異世界狂騒曲 ―ハイスクールD×D×D   作:グレン×グレン

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はい、というわけでヴァンパイア編に突入します。

といっても、今回は鶴来達の視点もあって、駒王町にすらいかないんですけどね?


第一章 7 三大勢力の揺らぎ

 鍛錬は戦士として日常的に行うべきものである。

 

 俺は遊び体盛りだけど、だからって一日中特訓し続けるのは効率が悪いから十分遊べるし、休息だって成長には必要だから問題ない。

 

 それに、拾ってもらった恩もある。だからこそ頑張らないといけないからな、うん。

 

 とはいえ、遊びたい気持ちだって十分にある。こと義理で信徒やってる身としては、いい加減な信仰で本気の信徒達の生活は堅苦しい。尚更遊びたい。

 

 頑張って訓練しないと戦闘で死ぬ可能性は上がるが、かといってただでさえ毎日がつまらないのに訓練で遊びの時間を消し飛ばすのもきつい。

 

 なのでこの辺のバランス感覚が重要なんだが、ここ最近はその感覚がどうも狂っている。

 

「……まだやってるんですか?」

 

 と、リアが俺に声をかけてくれて、漸く俺は夕食の時間になっていることに気づいた。

 

 ヤバイ、いつもなら一時間前に終わっておいて、ストレッチやシャワーを浴びている段階だぞ。

 

 俺がうっへぇとなっていると、リアは更にため息をついた。

 

「今日の夕食は食堂じゃありませんよ? そういう予定でしたでしょう?」

 

「あ、そういや」

 

 うっかり忘れてたわ。いかんいかん。

 

 俺としては休める時関連でポカやらかすのはめったにないんだけど、盛大にやらかしてしまったな。

 

 いつもならポカの方向性に関わらず説教を一分ぐらいはするのがリアだけど、今回はため息はついたけど苦笑も浮かべる。

 

「まあ、今回ばかりは仕方ないですね。私も結構気が気でないですし、鶴来も別の意味でそんな感じでしょう」

 

 リアの言うとおりだ。

 

 なんてったって、今月中にとんでもないことに参加する羽目になってるからなぁ。

 

「……三大勢力の会談が、駒王学園でやるってだけでも結構異例な出来事だろうに」

 

「私達も参加ですからね……」

 

 俺達は同時にため息をつく。

 

 コカビエルが戦争を再開させる為暴走した事件から数週間。時期は既に七月に到達している。

 

 そしてその時、堕天使側からの対応部隊であるカルンウェナンや、現魔王の妹二人にその眷属と共闘した。

 

 そして、その時カルンウェナンのリーダーであるスピネルがこんなことを言ってきていたのだ。

 

 堕天使側は、この事件を利用して三大勢力で会談を行うつもりだと。

 

 だからまあ、何とかコカビエルをどうにかしたこともあって、会談が本当に起こることになった。それはいい。

 

 そしてその場所が駒王学園になった。まあ、これも現場であることもあり、かつ当事者の中で最も多いグレモリー・シトリー両眷属が担当している土地なんだから、そこにするのが一番手っ取り早い。これもまあいい。

 

 だが、まあそんなおかしなことでもないけどね。それでも困ったことがあってね?

 

「……俺達も参加かよぉ」

 

「うっへぇとか、鶴来みたいなことを言いたい気分です」

 

 俺もリアも、顔を見合わせてため息をついた。

 

 そう、俺達も参加なのである。なので、俺とリアはそれぞれ別の意味で気が気でない。

 

 なにせ、この会談には天使長ミカエル様、堕天使総督アザゼル、そして現ルシファーと現レヴィアタンが参加するのだ。

 

 俺は義理でいい加減な信仰の持ち主だ。そんな奴がこんな大物だらけの会談の場に呼ばれるとか勘弁してほしい。

 

 リアとしても、信徒としてすでに死んでるというとんでもない事実を知っているわけだ。その上で主の代行をしているミカエル様と同じ部屋にいるとか、光栄ではあるけど精神的にきついだろう。

 

 全く持ってどうしたもんか。

 

 しかも何故か、グレイバー猊下まで参加するらしい。

 

 何なのこの状況。俺みたいないい加減な信徒が、なんで教会の命運を左右する会談に関わらなきゃならないんだよ。

 

