異世界狂騒曲 ―ハイスクールD×D×D   作:グレン×グレン

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第一章 14 デミ・サーヴァント

 

 ……俺こと麻宮鶴来は、惚れた女が俺を負かした男をぶった切る光景を見ることになった。

 

 うん、なんといえばいいんだろうか。

 

「男の沽券的なアレが傷ついてショック受けるべきか、惚れた女が俺を助けてくれたことに感激するべきか、どっちだろう」

 

「そういう状況なの!?」

 

 リアス・グレモリーにそう言われるけど、これは結構重要な問題だぞ。

 

 というかイルマ姐さん、強いなマジで。

 

 神滅具+魔王血族とかどこの二次創作のチート主人公だよっていうぐらいのチートを相手に、もろに攻撃を当てたうえで大ダメージだぞ。

 

 凄いぜ姐さん。俺が遊ばれるほどの相手を一撃でダウンさせるなんて!

 

「……忘れてたよ。君は俺にとって天敵と言っても過言ではなかったんだっけ」

 

 そう言いながらヴァーリは立ち上がるが、然しその声は弱っているのが丸分かりだ。

 

 まあ、あの剣はどうも原型のエクスカリバーにケンカ売れそうなレベルで聖なるオーラを放ってるからな。そりゃそんなもの不意打ちで食らったらきついだろうに。

 

 そんでもって、姐さんはマジで絶対零度の目でヴァーリを見下ろしている。

 

「……ほんと、人の魂ってのは驚くほどに腐りやすいよ。テロリストになったからって、いきなり一般市民を「宿敵の仇になる為に」殺そうとするとか、歴代最強の白龍皇は歴代最悪の精神性を持ちたいのかな?」

 

 そう言いながらイルマ姐さんは、獲物を剣から銃に持ち替える。

 

 見るからに普通の拳銃だ。っていうかあれ、アメリカとかなら普通に店売りしている拳銃じゃね? チンピラでも買えるような粗悪品じゃね?

 

 いくら何でも白龍皇の鎧をぶち抜くのは無理じゃないだろうか―

 

「殺す気で行くけど自業自得だから」

 

「―流石にいきなり死にたくはないね!」

 

 しかし、ヴァーリはイルマ姐さんの銃撃をとっさに回避。

 

 あと、銃弾がかすめた装甲が盛大にヒビ割れたんですけど。

 

 俺は、ふと後ろにいるリアス・グレモリーと視線を合わせた。

 

「……アレなに? デバイスってやつの力?」

 

「い、いくら何でも神滅具の禁手に通用するほどなんて、信じられないわね」

 

 ですよねぇ。

 

 俺も驚きだよ。異世界凄過ぎだろ。

 

 思わず瞠目していると、今度は兵藤の籠手から声が響く。

 

『……いや、どうやらあれはそういうものでもないようだ』

 

「どういうこと、ドライグ?」

 

 リアス・グレモリーがそう尋ねると、籠手から聞こえるドライグらしい声は、唸り声すら挙げた。

 

『あのオーラには覚えがある。あれはおそらく、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)のオーラだ』

 

 ………ん?

 

 俺は思わず首を捻る。

 

 さっきヴァーリのやつは、英雄派の曹操とかいうのが持ってるとか言ってなかったか?

 

 イルマ姐さんが持ってるっていうのは、説明がつかないんだが。どういうことだよ?

 

 リアス・グレモリーも怪訝な表情を浮かべると、ちらりと校舎の方に視線を向ける。

 

「確か、英雄派の曹操って今来てたはずだけど、そもそも男よ?」

 

 しかも来てるのかよ!

 

 俺達の疑問符が浮かぶ中、然しイルマ姐さんとヴァーリのガチバトルは続いていく。

 

 イルマ姐さんは何時の間にやら、背中に弾倉を背負ってからマシンガンぶっ放してヴァーリを追い立てる。一方ヴァーリもそれを高速軌道で躱しながら、魔力とオーラを砲丸にして投げつける。

 

 そんな射撃戦を展開している中、白い鎧の宝玉が光って、これまたアルビオンを思われる声が響いた。

 

『驚くほどのことではない……というより、麻宮鶴来。お前が言うなと言っておこうか』

 

 ん?

 

 なんで俺が名指し?

