長き旅路にて臨むもの 作:【風車之愚者】
□■ プリコット・西門
互いに切り札を出したひよ蒟蒻とリップ。
戦闘は共倒れという形で幕を下ろす。
ただしそれは両者のデスペナルティを意味しない。
ひよ蒟蒻は空中でリップを抱きかかえ、落下の衝撃から彼女を守る。着地した後に文字通り地面へ倒れ伏すが、肉体は健在。そしてリップも死亡していない。無事と言って差し支えないだろう。
結果だけ見れば痛み分け、無効試合と呼ぶのが相応しい状態である。
ひよ蒟蒻はなけなしの気力を振り絞って体を起こす。
他人を刺したのはこれで二度目だった。
覚悟したとはいえ、トラウマは簡単に拭えないからこそ心の傷として抱えているのだ。
精神が酷く疲弊していた。今すぐにでも逃げ出してしまいたいくらいだった。しかし彼は責任感から、かろうじてログアウトを踏み止まる。
「こいつをこのままにはできない、よな」
傍らのリップは意識を失っているが、生きている。そのことにひよ蒟蒻は安堵した。
「……んぅ」
身じろぎしたリップの瞼が開いて、視線が交差した。
何が起こったのか理解が追いつかないままに彼女はぼんやりとひよ蒟蒻を見つめ、それから周囲、自身のステータス表示という順番に焦点を合わせる。
ごっそりと減少したHP。バーの端で点滅する
「っ」
「やらせるか馬鹿!」
リップが隠し持っていた魔力式銃器を自らのこめかみに当てるのと、ひよ蒟蒻が彼女の腕を押さえて銃を奪い取るのはほとんど同時だった。
「お前、いい加減にしろよ!? こっちがどんな思いになるかも知らないで、そうやって、……?」
ひよ蒟蒻は憤りのあまり口調を荒げるが、リップの顔を見た途端に言葉を失う。
リップは笑うことも、怒ることもせずにいた。ただ頬には涙が伝っていた。
「おい待て。ここで泣くのは、その、ずるいだろ」
予想外の反応にひよ蒟蒻はしどろもどろになる。
気の利いた発言ができず狼狽える彼を、リップは静かに問い詰める。
「……どうして? ここまでしても駄目ですか? 今度こそと思ったのに、やっとあなたさまがその気になってくれたと思ったのに。こんな生殺しで済ませるだなんて」
リップの【カローン】は必ず相手を道連れにする。
だが、そもそもリップが死亡しないとスキルは効果を発揮しないのである。
ここで二人が生きているのは、つまりひよ蒟蒻がリップを殺していないという証左に他ならない。
たった1残ったHP。致命攻撃を受けても数秒の間生存する【殿兵】の《ラスト・スタンド》に酷似しているが、リップは該当ジョブを取得していない。
食いしばりではない。では偶然にも体力が残った?
否、無防備な急所に直撃を受けて生き延びるほどリップの防御力は高くない。
だから、ひよ蒟蒻に原因があると考えるのは自然なこと。そしてリップの推測は当たっている。
《
それは装備状態のフルンティングから手を離し、破壊することで発動する。
<エンブリオ>破壊後の初撃に限り、相手のHPを超過するダメージを与えても必ずHPを1残す慈悲の刃。
“
それでも相手を瀕死に追い込むことに変わりはない。付随する衝撃は確実に意識を刈り取り、気絶させる。
即ち、殺さずの活人剣でありながら相手を決して活かすことはない殺人刀。
故に、ひよ蒟蒻の通り名は“不殺”では足りない。
“不活不殺”こそ彼の本領にして本質。
そのどっちつかずな在り方では、リップは救われない。
「何故わたくしを殺してくださらないのですか? あなたさまの方こそ、わたくしがどんな気持ちになるか考えたことはありますか?」
「それは……」
「あなたさまは他の人と違うと思いました。わたくしの望みを叶えてくれる特別だと信じたかった。約束は破るし、つれない態度ばかりでしたけれど。最後はいつも、わたくしのところへ来てくれましたもの」
「なんだよ、それ。全然大したことじゃないだろう。そんなことで……たったそれだけで? 俺はただ、傷つく人を見たくなかっただけなのに」
「ええ。それでも夢を見たのです」
淡い色彩の夢物語。
現実の辛苦に終止符を打つのは望むべくもない。
