スロットの結果、ラスボスになりました   作:トントン

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 遅くなってすいませんでした


ラスボスに相応しい拠点なのだが、一人では寂しい。

上空より地上の洞窟の前に舞い戻ったオッサンは真っ直ぐ洞窟を見ていた。

オッサンの予想では目の前の洞窟が特典で貰った拠点であるはずだった。

もっとも、この洞窟が拠点では無いとすると何処にあるのか見当もつかないオッサンは今度こそ暴れだすだろう。

取り敢えず、オッサンは洞窟の中に入ることにした。

洞窟の中は不思議な光が等間隔に浮いており、十分に明るく問題なく前に進むことができ、オッサンは安心して一本道の洞窟を進むことができた。

しばらく進むと開けた場所に出たオッサンは急に頭を押さえ始めた。

頭が割れんばかりの頭痛が急に襲い掛かってきたからだ。

 

「グッガガガガガ~~~~ガッガ~~~~~~~グッガガガガッガ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」

哀れオッサンは急な頭痛によりその場でのたうち回る事になった。

 

「いい加減にしろよ!あのヤロー!始めから知識として入れろ!後づけなんかすんな!」

 

小一時間程のたうち回っていたオッサンは額を押さえ、立ち上がりながら叫んだ。

あの青年が後付けで拠点の情報をオッサンの脳に刻み込み、オッサンが苦しむ姿を面白おかしく眺めて嗤っているのだろうと予想しオッサンは怒りで叫んだ。

もっとも、後から情報をオッサンの脳に刻み込んだのは嫌がらせとしたのではなく、オッサンが何処に転生するのか不明であり、場所によって拠点として望む機能が変化するので拠点の機能を前もって決めることができず、ある程度洞窟を進んだ時点で拠点の情報を脳に転送する様になっていたのだ。

もっとも、オッサンはそんな事を聞いておらず、青年に対する信頼もゼロだったこともあり、青年は余計にオッサンに恨まれる結果になったのは当然の結末だった。

 

「クソ!イライラする!」

 

オッサンは苛立ちで短絡的になった思考で拠点の情報が正しいかを確かめることにした。

オッサンは急に右手を振り上げて近くの壁を全力で殴った。

殴った衝撃で凄まじい轟音が響き、衝撃波が辺りを蹂躙する。

 

「凄いな。全力で殴ってひび一つ入らないとはな。これで私が本物の異魔神より弱体化していないとしたら不壊という情報は事実ということになるな」

 

オッサンは痛む右手を押さえながら全く損傷のない壁を前に驚き、拠点の情報の一つが正しかった事に安堵した。

現実で生きているオッサンにとってはバカ正直に迷宮となっているこの洞窟を壁や床等を破壊せずに進むなど考える事など出来なかった。

だいたい、物語の中でも双竜紋に目覚めたダイがドルオーラでバーンパレスの魔力炉から大魔王バーンにダイレクトアタック行っている。

オッサンは拠点でそんな羽目に逢いたくなかった。

 また、老朽化や破壊されることにより拠点を修復しなければならい事態に陥った場合、オッサンでは拠点の機能を修復する事など出来なかった。

そのため、拠点を構成している物質が不壊で有ることはオッサンにとって必要な事だった。

 とりあえず、物理攻撃では破壊する事が出来ない事を確認したオッサンだが、青年に対する不信感が高い事もあり、青年を信じる事の出来ないオッサンは次の行動に移った。

 オッサンは壁から距離を取ると口を開き、熱線を壁に向かい放った。

 しばらく熱線を放ち続けたオッサンだったが、壁を貫通する事は無かった。

 熱線を放ち終えたオッサンは壁に近付くと壁に傷が無いか、確認したがわずかな傷も無かった。

 ロトの紋章で異魔神は巨大な第二形態だったがこの熱線で国一つを焼き尽くしている。

 そこから考えれば、国一つを焼き尽くしている熱線を無傷で耐えたこの壁の強度は十分だとオッサンは考えていたが、ふと思い浮かんだのが魔法の耐性は十分なのか疑問に思った。

 疑問を解消しなければならないと思ったオッサンは魔法を行使する事にしたのだが、異魔神が使用した魔法は高密度魔法言語であるりゅうせいやひょうがなどの広範囲に高威力を撒き散らすモノばかりだった。

