異世界狂騒曲 ―ハイスクールD×D×D   作:グレン×グレン

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 ……どうしても、どうしても「魔術師たちの狂騒曲」をリベンジしたかったんだ…………っ!









 そんなわけでかなり仕立て直しまくって第三ラウンド。

 今回はクロス先をあえて大量に増やしました。これはある意味で「ケイオスワールド」という第一部を完結させることができた作品にあやかった物です。ゲン担ぎです。

 まあクロスオーバーといってもグレンさん風味ですので、原作のキャラが出てくるとか言うのは一部を除いてないですね。

 一応あらすじでクロス作品はわかるようになってますが、あえて本格的に出てくるまでは出さない方針を出すことにします。

 まあ、すぐにわかるといえばわかるのですがね………。


序章 運命が始まる寸前
プロローグ1 俺の原風景と、和平前の大きすぎる小競り合い


 原風景というのは、案外馬鹿にならないものだ。

 

 何せ人生最初の記憶なわけで、最初とかそういうのはある意味でインパクトがあるものだ。

 

 初恋は特別というやつはいるだろうし、童貞卒業を思い出にするやつはいるだろう。殺し合いにおいて最初の殺しというのは最大の試練かつその後の人生の味方を左右するだろうし、偉業というのは基本として前人未到かどうかで重要度が左右される。

 

 もちろん人によりけるだろうけど、俺の場合、物心ついた時の記憶は人生に影響を与えまくっている。

 

 俺は今でも覚えている。

 

 まるで絶望に泣きはらした後としか思えない、今思い返せば返すほどそう思う、憔悴しきっていた顔。

 

 そこに笑顔を、そして喜びから生まれる涙を浮かべて、彼女は俺を抱きしめる。

 

 おずおずと、壊さないように、愛しい宝だといわんばかりに。

 

 そうして抱きしめたその女性(ひと)は、決意と救いを顔全体で浮かべながら、こう告げてくれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―守ってみせるから、笑顔で生きて―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉は、俺の生き方を決めたと今でも断言できる。

 

 小学校に入る前の時に、海外のテロに巻き込まれて孤児としてそのままその国を放浪する羽目になった。少なくとも、生きて日本に戻れる可能性があり、両親を弔う機会は残っていた。不幸中の幸いだ。

 

 そして二年ぐらいで変な組織に捕まり、「実験体になれ。運良く死なずに成功したら、開放して好きに暴れればいい」等と言われた。検体が健康じゃないと成功するものもしないからか、とりあえず衣食住には困らないし健康にも気を使われてるから、むしろ孤児の時より生活水準はいい。しかも割とストレスフリーだから、頑張って成功すればいいから前向きに行こう。

 

 

 そして数年後に入ってきた被験者とねんごろになったら、そいつらの手引きで入ってきた謎の武装勢力が暴れだして大惨事。その恐怖から逃れようとする生存本能が引き金になって、成功したうえ脱出できたから、まあ不幸中の幸い。

 

 そして放浪してたら教会に拾われ、実験の結果得た素質を見込まれて悪魔祓いにスカウト。しかし俺の特殊性を気づかれて暗部じみた組織に送り込まれる。社会的保障や給料は割といい上、義理立て程度のちゃちな信仰でも「まあ、信仰の有無より心を救い死者を悼む方が優先だしね」と上司が両親の鎮魂のミサをよくやってくれているから、むしろこれ、改造人間とかいう立場からすると厚遇じゃね?

 

 まあ、仕事は大変だけど「悪党退治」はやりがいがある。食事は基本質素だけど、週一ぐらいはこっそり買い食いを許してくれるありがたい上司なので、ある意味ラッキー?

