異世界狂騒曲 ―ハイスクールD×D×D   作:グレン×グレン

2 / 17
 はい、かなり長くなりますがプロローグの第二段です。

 時系列はかなり飛んで、原作におけるリアスたちとゼノヴィアたちが旧校舎で出会うシーン。

 ぶっ飛んだ将来的な敵なども出てきますが、中盤でちょっとギャグあり終盤で仕立て直したかつてのキャラが一人出たり、しかしイルマはでなかったりします。


プロローグ2 一触即発と赤毛の乱入者

 

 さて、自己紹介が遅かったな。ぶっちゃけ作者が忘れげふんげふん。

 

 俺の名は麻宮(あさみや)鶴来(つるぎ)。生年月日の記憶から逆算して、大体今のところ17歳。

 

 来歴に関しては前に言ったが、おさらいしておこう。

 

 幼少期は日本に住んでいて、小学校に入る直前に両親の都合で海外に引っ越しすることになった。で、そこでテロに巻き込まれて孤児になったわけだ。

 

 その後二年間浮浪児をやってけど、変なテロ組織じみた連中に拾われて実験台になった。そして何年間か実験台をやっていたら、そこが侵入者の手引きで襲われて壊滅。俺は実験の結果手に入れた力で生き残り、その後半年ほどまた浮浪児。

 

 そして教会に拾われた俺は、素質などもあってイスカリオテの聖剣に選ばれる。そこで十文字リアを相方に、二年ほど教会の敵相手に大立ち回りをやっていたわけだ。

 

 で、そんな俺たちに「コカビエルをぶっ飛ばしてきて」とか無茶ぶりがなされたわけですよ。

 

 ここでコカビエルについて説明しよう。

 

 俺が教会に所属していることはもう言った。勿論聖書の教えのそれであり、彼らは悪魔や堕天使と敵対してるわけだ。この三勢力を三大勢力と業界では呼んでいるから覚えとくように。

 

 で、その堕天使のトップクラスな奴の1人がコカビエル。より具体的に言うと堕天使の統括組織である神の子を見張る者(グリゴリ)の幹部の1人がコカビエルだ。

 

 そして奴はなぜか教会の施設を襲撃。かつて三大勢力の戦いで砕け散り、七本になってしまった聖剣エクスカリバー。その内六本を教会は確保してたんだが、内三本を野郎は強奪しやがった。

 

 挙句の果てに、なぜか奴さんは悪魔の縄張りに入りやがった。しかもその担当が悪魔のトップである四大魔王の妹で、しかも別の魔王の妹もいるという飛んでも状態。上層部は「あれ? 悪魔と堕天使が手でも組んでるのか?」と邪推してる。

 

 ちなみに、かつての大戦で本来の四大魔王は全員死亡。その後は悪魔側で今後の流れを考慮した内乱の末、本来の魔王一族は追放されて今は当時最強の四人の悪魔が四大魔王を襲名してる。

 

 で、上層部は「下手につつくとまずい」と、勝率五割未満でエクスカリバー使い二人を送り込んでる。こういう時、信仰心強いと「五割未満とか多いな! 殉教上等!」だからめんどい。

 

 ……だがしかし、ここで面倒な連中が名乗りを上げた。

 

 その名も埋葬師団。四人の規格外の戦士である四方聖座と、部下として動く四つの代行大隊で構成される大規模戦闘部隊。教会のタカ派にして武闘派のガス抜きとして作られた実験部隊が、成果を上げてしまって本格的な軍事部隊となった連中。

 

 例えば、悪魔になり下がった者から主の恵みを取り返すための神器摘出技術。例えば、四肢を失うなどで戦えなくなった戦士たちの戦意に応えるための義体技術。例えば、巨大な異形を叩き潰すための大型人型兵器。更には悪魔の力を奪い、聖書の教えのために使っているやつまでいるとか言う眉唾な話まである。

 

 まあそこはともかく。重要なのは奴らが生粋のタカ派だってことだ。

 

 下手すると近年の核減縮ムードに乗じて、核兵器を確保しているなんて噂まである。

 

 なので、我らがイスカリオテの聖剣のトップであるグレイル・グレイバー猊下は俺たちを派遣して抑え込みを図っているらしい。

 

 なにせ埋葬師団は一個大隊を派遣しているからな。下手すると戦争が再発することになりかねない。

 

 ……俺、もしかして責任重大?