 心底うんざりとしていたが、そこでリアが気分を切り上げるように両手を叩いて大きな音を出す。

 

「……この際それはもういいでしょう。それ以上に、まずシャワーを浴びて気分を切り替えないといけません」

 

 ああ、確かに。

 

 ……なにせ、一信徒が熾天使と一緒に、堕天使の長や現四大魔王の出てくる会談なんぞに出てくるのだ。

 

 いい加減な信徒からすれば精神的にきつい。真っ当な信徒でも恐れ多すぎる。

 

 と、言うわけで―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、ここは英国だから飲酒は問題ないね。急性アルコール中毒にならないようにその辺のワインを適当に飲んでいいからね? はい、乾杯」

 

「「「かんぱーい!」」」

 

 グレイバー猊下の音頭に乗り、俺達はやけくそでグラスをぶつけ合う。

 

 はっはっはっは。飲み会だよ飲み会。もうすぐ会談だから、参加することになった信徒でちょっとした親睦会を猊下がセッティングしてくれたのさ。

 

 まあ猊下が独自に確保したホテルの一室で、猊下が持ってきた酒とかジュースとかお菓子とかおつまみとかでわいわいする感じだけどな。

 

 よし、飲もう!

 

 酒に関しては飲んだ経験がないでもないが、あんまり飲みまくっているわけではない。二日酔いになったら次の日がグロッキーで、余暇も訓練も悪くなるからな。

 

 だが、会議は三日後だ。明日は丸一日休みであり、明後日に日本に向かって出立する。そして出立用の荷物は既に準備万端だ。

 

 飲むぞ! 飲まなきゃやっていられるか!!

 

 まず猊下に聞くことがあるぜ!

 

「猊下! どんな酒あります!?」

 

「信徒的な言い訳の為、ワイン一択だね。ただし赤白ともに、普通のワインから甘めの貴腐ワイン、スパークリングワインまで多岐に亘ってるから、それなりに飲み比べできるよ」

 

「よし、全部グラス一杯ずつ飲みます!」

 

 俺は呑むぞ!

 

「あとつまみはチーズやクラッカー、チョコレートとか持ってきているね」

 

「ゴチになります!」

 

 いやっほぉ~い! 飲むぜ呑むぜ呑むぜ!!

 

「……ぶはぁ! もう一杯!!」

 

 っていうか、もう飲んでる人がいるんですけど!?

 

 何してんですか、紫藤イリナさぁん!?

 

 というより、瓶をラッパ飲みするなよ女の子が。

 

 そんなイリナに、リアはちょっと引き気味で止めに入るが―

 

「何言ってるのよ、もう呑むしかないじゃない!」

 

 ―大泣きだった。

 

「主が、主がすでに亡くなっているだなんて! 悪魔の中にいいひとがいる可能性よりありえないでしょうに! なんでこんなことになっているのよぉおおおおおおおお!!!」

 

 ………うん。まあ、ガチの信徒が「神死んでます」なんて知ったら、ショックでこれぐらい取り乱しても問題ないな。

 

 リアですら結構ダメージ入ってたんだ。そりゃこうなるヤツがいてもおかしくないわな。

 

「っていうか猊下、イリナに伝えてたんですかい?」

 

「まあねぇ。コカビエルの一件で会談をする以上、彼が主の死を告げたことも言わないとねぇ」

 

 あ~なるほど。

 

 そりゃそうだ。言わないと駄目だ。サプライズにしても限度があるわな。

 

 だがこの流れ、たぶんちょっと前に言われたんじゃ―

 

「この一週間ショックで寝込んでたんだもの。せめて一日ぐらいやけ食いやけ呑みさせて頂戴!」

 

「いえ、それどう考えてもアップダウンが激しすぎですから止めた方がいいと思いますよぉ!?」

 

 ―思った以上にダメージが大きかったぁ!?

 

「ちょ、猊下。止めた方がいいんじゃないですか? リアの言う通りアップダウンが激しすぎでしょ」

 

「いやぁ、それで体調不良になって参加できないならそれでもいいけど、何の発散もさせずに会談で爆発させるとまずいからねぇ」

 

 ……割と酷くね?