 

 ……まあ、一つだけ断言できる現状の不幸はある。

 

 ……敵のグレードが跳ね上がりすぎた。

 

 今回の任務、めちゃくちゃめんどい。死ぬほどめんどい。普通に危険手当が欲しい

 

 だって、敵は堕天使最強クラスのコカビエルだから。

 

 うん、俺がいるのは実はバチカンの助祭枢機卿がトップを務める組織なんだ。

 

 名前は「イスカリオテの聖剣」。もうこれだけで真っ当じゃないことが分かるやつには分かる。

 

 何せ教会でイスカリオテとくれば、神の子を裏切って磔にする要因となったイスカリオテのユダだ。そいつの聖剣なんて名前がついている時点で、どっちかというと汚れ役ってイメージは確実に出るだろう。

 

 ちなみにこの組織、「教会の信徒としてどうよな実力者」を有効活用する為の組織だ。そいつにそこその腕を持つガチガチの信徒をお目付け役として付けることで有効活用を目的としている。

 

 まあ、俺との化学反応で俺の相方はだいぶ丸くなってくれたからそこは良かった。……むしろ説教とかが発生しやすくなったから、そういう意味だと面倒か?

 

 いやまあ、最初に会った頃の人形みたいな雰囲気よりはマシなんだけどな? でも、俺との化学反応が絶対に変人方向に引っ張った感じなんで、ちょっと後悔してるところはあるんだよなぁ。

 

 まあそれはそれとして話を戻す。

 

 とにかくそんな俺達なので、仕事は大抵難易度が高い。

 

 やれ信徒達をたぶらかす上級悪魔をボコってこい。信仰に問題だらけの悪魔払いが数十人規模で堕天使側に逃げたからちょっと逃げ切られる前に始末してこい。ちょっと吸血鬼共が村を占領してるから、ちょっくらぶった切って聖水撒いてきなさい。

 

 普通にハードだ。命の危険だらけだ。いや、悪魔払いになった時点でそういう仕事なのは分かってるけど、たまにはイージーな任務が欲しい。

 

 と、思ったら今までで一番難易度の高い任務が出てきたんだから、俺も逃げたくなるってもんだ。

 

 なんで、俺ははっきりと告げる。

 

「……他の奴にやらせてください」

 

「うん、悪いけど無理だねぇ」

 

「……何を馬鹿なことを言ってるんですか、鶴来(つるぎ)

 

 やんわりとしつつもはっきりとした却下に、ジト目と共に突き刺さる叱責のダブルアタック。

 

 まあ当然の反応だけど、俺がこういうのも当然だろうに。

 

「いや、グレイバー猊下。普通ガキに与える任務じゃないでしょ? ここはどっかのイスラム原理主義者みたいなテロ組織じゃないんですよ? あとリア、普段よりはよっぽど普通なこと言ってるつもりなんだが?」

 

 俺は即座に反論するけど、隣のジト目はため息に変化した。

 

「……普段も今以上にまともにやってください。最近の買い食いは食べることより「如何に周囲の目をかいくぐるか」が目的になってますよ? そんな手段と目的を入れ替えるのは誰ですか~?」

 

「すいません俺です。悪かったのでこめかみをぐりぐりしないでいただきたいですごめんなさい!」

 

 俺のこめかみをぐりぐりするのは、十文字(じゅうもんじ)リアという悪魔祓い。

 

 両親を殺されて教会に送られたという俺ほどではないハードな過去と、この年で俺のお目付け役として一緒にコカビエル追撃を命じられるだけの実量がある相方だ。

 

 なんだかんだで週一に「相方のガス抜き」と伝えて外食に付き合ってくれるのはありがたい。買い食いレベルならともかく、それなりに美食を追及すると、一人では行きづらい店もあるんで助かってる。

 

 そんな俺達を見て、俺達に命令を伝えたトップがニコニコと笑顔を浮かべる。

 

「はっはっは。過酷な任務を控えても、いつも通り仲が良い事で結構だよ」

 

「あ、すいません猊下!」

 

 慌ててリアがたたずまいを正すけど、猊下は特に咎めることなく温かい目をリアに向ける。

 

「いや、君が年頃の少女らしさを持ってくれて嬉しいぐらいさ。最初に会った時は行ってはいけない方向に突き進みそうだったけど、鶴来君をつけたかいがあったのかもしれないね」

 

 などという猊下の本名は、グレイル・グレイバー助祭枢機卿殿。

 

 俺みたいな問題児を信仰の為に有効活用する方法としてこの組織を立案しながら、さっきみたいな事を言う食えないおっさんである。

 

 どうもこのオッサン「信徒として行き過ぎている実力者」を「信徒としては問題だけど善人」と組み合わせて双方の中和を狙っているらしい。そう先輩に言われたけど、俺ってそこまで善人なのか?