だけど造り物の世界なら、仮初の生くらいは、自分の好きなように終わらせたいと少女は願った。
「けれど違った」
彼女が求めたのは愛しい死神。
しかし、彼はそうではない。
「殺してくれるなら誰でもいい、なんて節操のないことを思ってしまったせいでしょうか。きっと天罰ですわね」
ようやく掴みかけた光明だった。
ひよ蒟蒻に貫かれた瞬間、リップは積年の望みが実現したと錯覚して……残酷にも裏切られた。
これまでトラウマからひよ蒟蒻が使うことの無かった、誰も知らなかった必殺スキルは、リップを夢から現実に引き戻したのだ。
「自業自得だとしても、あなたさまを恨みます。わたくしを傷つけたくないと仰るなら、このようなことをなさらずに――夢を、夢のままにさせてほしかった」
リップは意図的に言葉を選んでひよ蒟蒻を非難する。心中することが叶わないなら、せめて心に癒えない傷を刻んでやろうと自暴自棄になって。
ひよ蒟蒻は一言一句を噛み締め、受け止める。
「お前の心を傷つけてすまない。その責任を取ることは多分できない。でも、俺はお前を殺せない。死なせられない。本当は剣を向けるのだって怖かったんだ」
「許しません」
「お前の特別になれなくてすまない」
「許しませんわ」
「デートを抜け出したことも悪かった」
「それは絶対に許しません」
「……ひとつ、聞いていいか?」
「……」
リップの沈黙をひよ蒟蒻は肯定と取って、
「どうして殺すことが愛なんだ?」
ずっと抱えていた疑問を尋ねる。
「どうして、とは」
「ああ、いや、別に馬鹿にしてるとかそういうのじゃない。純粋に分からないんだよ。普通はその二つをイコールで結びつけたりしないと思うから」
「普通」という単語を聞いたリップは鼻で笑う。
ひよ蒟蒻の発想は恵まれた人のそれだと感じたからだ。
やはり理解されないと悲嘆にくれて、ならばいっそ洗いざらい吐き出してしまおうと開き直る。
「現実のわたくしは不治の病に侵されています」
リップは傷口の上から心臓に両手を重ねた。
「一日中ベッドで寝たきりの生活です。何をするにも誰かの手を借りなくてはならない。苦しいばかりの日々。わたくしは生きることにほとほと嫌気が差しました」
ひよ蒟蒻の表情が歪んでいく様をいい気味だと横目で眺めながら、リップは話を続ける。
「なので主治医に治療を止めるように頼みました。そうしたら……なんと言われたかお分かりになりますか?」
「いつか治療法が見つかるかもしれない、とか」
リップはゆっくりと首を横に振った。
「正解はこうです。『君のお父上に頂いた治療費の分は、我々も手を施す義務がある』」
「ッ!」
「こうも言われましたわね。『唯一のご息女に亡くなられては血が途絶えてしまうだろう。お父上もそれを危惧されるはずだ』と」
「……実際に言ってたのか?」
「父は病室に姿を見せすらしません。母は何も言いませんが、きっと内心ではわたくしに呆れています。男に生まれず、丈夫な子を成すこともできないと」
そんなことはないと否定しかけたひよ蒟蒻は、しかし自らの境遇を踏まえ、投げかける言葉が気休めにもならないと思って口をつぐむ。
それに気づかないリップは乾いた声音で答えを返す。
「ええ、それはどうでもいいのです。どうあれ彼らはわたくしの願いを蔑ろにした。本当にわたくしを愛していたら、この願いを尊重してくれるでしょう。これ以上苦しむことのないように」
少女にとって真実はさほど重要ではない。
重視したのは両親が何を考えているかより、これまで彼女に何をしてきたかということ。
愛を望みながら、想いではなく行為を拠り所にして少女は論理を築き上げた。リップの仮面を作り上げた。
「楽になりたい、と……」
「仰りたいことはわかります。けれど、これがわたくしなのです。間違っていてもこの考えに縋ったのですわ」
初めから歪んでいることをリップは自覚しているがために、誰も彼女を否定できない。というよりも否定したところで届かないのでは意味がない。
耳を貸さない相手に言葉を紡いでも仕方ない。諦めて、静かに距離を取る……リップと向き合った多くの者が取った選択だ。
