これ聞いてたらコカビエルが憤死するとだけ言っておきます。
まあそれはそれとして、ついに会談が始まるタイミング。
来訪タイミングとしては俺たちの方がグレモリー眷属側より早い。
これはメインである三大勢力のトップの護衛も兼ねているからであり、ある意味でゲストであるリアス・グレモリーは順序として後になったからだ。
まあそんなわけなんだけど………。
「いいね、なかなか強そうなのがいるじゃないか」
「ヴァーリ。変なちょっかいをかけるようなら、貴様に麺類を見たら食欲が減衰する呪いをかけるぞ」
「………解呪できる自信はあるけど、できれば喰らいたくない呪いだね」
などと、銀髪の少年相手にスピネルが釘をさす光景が映って気が気でない。
あのすいません。この人面白半分でこっちにけしかかろうとしてませんでした?
この爆薬満載の会談にそんなものをださないでくれませんかねぇ。爆発したらどうするんですかねぇ、ほんと。
「総督さん、ヴァーリはこの会談に連れて着たらまずかったんじゃないですか? イルマさんとしては天界の方々が埋葬連隊を締め出したみたいにした方がいいと思うんですけど?」
「まあ大丈夫だろうよ。いくらこいつが戦闘狂でも、ここにいる連中全員を同時に敵に回すほど酔狂じゃないさ」
イルマ姐さんは堕天使総督のアザゼルと、結構フレンドリーに話してるし。
くそ、うらやましい!
「そこ、嫉妬しない」
相棒はあっさり俺の内心を見透かすし。
マジ勘弁してくれないかねぇ、ほんと。
あとちょっと気になることが一つ。
問題は現魔王と一緒に席に座っている男だ。
外見年齢は二十歳前後。貴族っぽい恰好をしていることと言い、おそらく上級悪魔。
というより、外見通りの年齢ではまずない。ついでにいうと、その地位は最上級悪魔とか七十二柱本家当主とかでないとおかしいだろう。
なぜって? それは―
「なかなかユーモラスな会談になりそうですね、サーゼクス様にセラフォルー様」
「そうだね。さすがはアザゼル、なかなか面白そうなものをスカウトしているようだ」
「今日は予定を開けてくれてありがとうなのよ、メルガスちゃん」
……フランクに会話しているうえ、どうも魔王側が呼んだっぽい。
うん、これもしかして、とんでもないことになるんじゃないだろうか―
「……失礼します」
と、そこでグレモリー眷属が入ってきた。
そしてゼノヴィアもきちんといるな。
……あの女、事後処理を終えた後でリアス・グレモリーに自分を売り込んだらしい。
いや、主が死んだことで信仰が揺らぐのは当然だとは思う。一神教で神が死んでいるなんて、冗談抜きで世界に知られたら大混乱で大騒ぎで、年間自殺者数が十倍どころか百倍ぐらいになってもおかしくない。下手したら億を超えるかもしれないしな。
だけどね? いきなり悪魔になるか普通。
あ、イリナがいることにぎょっとなって、勢い余って祈って頭痛で悶絶している。
アーシア・アルジェントもつられて祈って悶絶しているし、君たち落ち着きなさいな。
特にアーシア。オタクはもう数か月は悪魔になってるだろ。そろそろ慣れろよ。追放されて悪魔になってなお祈るとか、どんだけ筋金入りの信者なんだよ。
まあ、それはともかく。
………これから、激務が始まるってわけなんだよなぁ。
「……会談が始まるようだな」
「そうですか。それで、こちらはいつ仕掛けますか?」
「まあ待て。まずはバチカンの方が先だ。そのあとこちらを迎えに来るのだから、そのあたりは考慮するべきだろう」
「それはそうですが、逃げることが前提というのも味気ないですね。しかたないですけど」
「それは仕方がない。偽りの天使の長に堕天使の長、更に悪魔どもの長二人に肩を並べられる女傑もいるのだ。一人でも殺せれば僥倖だが、誰一人として殺すこともできない結果に終わる可能性もかなりある」
「ま、そうですね。……真なる天使はいつごろ来るのですか?」
