岩戸は久々にGBNにログインしてティッシュと云うダイバーになると早速、カウンターに行き、チュートリアルをリトライする。
「ティッシュ!行きま・・・ああぁぁーーっっ!!」
ティッシュは出撃と同時に前回とは比較的にならないGを体感し、そのスピードについて行けず、掛け声が中途半端になってしまう。
それほど、今回、心血を注いだガンプラの出来を誉めたかったが、いざ操作してみるとそれどころではない。
トランザム以上の速さを持つ機体速度となると操作も前回と違い、極端に難しくなる。
これでまだフルスロットルどころか通常速度なのだから、尚更、ティッシュは自分の作ったガンプラの凄さを改めて痛感する。
そして、そのピーキーさに。
「あ、やばっ・・・コントロールが・・・」
不規則な軌道を描きながらティッシュは目的地であるチュートリアルエリアへ行くどころか、自分から地面に激突し、そのままブースターのなすがままにされて、木々を何本も吹き飛ばしながら前進して行く。
「と、止まれええぇぇーーっっ!!」
そんなティッシュの願いも空しく、ティッシュはチュートリアルエリアとは別の方角にある山に頭から突っ込み、そのまま、何も出来ずにリタイアとなる。
「・・・い、生きた心地がしない」
「おいおい、大丈夫か、坊主?」
戻って来たティッシュがぼやくとその声を拾った人物がいた。
ダイバーの人はみんな、優しいんだなと思いつつ、ティッシュは声の主に振り返る。
その人物はどう見ても中年の男性だったが、ティッシュはこんなアバターを使う人もいるのか程度に考える。
「大丈夫・・・ではないですね」
「だろうな。少し見物させて貰ったが技術云々の問題だ。
お前さんのガンプラは初心者向けの機体じゃねえよ。
まあ、それだけ、ビルダーとして見込みがあるって事だがな」
「あの、貴方は?」
「あー。やめろやめろ。
まずはそのスタイルから改めて置け」
「ーーと云うと?」
その人物は「本当に何も知らないんだな?」と洩らし、ティッシュから周囲に目を配る。
「ここにいる奴の大半はバトル目当てのダイバーだ。
そんな奴等の中には初心者からポイントを稼ごうってダイバーもいる。
そう言った奴等に目を付けられたら、坊主みたいな奴は格好の餌食だ。せめて、もっと強気でいな」
「そうなんですか?」
「そこは『そうなのか?』って言うところだ。
悪目立ちせず、そこそこ強き程度なら餌になりにくいから、言葉は選んでおけ」
「成る程。わかりましーーわかったぜ」
ティッシュが言葉を選びながら頷くとその男性は「その調子だ」と頷き返す。
「俺については・・・まあ、おっさんとでも呼んでくれ。
どうせ、坊主はランキングとかに興味ない口だろ?」
「え?なんで解るんでーー解るんだ?」
「俺も色んな奴を見て来たからな。
坊主のアバターを見りゃあ、情熱が違うベクトル向いているのが、一目で解るさ。
有名になろうって奴はアバターにも、こだわりを持つもんだ」
ティッシュは自称・おっさんを名乗る男性の言葉に納得すると男性は「まあ、習うより慣れだな」と呟く。
「初心者同士でバトルをしてコツを掴むってのも一つの手だ。
マギーとかにも頼んで対戦相手を探してやるから、今の内にキャラ作りでもしておけ。
この世界じゃ、自分を偽る事も必要だからな」
「ありがとうござーーありがとな、おっさん!」
「まあ、及第点だな。
精々頑張れよ、坊主」
男性はそう告げると手を振りながら去って行った。
素直なティッシュは「よし!」と独り呟くとログアウトして早速、キャラ作りを開始する。
「姉さんーーあ、いや、姉ちゃん!こんな感じでどうだ!」
「粗野な感じがして岩戸を知っている私からすると新鮮よ。
ワイルド感があって良いんじゃないかしら?」
「そ、そうかな?ーーじゃなくて、そうか!?そう言われると照れるぜ!!」
「ふふっ。頑張りなさいな、岩戸」
「そう言えば、姉ちゃんはまたGBNで遊ばないの?」
そう問うと今までのほほんと見守っていたテラスの顔が曇る。
そして、そんな表情を見せたくないかのようにそっぽを向いてしまう。
「私はいいの。またあんな思いしたくないし・・・」
姉のそんな姿を見て、岩戸は無言で俯く。
姉はかつて、マスダイバーに酷い仕打ちをされ、自身もそのマスダイバーの復讐の為に自らマスダイバーとなったと聞く。
マスダイバーが何かも知らないし、自慢の姉が復讐する目的でマスダイバーと云うものになるなど岩戸には解らない事だらけである。
それについて、姉のテラスは語ろうとしないし、目的を果たしたのか、それ以降は自身もGBNを引退していた。
そんな姉を岩戸が放って置ける事はなく、ある事を思い付く。
「姉さんーーじゃなくて、姉ちゃん、今度のバトル見てくれよ!」
「え?」
「約束する!姉ちゃんの為にも今度のバトルは良い物にするからさ!」
姉の返事を聞かず、岩戸は「それじゃあ、俺は準備があるから!」と言って自室に引きこもる。
テラスはそんな岩戸の思いと復讐の為にマスダイバーとなった自身への葛藤に悩まされる。
こんなに悩んだのは溺愛する弟がGBNをやりたいと言って来た時以来であろうか。
そう思いながら、テラスは弟に答えるか、自身のケジメを守るかを悩み続け、しばらくの間、寝る事も出来なかった。
かなり前に投稿したものをサルベージ。いまからでも読者参加型にするか悩みまする。
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いまからでも参加するよ
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今更、更新されても