「なら、縋るのを止めればいい」
ひよ蒟蒻はそうしなかった。
普段の彼なら沈黙するだろう。必要以上に他人を傷つけることを恐れて慎重に言葉を仕舞ったはすだ。
だが、今の彼は荒んでいた。ここまで来ればいっそ自棄だと、後先考えずにリップの誤ちを指摘する。
「今のを聞いて納得がいった。無神経な言い方だけどさ、お前おかしいよ」
「ですからっ。それはわかっています!」
「いいや、お前は自分のことを理解できてない」
言葉が紡がれる。
必死に、浮かぶままに投げかけられた思いが。
「現実の事情に関しては何も言わない。でも、目の前にいるリップのことなら俺も少しは知っている。その上で言わせてもらうと、やっぱりお前は
「何、ですって?」
「殺してくれるなら誰でもいい。必ずそばに来てくれたから『特別』だと思った。お前が言ったこの二つは嘘じゃない。でも矛盾はしていない。違うか?」
「違います、大間違いですわ! たしかに嘘ではありませんが……それではどちらかが成立しません!」
「お前の理屈を全否定するつもりはない。殺すことが愛だと解釈してもいい。でも、一対一で結びつけるのはおかしい。愛の形なんて人それぞれじゃないのか? 同じ人間でも、時と場合と相手によって変わるだろう」
「っ、ええ! 仮にそうだと致しましょう! けれどわたくしにとって愛の答えはただひとつなのです! そうとしかあり得ないのです!」
「殺して楽にしてほしい、自分を認めて尊重してもらいたいって気持ち。誰かにそばにいてほしい、愛してもらいたいって気持ち。別々に持ってていいんだよ。無理に一緒くたにする必要はどこにもないだろ」
「です、が……」
遠慮をかなぐり捨てた本音がぶつかり合う。
これまでリップに本気で語りかけ、胸の内を受け止める者はいなかった。
余人では決して届かなかっただろう。
今この時、彼だからこそ少女の心は揺れたのだ。
「……なら、この感情は……いいえ、いいえ! だって、あの時は……」
「あの時? ああ、もしかして洋菓子店の」
ステラの薔薇事件。
自らも引っかかっていた事柄ゆえに、ひよ蒟蒻はリップの言わんとするところをすぐに察した。
「てっきり怒ってたのかと思ったんだが」
「は?」
「あれ違う!? いやほら、その、嫉妬っていうとなんか自意識過剰みたくなるけども。あの様子をどう表現したら……そう! お気に入りのオモチャを取られそうになって抵抗する子どもみたい、な……」
口にしてから、例えが少女に相応しいとはいえないことに気がついてその声は尻すぼみになる。
顔を青くして様子を窺うひよ蒟蒻だったが、当のリップはきょとんと首を傾げ、それから小さく吹き出した。
「ふ、ふふっ、あははははははは!」
「あのー、リップさん?」
「ふふ……失礼致しました。あなたさまはお気になさらずとも結構ですわ。万事解決ですので」
「いや、うん。なら良いんだけどな。でもまだ問題は山積みだったりするわけで」
リップは戦意喪失して、アンデッドは行動不能。
しかし戦闘の被害は甚大だ。ひよ蒟蒻は生存者の捜索、死傷者の確認、門の修理にと走り回ることになる。
犯人のリップはお咎めなしで済まされないだろう。
西門だけでもこれだけの後始末が必要だ。
これは東門についても言えること。
プリコットを襲う小鬼の<UBM>。
ヘイゼルの敗北は想像しがたいが、万が一の場合は自分が打って出るしかないとひよ蒟蒻は考えていた。
そのとき――東門から爆炎が上がった。
「何だ!?」
とてつもない轟音が大地を震わせ、すわ何事かとひよ蒟蒻はそちらに気を取られる。
爆発はX・プロードの必殺スキルによるものだが、彼にはそれを知る術がない。
防衛戦力の全滅、という最悪の可能性を想像したひよ蒟蒻は東門へ駆け出そうとして、
「《千歳荊棘》」
茨に足を絡め取られて膝をついた。
行き手を遮るように急成長した茨は彼を囲い、触れる棘が脱出するための力を奪っていく。
(【衰弱】に【麻痺】!? 【睡眠】はレジストできたが……これはあいつの特典武具……ッ!)