「今回はおひとりのみだ。残念なことに、この世界は例外であるがゆえにすぐにはこれないようでね。真なる座天使お一人と、真なる主天使お二人が来る程度だそうだ」
「旧魔王派の末裔も一人来て、英雄派とかいうのも一人来るのでしょう? 彼らはどれぐらいできるのでしょうか?」
「旧魔王派は無限の力を借り受けたようだが、良くて先代魔王程度だろう。英雄派は恐れ多くも聖槍を持っているようだが、持っていたところで信仰もなしに真の力を発揮できるとも思えん。期待薄かつ、命をきちんと使い切るためにも投げ捨てないようにしなければな」
「了解です。さすがは我らのリーダー足る四聖座の右席ですね」
「年の功というものだ。グレーゾーンにどっぷりつかったものとはいえ、だからこそ信仰のためにできることはあるさ。これでも主の領域の代行を担当しているのだからな」
「では、まずは和平を結ぶ場を作ることができたことを祝うとしようか」
などと、最初に魔王サーゼクス・ルシファーがとんでもないことを言ってきた。
俺やリアス・グレモリー眷属たちがぽかんとなっている中、今度はアザゼル総督はくっくっくと肩を震わせる。
「ああ、まったくだな。コカビエルはザマァとありがとうを同時に言ってやりたかったが、まあ知らないうちにコキュートスに叩き込んどいたぜ」
「意地が悪いですよアザゼル。まあ、きっかけを作ってくれたおかげで予定を五年も縮めることができたのは僥倖ですが」
などと、たしなめるミカエル様すらちょっと笑っている。
「うんうん。おかげでこっちもスムーズに事が進められたのよねん。いっそのこと打ち上げとかもしちゃう? いきなり予約しても怒られない居酒屋とかあったかしら?」
なんて、魔王セラフォルー・レヴィアタンに至っては、もうこれが終わった後のことを考えている始末。
え、え、え、え、え?
俺は思わず隣のリアを見るが―
「………ほわ~」
あ、だめだ。あまりの展開に現実逃避している。
俺が相棒を現実に引き戻すべきか考えている間も、トップ陣は朗らかに和平を進めている。
「しかし苦労を掛けたね諸君。とくにスピネル君には汚名をかぶらせてしまったことを詫びなければならない」
「お気になさらないでください、サーゼクス様。メルガスに権限を集中させることも兼ねた策でしたし、そもそも献策したのは私とメルガスです」
「全くですよ。むしろスピネルを追放しなければ、ヘルズ・クロックワークの軌道をここまで安定させることはできませんでしたからね。これもまた貴族の務めの一つというものです」
「それでもだよ。君の名誉の回復や褒賞は必ず用意することを、魔王ルシファーの名に懸けて誓わせてくれ。」
などと、なぜか魔王ルシファーは、隣のメルガスとかいう悪魔と一緒に、脱走しているはずのスピネルをねぎらったり詫びたりしている。
「そちらのグレイバーちゃんもありがとうなのよ。貴方がミカエルちゃんにあたりをつけてくれなかったら、余計なトラブルが起きたかもしれないもの」
「はっはっは、お構いなくといったかんじか。なにせ、絶対埋葬連隊とかが後々反旗を翻すだろうからね。それにルーラー殿がこちらに接触をしてくださったからだから、感謝をするなら彼にしてほしかな?」
「まあ、問題も発生するだろう。それでも、これこそが最善だと判断したからこそ協力したのだ。感謝ならその価値がある策を提示したスピネルやアザゼル総督にするといい」
魔王レヴィアタンに至っては、グレイバー猊下やルーラーさんにお礼言ってるし。
あのすいません。状況読めないんだけど大声上げていいですか?
「まあまあ皆さん。そろそろついていけてない方に説明をした方がいいのではありませんか?」
と、俺が爆発する前にミカエル様がそう仰って、事情を知っている組がはたと手を打った。
「おっと! 悪い悪い。こういうのは後で種晴らしをするからこそ面白いし、何より裏でこっそり進めておく必要があったからな」
などと、いたずらっ子の笑顔を浮かべていい感じなアザゼル総督が、なんか嫌な予感をさせてくれるよ。
いったいどういうことなんだ?
