第4話 学院生活の始まりじゃ!
真央霊術院。
約2000年前に山本元柳斎によって設立された死神を養成するための学校。設立当初は死神統学院という名称であったが死神以外の鬼道衆・隠密機動衆も輩出していることから真央霊術院と名を改めたらしい。現在でも古参の死神は統学院と呼んでいるらしい。
このことを烈さんから聞いた。
ちなみに、なぜ烈さんと呼んでいるのかと言うと、その方がしっくりくる感じがしたからじゃ。
んで、この話には続きがあってな、統学院を卒業した死神は1人たりとも隊長になったものがいないらしい。
そう、1000年以上ひとりも出ていない。
疑問に思ったわしは、烈さんに尋ねてみた。
「烈さん」
「何ですか信長。花札ならもうやりませんよ」
尚、話す人が必然的に烈さんしかいないので、わりかし話す。そしたら仲良くなり、花札をやるような仲にまでなった。
ちなみに、さっき勝って菓子をもらった。
「いや、そうじゃなくてな。前、1000年以上も新しい隊長になった者がいないと言ってたじゃろ?」
「言いましたね」
「わしは思ったんじゃよ。何十年か前に大事件が起きて有用な隊員が死んでしまったんじゃないかとな」
「…明日からは学院生活ですね。早く寝ましょう」
話を露骨に逸らされてしまった。
──まぁ、良いか。寝よ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
入学当日、刀を持って行ったらなぜか凄い目立った。
「見ろよあの子…」
「なんで入学前なのに刀を…」
「山本先生の推薦らしいぞ…」
「可愛い…」
なぜじゃ?
刀くらいでこんなに目立つ?
彼女が目立っているのは刀を持っているからだけではない。
先になるほど赤みがかった黒い長髪。
焔のように赤い目。
頭には、金の
身長は160ほどであるが、可憐というより苛烈という印象を受ける凛々しい少女であったからだ。
あと、山本元柳斎が『孫が増えた』と喜んでいたからでもある。
そんなことは露知らず。
まぁ、注目されるのは慣れてる気がするし是非もなし、などと考えていると目の前に誰かが立っていた。
「──君が織田信長かい?」
「ん?」
声がした方に目をやると白髪の優しそうなモヤシみたいな青年がいた。
「誰じゃおぬし?」
「おっと、すまない。俺の名は
山本先生?…あぁ、あの爺さんか。
あの爺さんわりと心配性なんじゃなぁ。
まぁ、わしは可愛いからのう是非もないよネ!
「名乗られたからには、わしも名を告げねばな。わしの名は織田信長じゃ。気軽にノッブと呼んでくれ浮竹」
「おう。了解したぞノッブ」
こやつ、見た目によらずノリがいいな。
「それはそうとノッブ」
「なんじゃ惚れたか?」
「いや、可愛いとは思うが俺の好みではない」
「…お前、言ってて恥ずかしくないのか?」
「何が?」
いや、違ったわ。こいつただ天然なだけじゃ。
「まぁ、良い。で、何を聞こうとしたんじゃ?」
「いや、大したことじゃないんだ。ただ、もう浅打を貰っているなんて羨ましいな、と」
この刀か…烈さんによるとこれは既に浅打ではなくわしの刀らしいが、拾ったとだけ言っておくか。
「あぁ、これか。別に貰ったわけではない。目が覚めたら持っていただけじゃ」
「ふーん。不思議なこともあるんだな」
それで納得するのか…
そんな話をしながら、わしらは教室へと向かった。
わしらが向かっている教室は、特進クラス。
統学院に入学するためには試験に合格する必要があり、この試験において優秀な成績を修めた者がそこに集められる。
浮竹は主席らしく、その中でも特に優秀らしい。
ちにみにわしも受けた。
勉強?烈さんに教えてもらった。
霊圧測定?烈さんがOKって言ってた。
そんなこんなで教室に着いた。
「あれ?浮竹、遅かったじゃないか。…そっちの女の子は?」
教室に入ると、ボサッとした髪型の軽薄そうな男が浮竹に話しかけてきた。
「はぁ…京楽、もう忘れたのか。昨日、山本先生が言ってただろ?」
浮竹が少し呆れたように言うと。
京楽と呼ばれた男は、頭を数度かき、思い出したように呟いた。
「あ、もしかして山じいが
その瞬間、教室から音が消えた。
何事かと思い周りを見ると、クラス内のほぼ全員がわしに目を向けていた。
(え?何じゃ?わしなんかやった?)
浮竹に目を向けると、頭に手をやり首を振ってるし、京楽と呼ばれた男は、笑いながらダラダラと冷や汗をかいていた。
とりあえず浮竹にコソッと聞いてみた。
「なぁ、これはどういう状況なんじゃ?」
「…ノッブ。更木についてどのぐらい知っている?」
「人よりも獣に近い奴らが日常的に殺し合ってる最低最悪の地区」
「その通りだ。では、そんなところから来た奴が
…思えないな。いや…ちょっとは…いや、やっぱ無理だな。わし以外にまともな奴など、1人もおらんかったしのう。
なお、あばら屋で瞑想するまでに切り捨てた人間は、三十二から先を数えていない点を考えると、織田信長がまともであるとは言いにくい。
「…てことは、わしのこれからの学院生活はどうなるんじゃ?」
浮竹が儂から静かに目を逸らした。
なるほど、理解した。そして、わしが取るべき行動も決まった。
「浮竹…」
「…なんだ」
「そいつ殴って良いか?」
「…いいぞ」
それを聞いた瞬間。
「ゴメンね」
京楽は逃げた。
脱兎の如き瞬足であり、あっという間に教室の外へと脱走した。
「うっはっはっはぁ!逃がすかあ!」
それを信長は刀を抜き、笑いながら追いかけて行った。
残されたのは、浮竹ひとり。
「やれやれ、先が思いやられるな。ケフッ」
初日からこんなことが起こり、浮竹は吐血するのだった。
その後、担任である山本元柳斎にこっぴどく叱られ、京楽は飯抜きにされたそうな。
【織田信長】
叱れはしなかったが、多くの学生から初対面なのにちょっと引かれた。悲しみ。