バイブ書道   作:プリン

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バイブ書道 4

同一二四〇 執務室周辺 長門

 

「漣、ご主人様を止めます。必ず止めます」

 

 ──ああ、まっすぐな眼差しだ。水平線の果てさえ射貫きそうな。

 

 それでも平気で泣かせるつもりなのだから、まったく罪な男だ。

 

 だが漣よ。恨み言を言ってみたところでこれは本当にどうしようもない。

 

 死ぬんだ。

 

 人は死ぬ。提督は人だ。だから死ぬ。

 

 これまで提督の判断と配慮があったから、死からは縁遠かった。まるで命など最初から賭していなかったかのように。だが、我々の戦いと死が無縁になったとしても、提督は違う。

 

 常に燃やしているのだ。提督は。命を。

 

 見上げた男だ。我々が何をしてもうろたえない提督(例外はあったが)。戦うために作られた私達が、どうすれば自分らしく生きられるか考え続けた提督。父のように、兄のように。

 

 だが父も、兄も、基本的には己に先立つものなのだ。

 

 そして、艦娘にとって先立たれることは「基本的に」などではない。

 

 絶対だ。運命と呼んで差支えないだろう。

 

 我々は変わらぬ姿で、変わらぬ戦いを続ける。提督は戦わずとも老いていく。

 

 同じ時間は流れていない。いくらそれを認めなかろうと、時は残酷に我々を置き去りにする。

 

 すべてが置き去りの世界にあって、ただ一人進み続ける提督は、実は孤独だったろう。

 

 提督がただ一つ恐れるものを知ったのはつい最近のことだ。

 

 死? 否だ。我々の提督は己の宿命にうろたえるような男ではない。提督が本当に恐れたもの、それは──未来だ。

 

 戦いの無い世界を望んでいた筈のもの。

 

 我々の魂がまた現世に呼び戻されたのは、究極的には戦いの無い未来を手に入れるためだろう。しかし、その実現は同時に我々の存在意義の消滅だ。物質的には我々を維持・管理・運用する組織の必要性の消滅。精神的には私達の生存の動機の消滅。

 

 だから、提督は我々にそれぞれの道を行かせようとしている。

 

「いずれ俺も居なくなるからな」

 

 自分が消えてなお、我々の幸せを優先する。その姿勢は提督の優しさの表れなのだと、素直にそう受け取ってしまった。

 

 だが、それは本当に我々を思ってのことだったか? 

 

 己と同じく、変容する存在であってくれという切なる願望の表出だったのでは? あの言葉の残響が帯びていたのは、己だけが変わっていく世界に覚える寂寥、そこに埋もれていくしかない一人の人間の、道連れを求める叫びだったのではないか? 

 

 だとしても。

 

 私にできることなど、ない。

 

 提督が強くあろうと、我々の支えであろうとしているのを知ってなお気を遣っては、彼の意地や矜持が私の指紋で曇ってしまう。己の手で曇らせることをこそ己の愛の証と嘯く者も居る。だが、それが本当に提督の望みなのか? 

 

 私に言わせてみれば、気高さは愛でた時点で輝きを失い、称えた時点で価値を失う。気高さに照らされている唯一の方法は、報いること。己もまた、気高くあろうとすること。それだけが、正しく享受する術だ。

 

 そして、気高さはある程度の距離を持ってでなくては鑑賞に堪えない。遠くては見ること能わず、近くては己が吐息で穢れてしまう。執務室は、丁度良い距離で気高さと向き合えた。願わくば、提督も……。

 

 フッ、感傷的なことだ。こんな様は提督には見せられないな。感傷に浸ると善人になれた気がしてしまうのが人間の悪癖だ、と彼は言っていた。こんな仕事をしているとなおさらそう感じる、とも。

 

 だが愛情というのは、力及ばない者がひたむきである時にこそ現出するのではないか? 無謀にも、逃れがたき「死」に挑もうとする漣を、愛おしく思わない者が居るだろうか。

 

