UNSUNG EVOLUTIONS   作:B.O.A.

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「先ずは、1ページ目です。内容に付いては、十分熟知しておられる物と此方は考えております」



「まどろっこしいな。熟知している内容を何故再び見せてくる」



「……こーいうのはな、熟知してようが無かろうが、先に「前提」を提示しておくのが「賢い説明」なんだよ。さっきは半ば冗談だったんだが、コイツぁ―――」



「――ッ! ならば、もう一度我々の間で再確認するのが正しいのではないか!? 其々の「前提」に齟齬が有っても困るしな!」



「虫の良い奴」



「五月蝿い! さぁ、行くぞ――」





Breaker's-02 「偽りを齎す当事者(ストレンジャー)


Break-02

 奇妙な人間関係を抱きながらも、さやかの日常は動いていく。

 彼女の「親友」を取り巻く運命に巻き込まれる、あの日まで。

 

 

 

・見滝原市、ショッピングモール

 

 

 

 その日もまた、特に変わった事のない始まりだったと、さやかは後に思い返す。

 何時も通りの早めの学校終わりで親友二人と下校中に、ふとCDショップに立ち寄ろうと思い付いたさやかは、習い事があるという仁美と別れ、まどかと二人で向かった、其処まではまだ平凡だった。

 違うのは、店内でまどかと別れた後。

 

「……あ、あれは」

 

 クラシックのコーナーに向かった彼女が目にしたのは、確か恭介が欲しがっていたプレミア物のCDだ。

 噂では此処の店主が結構な古典音楽好きで、明らかに本人の趣向で古今東西問わず様々な民族音楽やクラシック音楽のCDを集めてくるので、そのブースがかなり充実しているという風らしかった。

 噂を話した知人は「どうせなら一昔前のロックも集めて欲しい」とボヤいていたが、さやかとしては結果的には嬉しい話である。

 実は、前々から小遣いを切り盛りしている為、それなりの金額を彼女は普段から所持している。

 理由は言わずもがな、恭介への「見舞い品」の代金だ。

 

「お値段は……うぉ、結構張るなぁ」

 

 彼女の金銭感覚では、単価3000円を超える物は基本的に貴重品である。

 マニアからすれば激安のお値段でも、アパート暮らしの平均的家庭で育った女子中学生にはそれなりに高く思えるのだ。

 だが、幸いにも買えない金額ではない。

 最初こそ気が引ける様な表情を取ったものの、迷い無くCDを棚から引き抜く。

 

 

 

「……やはり、貴方も此処の常連だったのね」

 

 真後ろから響いた声に、危うく手の中のCDを落としかけた。

 

 

 

「何で、アン……アナタが此処に?」

「私も常連なんですよ。あの病院に通い始めてから」

 

 苦い表情を隠し切れずに、背を向けたままでさやかは話す。

 一方背後の声の主は、彼女の頭越しに手を伸ばして、別のCDを手に取った。

 

「実は友人がこの手の音楽好きで、上条君に此処を勧めて貰ったの。で、ひょっとしたらと思って通ってたのだけど、半年を経て漸く遭遇出来ました」

「……そーですか」

「因みに、そのCDを入荷する様に店長に進言したのは、私よ。上条君が良く聞くラインナップの作曲家の物だから、彼の手土産にしようと思ったの」

 

 淡々と、全く自慢する素振り無く事実は明かされていく。

 それが逆に神経を逆撫でして、さやかは下唇を強く噛む。

 それを知ってか知らずか、抑揚を変えずに声は続けた。

 

「後半は嘘」

「……アンタねぇ」

「進言は本当よ? ……何の為かは、()()()()()()()だけど」

 

 それでも何となく、さやかには背後の人物がきっと「したり顔」をしていると、簡単に想像がついた。

 手の中のCDに目を落とし、それを戻したい衝動に駆られるが、意に反してその手は全く動かない。

 その理由を察して、改めて唇を強く噛むさやかだったが、そこで声の主が急に「口調」を変えた。

 

 何かのスイッチを変えるような、低いトーンに。

 