「何のつもりだリップ!?」
「クフ……クフフフフフフフフフフフフフ!」
漆黒のゴシック&ロリータドレスの裾をつまみ、くるりと一回転したリップはケタケタと笑う。
「ええ、ええ! 逃がしませんわ、あなたさま。先に今日の埋め合わせをしていただきませんと」
彼女は小さな白い花を手に近づいて、ひよ蒟蒻の口にそれを突っ込んだ。
「ムぐっ……苦ぁ!?」
「
次の瞬間、ひよ蒟蒻の【ブローチ】が砕けた。
「即死毒……? おま、何てものを」
ひよ蒟蒻が文句の続きを口にすることはなかった。
なぜなら、その口が塞がれたからである。
一秒にも永遠にも感じられる時間が過ぎて、ようやく二人の身体が離れた。
リップは艶かしく舌を出して、それから自分がした行為に思いを馳せるかのごとく、唇を指でなぞる。
「……? ……!?」
「くふふ。驚くのも無理はありませんわ。ですが、悪いのはあなたさまです」
憑き物が落ちたような、晴れやかな乙女の笑顔と。
彼女の背後で咲き誇る“漆黒の薔薇”を目にして。
「これまでも、これからも。ずっと、ずうっと、お慕いしております。たとえ――」
――死が、ふたりを分かつとも。
そして、ひよ蒟蒻はデスペナルティになった。
Episode End
◇◆◇
□現実・地球
ひよ蒟蒻こと榊恭介の朝は早い。
居候中の身である彼は、同居人の叔母の負担を軽減するためにできる限りの家事を請け負っているからだ。
特に大学が冬期休業中の今は、仕事で忙しい叔母に代わって恭介がすべてを取り仕切っている。
朝食を用意する中、ぼんやりと考え事をしていると……自ずと<Infinite Dendrogram>のことを思い出してしまう。
プリコットの戦闘から早三日。
恭介はあれからデンドロにログインしていない。というよりも、できなかったという表現が正確か。
デスペナルティになった直後は混乱で意識する間もなかったが、冷静になってしまうと、人を刺した感触がはっきり手に残っており、忘れようとしてもまざまざと少女の死体が目に浮かんだ。
一日部屋で寝込み、叔母に心配をかけてしまったのは不覚である。
「早く戻らないとな」
プリコットの街を長期間不在にはできない。
静養に努めたおかげで心身は回復に向かっている。今日はログインできそうだ、とため息を吐いた。
ちょうど下拵えを済ませ、調理に取り掛かろうとした段階で呼び鈴が鳴る。
「誰だ? こんな時間に」
恭介は火を止めて玄関に向かう。
覗き穴から外を見ても訪問者の姿はない。
不審に思い、防犯用のチェーンをかけてからドアノブに手をかけた瞬間。
『Guten Morgen!』
ものすごい勢いで扉がぶち壊された。
「……は?」
チェーンは断たれ、鍵は破壊され、蝶番が外れ。
くの字に曲がった扉は室内まで吹き飛ぶ。かろうじて身を捻らなかったら恭介は大怪我をしていたに違いない。
「何事ドラー!? って、なんじゃこりゃあ!?」
叔母の一条茜が寝室から飛び出し、目を丸くする中。
『ちょーっと眠っていてもらうぜ?』
投げ込まれた手榴弾から極彩色の煙が噴出し、部屋中に催眠ガスが蔓延する。
朦朧とする視界。恭介はガスマスクを装備した黒服二人に抱えられたところで意識を失った。
「で、目が覚めたら空港ってどういうことだよ」
事態が把握できず、恭介は困惑気味にコーヒーを啜る。
空港内の飲食チェーン店。
それだけならまだ「そういうこともあるか」と前向きに考えられる(考えられない)。
だが、席の周囲を取り囲む黒服サングラスの巨漢たちと、他に客の姿が見えないことは普通ではない。
とりわけ、恭介の向かいに座る相手は異様だ。
近未来的な仮面で顔を隠し、情報端末を弄る男性。
彼の背後には最も腕が立つと思われる黒服が二人。
そして高級ブランドのスーツを着た秘書が控えている。
間違いなく、仮面の男が彼らの雇い主(?)。
『いやあ、手荒な方法を取ってごめんねえ』
「え、まさか、グリオマンP?」
『Ja! 大正解だぜ、ひよ蒟蒻くん』
グリオマンP……現実ではいくつもの大企業を傘下に抱える財閥のCEOは秘書の耳打ちに頷き、立ち上がる。