 

 うっわ~。がんばらないとまずいよな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……よし。そろそろ現実逃避終了。

 

 俺は差し出されていた紅茶を一口飲んで、ふぅ、とため息をついて現実を向き合うことにした。

 

「……この状況でお茶を飲むとは、余裕なのかしら?」

 

「いや~。これは現実逃避ッス。今戻りました」

 

 ジト目でこっちを見てくる赤毛のお姉さん。彼女の名はリアス・グレモリーといって、この駒王町の異形的な親玉だ。ちなみに魔王ルシファーを襲名しているサーゼクスって人の妹さんでもある。

 

 で、俺は苦笑いしながら周りを見る。

 

 一番問題視するべきは、二人の金髪少年。

 

 片方は部屋中に神器か何かを使ったのか魔剣を生やしやがった、リアス・グレモリーの従者である悪魔の少年。

 

 ちなみに神器(セイクリッド・ギア)というのは、人間に聖書の神が与えた力。そしてその人間なのだが、後天的に悪魔になることができる。

 

 初代四大魔王を失った悪魔は、他種族を悪魔に転生させる技術を確立。チェスの駒に見立てた悪魔の駒(イーヴィル・ピース)で転生することで主の従者として転生。ちなみに転生した悪魔は功績次第で貴族に昇格できる。

 

 まあそこは置いといて、問題はもう一人の金髪少年。

 

 こちらはこちらで胸にロザリオを吊るした少年が、こっちはこっちで聖剣を部屋中に生やしている。

 

 こっちも視線は絶対零度であり、しかも両手には聖剣を六本も持っている。

 

 ちなみにこの聖剣、名を聖鍵と呼び、俺たちイスカリオテの聖剣のメンバーか、こいつのいる埋葬師団のメンバーだけが具現化可能になる神器もどきというべき代物だ。

 

 ちなみにうちのトップであるグレイバー猊下は「禁手で得たものだよ。まあ、たぶん同郷っぽいから同じ発想に至るのは当然かな?」とか言ってたけど、どういうこっちゃねん。

 

 ……まあそれはそれとして。

 

「とりあえず、全員落ち着いてもらえませんか? 一人ずつ説教させてください。特にゼノヴィアとそちらの……兵藤くん」

 

「え、俺も!?」

 

「私が悪いのか?」

 

 リアがもう明らかに頭痛を感じている表情で、こちらも聖鍵を展開して全方位に牽制しつつ、とりあえず元凶ともいえるもめごとを起こしたうちのゼノヴィアと相手方の兵藤一誠ってやつに非難の目を向ける。

 

 ゼノヴィアは教会が最初に派遣した聖剣使いの1人。攻撃力特化型のエクスカリバーである、破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)の持ち主で、更に奥の手を持っていることから、当初の勝算を四割にまで高めたある意味で切り札です。

 

 で、兵藤一誠ってのはリアス・グレモリーの眷属の1人。どうも兵士らしいけど、戦士の動きじゃない割には度胸がある。少なくともただの一般人が大口叩ける空気じゃないから、どうしようもない馬鹿じゃなければ大物の素質ありだな。

 

 で、事の発端の前に事情を説明しよう。

 

 まず俺たち教会組は、上からの意向である「お前ら堕天使と俺たちの争いに手を出したら承知しねえぞ?」という、まあ喧嘩売ってるよなぁてきな宣言を伝えに来る羽目になった。

 

 ちなみにこれで切れられた場合を想定し、いざという時は俺が相手方に土下座倒しを敢行し、「悪魔に下手に出る気か!?」とかほかの連中がキレないように、リアが後ろでなだめる手はずだ。これに関してはリアス・グレモリーが苛立ちながらも事を荒立てないように抑える姿勢を見せたので、まあ結果オーライ。

