訳ではないようだ。

 だがその一方で、とソレは一度区切ってから言い放つ。

 

『君の力について、漸く理解が追い付いた。というより、それしかない(・・・・・・)という風でもあるけど』

「……、」

『音も無く、誰一人気付く事無く、あの建物を丸ごと消し飛ばす。そんな現象を可能とするには、最早、「時を操る」事以外に有りえない』

 

 睨む様にキュウべェを睨むほむら、だがその消沈した様子を隠し切れていない。

 単純に隠していた力がバレたから、それだけが理由ではないだろう。

 

『そして、君の力を利用した彼女は(・・・・・・・)その止まった時の中で建物を消し飛ばした。……その様子だと、君はその瞬間を全部見ていた(・・・・・・)のだろう。自分の力の制御を奪われた事を、己の魔法(願い)を玩ばれたその時を、全部知っている』

 

 

 

 

 そうだ、私は知っている。

 あの時の、彼女の「応え」を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ザ・ワールド! っ的な』

 

 呆然としていたほむらに、彼女ははしゃぐ様に腕を広げて言う。

 彼女の後ろで動いていた防護服の人間も、自分の後ろに居た筈の「彼等」も全部、その動きを止めていた。

 演技や彼女の制御だとするにも、後ろの人間達の姿勢は余りにバランスが崩れている(・・・・・・・・・・)

 そして、徹底的な現象を彼女は起こす。

 無造作に彼女が蹴り上げた5cm四方程度の壁の破片、それが多くの破片を纏いながら空中で不自然に静止したのだ(・・・・・・・・・・)

 恐る恐る、それに手を伸ばす。

 その指先が僅かに触れるや否や、

 

「きゃッ!?」

 

 ビッ、とその指に強い力が掛かって、ぶれた破片に弾かれた直後にそれが再び静止する。

 その位置は、僅かに先の位置よりも上昇していた。

 重力に逆らう様なその力は、余りにも不自然だ。

 

『驚いた? 既に此処まで来てる(・・・・・・・)んだよ。貴方達の意思を飲み込む事はできないけど、貴方達が従わざるを得ない(・・・・・・・・)状況を生み出す事は出来る』

 

 焦ったようにほむらは右腕に目をやる。

 盾の正面の機構は開かれ、中の砂時計が露出している。

 時を止める(魔法)が、勝手に動いている。

 

「……バカな、そんな」

『ちょっとしたトリックだよ。人間はちょっと複雑なだけで、電極で神経繋いで、電流で動く昆虫の足と同じ様に所詮は生き物でしかない(・・・・・・・・)。そんだけの話』

 

 意識を向けて止めようとしても、まるで上手く行かない。

 制御を跳ねのけられている、と言うよりは制御の術を思い出せない(・・・・・・・・・・・)ような、そんな感覚。

 目の前の「少女」に強がるようにキツく睨むが、だが今度は手元の武器を向けていない。

 「無駄」だからだ、この世界では、二人が触れている物(・・・・・・)以外は全て静止する。

 

 

 

『自分を責めなくていいよ。これは、貴方の不覚ではない。……生き物が「この星」を依代にしている限り存在する、不変の「規範」である(・・・・・・・・・・)

 

 

 

 少女は、静止した時の中を、まるで魔法の様に宙に浮かび上がる。

 腰の辺りまで伸びた白髪が、ビデオの早回しの様に急激にその長さを増やす。

 あっという間に、「エフエ―」のそれを超え、宙でらせんを描く様に背後に流す。

 頭頂部の金の触覚が、緩やかな波を立てるように揺れ動く。

 

 

 

 

 

 まるでその様は、東洋の「龍」。

 あらゆる生物の特徴を携えた、生命の王。

 

 

 

 

 

『だがその「規範」は、同時に貴方に通じない(・・・・)。それは貴方が、「外なる世界」の領域に触れたが故の事』

 

 

 

 「外なる世界」、つまり先の彼女の発言を踏まえると「宇宙」となるか。

 すると彼女は、私達があの「存在」達と交流した事、それを言っている事になる。

 ……つまり彼女は、「アイツ」が「宇宙」から来た事を知ってる(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

『他の者が何をしよう(・・・・・)が、私のやる事は変わらない。……今までと変わらない。古生代、中生代、そして新生代。貴方達がそう区分する、その流れを「繋ぐ」だけ』