 

 俺がどうしたもんかと思っていると―

 

「失礼。遅くなった」

 

 と、ドアが開いて更なる乱入者が入ってきた。

 

 外見は三十代手前ぐらいのギリギリ青年って感じの男性。ついでに言うと、手にはポリ袋が膨れている。

 

「手ぶらで来るのも何だったのでな。つまみになるものをいくらか持ち込んでおいた」

 

 そう言いながら入ってくる男性に、猊下は朗らかに笑いながら手を挙げる。

 

「やあルーラー殿。これはありがたいですねぇ。なにせ酒の消費量が思った以上に多くなりそうで」

 

「まあ、敬虔な信徒が主の死を知れば、正気を失ってもおかしくあるまい。一日ぐらいやけ酒をしても、さほどの罪にはならないだろうな」

 

 と、年下なのにフランクな態度のルーラーさんと、逆に枢機卿なのに相手に対して腰が若干低めの猊下。

 

 ん、この人誰?

 

「あの、どちらさまなのでしょうか?」

 

「どちらさまですか?」

 

 リアとイリナも首を傾げるけど、イリナもう酔ってるな。止めないと急性アル中でぶっ倒れるんじゃないか?

 

 それを見て苦笑しながら、ルーラーさんはイリナの頭の手を置くと軽くなでる。

 

「暗部出身のルーラーと言っておこう。衝撃的な事実を叩き込まれて大変だろう。飲んで忘れるのを止める気はないが、飲み過ぎは危険だから愚痴も吐くと言い。それぐらいは聞いてやる」

 

「あ~。この人いいひと~! そうなんれすよ~! 主が、主がぁああああああ!!!」

 

 ああもうぼろ泣きだよ。大変ことになってるよもぉ。

 

 っていうかグレイバー猊下が相手を上に見てるような態度をとっている時点でかなりの人物だろうに。そんなことしていいのかよ。

 

 俺は不安になってちらりと横を見ると、リアも同じ感じなのか不安げだった。

 

「どうします?」

 

「どうしろと?」

 

 俺達が顔を見合わせていると、猊下はワインを美味しそうに飲みながらはっはっはという。

 

「気にしなくても大丈夫だね。なにせ、彼は何十年も主の死を知りながらも信仰の為に頑張っている方だからねぇ」

 

 ………そんなこと、言われてもなぁ。

 

 大丈夫………か?

 

「まあ、会談そのものはスムーズにいくと確信しているから、ちょっとぐらいグロッキーでも大丈夫だね。何より問題な埋葬連隊は、一応締め出しといたからね」

 

「それは伺っておりますが……それとは別の意味で大丈夫なのでしょうか?」

 

 リアの懸念はもっともだ。

 

 今回の会談、ロザールたち埋葬連隊の連中は締め出している。

 

 一応のガス抜きとして警備の一部に組み込んでいるが、同時に俺達以外のイスカリオテの聖剣が総出で監視体制に入っており、完全に信用されてない。

 

 なにせあいつらは超タカ派だ。そんな奴らを会談に入れたところで、過激な発言で相手の神経を逆なでするところしか想像できない。

 

「でも不安ですね。こちらがタカ派を締め出しても、相手側がどう対応するかが読めなければ……」

 

「まあ、そこも大丈夫だと思うよ。気を付けるべきは他にあるねぇ」

 

 リアが会談の成否について気にしているところも言っていたが、そこを猊下は平然としていた。

 

 いや、堕天使側の会談のビジョンや目的も、現四大魔王の対応だってよく分からないんだし……。

 

「重要なのは中じゃなく外側だね。会談にテロが起きる可能性こそ一番気を付けるべきところだねぇ」

 

 俺達はこの自信が分からず、顔を見合わせるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果として、この慧眼がいろんな意味で的中したのは驚くべきか嘆くべきか。

 

 とりあえず、あいつらは絶対しばきたおすと決意はしてるけどな。

 




 今回はアニメ版を参考にした流れにしますので、イリナも参加。そして盛大に大ダメージが入っております。

 さらに登場する新たな人物。そしてクロス作品のタグが付いている以上、想定できるその正体の一端。



 会談を襲撃する禍の団は面倒なことになりますが、同時に会談そのものもすごい変化球が入ることになると予告します。

会談そのものの変化球とは、なんだ!

  • もめにもめて大乱闘勃発
  • いきなり乳神降臨。危機が伝わり大混乱!
  • 開幕速攻和平成立! 混乱するトップ以外!
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