 

 ふと思い出して俺が首を傾げてると、猊下は静かに苦笑しながら肩をすくめる。

 

「僕としてももっと戦力を集めたいんだけどね? 事が事だから最小限の人数で動かしたがっていた人達が多い上、逆にその動きに感づいた過激派が凄いのを送り込む事にしちゃってね? こっちもカウンターウェイトを押し込まないと、ややこしい事になりそうで怖いんだよね?」

 

「「というと?」」

 

 ついリアとシンクロして俺が聞くと、猊下は心底疲れた顔をした。

 

「埋葬連隊だよ。それも、一個大隊規模で潜伏地点をカバーするようにして押し込もうとしているうえ、とどめにコカビエルの潜伏箇所が悪魔の縄張りなんだ」

 

「……それは、懸念材料が多いですね」

 

 リアが指を顎に当てて考え込む。

 

「コカビエルほどの高位の堕天使が、態々敵対している悪魔の縄張りに潜伏する。まず真っ先に警戒するべきは「悪魔と堕天使が共闘する可能性」ですか」

 

「そういうことだよ」

 

 そう頷く猊下の目は、笑ってないどころかかなり懸念の色がある。

 

「最悪、埋葬連隊(やつら)はその判断だけで戦争再開を目論見かねない。人間社会の核減縮事業にかこつけて、冥界を焼き払う為に何発も核兵器を集めてるんじゃないかって連中だからね。むしろ「いつでも戦争に勝てるように」できた連中だからねぇ」

 

 ああ、あいつらそういうところあるからなぁ。

 

 義理立て程度の信仰心しかない俺からすれば、流石にガチの戦争は俺の生きている間にはやめてほしいです。いやマジで。

 

 でもあいつら、マジでそういうことしかねないからなぁ。

 

「確か枢機卿()も「ガス抜きの為に無茶ぶり」で技術的成果を求めたんでしょ? そしたら―」

 

「上がってしまったんですよね。それで発言力は上がり始めている……と」

 

「そういうこと。だからコカビエル相手に成果を上げたら、厭戦気分の僕達より、戦争上等の彼らの発言力が上回っちゃうわけ」

 

 俺とリアにそう続けると、そのうえで猊下は手を組んで俺達を見る。

 

「……そうなれば天界も押し切られかねないし、今回の騒動はつつき方を間違えると戦争という爆発が起きる火薬庫だ。厭戦派である人達は、若いゆえに好戦的な本来の担当や、戦争を起こす為に頑張っている連隊だけに任せたくないんだよ。でも今、空いている人員が君達だけだから―」

 

「……了解でーす。俺もガチ戦争とか嫌なんで、監視役やらせていただきまーす」

 

 心底いやだけど仕方がない。

 

 ここで何もしない方がまずいからなぁ。

 

 戦争が起きたらまずいけど、動けるのが俺達ぐらいしかないなら仕方がないか。

 

 俺が渋々納得したことで、猊下も苦笑しながら頷いた。

 

「ほんとごめんね? なにせコカビエルだけでもあれなのに、あいつがいるところの担当官もあれだから」

 

「悪魔側もですか? 最上級悪魔が担当している区域ということでしょうか……」

 

 そう懸念するリアに、猊下は静かに首を振った。

 

「ある意味もっと酷い。何故なら―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―そこの担当官はリアス・グレモリーとソーナ・シトリー。現四大魔王、サーゼクス・ルシファー及びセラフォルー・レヴィアタンの妹だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、俺が運命と再会する大事件。

 

 エクスカリバーを強奪したコカビエルが、魔王の妹二人がいるところに潜伏するという大事件。

 

 一歩間違えれば三大勢力の戦争が再発しかねない大事件にして、それ以上の大きな争いが起きる前の、言い方は悪いけど小さな騒ぎ。

 

 その戦いから、この世界は大きく揺るぐことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 具体的に言うと、何重もの異世界と関わる縁が生まれる、その一つの要因がここで生まれるわけだよ。

 




 主人公を教会側にしましたが、これは悪魔にすると「メインキャラを大量に作る必要がある」必要性が高いので、こんな感じです。

 ちなみに狂騒曲の真主人公であるイルマがいないですが、彼女もきちんと出てきますのでご安心を。
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