 

「……繋ぐ(・・)?」

 

『面倒だ、簡単に言おう。私は、私と言う存在が齎す「本番」とは、「新生代」の終焉(・・・・・・・・)。つまりは「人類社会の崩壊」である』

 

 その言葉は、まるで宣告の様に放たれる。

 彼女の「意志」では無く、(地球)の「運命」だと言う様な迫力。

 

 

『此処まで導いたのが「我が(・・)眷属」である事は認めよう。だが、其れも此処までだ。概要説明(チュートリアル)も此処で終いだ』

 

 

 何時しか、彼女の口は堅く閉ざされていた。

 閉じた口から、音源の無い声(・・・・・・・・・・・・・)が響いていた。

 人形の様に浮かぶ彼女の瞳が、煌々とした青い光を発し始める。

 

 

『「コレ」もまた、その一つに過ぎん。だがその慈悲も情けも、“お前”の未熟を憂いた、「()」の全ての施し(・・)は尽した。……人の子(・・・)よ』

 

 

 ほむらは、漸く気付いた。

 目の前に浮かぶこの「少女」、その背後に集まる白い粒子が、大きな形(・・・・)を作っていた。

 

 巨大な、途轍もなく恐ろしい、一つの()を作っていた。

 

 

『我は、お前達を恨んだ事は無い。そして、今まで我に行った事(・・・・)を罰するつもりもない。故に、然るべき時に我と対峙する権利(・・・・・・)を与えよう。我はお前達の未来を奪いたい訳ではない、これは「規範」なのだ』

 

「……「規範」?」

 

『だが、忘れるな。「規範」は全てに平等に行き渡る。其処に格差は無い。……我の眷属(・・)がお前達を見初めた様に、我もまた、全てを見初めた(・・・・・・・)のだ』

 

 

 少女の手が、自らの頬を優しく撫でる。

 その表情は、まるで人形を愛でる様な、何処か母性の満ちたものだった。

 

 

『我が眷属の意義は、常に我の意志である。彼女等が「人間らしく」有れば有る程、それは常に、我が「人間」と共にある事を望んでいる、その意志を示すのだ。……故に』

 

 

 その手が、真っ直ぐほむらを指差す。

 射抜かれたように胸に手を当てるほむらだが、その顔は、その瞳は、「それ」から決して逸らされはしなかった。

 

 

『愛しき「人」よ、「お前」が選ぶがよい。その手に、その(こころ)に、宿したその“力”の行方を、お前自身の意志で決めるのだ。……我が、それを許そう』

 

 

 地響きがあった。

 嘗てない、地を裂くような振動があった。

 立っているのがやっとな彼女だったが、やがて天井から瓦礫が落ち始めた所で遂に踵を返した。

 劇場の中で浮かぶ「少女」を残して、彼女は壁に開いた穴から外に出る。

 そして、直後に轟いた雷鳴の様な爆音に振り向いた彼女は、余りの事態に驚愕の表情のまま尻もちを付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY……………――

 

 地の底から響く「咆哮」と共に、真っ白な「怪物」が劇場を真上に跳ね飛ばしながら(・・・・・・・・・・・・・・)地中から出現したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、地の底から軽く30mを超える巨体を伸ばしながら、劇場を空中に打ち上げる。

 そのまま落下する事無く宙に静止する(・・・・・・)劇場を放って、それはクジラの様な形の巨体の横から6本の「枝」を伸ばした。

 真上に向かって分岐した鹿の角の様な形の物、「エフエ―」の生やしたアンテナじみた「翼」、枝の先のパラボナアンテナのようなお椀上の部分から、翼竜の「翼」の様に放射状に枝が伸びた物。

 それらが順に一対ずつ並ぶ、奇怪なオブジェのようなそれが、淡い青の幾何学模様を表面に浮かべる。

 そのままの姿勢で「それ」は暫く固まっていたが、唐突にほむらの方へ倒れ込んできた。

 巨体に圧倒されていた彼女が動けずにいると、それは真ん中と下の「枝」を足の様に地面に伸ばして巨体を支え、角の様な「枝」を前方に動かしながら彼女と向かい合った。

 距離にして、僅か2m程。

 「(あぎと)」の様に開閉する「枝」の奥の頭部は、良く見ると胴体後方へ伸びた長大な白い毛で毛むくじゃらに覆われている。

 その毛の間から、目の様な楕円形の青い模様が何列も並んで光っているのが確認できた。

 