「所で、さやか、今日は一人で?」

「……何で?」

「今、()()()()()()()()と入れ違いになったのですが、あの子はお知り合いかなと」

 

 ハッとなって、さやかは周囲を見渡す。

 彼女の様に普段から大量の貯金を持ち歩かない「彼女」なら、視聴スペースや最近のJ-Popの並ぶコーナーに居るはずなのだが、その姿がない。

 このCDショップは店内にトイレが用意されているし、長く並んでもない限り、態々花を摘みに外に行く必要もない。

 実際に確認しに行くと、空席の表示が付いていた。

 

「仕事柄、「人相」ってのを良く見ている方ですから言いますが……何というか、()()()()()()()()()

「何で、それを直ぐに言わないの?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……私情では、そんな事は万が一にもあるとは思ってませんが、これも仕事柄という奴です」

 

 間違いない、その入れ違いになった子は「まどか」だ。

 だけど何で、何も言わずに自分を置いて行ったのだろう?

 さやかとは小学校の頃からの旧知の仲だ、彼女が何も告げずに勝手に帰宅する様な性格ではない事は、さやか自身が熟知している。

 思考を巡らせても、全く心当たりなんて思い浮かばない。

 後を追うように店を飛び出そうとするさやかだったが、その前に片手を強い力で掴まれた。

 

「落ち着いて。勘定を済ませるか置いていくかしないと、更にややこしくなる」

「――っ」

 

 手に持っていたCDを適当な棚に戻して、改めて外に飛び出す。

 周囲を見渡すが、ショッピングモールを歩く人混みの中には見知った友人の姿は何処にも見当たらない。

 半ば諦めかけたその時、人混みの奥にあるモール自体の入り口の付近にちらりと「何か」が見えた。

 最早直感的に、さやかはその後を追いかけ始める。

 入り口にたどり着き、そこで再び見渡して、遂にまどかの「後ろ姿」を視界に認める。

 遠く、建物の外周を回るように小走りで移動するその様子は、何処か落ち着きがなく、しきりに周囲を見渡すように首を回している。

 まるで()()()()()()()()様な雰囲気だと、さやかは感じた。

 

「何やってんだ、アイツは」

 

 確かに、アレは様子がおかしい。

 そう確信したさやかは、まどかを追い掛けるように走り始める。

 運動神経や足の速さは自分の方が上だ、だから直ぐに追いつける、と当初は思っていたが、まどかは外周を進んで業務スペースに入り込み、作業員に見つかる事も無視するかのように躊躇なく、狭い通路や機材、ダンボールの山の間を縫うように移動していく。

 そうした想定外の動きに翻弄され、あと数mまでの距離にたどり着く頃には、二人はモールの改装中のスペースの奥深くに入り込んでいた。

 人気も明かりも殆ど無い、薄暗い廊下を向こうで、まどかは廊下に面した部屋へと入っていく。

 さやかも後を追おうとして、扉の角まで移動した時だった。

 

「酷いよ、どうしてこんな――ッ!」

 

 彼女の足が止まった。

 今のは明らかにまどかの声だ。

 だけどその声は明らかに普段のものとは違う、切羽詰まった様な、()()()()()()()()()()、そんな強い感情が篭っている。

 

「ソイツに、近づかないで」

 

 次の声は、()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 低く、感情を殺すような声色に、思わずさやかは身震いした。

 

 

 その声は、本当に最近聞いたばかりのものだったからだ。

 

 

――暁美、ほむらッ!!?――

 

 思い返されるのは、CDショップを訪れる少し前、仁美と別れる前にモール内のファストフード店でお茶をしていた時。

 確かあの時、まどか自身が、彼女を何と言っていたか。

 

 

 

――何か、あの子と「夢で会った」様な……――

 

 

 