なんで、これまでとっかかりすらできてなかった三大勢力の初会談が、こんなスムーズに進んでるんだ?
いや、スムーズなんてもんじゃない。もうとっくの昔に示し合わせて内容が決定していて、会議そのものは形だけやっておけばいいって感じでしかないだろ、これ。
うん、ここは俺が行くべきだな。
「たぶんこの場で一番いい加減に仕事してる俺が聞くべきでしょう。……ことと次第によっちゃあ
結構威力関係はいい線行くと思うんだよ。いや、冗談抜きで。
あとぶっ放すのも冗談抜きじゃないからね? ほんとにぶっ放すことも考えてるから、覚悟しろよ?
俺がさっきでそれを示していると、まず真っ先に咳払いをしたのはスピネルだった。
「では順を追って説明しよう。まずは私が堕天使側にいるあたりの事前情報だ」
うんうん。
「そもそも私はグレモリー分家の当主の娘。ただし堕天使と人間のハーフが母親であり、また純粋な悪魔の本妻から生まれた姉もいた」
ふんふん。
「しかし父が不正を行っていることから私はそれを告発し、抵抗した父を討ち取った。しかし実の父親を裏切ったとして一部から白い目で見られた私は、同時に立ち上げに協力した組織である「へルズ・クロックタワー」での政争にも負けており、一部の技術をもって堕天使側に亡命。そしてその技術などの評価もあり、特殊研究班であるカルンウェナンというチームを与えられて活動している……という感じだな」
なるほど。人に歴史ありとは言うが、悪魔にも歴史ありなのか。
人、堕天使、そして何より悪魔。その三つの種族の血を引いているとは、なかなか大変な人生が確約されている感じな奴だな。
で?
「だがこれは表向きのストーリー。実態は父を討ち取ったところからが大きく異なる」
なんてことをスピネルは言ってきたんですが。
え、どゆこと?
というより、なぜかリアス・グレモリーが思わず立ち上がっている。
「異なるとはどういうこと!? 実際にお兄様たちもその旨を公表しているのよ! お兄様に限って嘘の罪で人を貶めるような真似をするわけが―」
「それは違いますね」
そういうのは、メルガスとか言っていた若い悪魔。
リアス・グレモリーの言葉を遮ってから、メルガスははっきりと言い切った。
「そもそも追放というのが表向きのカバーストーリー。彼女は現魔王政府から直々に
………。
今、なんていった?
「……待ちなさい。貴方たちへルズ・クロックタワーは政治的追及などを行ったとも聞いているけれど?」
リアス・グレモリーが追及すると、メルガスとか言われた悪魔は苦笑しながら肩をすくめる。
「カバーストーリーを兼ねた八百長試合ですよ。何分へルズ・クロックタワーの設立目的を達成するには、私とスピネルが同時に在籍するわけにはいかなかったものでして」
「その上で、目的を達成する場合にどちらがかじ取りをするべきかとなると、エルメロイの私よりトランベリオのメルガスが最適なのでな。幸か不幸か父上が愚行を行ったうえ、討ち取るほかない状況になってしまったので、もういっそのことそれを苦にして脱走……という風に見せかけることを提案したのだよ、リアス嬢」
状況が微妙に呑み込めないが、とりあえずめっちゃ苦笑いしている魔王二名の様子から見て、事実っぽいな。
「お、お兄様は了承なさったのですか!?」
「了承したというより、しないわけにはいかなかったといっておくべきかな」
「へルズ・クロックタワーの内情はリアスちゃんも知ってるでしょ? 大王派の力の源泉ともいえるヘルズ・クロックタワーが安定しないといろいろと不安だし、それと引き換えと言われたら……魔王としては断れなかったのよん」
リアス・グレモリーに対する、笑いになり切ってない苦笑いをしている二人の返答に、俺は同情心が湧いてきた。
どうやら、不本意だけど認めないわけにはいかなかった……ということか。
まあそこはいい。問題は……だ。
俺は視線をグレイバー猊下とミカエル様に向ける。
ちなみに、不敬覚悟で怒気は出してる。
これだけの飛んでもどっきりをしでかしてくれたんだ。できる限りはっきりと事を問いただすべきだし、問いただすなら義理でしか信仰してないいい加減な俺がやるべきだろう。敬虔な信者のリアやイリナはまだ動揺しているし、強気に出れる相手じゃないしな。
と、言うわけで。
「ではなんで教会に話が通っているか説明プリーズ。内容次第じゃほんとに聖剣ぶっぱしますから、そのおつもりで♪」
「はっはっは。割と本気で言ってるから怖いね。自分がいい加減だからこそ、こういう時まじめな信徒の変わりに泥をかぶれるのは美徳だね」
いいから説明しろよ猊下。
さすがに俺、怒っていいですよねぇ?
