ティッシュも上昇して周囲を観察する。
「・・・酷いな」
ガンプラは自分の思い描く最強の機体などであるが故にその思いが反映される。
しかし、一方的過ぎる蹂躙を前にティッシュは言葉を失った。
確かに自分の好きを表現したガンプラなのかも知れない。しかし、その圧倒的な力の前に想いを籠めたガンプラが無慈悲に破壊されるのは憤りを感じた。
圧倒的な力の暴力・・・それに対して、ティッシュは怒りの感情を覚えていた。
──そんなティッシュのレーダーに何かが表示される。
モニターを拡大するとTRー6をベースにしたガンプラが漂っていた。
「・・・新手の敵?──此方に交戦の意図はありませんわ」
「安心して下さい。危害を加えるつもりはありません」
ティッシュはそう言ってTRー6を観察する。
ハイゼンスレイⅡの頭部に背中のブースターも無事そうだが、武装らしい武装はない。
「レイドボスとバトルして武装を使い切ってしまったんですか?」
「いえ・・・その、このアナザースカイは元々、非武装でして」
「え?元から武装がないんですか?」
「ええ。私はただ、この空を飛びたかっただけですから」
相手がそう言うとティッシュは目の前のTRー6の改造ガンプラの持ち主が目当ての人間だと確信する。
「ひょっとして貴女が大空アカリさんですか?」
「ひぇっ!何故、私の名前を!?」
「えっと、人探しを頼まれていまして──ああっと警戒はしないで下さい。
先程も言いましたが、此方が危害を加えるつもりはありませんので」
ティッシュはなるべく、相手を刺激しないように言葉を選びながら質問する。
「あの、どうして非武装なのにバトルフィールドへ?」
「来たくて来た訳ではありませんわ。あのレイドボスがこの隣のフィールドで現れて、それからずっと狙われてしまいまして。
振り切る為に逃げていたのですが、こうなってしまったのです。本当にいつも、こうなんですから」
「なるほど。では、噂になっているフォースの嫌がらせとか、そんな理由ではなく、単に逃げていたら、こうなってしまったと?」
「ちょっ──なんですか、その噂!?
嫌がらせとか、そんな理由では断じて、ありません!?」
その言葉をティッシュは信じる事にした。
直感だが、相手が嘘を言っているようには思えなかったし、何よりもこんな圧倒的な力を誇示するバトルよりも空を飛びたいと言うだけの想いで籠められたガンプラの方がティッシュにはよっぽど、ロマンを感じさせるのであった。
「わかりました。信じます、その話」
「・・・信じてくださるのですか?」
「空を飛びたいから想いを籠めたガンプラ・・・良いと思います。
ガンプラが自由ならGBNの中でどんな事をしたって自由だと思うんです。
何よりもこんな風に力を誇示するだけの戦いよりもよっぽど夢が詰まっていると思います」
「・・・そんな事を言われたの初めてかも知れませんね」
「ただ、そうですね──空を飛んでいるだけだとやっぱり、色んな人から狙われると思います。
今度から何かあったら助けを呼んで下さい。出来る限り、助けに向かいますから」
「戦え──とは言わないんですね?」
「だって、純粋に空を飛びたいから作ったんですよね?──なら、それで良いじゃないですか?・・・アカリさんの夢はアカリさんの夢なんですから」
ティッシュはそう告げるとアナザースカイから離れる。
「俺が時間を稼ぎます。その間にアカリさんはこのバトルエリアから離脱して下さい」
「・・・あなた、名前は?」
「ティッシュです。まだまだガンプラ初心者ですが、やれるだけの事はやって見ます」
ティッシュは覚悟を決めるとガンダム・ナインボール・ルシファーに向かって飛んで行く。
「あんな風に思いを受け止めてくれる人もいるなんて・・・GBNも捨てたものではないわね」
大空アカリは独り、そう呟くとバトルエリアから離脱を開始する。
かなり前に投稿したものをサルベージ。いまからでも読者参加型にするか悩みまする。
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いまからでも参加するよ
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今更、更新されても