ガンダムビルドダイバーズー衝撃のZakuー   作:陰猫(改)

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第4話【撤退戦・3】

「なにしているの、ティッシュさん!戻って!?」

「時間を稼ぎます!多分、少しは逃げる時間を維持出来る筈です!その間にサクラさん達も離脱を!」

「人柱になるつもり!?──馬鹿!本当に馬鹿!!」

 

 サクラは頭をガシガシ掻いてから一息吐くと周囲に呼び掛ける。

 

「・・・スモークやジャミングの類いを持っているダイバーは他に誰かいるか?」

「あ、はい。俺が持ってます」

「他には──いないか。もしくは既に戦線を離脱したか、撃破されたか」

 

 サクラはそう呟くとキッとガンダム・ナインボール・ルシファーを睨む。

 

「ティッシュさんのザクを支援する。可能な限り、全員が離脱する事で今回のレイドボスバトルは初めて我々の勝利となる。

 無論、実際のポイントなどにはカウントされないが、これは元々、イレギュラーな事態だ。

 早期対策の為にも我々は情報を持ち帰る義務がある。

 その後、今回のレイドボスバトルは情報伝達後、各フォースが集結し、改めてレイドボスバトルを開始する──以上。質問等がなければ、今作戦を実行する」

 

 サクラはあっという間に場を仕切ると残存するダイバーの撤退作戦を開始する。

 

 ───

 

 ──

 

 ─

 

 ファングとビットの中を掻い潜りながら突っ込むなど、ティッシュに出来る芸当ではなかった。

 そもそも、ティッシュにとってビットを相手にした事がなかった。つまり、完全な初見である。

 そんなティッシュにガンダム・ナインボール・ルシファーは容赦する事はなかった。

 

 ファングによる串刺し、背面のブースターの破壊──全てはほぼ、一瞬の出来事であった。

 自分のガンプラなら機動性を生かせば、撹乱くらいは出来ると思っていた。

 しかし、ティッシュの読みは完全に外れた。

 

 それでもティッシュは諦めない。

 レッドアラームが鳴り響き、警告サインが次々と表示される中、ティッシュはなんとかザクを動かし、バズーカの照準を合わせ、発射する。

 

 しかし、そのバズーカの弾丸すらもファングで相殺され、ガンダム・ナインボール・ルシファーには傷一つ付けられなかった。

 

「その程度の攻撃で私を倒せるとでも?」

 

 相手が挑発するような言動を聞きながらティッシュのザクは真っ逆さまに落ちて行く。

 

「通用しないのは解っている・・・けれども、そんな皆の好きを否定するようなガンプラに負けられない!」

 

 ティッシュは地面に激突しながらも続けた。

 最早、ザクに動くだけのエネルギーは残っていない。

 幸い、爆発こそ、しなかったが相手の神経を逆撫でするには十分であった。

 

「ガンプラは自由だ。でも、他の人の自由まで奪うのは間違っている。

 あなたのガンプラはただ強いだけで自分を誇示したいだけのガンプラだ」

「知った口を!ガンプラが自由なのなら私がどんなガンプラを作ろうが勝手でしょ!」

「ええ。確かにそうです。でも、それはガンプラが凄いだけで貴方が凄い訳じゃない。

 貴方は自分のガンプラの強さに酔っているだけの悲しい人だ」

「・・・気が変わったわ。ただの雑魚だから見逃すつもりでいたけれども、貴方はここで始末する」

「・・・」

「《NTーD》起動」

 

 そう言ってガンダム・ナインボール・ルシファーが輝きだし、禍々しいオーラを放ち出す。

 そんな中、ガンダム・ナインボール・ルシファーのダイバーであるルシフが見たのはティッシュのガンプラへの思いであった。

 喜び、悔しさ、怒り──そして、夢。

 

 その中の一つにルシフのガンプラを否定する事への躊躇いも感じ、感情を共有していたルシフにも迷いが生まれる。

 

 刹那、二方向からビームが放たれる。

 それは直撃こそしなかったが、ティッシュを狙うルシフを困惑させるには十分であった。

 それと同時にガンダム・ナインボール・ルシファーの周囲を煙が覆う。

 

「スモーク散布!総員撤退!急げ!」

 

 音声を拾い、ファングを飛ばすもそこにはビッグガンがあるだけで周囲には誰もいなかった。

 気が付けば、自分を迷わせるあのザクの姿もなかった。

 

「・・・あのザクのパイロット・・・面白いわね」

 

 誰に呟くでもなく、セラフは独り、ポツンと呟く。

 逃げる相手を追う気にはなれなかった。これもザクの影響なのかは定かでないが、興味を持つには十分過ぎる理由であった。

 

 ───

 

 ──

 

 ─

 

「ゲンさん、ありがとうございます。お蔭で助かりました」

「良いって事よ。だが、そのザクはボロボロだな」

「ええ。俺がもっと上手く乗りこなしていたら・・・」

 

 そんな風に前向きな考えのティッシュにサクラはため息を吐く。

 

「あのね。初見のビット相手に無策で突っ込んだら、普通に撃墜されるから。寧ろ、そのダメージで稼働出来るだけ、まだマシですよ。それよりも、あの言いくるめで相手がよくキレないかの方が冷や冷やしたわ」

「ははは・・・すみません」

 

 ティッシュはサクラに謝ると苦笑した。

 かくて、ガンダム・ナインボール・ルシファーからの撤退戦は作戦通りに上手くいったのであった。

かなり前に投稿したものをサルベージ。いまからでも読者参加型にするか悩みまする。

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