 頭の中で、異常事態を知らせる警報の様な感情がグルグル回っている。

 動悸が速くなるのを抑えながら、悟られないように、今までに無いほど慎重に彼女は廊下から様子を伺う。

 二人の会話はもう耳に入っていなかった。

 大きなブースになるらしい、鉄骨のむき出しのスペースの中心手前で、見知った友人の座り込む後ろ姿が確認できる。

 彼女の身体の脇から()()()()()()()がはみ出している、何かを抱えているのだろうか。

 そして、そのほんの数m奥、此方に向かい合う形でもう一人、立っているのが見えた。

 その背後の、ぼんやりした光源を背に立つ彼女の姿はかなり見辛いが、それでもその特徴的なクセのある長髪と、凛々しい表情は間違いようがない。

 だが何より目を引いたのは、見滝原のものとも違う、紫と白を基調にしたセーラー服に近い、コスプレ紛いの格好だった。

 そして、左手に金属製らしい奇妙な円盤がくっ付いていた。

 異様過ぎる、だが重い威圧感を周囲に放っている。

 

――何とか、しないと……ッ!――

 

 あのまま友人を放って置いたら何が有るかわからない、そんな恐怖をさやかは覚えた。

 だが一体どうやって、無闇に出て行って助けられるのか。

 ほむらの運動神経は自分よりも上だし、それにあの格好には()()()()()()()()()

 そんな時だった。

 

 カタンと、固く冷たい感触を足の背に感じた。

 

 思わず跳び上がりそうになったさやかが背後を確認すると、赤い色をした金属製の物体が転がっていた。

 筒状のそれの側面には白色のラベルが貼られていて、先には黒い取っ手のようなものがある。

 それは学校やアパートでよく見かける、ありふれた消火器だった。

 ()()()()()()()、そう一瞬思ったさやかだが、躊躇はしていられなかった。

 

 手に取って、栓を抜き、ほむら目掛けて一気に中身をぶち撒ける。

 

「こっち!」

「えッ――!?」

 

 真っ白な煙で視界が覆い尽くされる。

 出来る限りまどかにはかからない様にノズルの向きを変えてはいたが、面食らったのか呆然と此方を振り向くばかりだ。

 中身を出しきり、序とばかりに煙の向こうへ消火器をぶん投げた後、座り込む友人の手を取って来た道を引き返す。

 そこで初めて、彼女が抱えているものの姿をさやかは認識した。

 

「クッソー、何よアイツ。今度はコスプレで通り魔かよ! って言うか何それ、ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」

 

 真っ白な、猫ともウサギとも付かない生物。

 長い耳の先端はピンク色になっていて、黄色いリングが周りを囲っていた。

 だがぬいぐるみとしても、その身体に付いた傷は生々しく、生き物のそれでしか無い。

 

「分からない、分からないけど……助けなきゃ!」

 

 友人の困惑した様子からも、無我夢中になってソレを抱えていたらしい事が伝わる。

 一先ず必死に廊下を駆ける二人だが、その「異変」に何方ともなく気付き始めた。

 

「ねぇ、この廊下。こんなに長かったっけ……!?」

「変だよ。道が、廊下が動いてる……?」

 

 30mもない道なのに、一向に外に出る雰囲気がない。

 それどころか、どんどん目の前の暗闇が濃くなって、廊下の壁が揺れるように動き始める。

 歩調が、次第に乱れていく。

 

「ヤダ……「何か」、居る?」

 

 最初に気付いたのはまどかだった。

 目の前の暗がりの奥から、「ソレ」はゆっくりと姿を表した。

 質の悪い落書きの様な歪んだ輪郭をもつそれは、球状のアイスクリームを乗せたコーンのような胴体に、蝶の羽のような下半身を持っていた。

 それで宙を滑るように移動し、奇妙なうわ言を発しながら此方に近づいてくる。

 白いモヤ状の顔にはカイゼル髭の様な紋様しか無く、目や口が見当たらない。

 なのに、ソレは明らかに二人を認識し、此方をジッと「見ている」雰囲気だった。

 

「あ、はは。冗談だよね……? 悪い夢でも見てるんだよね?」

 

 一体や二体じゃない、数えられるだけでも片手分以上は居る。

 そんなものが、棒人間のような関節のない腕を持ち上げ、指もないのにその手に有る「ハサミ」をシャキシャキと動かす。

 何をしようとしているのか、それで()()()()()()()()