 国一つを焼き尽くしている熱線を撃ってしまった後ではあるが、熱線を撃って多少気が晴れたオッサンは冷静になってしまい魔法を放つことにためらいを感じた。

 しばらく腕を組んで考えていたオッサンは先ほどの熱線に耐えきった壁を見て大丈夫だろうと判断して高密度魔法言語使用するために魔力を集中した。

 魔力を高め『たいよう』を発動する為に魔法を構成しようとしてこんな閉鎖空間で『たいよう』なんて広大な範囲の海を蒸発させる魔法を使用してオッサン自身が平気なのか疑問に感じたオッサンは慌てて魔法の使用を中止した。

 ビビったオッサンは耐久性のテストをここまでにしてゆっくりとこの拠点の情報を整理したくなったので最深部にあるオッサン自身の居住区に行くことにした。

 もっとも、この拠点の最深部に真っ当な方法で行く場合、10階層あるので経路を知っているオッサンでもかなりの時間が必要になる。

 そこでオッサンは自身が認めたものしか使用することのできない旅の扉で最深部の居住区へ行くことにした。

 オッサンは刻まれた情報に従い迷うことなく迷宮となっている洞窟を進んでいく。

 そして、行き止まりになった場所でオッサンは行き止まりになった壁の前に立つと壁がゆっくりと動きその奥にある広い空間が現れた。

 その中心には祭壇があり、祭壇の後ろには空間そのものが歪み中心に渦を巻いていた。

 その空間にオッサンが入るとオッサンの後方で音がしたので振り向いたオッサンの目にゆっくりと壁が閉まっていくのが見えた。

 壁が閉まるのを見届けたオッサンは祭壇に向かって歩みを進めた。

 

 

「これって本当に大丈夫なんだろうか?」

 

 祭壇の前にまで来たオッサンは歪んだ空間である旅の扉に対して率直な言葉を呟いた。

 信用できない存在が用意したモノはどうしても疑いの目見てしまうのがオッサンである。

 とんでもない場所に飛ばされないかとオッサンは警戒していた。

 それでも、様々な事による不安などにより気疲れをしてしまったオッサンは早く居住区に行きたいので旅の扉を使用することにした。

 オッサンは自身が行きたい最深部をイメージし、旅の扉に内心ビクビクしながら入っていった。

 

 

 オッサンが旅の扉に入り、視界が開けるとそこは立派な装飾の施された大きな扉の前にオッサンはいた。

 この先にラスボスがいると言わんばかりの扉にオッサンは更に精神的な疲労を溜め込みながらもオッサンは扉に手で触れようとした瞬間に鈍い音をたてながら扉が開いていった。

 扉が開いた部屋の中は無駄に広く豪華だった。

 部屋の広さはここでラストバトルを行うことが出きる程広く、床には落ち着いた柄と色彩の絨毯が引かれており、壁には何故か一定の間隔で赤に金字の旗が立て掛けられており、最奥にはラスボスが座っていそうな立派な玉座が設置されていた。

 その光景にオッサンは天を仰ぐしかなかった。

 精神的な疲労がピークに達したオッサンは仕方がないので玉座に座ることにし、玉座に近付くとそこには封筒が置かれていた。

 オッサンは封筒を手に取り、玉座に座り封筒を開けると中には手紙が入っていた。

 オッサンはこの手紙の差出人があの青年だろうと思い手紙の内容に不安を覚えたが、拠点の情報と拠点があるのが島であることしか知らない情報不足のオッサンには読まないという選択を取ることは出来なかった。

 

『この手紙を回収したという事は無事に異魔神の間に到着したのだろう。おめでとう』

 

 オッサンは全くめでたくないと心の中で答えた。

 

『もっとも、君は不満を感じているだろうが、君自身が選んだ選択だ諦めてくれ』

 

 ことここにいたれば、仕方がないとオッサンは諦めるしかなかった。

 

『まず、仕方なかったとはいえ、苦痛を与えてしまったことに謝罪しよう』

 

 拠点の情報を後から脳に刻み込んだことだとオッサンは理解したが、青年の悪ふざけだと思っているオッサンには謝罪ととることはなく、オッサンを煽っているとしか判断出来なかった。

 そのために、オッサンの腕は怒りで震えていた。

 

『君はきっと私の悪ふざけだと思っているだろうが、実際は違う。特典の一つであるこの拠点は周りの環境、君自身の能力、君自身の望みによって変化する』

 

 オッサンは短い時間だったが、今までの青年とのやりとりの中で悪ふざけはするが嘘をつく事は無いと判断し、情報を後付けするしかなかったのだ理解した。

 

「はぁ~、理不尽な怒りをむけてしまったな。まったく、始めから説明していてくれれば良かったんだがな」

 

 オッサンは自身の行いを反省した。

 