 

「何故、と言う顔をしているな」

 

 

 「咢」を動かしながら、その怪物が言う。

 頭部を走る紋様に、青い筋の様な光が伝っていく。

 その威容に畏怖を覚えて、言葉を発せないほむらは小さく唾を飲み込む。

 その反応を見て取って、それは続けた。

 

 

「我の言葉を、何故私が受けるのかと、何故私なのか(・・・・・・)と。……我の「眷属」は、また我の意志でもある。己が謎を解きたくば、先ず我の「眷属」に問うが良い」

 

 

 そして真ん中の「枝」、「エフエ―」の「翼」に似た形のそれを大きく振りかぶり、一気に真下に叩き付けた。

 強烈な突風に煽られたほむらが数メートル地面を転がって、起き上がった彼女が見たのは、自分の背後の大空に向かって飛んでいく「怪物」の巨体だった。

 全長は軽く100mを超えるその巨体は既に蝶の様な小ささに見えるが、この場だからこそ見える「物」もあった。

 その背中、そこに明らかに「怪物」の身体と異なる、鈍い銀色の構造物がへばり付いていた(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 まるで寄生虫の様に幾つもの管で繋がる「それ」が、人間の行った事(・・・・)だと言うのか。

 

 

 そう思った直後、ふとその真後ろを振り返り、仰天した様子で立ち上がって一目散に走り出す。

 

 

 

 

 

 そして、空中にあった「劇場」が真っ逆さまに下を向いて、

 

 

 

 真下の、「怪物」が出て来た巨大な空間を埋める様に(・・・・・・・・・・・)、地響きを立てて落下した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――やれやれ、僕は此処まで話しているのに、少しぐらい話してくれても良いじゃないか』

「何度も言ったけど、私は貴方と親密になろうなんて思って無いから」

 

 そう、飽くまであの「怪物」は静止した時の中でしか動いてなかった。

 周囲の時が動き出したのは、完全に劇場が落ちた後、その破片が渦を巻く様に収束して(・・・・・・・・・・・・・・・)劇場跡に降り積もった後だった。

 つまり、コイツはそれを知らない。

 そして、その事を態々伝える義理も無い。

 

『まぁ、君すらも驚くような何かがあったのだろう。それでも十分だ』

 

 そう言って、キュウべェは割とあっさりと姿を消す。

 そして漸く、小さく息を付いて彼女はぺたりと座り込んだ。

 彼女はその右手の盾を膝に持って来る。

 盾の機構は既に閉じ、魔法が使われているような素振りは無い。

 

 だけど、もうこの「武器」は、特別な「切り札」ではない。

 向こうがその気なら、彼女は彼女の力すら操れなくなる。

 そして、あの巨大な「怪物」。

 「ワルプルギス」に匹敵する、「エーワックス」や「エフエ―」の親玉の様なソレは、「人間社会」を壊すと言っていた。

 そんな奴は、これから一体何を起こすのか。 

 少なくとも、一つだけ手掛かりがあるとすれば。

 

「……「眷属」に会え、そう言っていた」

 

 「眷属」と言われて、今真っ先に思い浮かぶ存在は3人。

 内二人は行方不明だが、後の一人はひょっとすれば……。

 

「ん?」

 

 そんな時、携帯電話の着信に気付く。

 盾裏から取り出した携帯の番号は、竜二の物(非通知着信)で。

 

「…………あ」

 

 そう言えば、現場で待機する事をすっぽ抜かして逃げ、連絡していなかった事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に、アイツはそう言ってたのか?」

「ええ。アイツは、「社会を壊す」と」

 

 頭を抱えた様子の竜二は納得し切れていない様子だ。

 当然だろう、止まった時間を使って、デカい怪物が劇場を引っ繰り返して飛んでいったなんて言われても納得できない。

 彼は己の眼前に見える瓦礫の山を見て、思いっきり首を傾げた。

 その一方で、近くのマミは完全に黙ったまま、己の手の中の「宝石(ソウルジェム)」を眺めていた。

 ほむらの話を本当だと信じているから、己の魔法(ちから)を奪われる事を恐れているのだろうか。

 