 だが私は提督の不安に付け込んだり、ましてや提督と傷を舐め合ったりなどする訳にはいかない。私が先に待ち受ける提督の死を受け入れない恰好をして、果たして提督が私を愛でるようになったとしても、そのとき私の尊ぶ気高さは穢れてしまうし、そんな提督を慕うなどありえない。

 

 ……しかし。漣なら、私にできないことも可能なのかもな。私に開けない、開くわけにはいかない扉の鍵も、漣なら持っているかもしれない。

 

 さて、普段言っている「しつこさ」とやら。見せて貰おうか。

 

 

 

同一三〇五 寮(秋雲居室) 潮

 

「……これ? なんですか」

 

 そこにあるのは、筆に……あの、よくわからない機械がテープでくくりつけられたものです。あの、何て言えばいいんでしょうか。

 

 ……えー、あの、黒くて太い、棒? が、テープで小筆にくくりつけられています。

 

「見りゃわかるでしょ? バイブ」

 

「ごめんなさい、知りませんでした」

 

 あ、バイブ、ですか。みんなにとっては常識だったんですね。

 

 ちゃんと覚えていかないと。こういうことから。

 

「まー知らなくてもおかしくはないから大丈夫大丈夫」

 

 思わず身構えます。大事な話に限って、後からこういう気休めを言われる気がします。

 

「はい……」

 

「あ、秋雲さんに敬語使うことないからね、お姉ちゃんみたいに……いや秋雲さんの方が妹なのかな。まあ、そんな他人行儀にしないで」

 

「あ、はい……じゃなくて、うん」

 

 あ、なんだかムズムズします。お姉ちゃんが増えるとか、妹が増えるってこういう感じなんですか、多分ですけど。

 

「とに、かく。この秋雲さん謹製『一八式バイブラシ』で震える筆跡への対応も完璧ってわけよ。まずはそのバイブの尻を回してみて」

 

 尻? あ、よく見たらここは別の部品なんですね。えい。

 

 カチ。

 

「ひゃああああああ」

 

 なんですか! これ! このバイブっていうの、すごい勢いでブルブル震え始めました。砲撃したあとの、ジーン、っていう手ごたえみたいな……いや、こんな一定でずっと震えてないし、全然違いますね。ていうか、秋雲ちゃん、ずっと笑って、そんなにツボに入ったのでしょうか。

 

「あっはっは」

 

「あの、ど、どうすれば」

 

 心なしか、声も震えて、扇風機に当たったみたいになってます。

 

「いや~一番強い奴にしたけど効き過ぎるかもしれないなぁ、やっぱり。あ、墨をつけたあとにスイッチ回してね。電源入れたまま墨つけると範囲攻撃になるから気いつけて。んで、もう切っていいよ、練習だし」

 

 切るって、つけるのと逆に回せば大丈夫ですよね。あ、止まりました。

 

「これでマトモに字を書けるようになったら、もう潮ちゃんも怖いものなし!」

 

「あの……」

 

 何が怖いもの無しなのでしょうか。そもそも、あれを付けてまともに書けるのでしょうか。

 

「アレはね~、秋雲さんが海上でものを書く練習をするために開発したんだ。あ、信じられないって目してる」

 

「信じます、ちゃんと練習しま、するね」

 

 あの、なかなか信じられませんが、ここまで潮のためにやってくれたのに信用しないなんて、秋雲ちゃんに失礼ですよね。

 

「うんうん。上手くいくことを願ってるよ。あ、お姉ちゃんには内緒だよ、コレは」

 

 秋雲ちゃんがまた急に真面目な顔になりました。

 

「バイブは秘密の道具……いわば秘められし儀式の祭器なんだ。だからお姉ちゃん……特に朧には言わない見せない。わかった?」

 

 なんだか怖そうな話です……黙ってこくこくと頷くほかありません。

 

「あとね、これもあげる」

 