とりあえず聖剣を具現化した方がいいかと思い、魔術詠唱の準備を始める。
そのタイミングで、ルーラーさんが俺の肩に手を置いた。
「その件については私が説明しよう」
「……あの、そもそもあなたは誰ですか? 俺、この場の人の中であなただけ心当たりがないんですけど」
と、そこで兵藤が手を挙げて質問する。
あ、そういえば。
「……そういえば、ミカエル様はアスカロンを渡すときに顔を合わせておられてたのだな。では挨拶からしよう」
と、そこでルーラーさんがごほんと咳払いした。
「私はルーラーのサーヴァント。かつて人類史に名を遺した存在の分身のようなもので、世界に大きな悪影響が生まれることを阻止するため、そこのスピネルやイルマと共闘したもの」
なんか世界の危機とか言ってきたルーラーさんは、さらに一呼吸おいて―
「そしてスピネルに伝手を頼られ、三大勢力和平をもくろむネットワーク設立の教会担当を担っている男だ」
「へぇ。なかなか面白いことになっているようだね」
「全くだね曹操。まさかコカビエルが道化でしかなかったとはね」
「馬鹿ではあるだろうけどね。だけど、どう転んでもコカビエルの目的はかなわなかったということだけは確定だ」
「それで、どのタイミングで仕掛けるのかな?」
「そうだね。魔法使い側が提唱した、「リアス・グレモリーの眷属」を利用するプランの成否判定次第かな」
「成功したなら勝率は上がるだろうけど、やり口としては好みじゃないと思うけど、いいのかい?」
「同盟を結んでいるというのは厄介だって話さ。ま、禍の団に参加している理由は「打倒龍神」に「人材発掘」だからね。出来ればスカウトの機会が欲しいから、失敗してくれるといいんだけど」
「ま、重要なのはそっちじゃないからね。どう転ぼうが、俺がサーゼクス・ルシファーと戦う確率は10000パーセントさ」
「……さて、まあ語った内容の通り、三大勢力のトップは和平を行うための根回しを行っていたわけだ」
スピネルがそういうと、今度はメルガスが続ける。
「しかし会談による正式な停戦を通り越して和平条約ですからね。寿命の長さも考慮して、少なくとも数十年単位で時間をかけるつもりではあったんですよ。本来は」
そして二人は同時にため息をついた。
どうやら、コカビエルの行動は二人にとっても想定外だったらしい。
それに同情したのか、イルマがスピネルの肩をポンポンと叩いた。
「まあ、その過程で戦争継続派の締め出しもやってたんだけどね~。別件のイレギュラーとかにコカビエルの意識が向いちゃって、その研究成果による出し抜きとそもそも危機感をあおられたこともあって、結果として暴走しちゃってさあ大変!」
「だけど、うまく利用すれば三大勢力共闘という事実に会談を行うためのとっかかりができるわけでね。だったらいっそのこと、それを利用して和平までの流れをつつこうということになって、いろいろと動いてたんだよね」
と、グレイバー猊下もうなづいた。
……なるほど、ねえ?
