撤退戦後、サクラは改めて今回の一件をアタリメに報告する。
「──と言う訳です、アタリメさん」
『そうか。相変わらず、坊主は無茶しやがるな』
「そうですね。あの真っ直ぐさは武器であると同時に弱点であるとも言えますね」
『悪いが、今後も坊主を支えてやってくれ』
「それはご自身でされた方が良いのでは?」
『自分の可能性って奴を確かめてみたくなっちまったんだよ。あの時の感触を忘れたくなくてな』
「だから、トレーニングモードで特訓中だと?
ランキングも2000番台から更に上位にランクインしそうなのも勢いでしたね?」
『鉄は熱い内に打てって奴だ。いまの熱いもんを忘れる前にもっと上を目指したくてよぉ』
「それもティッシュさんの影響ですか?」
『かも知れねえな。だからよ、俺が不在の間、坊主を頼めねえか?』
「仕方ありませんねえ。今回の件は貸しですよ」
『ああ。いつか、オフ会でもあった時に一本付けてやるからな』
「そのいつかがいつになるか解りませんけれどね?──アタリメさんくらいですよ。カマ掛けてネカマだってバレたの」
『俺もネット界隈が長いからな。まあ、オフで会うと色々と困るのはお互い様だろ?』
「まあ、確かにそれは否定出来ませんけれどね」
サクラはアタリメとお互いに笑い合うとメッセージ通知を確信する。
「──っと宅配が来るらしいので今回はこれで」
『おう。またな──坊主の事、頼んだぞ』
サクラはそこで通話を切ると一息吐く。
(ティッシュさんを頼む、か・・・彼の性格と戦術に合わせるのなら、必然的にいまのガンプラではやや呼吸を合わせ難いな。それにまたレイドボス戦になった時、指揮をする人間が不在の時は私が今回みたく、指揮系統を組み込む必要がありそうだ──となるとやはり、支援系統を強化する必要はあるな)
サクラは独り、ティッシュの数少ないバトルの動画を確認しながら戦術と最適なガンプラを考え込む。
(よし。ティッシュさんの成長過程を踏まえ、いまのイメージしたガンプラを試すか・・・)
サクラは納得したように頷くとログアウトし、イメージを模したガンプラ作りに取り掛かる。
───
──
─
「それじゃあ、フォースの嫌がらせ関連はガセだったんだな?」
「ええ。そうなります。アカリさんはただ、ひたすら空を夢見る人でした」
同じ頃、ティッシュは格納庫でゲンと大空アカリについての会話をしていた。
ゲンはシン・アスカに似たその顔で考え込むとティッシュに口を開く。
「──とは言え、バトル中のフライト関連は知らない連中からしたら問題になるだろう。護衛の一人くらいは必要だな」
「アカリさんと約束した以上、俺が護衛役を引き受けます」
「その時は俺にも一声くれ、ティッシュさん。いつでもって訳じゃないが、元は俺が依頼した事に巻き込んだようなものだしな。少なくともティッシュさんよりはガンプラバトルの経験回数は多いからバトル関連の緊急事態になったら助けに向かうよ」
「ありがとうございます。その時は力を借りると思いますが、宜しくお願いします」
ティッシュはゲンに頭を下げるとゲンは照れ臭そうに頭を掻く。
「まあ、色々あったが、結果オーライって感じか・・・問題は俺達が良いけれども、当の本人がなあ」
「そうですね。バトルフィールドでのやり取りですからフレンド登録どころではなかったですから」
そんな事を話しているとティッシュのメッセージ通話に大空アカリから通知が届く。
「あれ?アカリさんから通知が・・・でも、どうやって?」
そこでふと、ティッシュは自分が大空アカリを探す為にカウンターを利用した事を思い出す。
「もしかして、個人アバターを検索した履歴で此方に気付いたのかな?」
「ああ。成る程──なら、アカリさんとさっきの話を相談するのは可能そうだな。とりあえず、あとは任せたから。
俺はさっきのレイドボスについて、所属フォースに掛け合って見るよ」
「わかりました。とりあえず、お互いにフレンド登録をしておきましょう」
「オッケー。改めて宜しくな、ティッシュさん」
「こちらこそ、宜しくお願いします、ゲンさん」
二人は握手してから、お互いのすべき事をする為にロビーへと移動する。
───
──
─
「まさか、あんなレイドボスが現れると思っても見なかったわ」
同時刻、金髪のポニーテールを揺らめかせながらささらは別の格納庫で自分のガンプラを見据えながら独り呟く。圧倒的な力の誇示したガンプラ──名前も知らぬあのザクの乗り手であるダイバーはその存在に否定的であったが、彼女はあの圧倒的な力を持つガンプラに魅了されていた。
「・・・次は私が勝つ。どちらの技量が上かを思い知らせてから今度こそ、完膚なきまでに叩く。
その為にもガンプラをもっと改造しなきゃな。
私があんなザクごときの技量の持ち主に魅力で負けるとか許さない。
それをあのレイドボスに思い知らせてやるわ」
誰に言う訳でもなく、ささらは誓いを立てるとアイスブルーとヘテロクロミアのオッドアイを輝かせながら不敵な笑みを浮かべるのであった。
「・・・あのレイドボスは私の獲物よ」
──斯くて運命の歯車は回り出すのであった。
かなり前に投稿したものをサルベージ。いまからでも読者参加型にするか悩みまする。
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いまからでも参加するよ
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今更、更新されても