 そう言うと、秋雲ちゃんはさっきのバイブみたいなものと、四角い機械に小さな玉がつながった機械、あと……よくわからない柔らかい……オレンジ色の、ゴム? 先端が外れたあとの徹甲弾みたいな形の、とてもプルプルした何かを差し出します。

 

「これを使いこなせるようになったら、提督なんて全然怖くないんじゃないかな? まあ持ってって持ってって」

 

「あの、こんなに貰っちゃって、その、ありがとうござ……や、ありがとう」

 

「持ってってくれて全然問題ないよー。秋雲さんのところには余っちゃっててねぇ。創作活動には何かと入用なんだ」

 

「それでも、ありがとう、あの、お礼がしたいな」

 

 お礼。よくしてくれた人には、ちゃんとお礼の気持ちを伝えないと。言葉でも、態度でも、それ以外でも。

 

「うぅ~ん、そんな欲しいものも……」

 

「間宮さんお食事券とか……あ、シールなら部屋に一杯あるから、なんでもどうぞ」

 

 秋雲ちゃんはその場で胡坐をかいて、頬杖をつきながら潮を眺めています。まじまじと。

 

「あ、そうだ!」

 

 また、何か企んでいそうな顔です。

 

「はい!」

 

「そこ寝てポーズとってて、このコみたいなの」

 

 ポーズ? 秋雲ちゃんの差し出した漫画には、仰向けで寝た状態で、手を上にのばして敷布団を掴むような姿勢の女の子……の腰から上が描かれています。何をするポーズでしょうか。

 

「いやー、潮ちゃんみたいなスタイルの子を観察させてもらったことって全然ないからね~。資料になってよ」

 

 潮ちゃんみたいなスタイルって、やっぱり。

 

「あの、やっぱりだらしないのかな。曙ちゃんがもっと痩せなさいって」

 

 でも、どうしたんでしょうか。秋雲ちゃん、こっちを見ながら目をぱちくりさせています。

 

「だらしない……? 潮ちゃんが……? というか痩せるなんてとんでもない」

 

「で、でも、朧ちゃんは筋肉あるし、漣ちゃんも曙ちゃんも細いし、やっぱり潮、太ってるんじゃないかな」

 

 そういうときには、秋雲ちゃんはもう潮のすぐ隣まで来ていました。

 

「全然、そんなことないよ、ほら、この太ももとか……」

 

「ひゃああ!」

 

 思わず声を上げてしまいますが、今回は秋雲ちゃんも動じません。

 

「ほら、このいい感じの曲線。お姉ちゃんたちにはないものだよ、すべすべだし」

 

 そう言いつつ、さわさわと脚を撫でる手がスカートの中まで上がってきます。

 

「ん……」

 

 逃げようとすると、うまく身動きがとれません。気付いたら、足の間に秋雲ちゃんの左脚が入っています。

 

「それにこれだよ、これ」

 

 秋雲ちゃんが、潮の……胸をさすっています。

 

「これを減量しようなんてとんでもない」

 

「や……みっともないよ、こんなの」

 

「みっともなくない!」

 

 そう食ってかかる秋雲ちゃんの顔は、とても冗談や気休めを言ってるようには見えなくて。

 

「他の子がこんな立派なものを持ってる?」

 

「みんな、かわいいよ、こんなじゃなくて……」

 

 そうです。ほかの子は普通で、戦うのに向いてて、制服も似合って。

 

「わかってないよ潮ちゃんは。潮ちゃん、気付いてないだけでとってもエ……魅力的だよ」

 

「ほんとうに……?」

 

 曙ちゃんに痩せるのを勧められたり、漣ちゃんにからかわれたりするくらいしかなかったのに、こんな……。

 

「うん。だからさあ、服なんかで隠さないで、秋雲さんに見せてほしいな……なんて」

 

「そこまでよ」

 

 突然割り込まれます。この声は……。

 