つまり、最終的に追加すべきところがあるとするなら―
「―しかし教会側のタカ派もこれ幸いと戦争再開を兼ねて派手に動いたと」
「……そういうことだよ」
と、俺のボヤキに魔王ルシファーが苦笑する。
「まさかリアスとソーナを狙うとは思わなかったしね。不幸中の幸いは、我々悪魔は戦争継続派を初代魔王死亡後の内戦で追放していることか」
「全くもう。ついうっかり、全戦力をもってコカビエルに決闘を申し込むところだったのよねん。それだと共闘という象徴がなくなるから、駒王町の外でぐっと我慢したけど」
魔王レヴィアタンもそういうけど、なんかいいように危機に投げ込まれた気がして複雑ではある。
それ以前に、何かあったときのためにスタンバってたのか。まあ相手は魔王にケンカ売れるレベルだし、これはシスコン過ぎるとは言えないか。
まあそれはそれとして、やっぱりちょっと聖剣で勝利を約束したい。
とはいえ、そう思っている方が少ないようだ。
とくにソーナ・シトリーは、得心が言ったという蒼すらしている。
「確かに。事情を知らないものを主体としたからこそ、共闘という事実には価値が生まれますからね。むしろスピネルたちを送り込んだのは問題一歩手前ですね」
「まあ、何も知らないものだけに任せるのも気が引けた……ということにしてほしいな」
スピネルはそう苦笑し、そして隣にいる銀髪―そういえばこいつが白龍皇らしい―が肩をすくめる。
「気が悪いから賛同する気はないが、和平のための茶番に利用するとは、二天龍を何だと思っているんだ、アザゼル」
どうやらこっちは事情を知らない口で、命令をだしたアザゼルに不満らしい。
しかしアザゼルはどこ吹く風。両手を広げて肩まですくめてる。
「むしろ和平前に最後の大暴れさせてやったんだろうが。ま、和平結んだからこそ、魔王に模擬戦や立ち合いを挑む機会はできるだろうよ」
「ああいえばこういう奴だ」
なるほど。白龍皇は堕天使側では結構自由に動けているようだ。総督相手にタメグチなら、結構な権限もあるんじゃないか?
俺がそんなことを思っていると、スピネルが軽く肩をすくめる。
「まあ実際のところ、コカビエル殿の懸念も決して間違ってはいないから考え物だ」
「ですね。コカビエルの選択は問題ですが、懸念するだけの状況ではあるから始末に負えません」
と、メルガスも同時に同調する。
……おいおい、勘弁してくれよ。
「え、どういうこと? 和平を結んだのに、戦争になるとか言う感じ!?」
兵藤が嫌そうな顔をするのもわからんではない。
和平結んだと思ったら戦争とか、コンボが最悪なのは言うまでもないだろう。上げて落とす以外の何物でもない。
マジで勘弁してほしいんだが、どんな感じになるんだ、オイ。
仕方がない。ここはやはり、普段から義理で信仰しているだけのいい加減な俺が言うべきだな。万一怒られてもまっとうに頑張ってる連中の立場が悪くなりにくい。
「あの、具体的にどうやばいんですか? 仕掛けてくるのはアースガルズか、それともオリュンポス?」
俺は仮想敵として、他の神話体系とかを想定していた。
アースガルズを主体とする北欧神話。もしくはオリュンポスを主体とするギリシャ神話。まあほかの神話においても、キリスト教が世界最大宗教となる過程で恨みも買ってるからな。
だから敵対するなら他の神話体系になるのが確実なんだが―
「残念ながら、想定している敵……というより、異分子は全く異なるね」
そう告げるのは、なぜかグレイバー猊下。
「これがまた、実に面倒なことにどれぐらいの脅威なのかもわからないんですよねぇ」
そう続けるのは、メルガス。
「まあ、こっち側でも面倒なのが出てくるっぽいのが難点なんだがな」
そしてアザゼル総督がそうため息をつき、他の首脳陣も同じく頷く。
そして、いつのまにか手を組んでいたスピネルが、なぜか俺に強い視線を向けている。
っていうか、イルマ姐さんまでもが向けているのは、どういうこと何でしょうか………?