 足を止め、互いに身を寄せあって、気の遠くなるような恐怖で身体が震えだす。

 にじり寄るように前方から近付くその群れに、後ろに引き下がろうとしたさやかは、そこで「後ろ」に何が待っているかを思い出す。

 

――なんだっけ、「ナンタラの(化け物)に、後ろの(ほむら)」……?――

 

 最悪のタイミングだった。

 八方塞がりとなって、意識が遠のく感覚を覚えた。

 

 

 

 

 

「……Case(ケース):IA-86。自己判断に基づき、交戦を開始します」

 

 

 

 

 

 キラッと、視界で()()が煌めいた気がした。

 そして次の瞬間には、目の前の「ソレ」の半数が、グラリと揺らめいて床に倒れた。

 驚いたさやかの前に、何時の間にか誰かの背が見える。

 黒い背中、だけど明らかに暖かな温度を感じさせる黒色。

 ソレは、一般的なビジネススーツの背中だった。

 

「ミラ、さん?」

「3分、時間を下さい。片を付けてから話しましょう」

 

 彼女の左手には、大きな「(カタナ)」が握られていた。

 闇の中で、何故かそれは俄に()()()()()()()()()()

 そこで漸く、周囲の「ソレ」も自分の仲間が倒されたのに気付いたのか、奇声を発して彼女に飛びかかろうとする。

 危ない、そう思ったさやかだが、次の瞬間には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「――え?」

 

 呆けた声を、まどかが上げる。

 その時には、残りの半数の「ソレ」が()()()()()()()()()

 

 

「すみませんね、()()()()()()()()()()

 

 

 それに意を感せず、そんな事をミラは呟く。

 すると、何時の間にか頭上に広がっていた闇の奥から「別の声」が響いてきた。

 

「貴方は……?」

「ミラ、です。職業としては、刑事というべきでしょうか」

 

 ふわりと、宙から降りてきたのは、黄色い西洋人形の様な格好をした、自分達と大差ない歳と思われる少女だった。

 その様子に敵意はなさそうだが、一方でミラを訝しむ様な表情を作っていた。

 その視線が向いているのは、彼女の右手の鞘に収まっている「刀」だ。

 

「その武器、私達の持ってる物と違う。でも「似た雰囲気」がある……?」

「良い業物でしょう? これは、私の「知人」に就職祝いに貰ったものです。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……、」

「怖い顔をしないで下さい。どうも、「ある場所」から持って来た「出自も構成も不明」の金属を使った、世界に一本だけの物らしいです。……元々「別の武器の形」だったのを溶かして鍛造し直したので、刀としてはかなり薄い刃らしいのですが、刃毀れも錆もせず、磨けば恐ろしい切れ味を生む。……挙句、あのような「物」にも効果を発揮する、みたいです」

 

 スラっと、鞘から刃を左手で引き抜いたミラは、疑問を深める少女の前に掲げる。

 自然と淡い緑色に発光して見えるソレは、その手に疎いまどかやさやかでも見惚れる程の美しさが備わっていた。

 

 

 

『……彼女の言葉は本当だよ、マミ』 

 

 

 

 そんな言葉が、突然響いてきた。

 驚いたさやかが声の主を探すと、信じられない事に、それは()()()()()()()()()()()()()()()に行き当たった。

 

『その剣は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。恐らく、魔女にも打撃を与えうる素材で作られているのだろう』

「地球上には存在しない? ……それは、「宇宙」から来たって事?」

『恐らく。宇宙の何処かには存在し得るだろうと思っていたけど、こうして目の前に見るのは僕らも初めてさ』

「……()()()()()()()()()()()()()()()って言ってたよね。キュウべぇ」

『それは一般的な話だよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。魔女は、魔法少女の様な「希望の力」を有する存在だけが浄化できる。……現に、今彼女が倒した使い魔も瘴気に変わって退散しただけ。時間が経てば再び形を持つだろう』

 