「朧……ちゃん?」

 

 いつ現れたのか、朧ちゃんが開け放たれた戸に足をかけて立っています。

 

「な……朧……? いいじゃん妹のおっぱいくらい! というかいつから聞いてたのさ」

 

「『全然、そんなことないよ……』あたりから。やめてよね、潮はそういう冗談、本気にしちゃうから」

 

「はぁ~い」

 

 冗談……。じゃあ、今のは。

 

「あの、潮を褒めてくれたのも、冗談なの」

 

「いや潮ちゃんがかわいいのは本当」

 

「秋雲はいろんな子のハダカが見たいだけでしょ、絵のために」

 

 じゃあ、嘘だったんだ、だらしなくないっていうのも。……胸のことも。

 

「いや、見たいよ。見たいけど、潮ちゃんがかわいいのもほんと」

 

 さっきから可愛い可愛いと言いますが、どうなんでしょうか。ぬか喜びだったんでしょうか。今の気持ちは。

 

「……潮ちゃん、秋雲ちゃんはこういう子だから……ね。あんまり言うことを真に受けちゃだめ。わかった?」

 

 わかったような、わかりたくないような。いや、わかりたいです。

 

「あの、本当はみっともないって、笑ってやろうって思ってたんじゃないんですか」

 

「そんなこと全然ないってば。秋雲さんも欲しいよ、それ。何食べてんのか教えてほしいくらい」

 

「本当ですか?」

 

「本当だってば。ねぇ、朧? お姉ちゃんとして教えてあげたほうがいいよ。その魅惑のボディラインがいかに価値あるものなのか」

 

 あの、秋雲ちゃんがこんなことを言うから、朧ちゃんの顔に視線を移しました。その口から、潮を褒める言葉をくれるのかな、と期待してしまって。

 

 でも、朧ちゃんは何だか落ち着かない……さっきの秋雲ちゃんみたいな悩み方でもない、なんだか暗い顔をして……。

 

「うん、潮ちゃんはかわいいよ。潮ちゃんの身体も、あたしはいいと思う。うん。好き、だよ。……でも、うん、だからって、そう簡単に見せちゃいけないものだと思う。秋雲ちゃんの言う通り、価値のあるものだから……」

 

 あの、それって、やっぱり人に見せるものじゃないって事でしょうか。でも確かに不思議です。攻撃を避けきれなくて服が脱げると、わけもなく恥ずかしいです。でも、なんで? どうしてみんな自分の裸が恥ずかしくなるのか、不思議です。

 

「だからみんな服が脱げるのを嫌がるんですか」

 

「……ん? 潮ちゃん、ちょっと。どうしてそうなったの?」

 

 あ、ちゃんと説明しないとわかりませんよね、でも説明したらもっとわからなそう……。

 

「鋭いねぇ潮ちゃん。それは半分正解で半分間違いかなぁ。みんなが隠したがるからこそ脱ぐことには価値があるんだよ~」

 

「……? どういうこと、ですか」

 

 秋雲ちゃん、助け舟を出してくれたのかと思いましたが、朧ちゃんはますますわからなくなったみたい。首をひねって頭を押さえちゃった。

 

「みんなが隠そうとするからなかなか見られなくなるじゃん? そしたらますます見たくなって、興味を持たれると隠す、そうやってみんなの身体はどんどん貴重になっていくんだよ。ま、そうやって隠してると自信なくなったり、興味を持たれるとうれしくなってついみせびらかしたくなったりしてね~。それはそれで、ロクなことにならない。うーん、にょた……違うなぁ、ボ……おっぱい市場? いやそれに限ったことじゃないし……まあ、朧ちゃんの心配はそういうところから来る。違う?」

 

「……合ってる。多分。……いや、そんな難しいことじゃなくて……」

 

 朧ちゃん、やっぱり賢いんだ、潮にはよくわかりませんでした。

 