「この世界には大きな異分子が入り込んでいる。しかも少なく見積もっても数種類、そして人数は一種類だけで千人以上は確実で、その戦闘能力は使いこなせれば未熟な神滅具使いを打倒することが可能なものも数多い」
やけに具体的に言うな、オイ。
「具体的に言ってくれているところ悪いけれど、もっとわかりやすく言ってくれないかしら?」
「それもそうだな、リアス嬢。ならわかりやすく貴女が見たことのあるもので説明しよう」
え、あるの?
「一つは、コカビエル殿がゼノヴィア嬢を相手にして使った氷の異能。二つはコカビエル殿が召喚したあの男やルーラー」
……まじか。
確かにどっちも面倒だった。で、それってどういう意味で異分子とか言ってるんだ?
俺が首を傾げた時、同時にスピネルは俺に視線を向けた。
あの、なんか嫌な予感がするんですが―
「そして、もう一つは目の前にいる私やイルマ、メルガス達へルズ・クロックタワーの二割強やグレイバー殿―」
そこまで言って、スピネルはしっかりと俺に目を向ける。
思わずうろたえる俺の目の前で、スピネルははっきりと告げる。
「そして君もだ、麻宮鶴来。私たちはこの世界の外側から来訪した異分子の要素を持っているのだよ」
………はい?
ちなみにこの会話、ヴァーリに盗聴器を持たせて禍の団の連中は出マチをしております。
そしてアンケートの結果は最後です。今回の話において、スピネルを堕天使と悪魔(ついでに人間)の混血にしたのは、これをよりスムーズに進めるための布石も兼ねております。あと将来的な展開を踏まえると堕天使側のオリチームを出して、将来的に駒王町に派遣するのがバランスとりやすかった。
わかりやすく簡単に箇条書きにすると。
1:三大勢力で和平が結べるなら結びたい現魔王たちの意向を、スピネルとメルガスが察知。
2:後でより詳細に説明するヘルズ・クロックタワーの安定化のために、出来レースでスピネルがメルガスに政争で負けてどっかに逃げるというプロットが欲しいところに、更にスピネルの現世の父がやらかしてスピネルが討伐するという流れが設立。
3:これ幸いとスピネルたちが「もろもろの政治的問題から逃げたスピネルが、血が流れている堕天使側に逃げ込む」という風に見せかけて、堕天使側に和平の遺志があるかどうか探るための使者になることを提案。現魔王側、ヘルズ・クロックタワー側の状況ゆえに乗り気でないけど容認。
4:アザゼルを中心とした和平側と、サーゼクスたちの間にスピネルと解してコネクション締結。その後、次の話でそれとなく書く亜種聖杯戦争でスピネルがイルマと再会しルーラーと共闘。
5:スピネルの話を聞いたルーラーが、天界・教会側に和平の意思を確認するメッセンジャーをついでに実行。その後、グレイバーとも親交を結ぶ。
6:ある程度の時間をかけて和平を結ぶまでのプロットを作ろうとしていたところ、コカビエルが思いっきり暴走。多数決で「逆手にとって共同戦線でコカビエルを打倒することで、和平を結ぶための会談のきっかけと象徴ともいえる出来事を同時に作る」が成立。シスコンの胃を痛めて想定外も置きながら、然し結果として無事成功
と、言う流れになります。
それで次回は最初の前書きで書いた異世界関係のある程度の情報を、語り部をスピネルとして明かす予定です。それが終わったら禍の団が動き出す感じですね。
あと、禍の団は禍の団で序盤からめちゃくちゃ強化されます。そのタイミングで滑り込んで追加参戦枠をつるべ打ちしますが、とりあえず某人物がいたら歓喜の雄たけびとともに失神するとだけ言っておきます。
さて、追加する新しいクロスオーバー作品はなんだ(全部部出してるわけではないが複数該当)
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女神転生シリーズ(ペルソナ等含む)
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都市世界(電撃の鈍器で有名)シリーズ
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アトリエシリーズ
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マクロスシリーズ
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スチームパンクシリーズ