 「キュウべぇ」と呼ばれた生き物の話を聞き、何処か納得したような表情を取る「マミ」という名の黄色の少女。

 完全に置いて行かれている二人を横に並べるミラは、今度は別の方向へと目を向けた。

 

()()()も納得されましたか?」

 

 それを聞いて、驚く様子もなく、寧ろ始めから気付いていたように視線を後ろに投げかけるマミ。

 彼女の後ろの闇の中に、これ又何時の間にかほむらの姿があった。

 彼女も彼女で、ミラをジッと見つめながら口を開く。

 

「……武器の理屈はね。それ以外にも聞きたい事は山程あるけど」

「あの魔女は譲ってあげる。仕留めたいなら行きなさい」

「私の用があるのは――、」

「それとも、()()()()()()()()()()()()? ……余計なトラブルは、私も貴方も起こしたくないでしょう?」

 

 その表情は見えなかったが、強い緊迫感がマミから発せられて、さやかとまどかは息が詰まりそうになった。

 その間、ギリッと歯軋りして、未練がましく「まどか」の方を見ていたほむらだが、負けを悟ったのか大人しく闇に消えるように退散する。

 一方、ふぅ、と空気を抜くように息を吐いたマミは、ポツリと呟く。

 

「……はぁ、「あの人」と会ってから、最近妙に粗暴になってる気がする、ちょっと気を付けないと……」

「あ、あの―――」

「ハッ! な、何?」

 

 まどかに声をかけられて、驚きで飛び上がりそうになるマミ、案外お茶目な方なのかもしれない。

 マミが二人の姿を見て、やっとこさ置いてかれていた状況から脱したことをさやかは悟った。

 

「あの、この子のお知り合い、ですか?」

「あ、ああ。そうなの。この子、「キュウべぇ」は大切な友達なの。……助けてくれて、ありがとうね」

 

 そう言って、彼女がキュウべぇに手をかざす。

 すると、其処から黄色い光が放たれ、たちどころにキュウべぇの傷を癒していく。

 さやかもまどかも、目の前の光景が信じられない様子でそれを見守っていると、ふとマミは別の「何か」に気付き、少し目を細めた。

 

「意外ね。貴方はそんな顔をしないと思ってたけど」

「現物を見るのは、初めてなので」

 

 其処には、さやか達の背中越しに、感心したような表情で覗き込むミラの姿があった。

 

 

 

 

 

「私は巴マミ。貴方達と同じ、見滝原中の3年生。そして、この「キュウべぇ」と契約した「魔法少女」よ」

 

 黄色い光が一回全身を包み、次にはさやか達と同じデザインの制服姿に変わったマミは、すっかり元気を取り戻し、小動物じみた軽快な動きで身体を上ったキュウべぇを肩に乗せて言う。

 

「まさかの先輩だった……!? あ、美樹さやか、2年生です」

「わ、私も2年生の、鹿目まどかです」

 

 二人はそれぞれの程度で驚き、慌てた様に自己紹介をする。

そして、最後に残り、全く慌ても驚きもしない人物に3人の目が行く。

 

「ミラ・L・ルイズ。Lは「レーゼヴァイル」。見ての通り日本人ではありませんが、国際捜査のために派遣された刑事。其処のさやかとは、その繋がりで知り合っていました」

「……ふーん?」

「知りませんよ!? 半年前からそこそこ顔合わせしてたけど、こんなの本当に初めてですよ!?」

 

 マミから意味有りげな視線を向けられ、焦ったように両手を振って応じるさやか。

 その必死さが滑稽だったのか、小さく笑みを浮かべたマミは、3人を見渡すように視線を動かしてから、口を開いた。

 

「立ち話するのもあれだから、私の家で事情を話すわ。碌におもてなしも出来ないけど、お茶しながらの方が気が落ち着くでしょう?」

 

 再び三人の視線に集中砲火されるミラは、此処で初めて、少し困ったような表情になって頷いた。

 此処では彼女が年長で、何時の間にか彼女に行動の主体が移っていたのだ。

 

 

 

 

 

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