 

 が、ここで面倒な子がリアス・グレモリーの眷属になっていることが発覚。

 

 その名はアーシア・アルジェント。

 

 もともと癒しの力を持つ聖女と呼ばれていたのだが、ある時悪魔をいやしてしまったことからさあ大変。

 

 捕虜の取り扱い条約なんて結ばれてるわけでもないこのご時世。のこのこと教会の敷地内に悪魔が入っただけで殺し合い勃発って世の中で、治して逃がしちまったらその時点で大騒ぎだ。

 

 まして癒しの力とは、基本的に神の祝福を受けた存在でしかありえない。悪魔や堕天使を治療する力は、基本的にフェニックスの涙とか言った悪魔側の特注品程度だ。

 

 おかげでその子は追放されたんだけど、何の因果かリアス・グレモリーの眷属悪魔に。それもまだ信仰を持っているとかなんだとか言われ、当人も「捨てきれないだけ」と事実上肯定。

 

 で、ゼノヴィアが「ならば我が刃を受けるがいい」的なことを言っちゃったもんでさあ大変。

 

 当人は善意の介錯のつもりだったんだろうけど、教会を敵視してるだろう悪魔側からすればたまったもんじゃない。こっちがゼノヴィアを止めた方がいいかと悩むより早く、さっきの兵藤一誠が割って入ったわけだ。

 

 で、そこで目の前の兵藤一誠、寄りにもよって「アーシアを殺そうってなら、相手が神だろうと戦ってやる」なんて言った挙句、それに便乗して最初から敵意満々だった金髪が魔剣を生み出し、こっちはこっちで金髪が聖剣を具現化するという緊張状態。

 

 ……暑い日に、マジ返りたいと、ボヤきたい。

 

 ……三流の一句だ。真剣に俳句をやっている人が聞いたら激怒しそうな一句が思い浮かんだよ。

 

「……いいですか? 信徒にとって神とは絶対の存在です。そして私たちは主の敵を打ち倒すために命を懸けて戦うことで信仰を示す存在です。そんな相手に「神だろうが戦う」なんていった時点で宣戦布告と同じですよ? 一下級悪魔が三大勢力の緊張状態を爆発されるなど論外でしょう? 下手したらあなたが悪魔政府に処刑されますよ?」

 

「で、でもあんたらはアーシアを―」

 

「そこでゼノヴィアに説教を移しますから黙ってください」

 

「だからなぜ私なんだ?」

 

 ゼノヴィアは不服極まりない表情だったが、リアは額に青筋すら浮かべながら聖鍵を構えている。

 

 ……状況次第じゃリアがゼノヴィアを殺しそうに見えるな。まあ、そのタイミングで俺をちらりと見てるんで意図は読めた。

 

 俺は阿吽の呼吸でこっちも聖鍵を構えると、それでリアとゼノヴィアの間を遮った。

 

 ジロリとリアが意図的にそうしている非難の演技を理解し、俺もジロリと睨み返す。

 

「落ち着け馬鹿。信徒が悪魔に落ちながら信仰を持つものを見たのなら、「これ以上悪魔として人々を腐らせる真似をさせて、苦しめさせないためにも」介錯しようってのは美談っちゃ美談だ。もしここでゼノヴィアと一戦交えたら、お前が教会から処罰を受けかねないぞ?」

 

「……はぁっ!?」

 

 俺がわかりやすく言ったおかげで、一番わかってほしい兵藤一誠にも伝わったらしい。

 

 素っ頓狂な声を出して、兵藤はむしろ怒り顔になるが、爆発する前に俺がさらに続ける。

 

「面倒くさいことに教会ってのはそういう思考に陥りやすい。何せ自殺を最大級の大罪として禁じているから、信仰心が強ければ強いほど自殺を選択肢にできないからな。俺みたいにいい加減な奴でもない限り、自殺したくてもできない奴はそれを哀れんだ奴に介錯してもらわないといけなくなるんだよ」