 

 俺が首を傾げていると、リアス・グレモリーがポンと手を打った。

 

「ああ。そういえばあなたも異世界の聖剣エクスカリバーを具現化していたわね。そもそもアレ、どういうこと?」

 

 あ、確かに。

 

 でもここで言うのかよ。

 

「……説明しよう。麻宮鶴来は「アーサー王の力を宿した存在」を作り出そうとした邪悪な研究者達に実験体として改造されたが、その施設が何者かの襲撃で壊滅したその時、自分自身がアーサー王の力を宿すことが出来る様になったのである! ……ちなみにマジ話です」

 

「………どこからツッコミを入れたらいいのかしら?」

 

 いや、マジなんですって。

 

「ちなみにほんとだよー! しかもあっちの世界のアーサー王……どころかかなりの「男性として伝わっている英雄」が「実は女」ってむしろ定番パターンです! いやぁ、エロゲのネタに困らない展開ですなぁ。……ズリネタを使う前に死ねば?」

 

「後で聞いたが、その聖剣は威力においてサーヴァントの中でも最上位のそのまた上位らしい。……それとイルマ、ずりねた……とはなんだ?」

 

 あ、激戦の最中に補足説明あざっす!

 

 ……あとヴァーリ今なんつった?

 

『真面目に捉えるなヴァーリ。まあそれは置いておくが、イルマはイルマで似たようなものだというだけだ』

 

 そう返すアルビオンは、更に続ける。

 

『スピネル・G・マルガムと再会した亜種聖杯戦で、イルマは偶発的に魔水晶と悪魔の実を受け取った直後のマスターの一人と鉢合わせてな。そのマスターが強引に命令を聞かせようとした時に、危険因子と判断して後ろから始末して、そのままマスターとなって亜種聖杯戦争を調べていたのだ』

 

「そしたら亜種聖杯戦争を嗅ぎつけて同じように参戦したスピネルとタッグ組んだんだけど、途中でサーヴァントと一緒に致命傷を負っちゃってねー。……あの決断にはほんとに感謝してるよ、本当に」

 

 なんか話を続けたイルマ姐さんが、後半しんみりしたトーンになって来たんだけど、何事?

 

 その疑問は、アルビオンがあっさり告げてくれる。

 

『幸か不幸か致命傷の位置が違ったランサーのサーヴァントが、自身の臓器を移植するという荒業を提案し、亜種聖杯はその後の追加治療とルーラーの存続に充てられた……だったな?』

 

「いやはやお恥ずかしい。相棒の身を削っての献身に、更なる追加の奇跡が必須とかランサーにちょっと申し訳が立たない感じ?」

 

 そう涙を流しながらヴァーリの攻撃を回避するイルマ姐さんは―

 

「―で、その影響でゲットしたランサーの宝具としての黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)。その身でお代わりしてくれていいのよん?」

 

 ―めっちゃいい笑顔浮かべて攻撃を再開しようとする。

 

 あ~。偶然の形とはいえ、俺と似たような形になってるのか。

 

 たぶん、亜種聖杯の力も利用した感じだな、これは。

 

 さて、俺も結構ダメージは行ってるけど、このままってわけにはいかないし、頑張って援護ぐらいは―

 

「……待てよヴァーリ」

 

 ―その時、今まで黙っていた兵藤の声が、やけに響いた。

 

 誰もが一瞬息を呑む中、兵藤は俺達より前に出る。

 

「……そりゃ、俺の両親は普通の人間だよ。今でも俺が悪魔になったこと話してないし、そりゃ目立った活躍とかしてるヒーローとかでも何でもない」

 

 その眼は、間違いなく怒りに燃えていた。

 

「だがなぁ、それでもこんな俺をここまで育ててくれたんだよ」

 

 その全身から、俺すら一瞬息を呑むほどの気配を放っていた。

 

 そして、兵藤は、渾身の敵意をヴァーリに叩き付ける。

 

「それをお前のどうでもいい理由で殺すとかなんだのと。………一発この手でぶん殴らなきゃ、気が済まねえだろうがぁああああああ!!」

 

 その叫びと共に、兵藤の二の腕につけられていたリングが光り、更に兵藤の全身に赤い鎧が形成される。

 

「へぇ。アザゼルのリングがあるとはいえ、まさかまだ実行に移してないに禁手になるとはね」

 

『奴の怒りに神器が呼応したのだろう。ああいう単純な感情の高ぶりは、ドラゴンとの相性もいいからな』

 

 アルビオンと平然と語りあって、ヴァーリは兵藤に向き直った。

 

「いいだろう。今の段階でどこまでできるか、俺が直々に試してやろうじゃないか」

 

「上等だ。てめえはここでぶちのめす……っ」

 

 そして兵藤はそのまま殴りかかろうとし―

 

「ってちょっと待―」

 

「これこれお前さんや。落ち着きなされい」

 

 俺が思わず止めようとしたとき、イルマ姐さんが物語の老婆口調で、めっちゃ機敏に足払いをかけた。

 

 ……盛大に顔面からいったぞ。

 

 これは恥ずかしい。滅茶苦茶恥ずかしい。

 

「イッセー、だ、大丈夫?」

 

 滅茶苦茶戸惑いながら、リアス・グレモリーが声をかける。

 

「……いくらなんでも酷くない?」

 

「いや、流石にちょっと可哀想」

 

