ガンダムビルドダイバーズー衝撃のZakuー   作:陰猫(改)

5 / 34
第4話【リトライ】

 岩戸は久々にGBNにログインしてティッシュと云うダイバーになると早速、カウンターに行き、チュートリアルをリトライする。

 

「ティッシュ!行きま・・・ああぁぁーーっっ!!」

 

 ティッシュは出撃と同時に前回とは比較的にならないGを体感し、そのスピードについて行けず、掛け声が中途半端になってしまう。

 それほど、今回、心血を注いだガンプラの出来を誉めたかったが、いざ操作してみるとそれどころではない。

 トランザム以上の速さを持つ機体速度となると操作も前回と違い、極端に難しくなる。

 

 これでまだフルスロットルどころか通常速度なのだから、尚更、ティッシュは自分の作ったガンプラの凄さを改めて痛感する。

 そして、そのピーキーさに。

 

「あ、やばっ・・・コントロールが・・・」

 

 不規則な軌道を描きながらティッシュは目的地であるチュートリアルエリアへ行くどころか、自分から地面に激突し、そのままブースターのなすがままにされて、木々を何本も吹き飛ばしながら前進して行く。

 

「と、止まれええぇぇーーっっ!!」

 

 そんなティッシュの願いも空しく、ティッシュはチュートリアルエリアとは別の方角にある山に頭から突っ込み、そのまま、何も出来ずにリタイアとなる。

 

「・・・い、生きた心地がしない」

「おいおい、大丈夫か、坊主?」

 

 戻って来たティッシュがぼやくとその声を拾った人物がいた。

 ダイバーの人はみんな、優しいんだなと思いつつ、ティッシュは声の主に振り返る。

 その人物はどう見ても中年の男性だったが、ティッシュはこんなアバターを使う人もいるのか程度に考える。

 

「大丈夫・・・ではないですね」

「だろうな。少し見物させて貰ったが技術云々の問題だ。

 お前さんのガンプラは初心者向けの機体じゃねえよ。

 まあ、それだけ、ビルダーとして見込みがあるって事だがな」

「あの、貴方は?」

「あー。やめろやめろ。

 まずはそのスタイルから改めて置け」

「ーーと云うと?」

 

 その人物は「本当に何も知らないんだな?」と洩らし、ティッシュから周囲に目を配る。

 

「ここにいる奴の大半はバトル目当てのダイバーだ。

 そんな奴等の中には初心者からポイントを稼ごうってダイバーもいる。

 そう言った奴等に目を付けられたら、坊主みたいな奴は格好の餌食だ。せめて、もっと強気でいな」

「そうなんですか?」

「そこは『そうなのか?』って言うところだ。

 悪目立ちせず、そこそこ強き程度なら餌になりにくいから、言葉は選んでおけ」

「成る程。わかりましーーわかったぜ」

 

 ティッシュが言葉を選びながら頷くとその男性は「その調子だ」と頷き返す。

 

「俺については・・・まあ、おっさんとでも呼んでくれ。

 どうせ、坊主はランキングとかに興味ない口だろ?」

「え?なんで解るんでーー解るんだ?」

「俺も色んな奴を見て来たからな。

 坊主のアバターを見りゃあ、情熱が違うベクトル向いているのが、一目で解るさ。

 有名になろうって奴はアバターにも、こだわりを持つもんだ」

 

 ティッシュは自称・おっさんを名乗る男性の言葉に納得すると男性は「まあ、習うより慣れだな」と呟く。

 

「初心者同士でバトルをしてコツを掴むってのも一つの手だ。

 マギーとかにも頼んで対戦相手を探してやるから、今の内にキャラ作りでもしておけ。

 この世界じゃ、自分を偽る事も必要だからな」

「ありがとうござーーありがとな、おっさん!」

「まあ、及第点だな。

 精々頑張れよ、坊主」

 

 男性はそう告げると手を振りながら去って行った。

 素直なティッシュは「よし!」と独り呟くとログアウトして早速、キャラ作りを開始する。

 

「姉さんーーあ、いや、姉ちゃん!こんな感じでどうだ!」

「粗野な感じがして岩戸を知っている私からすると新鮮よ。

 ワイルド感があって良いんじゃないかしら?」

「そ、そうかな?ーーじゃなくて、そうか!?そう言われると照れるぜ!!」

「ふふっ。頑張りなさいな、岩戸」

「そう言えば、姉ちゃんはまたGBNで遊ばないの?」

 

 そう問うと今までのほほんと見守っていたテラスの顔が曇る。

 そして、そんな表情を見せたくないかのようにそっぽを向いてしまう。

 

「私はいいの。またあんな思いしたくないし・・・」

 

 姉のそんな姿を見て、岩戸は無言で俯く。

 姉はかつて、マスダイバーに酷い仕打ちをされ、自身もそのマスダイバーの復讐の為に自らマスダイバーとなったと聞く。

 マスダイバーが何かも知らないし、自慢の姉が復讐する目的でマスダイバーと云うものになるなど岩戸には解らない事だらけである。

 それについて、姉のテラスは語ろうとしないし、目的を果たしたのか、それ以降は自身もGBNを引退していた。

 

 そんな姉を岩戸が放って置ける事はなく、ある事を思い付く。

 

「姉さんーーじゃなくて、姉ちゃん、今度のバトル見てくれよ!」

「え?」

「約束する!姉ちゃんの為にも今度のバトルは良い物にするからさ!」

 

 姉の返事を聞かず、岩戸は「それじゃあ、俺は準備があるから!」と言って自室に引きこもる。

 テラスはそんな岩戸の思いと復讐の為にマスダイバーとなった自身への葛藤に悩まされる。

 こんなに悩んだのは溺愛する弟がGBNをやりたいと言って来た時以来であろうか。

 

 そう思いながら、テラスは弟に答えるか、自身のケジメを守るかを悩み続け、しばらくの間、寝る事も出来なかった。

かなり前に投稿したものをサルベージ。いまからでも読者参加型にするか悩みまする。

  • いまからでも参加するよ
  • 今更、更新されても
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。