 

 そう言いながら、俺は懐から一本の短剣を取り出して、それを見せびらかすように軽く振る。

 

「ちなみにこれが同僚の介錯用にイスカリオテの聖剣(ウチ)で支給されるミゼリコルデって短剣だ。名前の由来は慈悲を意味するミゼリコルディア。さっき言った通り自殺ができない宗教柄、瀕死の騎士に慈悲の一撃を与えるって意味で名づけられたのさ」

 

 わかりやすくいろいろ語ってから、俺は立ち上がって兵藤の肩に手を置いた。

 

「価値観ってのは宗教や歴史でいろいろ変わるもんさ。とりあえずあれでも善意でやってるってことだけは理解しとけ。悪魔の常識、教会の非常識。逆もまたしかり」

 

 最後の一言はゼノヴィアに意識を向けながら言って、俺は肩をすくめるとリアに続きを譲る。

 

 リアも俺の長いセリフでボルテージが下がった風を装って、聖鍵を消してからゼノヴィアに向き直る。

 

「ゼノヴィア。慈悲の一撃を与えようとするその思想は立派とも取れますが、TPOをわきまえてください。この国の言葉でいうのなら、郷に入っては郷に従えといっておきましょう」

 

 リアの言葉に、ゼノヴィアは隣にいる相方の紫藤イリナに顔を向ける。

 

「……どういう意味か知ってるか?」

 

「勿論!」

 

 すっごい自信満々に胸をたたく紫藤イリナ。相方が長続きしないゼノヴィアの相方を務めており、珍しく長続きしてレコード更新中の、形を自由に変えることができる擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)の持ち主だ。

 

 ちなみに兵藤一誠とは小学校に入る前ぐらいまで幼馴染だったらしい。なんでもこの駒王町、リアス・グレモリーの前任を教会の戦士たちが討ち取ったとかいう話だそうだ。

 

 ……なんだろう。日本人が日本のことわざに自信満々だっていうのに、不安しか覚えないんだが。

 

 ああ、「聖剣の能力がわかっても遅れなんてとらない」とか無自覚煽りをぶちかましていたからか。

 

 ま、まあ自信満々な日本人なら、日本のことわざぐらい―

 

「郷は偉大な人だから、彼の部下になるなら素直に従った方がいいって意味よ! でもリアス・グレモリーがグレモリー本家時期当主だからって、私たち信徒が言うことを聞く必要があるのかしら?」

 

「……全然違います」

 

「あらあら。日本から離れすぎてて記憶違いを起こしてますわよ?」

 

「っていうかそれ郷〇ろみ! いくら何でもことわざになる時代の人じゃねえだろ!?」

 

 速攻でグレモリー眷属からツッコミが連続で響いた。

 

 白髪のロリっ()に黒髪ポニーテールのお姉さまに、勿論日本人の兵藤一誠のトリプルコンボ。ちなみに金髪は金髪同士でにらみ合っているからスルーしてる。

 

 むしろ日本の芸能人について知ってることが驚きだよ。

 

「……残念なイリナは無視して話を進めましょう」

 

「ざ、残念ってどういうこと!? っていうかどういう意味!?」

 

「よそ者は素直にその土地の流儀に従っとけって意味だよ」

 

 リアにバッサリ切られて涙目になるイリナに、俺は慈悲の言葉を叩き込んだ。

 

 これをミゼリコルデツッコミとでも名付けるべきだろうか? いや何考えてるんだ俺は。

 

「あのですね? 私たちは今から相手の勢力圏内で別の勢力と殺し合いをしようというのですよ? 手出し無用だなんて喧嘩腰で言っておきながら、勝手な判断で相手の身内を殺そうなんて論外です。殺されても文句が言えません」

 

「何を言うか! 信仰を持つものが悪魔になっているのなら、せめて速やかに神の身元に送ってやるのが―」

 