 後ろで悪魔の方々もこそこそ言ってるし。

 

「何するんですか! 俺の両親殺すとか言ってるんですよ!? 俺がぶっ飛ばさなくてどうするんですか!!」

 

「いや、気持ちは買うんだけどね~。あのヴァーリは普通に禁手に至ってるどころか、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)まで行っちゃってる上に、ちょっと変則的な切り札まで持ってるからさ~。……一対一でぶつかったら百パー死ぬよ?」

 

 そう、最後で滅茶苦茶がつくぐらいシリアスな視線が兵藤を突き刺す。

 

 それは本気の言葉であり、本当の事実であり、だからこそ本心からの警告だった。

 

 戦えば死ぬ。だから任せろ。そういう、無茶をたしなめる年長者の言葉だった。

 

「アザゼル総督の言葉は本当だよ。向上心と才能がかみ合っている以上、ヴァーリは間違いなく歴代最強の白龍皇になるし、今の段階でも歴代でも指折りの領域。何より覇龍まで使われたら、今の君だと―」

 

「―それでもです」

 

 そんなイルマ姐さんの言葉を、兵藤は遮る。

 

「男には意地があります。俺は両親が大好きです。それを目の前で両親を趣味の為に殺そうとするようなやつを、一発もぶん殴らないでいたら俺は俺が嫌いになるし、リアス部長達に合わせる顔がないです」

 

 そうはっきり言って、兵藤はヴァーリを睨み付ける。

 

「お前は一発ぶちのめす。そのふざけた挑発をぶちかます口を、あごの骨ごと砕いてやらないと気が済まない!!」

 

 そう言い切る兵藤に―

 

「……男の意地ってのは理解するけど、今の時代は男女同権だよ?」

 

 そう言いながら、イルマ姐さんは苦笑しながら隣に並ぶ。

 

「―援護はさせてもらいます。それができないなら、不能の呪いをかけるからそのつもりで!」

 

「……童貞のまま死にたくないので、それでいいです!!」

 

 おお、妥協したうえで脅しをかけて了承させやがった。

 

 ……ふむ、なら―

 

「だったら、俺の援護も追加で受けてもらうぜ」

 

 俺もまあ、並び立たせてもらいますか。

 

「え、でも―」

 

「そもそも成り立ての元堅気に、余計な試練まで押し付ける気はないんでな。男の意地には理解はあるが、無理無茶無謀は流石に呑めねえよ」

 

 そもそも、そのつもりでヴァーリに突っかかったんでな。

 

 ああ、そこは断じて飲めないとも。

 

「二天龍同士の戦いに割って入るとは、ドラゴンに対する敬意が足りないね」

 

「そりゃどうも。生憎俺は秩序の必要性は分かってるんで、真面目にルール守ってる連中がバカを見るのは好きじゃねえんだよ。特にそういう手合いを阿呆が踏みにじるのは糞くらえだ」

 

 ヴァーリの軽口に対して、俺は聖剣を両手に構えてそう告げる。

 

 そしてイルマ姐さんも、両手にサブマシンガンを構えると俺と同じようにヴァーリを睨む。

 

「そういうこと。あと、あっちの世界のアーサー王はブリテンの赤き竜の因子があるから、ある意味ぴったりだよん?」

 

『『そうなのか』』

 

 ドライグとアルビオンがハモって感心してきやがったな。

 

 そしてその瞬間、遠くからなんか真っ白な禿げ頭がこっちにきやがった。

 

 あれなんだよ。

 

「あれは、禍の団の尖兵! こんなところにまで!」

 

 リアス・グレモリーがそう吠えると、俺達に視線を向けてくる。

 

 なんか滅茶苦茶不安な表情を浮かべたけど、すぐに意を決したのか禿頭達に向き直った。

 

「後顧の憂いは私が断つわ。………イッセー、必ず生きて帰りなさい」

 

「うっす! 俺も、ハーレム王になるまでは死にません!!」

 

 ……二人の間に割って入れない空気が入って来たな、オイ。

 

「いや~。若いっていいですなぁ。イルマさんは中身が三十超えてるから、時々追いつけない時があるよ」

 

「なら若い燕のエキスはいかがですかい? 俺なんかおすすめですぜ?」

 

 そんな軽口を叩き合いながら、俺達は兵藤より先に攻撃を開始した。

 




 反則じみた方法ではあるけど、たぶんこの方法ならデミ・サーヴァントを確実に作れると思う亜種聖杯のブースト。ちなみにケイオスワールドの兵夜とは異なり、イルマは肉体を聖杯にするための処置を受けていたわけではないので、この処置を施した時点で亜種聖杯による補填を必須としてスピネルたちは割と焦っておりました。

 そしてヴァーリはヴァーリでやはり原作より強化されています。この辺に関してはちょっとした仕込みを考えてますです、はい。
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