「でも、ちょっとまてよ。願望って事はこの無駄に広いだけの明らかにラストバトルしますよって場所も俺の願望てことなのか?まさか、せっかくラスボスになったんだからラスボスらしい広間が欲しいなんて願望持ってんのか?いい大人になってこんな恥ずかしい願望持ってんのか?嘘だろ!俺は何がしたいんだ!まさか、ラストバトルごっこでもしたいっていうのか?」

 

 オッサンは自分に恥ずかしいと感じる願望が有ったことに羞恥心で絶望し、落ち込んでいたが手紙の続きを読まなければいけないと感じ続きを読み始めた。

 

『私に怒りをぶつけたことは仕方のない事だから気にしないでくれ。私の悪ふざけが原因だからね』

 

 本人も理解しているだなとオッサンは精神的なショックが強すぎて投げやりな気持ちで答えた。

 

『本題に入らせて貰うが、この拠点が一階層が洞窟、二階層が平原、三階層が森林、四階層が水辺、五階層が雪原、六階層が火山、七階層が海原、八階層が鉱山、九階層が砂漠、十階層が神殿となっているが広すぎると思わないかい』

 

 その事はオッサンも不思議に感じていた。

 どこをどう考えても集団が暮らす事を目的に拠点が構成されているようにオッサンには感じられた。

 しかも、様々な環境が整われており、様々な生物が生息出来るようになっている。

 ここまで考査し、ダイの大冒険の世界観からこの拠点にはモンスターを生息させる事を念頭に置かれて構成されているとオッサンは予想した。

 

『君も気がついていると思うが、この拠点はモンスターを生息させる事を目的に十階層という広大な拠点として構成されている』

 

 オッサンも予想していた事なのだが、何故モンスターが生息できるように拠点が構成されたのかまではオッサンには解らなかった。

 

『肝心のモンスターが生息できる様に拠点が構成された理由だが、モンスターマスターという特典を手に入れた為だよ』

 

 オッサンにとって自身が異魔神になってしまったショックが大きすぎてモンスターマスターという特典はオッサンの記憶に残る事が無かった。

 

「確かにそんな特典がスロットであったな」

 

 そうおっさんは呟き、右手を握り、左手の平をポンと叩いた。

 

『モンスターマスターという特典はモンスターを従え、従えたモンスターを成長、進化させる事が出来る』

 

 拠点の各階層の環境に違いが有るのは様々なモンスターを従える事ができる為なのかとオッサンは理解した。

 

『もっとも、これだけ立派な拠点だが、今は君一人だから寂しい限りだ。念じれば、魔法の筒を八つまで虚空から取り出す事ができる。魔法の筒を利用して頑張ってモンスターを集めることを推奨するよ』

 

 オッサンは手紙に書いてあったように念じると魔法の筒がオッサンの手に現れた。

 

『この拠点に見合った数のモンスターを集めることを希望するよ。そうすれば、君も立派な異魔神だ』

 

 オッサンは青年の煽りを気にする事はなく、モンスターをどの様に集めるかを考えていた。

 弱肉強食が基本にあるファンタジーの世界に転生したオッサンは多くのモンスターを必要としていた。

 守る為には数多くの人材(?)が必要になる事をオッサンは理解していた。

 技術の開発、防衛の為の戦力、モンスターを率いる統率者など様々な人材(?)が必要になる。

 まずは数を揃える事から始める必要をオッサンは感じた。

 とはいえ、魔法の筒は八個しか手元にはない。

 モンスターを連れて移動すれば、発見される恐れがあるのでオッサンは魔法の筒を使用せずに移動させるという方法がオッサンには取れなかった。

 

「前途多難だな。どうするかな?」

 

 オッサンは今ある数多くの問題に何から手をつけて良いのかわからなかった。

 

『最後に十階層のレイアウトは私の趣味だ。ラスボスに相応しいモノにしている。君の感謝の声が聞こえてくるよ』

 

 そこまで読んだオッサンは手紙を引き千切り、引き千切った手紙に熱線を浴びせ掛けた。

 オッサンは自身の願望にこんな恥ずかしい願望があるのだとショックを受けていたのにそんなことはなく、この悪趣味な空間はあの青年の悪ふざけだと理解した瞬間に切れる事になった。

 

「ふざけるな!全部ぶっ壊す!」

 

 完全に切れたオッサンは力の限り暴れ始めた。

 玉座を殴り、絨毯や壁に熱線を放ち、暴れ回るオッサンだったが、壁、床、天井は無論、絨毯や旗も一切破損する事は無く、疲れ果てたオッサンは床で不貞寝する事にした。

 密かにこの部屋を倉庫にすることを誓って。




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