「これは教会の流儀ではなく、それ以前の問題です。今のあなたの行動は正義ではなく、正義の名を借りた横暴ですよ」

 

 ゼノヴィアに鋭い視線を叩き込みながら、リアは再び聖鍵を構える。

 

 本気で攻撃しかねない態度を見せながら、リアはゼノヴィアにはっきりと言い切った。

 

「私たちは主の敵を倒すことで信仰を示すものであり、同時にこの場においては主の代理とみなされるもの。私たちが愚行をすれば、それはすなわち主の名を汚すことになるとわきまえなさい」

 

 そう言い切ると、リアは振り返ってリアス・グレモリーに向きなおる。

 

 その時一瞬目が合ったので、俺は苦笑でねぎらった。

 

 こっそり俺にだけ見えるように、リアが俺にサムズアップしたから、感謝されてるんだろうな。

 

「……申し訳ありません、リアス・グレモリー。何分我々はタカ派寄りで若いものが多いので、なんというかこう……向こう見ずというか無謀というか」

 

「……まあ、わかってくれればいいのよ。問題は―」

 

 と、そこでリアス・グレモリーとリアの視線が同じ方向に向けられる。

 

 そこでは、魔剣と聖剣を生やしている手合いがにらみ合い状態だ。

 

「……さて、先ほどから「殺しに行ける大義名分」を欲しがっているようだね。こちらとしても「悪魔も打倒できる想定外」が欲しかったし、どうせならここで殺しあうかい?」

 

 おーい。挑発しないでくれませんかねー?

 

「いい度胸だね。僕はエクスカリバーさえ折れればそれでいいんだけど、どうやらアーシアさんを切れる理由も欲しいようだ」

 

「普通に考えて、わざわざ探す理由もないんだけどね。人間の欲望を刺激して魂を地獄に導くのが、悪魔という畜産業者だろう?」

 

 金髪の殺意満々の態度に、同じく殺意満々だけど余裕は満点な金髪。

 

 この面倒な構図で、余裕の態度を見せないでくれませんかねぇ?

 

「本来主の裁きを代行する僕たち埋葬師団からすれば、人を家畜に落とす悪魔や多神教を正すのは義務だとも。悔い改めるなら救いを手を差し伸べるけど、そのつもりがないなら断罪を行使するべきだろう?」

 

 すごいこと言ってくるこの男。本気で言っているから始末に負えない。

 

 この連中、自分達を悪魔祓いということすら避けるくせがあるからな。

 

 ただ追い払うのではなく、正しく滅ぼすことを目的とする武闘派集団。それこそ最上級悪魔数人をその眷属ごと滅ぼしたという武勇伝すらある武闘派集団。

 

 その名も―

 

「この埋葬師団が四聖座が末席、後方、ロザール・クロベル。……目の前に悔い改めぬ悪魔がいるなら、必ず滅ぼすことを己に課しているんだけどね」

 

 ―こいつ本当に、めんどい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やあ、俺イッセー! いまめちゃくちゃやばいです!

 

 教会からの使者が「堕天使と戦うけど手を出すな」とか言ってくるし、あろうことかアーシアを殺そうとするからつい文句を言ったら大変なことになった。

 

 なんか懇切丁寧に「善意なんです」とか言われたけど、これが教会の基本なら俺は悪魔でよかったよ。いや、ちゃんとわかるように言ってくれて、その上でたしなめてくれたリアさんって人や麻宮って奴や信用できそうだけど。

 

 で、そのゼノヴィアよりもっと問題っぽいのが、ロザールとかいう奴。

 

 俺の眷属仲間の木場祐斗とにらみ合いになってるけど、敵意はあるけどそれ以上に余裕の色が見える。

 

 こいつ、身内にだってあれな視線を向けられているのになんだよ、この余裕は。

 

「……我が目の前で信徒をたぶらかし悪魔に落としていることまで証明された以上、やはりこの場で殲滅してからコカビエルにあたるべきかな」

 

「ッ! ロザール・クロベル! いくらあなたが埋葬師団の四聖座といえど、枢機卿の意向すら無視して強行作戦は問題行動です!」

 