「うーん、秋雲さんから言いたいのはね、潮ちゃんはかわいいよ。本当にかわいいんだ。でもみんな褒めちゃくれないし、褒めてもらおうとすると、大変なことになる」

 

 そう言って、秋雲ちゃんは、ニイ……と口元を吊り上げて笑っています。

 

「大変なこと……?」

 

 大変なこと? 朧ちゃんが心配してたことを考えると、潮が困るんだと思います。どんな……? 想像もできません。褒められたいと思うと、何が起きるんでしょうか。どんどん胸が大きくなって、爆発……は、しないと思うけど、きっと身体のことだと思います。

 

「気になるのかな潮ちゃん。丁度そういう漫画が入ったところでね」

 

「秋雲ちゃん、やめて」

 

 秋雲ちゃんが押し入れのなかから取り出しかけた本は、眼鏡で、背中までくらいの黒髪でいかにも真面目そうな女の子……が、裸で寝ている表紙の本でした。脱がされちゃうのでしょうか。身体のことで褒められようとすると。

 

「教育には最適だと思うけどなあ、一生忘れないくらい」

 

「それ、ただのトラウマだから。それに話も理解できないでしょ?」

 

「できるんじゃないかなぁ。伝記とか、偉い人、参考にすべき人の話って、子供でも身についてしまうから次々作られるんだと思うけど。あ、伝記っつっても与謝野晶子の漫画くらいしか見たことないや」

 

「とにかくそれはダメ。……でも、潮のこと、ありがとう。わかってくれたみたいで」

 

「脱いでほしいけど、脱ぐことの意味もわかってない子を脱がせてもね。楽しくないから」

 

「楽しいんですか。脱がせるのって」

 

 脱がせるのが楽しいってことは、やっぱり脱がせるために適当なことを言ってたんですか、秋雲ちゃんは。ああ、もう、わかりません。

 

「楽しいよ。釣りみたいなもんでさ、魚なんて買えば済むのにわざわざ釣るでしょ? 裸が見たければいくらでも見れるけど、わざわざ脱がせる人だっているくらい楽しいんだ」

 

「秋雲ちゃん」と止めると、秋雲ちゃんは「あ、ゴメン」とすんなり諦めます。

 

 なんだか、秋雲ちゃんも朧ちゃんも、潮にはわからないようにお話してるみたいで、なんだか仲間外れにされてるような気がして、胸が、心が? ざわざわします。

 

 あ、この気持ちは──ちょっと寂しいです。ちょっぴりかなしいです。ちょっと羨ましいような。潮は、曙ちゃんとこんな風にお話できるでしょうか。

 

「ま、今日のところはいいかな。潮ちゃん、あたし、しばらくここでごろごろしてくけど」

 

 あ、ぼーっとしてました。

 

「そうなの」

 

「そうなの。じゃなくて、どうする? 部屋に戻るか、しばらくここにいるか」

 

 あ、そういうこと。朧ちゃんが残る、だけ潮に報告したって意味ないですもんね。当たり前です。

 

「……朧ちゃん、潮もいてもいい?」

 

 聞かれたからつい答えちゃったけど、朧ちゃん、ほんとは二人っきりで話したかったんじゃないかな。でも誘われたのに断るのって悪い気がするし……。

 

「あ、悪いけど何人いても一緒だよ~。秋雲さん、もう遊んでる場合じゃないんだ。締め切りを考えると、今の進捗はすでに遅れつつある気がする……」

 

「じゃあ漫画借りて、もう行くね。手伝えること、あったら手伝うから」

 

「お、ありがと、今は無いかな」

 

 あ、帰るならバイブのお礼言わなきゃダメですよね。

 

「秋雲ちゃん、あの、バ……」

 

 あぶない。バイブは秘密の道具ですもんね。秘密にしなきゃ。

 

「筆、ありがとうございました」

 

「いいってことよ! 毎晩の練習がキモだからさ! Romaは一日にして成らず!」

 

「はい!」 

 

 

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