 因みに、時を止める魔法については、もう隠す必要も無いだろうから話して置いた。

 一方で、完全な「遡行」能力については伏せておいた。

 キュウべェ自身が触れなかった所を見ても、バレているとは考えにくいからだ。

 

 仮に遡行を知られたら、真っ先に彼女が過去に戻る(・・・・・)可能性を考慮しただろうし。

 

「漠然としてて何とも言い難いな。「壊す」と言われてもどういう手法なのかが見えてこない」

「その手掛かりが、「眷属」に会えば分かるって言ってたの」

「「エフエ―」だよなそれ。BSAAが奴等の生体サンプルとして確保してたが、事情聴取もしてみないと行けないか」

 

 そんな事を言った彼が、端末を取り出して遠くの方に見える「BSAA」等の元に向かおうとしているその背に、彼女は少し慌てた様に呼び止めた。

 

「あの、その聴取に――」

「済まないが、こればっかりは本当に無理だ(・・・・・・・・・・・・・)。大規模な破壊活動と殺戮を行った「怪物」を、「ただの一般人」に会わせる訳にはいかない」

 

 怒りや警告、と言った強い口調ではない、飽くまで冷静な返答(・・・・・)

 それだけ彼は、本気で会わせられないと思っているのだろうか。

 此方をチラリと振り返る彼の瞳は、静かな冷徹さに満ちていた。

 

「頼むから、無理矢理会おうとかしないでくれ。只でさえ向こうはお前達の力を利用出来る、其処にお前が会いに行ったら、最悪「エフエ―」の脱走の手助けになるかも知れない。……そうなった場合、もう俺は庇えない(・・・・・・)

 

 それだけ残して、今度こそ本気で行ってしまう。

 周囲を見渡しても、「分かりやすいヒント」は残されていない。

 

 

 

 

 

 

 

 分かってる。でも、私ももう後には引けない。

 アイツに「全て()」を奪われたまま、丸裸のまま、自分の居場所には戻れない。 

 それに、もしアイツが私の「時間遡行」に気付いてしまったら。

 

 

 その時点で、私は二度と「(全て)」を取り戻せなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 先ずは、何が何でも「エフエ―」の移送先を突き止めなくてはならない。

 BSAAが生体を調査すると言っていた辺り、何処かそれなりの施設の整った場所でなくては有りえない。

 だが、研究施設に丸々全部持って行くとも思えない。

 つまり候補は、厳重に管理できる場所か、或は、直ぐに処分できる場所(・・・・・・・・・・)という事になる。

 竜二らが事情聴取をする気なら、サンプル資料だけ採って即処分、と言う訳にはならないだろう。

 ある程度の期間、厳重な監視下に置いておける場所(・・・・・・・・・・・・・・・)

 それでいて、非常時には多くの戦力を一気に動かせる場所(・・・・・・・・・・・・・・・)

 これだけ並べれば、相当絞り込めるはずだ。

 

 そしてその次、忍び込んだ先に待っているであろう、「彼」との対峙。

 明らかに常人離れした「彼」と、衝突する可能性は十分にある。

 戦力的にはマミを呼びたい所だが、彼女の交友的にも「彼」と戦わせるのは得策でない。

 

 

 

 だから、これは一人でやらねばならない(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 マミと共に何処の誰とも知らぬ軍服姿の人間の誘導で車に乗り、街中を只管郊外へ移動していく。

 マミが行き先を問い掛けると、一先ず閉鎖区域の境界線の拠点に移送する、という事らしい。

 

「一応だが、“外で広まると不味い物”を体に持ってないか検査する事になる。まぁ簡易な物だ、心配はするな」

「……今向かってる拠点以外にも、そう言った場所はあったりするのですか? 実は、友人と連絡が付かなくて困ってて」

「ああ、一般人なら西の方でやってるだろうな。今向かってるのが北になる」

「って事は、東や南にもあったりします?」

「まぁ、お察しの通りだ」

 

 という事は、回るべきは東と南の「拠点」か。

 そう思ったほむらは、ふと一つのアイディアをひらめいた。

 

 

 

 

 

 

「……南の方って、首都に近いですよね。変な物が漏れたりとかしたら」

「まあな、でも大丈夫。その為にかなり戦力が多くなってる筈だ(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

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