 なんかとんでもないこと言ってきて、とっさにリアが声を荒げるけど、ロザールとかいう奴は首を傾げた。

 

「おかしなことを言うね? 埋葬連隊の悪魔滅殺は、文字通り主の代行。枢機卿と言えど埋葬連隊(僕ら)の現場の判断をひっくり返すには、それこそ相応の権限がいるものだけれど?」

 

 ……あ、こいつヤバイ奴だ。お近づきになったらいけないタイプだ。

 

 しかも平然と横を向いたせいで、今度は木場が更に切れかけてる!?

 

「どこまで僕をなめ―」

 

 言いながら木場は魔剣を突き付けようとし―

 

「安心してくれ。すでに直下の代行大隊は配置しているさ」

 

 そう言いながら、ロザールは通信機を手に取る。

 

 そして、木場の右腕が落ちた。

 

「な………っ?」

 

「祐斗!? 貴方は……っ!」

 

 呆然とする木場より早く、リアス部長が激高して魔力を右手に込め―

 

「先に剣を抜いたのはそっちじゃないか」

 

 そんな軽い言葉とともに、部長の消滅の魔力が吹き飛ばされる。

 

 みれば、ロザールの右手には部長より高密度の魔力の塊があった。

 

「「「「……な!?」」」」

 

 って、なんで教会の御方々が驚いてますか!?

 

 驚くのは俺たち悪魔だよ!? だってあいつ、教会の人なのに魔力つかってるんだよ!? 驚いて当然だよ!? でも君たち知ってるよね!?

 

 え、なに? これあいつの伏せ札!?

 

「驚かれても困るね。これぐらいの手札がなければ、四聖座の末席にあずかれるわけがないだろう?」

 

 そう苦笑するロザールに、何か言ったのは俺達じゃない。

 

「―驚くのは当然です。これこそが、埋葬連隊の極みである四聖座の御業なのですから」

 

 一人、明らかに悪魔な女の人が始める。

 

「―そう、人の御業を超える、神の奇蹟に匹敵する領域外の力こそ、四聖座の力」

 

 もう一人、悪魔っぽい男が続いた。

 

「真なる神なら余技とはいえ、薄汚い我ら堕落したものが神の御業を見れば、戦慄してもおかしくないでしょうに」

 

 そして、今度は堕天使っぽい男が占める。

 

 ……ってちょっと待て!? 悪魔二人に堕天使が……どこから!?

 

「……いきなり気配が増えました。これは……転移?」

 

 後輩の小猫ちゃんがけげんな表情を浮かべる。

 

「いえ、これはまるでアバドンの特性である、(ホール)……っ」

 

 先輩の朱乃さんも戦慄する。

 

「……ロザール・クロベル、あなたは、今何をしたの!?」

 

「……殲滅の準備を整えて、だけど悔い改めるかいはあることを示しに来たのさ」

 

 そして、いつの間にか現れた十人以上の()()()()使()を後ろにして、ロザールのやつははっきり言った。

 

「今からこの町を悪魔から浄化することを決定した。だけど悔い改め善と正義の試練の道を歩むのなら、僕直下の代行大隊の一員として迎え入れようじゃないか」

 

 ……の野郎っ!

 

 どんだけ余裕だよ。そして、リアス部長たちを殺させると思ってるのか!?

 

「……上等だ。やれるもんならやってみろ」

 

 おいドライグ。フェニックスとやりあったときと同じこと、できるよな。

 

 俺はその答えを聞くことなく、本気を出すことにした。

 

 そして左腕を包むのは、俺に宿った神器(セイクリッド・ギア)

 

 十三種存在するとか言う、オンリーワンの神すら殺せるかもしれない力。

 

 それに気づいて、リアと麻宮が振り返りながら目を見開いた。

 

「……神滅具(ロンギヌス)!?」

 

「っていうかあれ、確か文献で見た……!?」

 

 ああそうさ。

 

 神滅具の一つ。神や魔王すら超えるという、二天龍の一角である赤き龍ドライグ。

 

 その魂を封印した、俺の神器は……。

 

「リアス部長に、俺の仲間に手を出すってなら! この、エロと熱血で仲間とハーレム設立のために生きる、今代の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の宿主、兵藤一誠が相手になってやる!」

 

 俺は思いっきり宣言すると、イリナとゼノヴィアも一歩下がって警戒する。

 

 ま、エクスカリバーつっても七分の一だしな。一本や二本じゃ神滅具は怖いってか?

