オルガマリーを異常者にしてみた話 作:間違って一回SS消しちゃったマヌケ
ミーティングルームにて、銀髪の女性が48名の少女に対し口を開いた。
「我々は人理継続保障機関フィニス・カルデア。100年後の地球を映す『カルデアス』を観測することで、名前の通りに人理の継続を保障し、それに異常が見られれば問題が起こった時代、場所に赴き、その異常の原因を取り除くことが使命である」
凛々しく、力強く、それでいて涼しげに、使命を帯びた少女が続ける。
「半年前、我々は100年後の人類の滅亡を観測した。それから今日に至るまで、観測班の尽力により2つの事実が判明した───1つ、人類は2016年を以て滅亡する。2つ、その原因は2004年に日本の冬木市において行われた、聖杯戦争と呼ばれる魔術的儀式にある。本来の歴史ならば、この聖杯戦争は多少の被害を生みながらも人理に影響を及ぼす程の災害ではなかった。故に、私は『世界を滅ぼさんとする誰か』がこの時代に干渉し、人理焼却の起点としたものと推測している」
48名の前をゆったりと歩きながら、まるでただの業務連絡のように人類の滅亡を告げる。聴き慣れない言葉に騒めく幾人かを手で制し、たっぷりと時間を開けて、最後に彼女は彼らを見据える。
「48名のマスター候補へ告ぐ。是は、世界を救う戦いである!」
◆◇◆
第一の生はくだらなく、2度目の生は有難いものだった。
何を以て生まれたのかも、どこから生まれたのかもわからない身ではあるが、故に自由に身を振ることができたとも言える。
外面にはオルガマリー家の長女とされて、私自身もそう言い聞かせられたものだが、私の脳のどこかがそれを強烈に否定する。それだけで、自らの出生を疑うには十分過ぎた。
ただしかし、それが何と言うのか。
しかしまあ、理解を諦めたわけではないが……
「どうしたんだい、オルガ? やけに不機嫌に見えるけど……」
「私に新たに肩書きが増えたのが気に食わないんだよ、ロマン」
「時計塔のロード・アニムスフィア。宇宙の魔術師。根源に最も近い者。加えて人理保障機関フィニス・カルデアの所長。確かにまあ多いけど、どれも光栄な呼び名じゃないか?」
「肩書きや呼び名というものは、人間を便利な枠に押し込めてその枠内でだけ理解するために存在するんだよ。そんなものが増えれば私が私を理解できなくなってしまうだろう。全く、人が何のために根源を目指していると思っているのか……」
天才などという言葉に甘えるわけじゃないが、凡人どもの成すこと思うことは全て邪魔くさい。この世の全員が私だったら……と考えたが、どいつもこいつも自分のことしか考えないエゴイストでは『人理保障』などをする暇もなく世界が滅びるだろう。
「なるほど、そうやって世界はバランスを取るわけだ。まだ新しく学ぶことがあるとは、オルガマリーびっくり」
「……オルガ、君は基本的に尊大で何を考えてるのかわからないけど……たまにとてつもなくIQが下がるよね」
「IQ、嫌いな言葉だ。個々人の脳味噌を数値化して何になるのか?」
可哀想に、尊大で意味不明な上司を持ったロマンを尻目に、書類どもにメクラ判を喰らわしていく。どうせ新所長就任に関する形式上の書類なのだ。精査をする時間があれば安酒でも啜っていた方が有意義というものだろう。
そもそも私はこの組織が気に食わん。
人理保障機関フィニス・カルデアなどと名乗るこの組織は、人類がなんらかのきっかけで滅亡しようと言う時に、その兆しを感じとり、人類を守る機関だという。私は人類が滅亡しようが生きていける自信があるし、私以外の人間がどう死のうが興味がない。いやしかし、そんな機関のトップに私を据えるとは、皮肉を通り越して滑稽というものだ。
と、一つの書類が目に止まったので手を止め、マジマジと読み込む。
「ていうか世界を守る組織なんだから、流石に全部見ないで承認っていうのは……って、どうしたんだい?」
「いや、面白い内容を見つけたものでな……デミ・サーヴァントとは……うむ、珍しく興味ある話だ」
まあ、最低限面白い場所ではありそうだ。