 

 俺がふと思うと、籠手が光って声が響く。

 

『まあビビるだろうな。本来のエクスカリバーならともかく、今のエクスカリバーでは禁手(バランス・ブレイカー)にさえなれば十分に勝てるさ』

 

 俺の籠手に宿るドライグからもお墨付きいただきました!

 

 ちなみに、俺は代価をささげることで禁手(バランス・ブレイカー)っていうパワーアップ形態になって、赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)に10カウントだけなれるのだ! めっちゃ強いぜ!

 

 ま、一回なったときは左腕全部ドラゴン化したんだけどね。でもその調整のために部長や朱乃さんに指をチューチューしてもらえるし、おかげで左腕は聖水や十字架も問題なく振れれるから、ある意味ラッキーかな?

 

『そういうことが言えるのは相棒のすごいところだが、今回は気をつけろよ?』

 

 ……ああ。わかってるってドライグ。

 

 目の前のロザールは、俺を見ても警戒はしてても一歩も引かない。

 

 むしろの、ため息をつく余裕まであるぐらいだ。

 

「……主の奇蹟のたまものでありながら、不の実績があるゆえに危険視される神器(セイクリッド・ギア)が三つもとはね。魔剣創造(ソード・バース)にしろ聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)にしろ信仰のために使うべきだというのに、挙句の果てに赤龍帝の籠手が悪魔となるとはね……」

 

 やれやれと言わんばかりに、ロザールは首を横に振り―

 

「せめて信徒に牙が届かないよう、ここで浄化するのが信仰の証かな?」

 

 ―躊躇なく両手に聖剣を構えやがった!

 

 やろう、ビビる必要もないってか?

 

 ならこっちも、禁手になる準備はした方がいいな!

 

「いいだろう。やはりアーシア・アルジェントはここで介錯するべきか」

 

「ああ、幼馴染が悪魔になるなんてなんて悲劇! でもこれも主の試練なら、乗り越えてイッセー君を裁いてこそ信仰なのよね!」

 

 なんかゼノヴィアもイリナも乗り気だよ! っていうかイリナさん? あなたこの状況愉しんでませんか!

 

 だめだ、ゼノヴィアもあれだけど、イリナとロザール、そしてその後ろの連中はあまり付き合いたくない人種ですよこれは!

 

 俺がちょっと気圧されたその瞬間、今度は俺をかばうように麻宮とリナが割って入った。

 

 こっちもロザールと同じタイプの聖剣を指に挟んで臨戦態勢だ。

 

 っていうかお二人さん? この状況下で悪魔の味方していいの?

 

「落ち着きなさい! ここで私たちが殺しあっても、コカビエルの思うつぼですよ!?」

 

「っていうかちょっと落ち着けや。さっきからごり押しでマナー違反してるのは教会(こっち)側だろ」

 

 あれ? マジで止めてくれるの?

 

 教会にもいいやつがいるんだな~って思ってると、ロザールは二人をにらみつける。

 

「悪魔の味方をするとは論外だね。やはりイスカリオテの聖剣は信仰に問題がありすぎる。……一応審問会にかけるためにも生かしておくべきか」

 

 あ、あいつ完全に俺たちごと二人をつぶす気満々だ。

 

 させるか。こうなったらこの二人も守るぐらいでやるしか―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでにしてほしいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、俺たちがいた部屋全体が、銀色に包まれた。

 

 そして、その銀色が針のように伸びて、俺たち全員の首元に突き付けられる。

 

 ……ってなにこれぇ!?

 

「……まったく。コカビエル殿の暴走にも困ったものだ。こんなくだらない小競り合いまで起きては、実に面倒だな」

 

 そううんざりした口調でいうのは、赤い髪だった。

 

 リアス部長の紅とは違う、本当に赤といった方がいい赤い髪を、長めのボブ風に切りそろえた、俺と同じぐらいの女の子。

 

 なぜか大人びて見えるその凛とした姿は、リアス部長がお姫様なら、姫騎士とかそんな印象を与えてくれる。

 

 そんな彼女を見て、リアス部長は目を見開いた。

 

「あなたは、何でここに……っ」

 

「久しいですなリアス嬢。本家で行われた5年前のパーティ以来でしょうか」

 

 そう言いながら苦笑する、その赤毛の人は俺たちに視線を向け―

 

「………っ」

 

 ―なぜか、一瞬だけ麻宮をみて目を見開いた。

 

 でも、まるで気のせいだったのかと思えぐらい一瞬で元に戻ると、凛とした表情ではっきりと告げる。

 

「神の子を見張る者の研究機関が一つ、「チームカルンウェナン」のリーダを務めているスピネル・(グレモリー)・マルガムだ。取り込み中すまないが、火急の要件ゆえ強引に割って入らせてもらう」

 

 そのよく通る声は、俺たち全員が思わず聞かないといけない風に思えてしまい―

 

「―脱走して双方に迷惑をかけているコカビエルについて話がしたい。火急の要件故にまず聞いていただえると嬉しいのだが」

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『『『『『はぁああああああああ!?』』』』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 え、なに!? コカビエルってそっちでも迷惑かけてるのかよ!?

 

 思わず俺たち全員が絶叫するほど、スピネルさんの宣言は驚きだった。

 




 と、いうことでプロローグは終了。次は簡単に設定資料集を用意して、序章としてエクスカリバー編にする予定です。




 今回で登場した完璧オリジナルであるロザール・クロベルですが、この時点のヴァーリ相手なら十分渡り合える実力者です。まあうすうすわかっているとは思いますが、グレンさんよくあるネタである「教会系過激派敵勢力」担当で、状況次第ではイッセー達が三年生になっている時でも強敵として立ち回らせるかもしれません。ちなみに名前は教会系の登場人物ということで、十字架……すなわちロザリオとクロスをもじった感じですね。

 ちなみに魔術師たちの狂騒曲のリベンジである以上、訓練された型月ファンならもう想像ついているとは思いますが、埋葬連隊は埋葬師団からインスパイアした連中です。なので状況次第では枢機卿の意向すらごり押ししますし、討伐対象と認定されたら大司教だろうと問答無用でぶち殺します。その上で「悔い改めて信仰に生きるのなら」悪魔だろうが吸血鬼だろうが堕天使だろうが構成員になりうる組織でもあります。





 そしてラストに登場したスピネル・G・マルガム。まあ水銀で予想がついていると思いますが、彼女です。

 大幅に手直しをすることをした時点で、アザゼル杯編も考慮してオリキャラチームは堕天使側をメインとしつつ教会を加える方向になり、そこで彼女の大幅手直しを行いました。ちなみにスピネルは赤い宝石の一種であり、マルガムは堕天使側についたことでつけた便宜上のファーストネームで「アマルガム」という水銀の化合物の総称から。もうこの時点で魔術師たちの狂騒曲を知っている方々なら正体がもろバレですね。









 さて、当然のごとくハードモード超えてインフェルノモード入っているコカビエルですが、常連さんなら知っているようにグレンさんは「味方を強化するなら敵も強化する」が基本思想。

 ……当然、コカビエルも大幅に強化されております。

ロザールの魔力攻撃の種は一体何か?

  • こいつも実は悪魔の血を継いでいる
  • 「埋葬」なんてついてるし、型月系のクロス
  • 神器、それも禁手
  • 神器、ただし禁手じゃなく別の方法
  • 他のクロス要素
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。