『さて、コーヒーは飲み終えたかい? まだ? ならそのままテイクアウトしよう。なあに、安心するといい。カップのひとつやふたつ、僕からしたらはした金さ』
「ちょっと待て。俺をどこに連れて行く気だよ」
『彼女が君に会いたがっている』
「へ?」
『詳しい説明は後だ。それじゃ行こうか』
恭介は黒服に押されてグリオマンPに続く。
『あ、そうそう。ようこそオランダへ』
「ここ日本じゃないの!?」
『看板が日本語じゃない時点で察してほしいものだけどねえ。もしかして空港は初めて? 海外旅行とか行ったことない?』
◇
『で、<UBM>は無事討伐。死者はゼロ。報告はこんなところかな。ところで君、約束忘れているだろう。【榛】と【薊】はいつになったら渡してくれるんだい』
「……え? ああ、うん。聞いてるよ」
『聞いてないねえ。まあいいさ』
行き先も告げられないままリムジンに乗せられた恭介。
心ここに在らずの状態で適当に相槌を打っていると、グリオマンPから本題を切り出された。
『さて、何から伝えたものかな。僕がR・I・Pの父親と懇意にしていることは話したっけ? 彼には恩があってね。今回、君の拉致を引き受けたというわけさ』
「全部初耳なんだが。身代金でも取られるのか」
『あっはっは。面白い冗談だねえ。そんなのコストとリターンが釣り合わないでしょ』
恭介は半分本気だったので笑うどころではない。
ただグリオマンPにとってはリスクを度外視できる戯れという時点でジョークに成り下がる。
しかし、お互いに世間話に花を咲かせるつもりは毛頭なかった。
『君の知らない話をしようか。これは生きる屍のようだった、一人の少女の後日談だ』
「聞かせてくれ」
『ある日を境に少女は変わった。死を待つだけだった彼女は、生きる気力を取り戻した。より正確には「死ぬために生きる」という心持ちかな。少女は夢の名残りに縋ることを決めた』
「……」
『それからすぐに両親と医者たちを相手に大立ち回りを演じてねえ。いやあ、本当に傑作だよ!』
「それで?」
『本心をぶつけ合い、少女と家族の溝は少し埋まった。ついでに、腕は良いが人格に難ありな主治医は弾劾されてお役御免。理解のある名医をこちらで斡旋したよ』
僕あのハゲタヌキ嫌いだったんだよねえザマあみろ、とのたまったグリオマンPはパンと手を叩いた。
『ま、つまりはきっと大団円というやつさ。……ただ一つ問題があるとすれば、彼女の寿命についてだ』
薄々予想していた言葉に恭介は身を乗り出す。
『悔いを残したくないという可愛い娘のおねだり、応えてやりたくなるのは父親の性なんだろうね。それがどこの馬の骨とも知れない男だとしても』
「だから俺を連れてきたのか。……いまさらリアル割れどうこうは聞かないけど、もう少し穏便にできただろ」
『下準備に思ったより手間がかかったのと、君の保護者の説得が面倒でねえ。時間との勝負だったから』
リムジンが速度を落として停車する。
窓の外には象牙色の建物。恭介では看板に書かれた文字を読めないが、赤十字が施設の役割を表している。
『これを見せれば顔パスで案内してもらえるはずだ』
ネックホルダー付きの許可証が恭介に手渡される。
グリオマンPは恭介の背中を足蹴にし(たがびくともせず、結局SPの手を借り)て車内から押し出した。
『やりたいことはできるうちにやっておくべきだよ。終わりはいつも唐突に訪れるものだから』
「……ああ。ありがとう」
◇
その後。
「騙したなグリオ! 思わせぶりなこと言いやがって! あいつピンピンしてるじゃないか!」
『え? 嘘は吐いてないよ。人間なんて誰しも、いつ死ぬか分からないだろ?』
「お前は……! それに十四歳とか聞いてないぞ!? あいつアバターは俺より年上なのに!」
『いいじゃん。君タイプでしょ、年下』
「ロリコンじゃないって言ってるだろぉ!? 四つ下とか妹と同じだわ! ネトゲ怖い!」
『……さては、その調子で騒いで追い出されたか。僕はてっきり、手を出して興奮させたのかと』
「す こ し だ ま れ」
こんな会話があったり、また一騒動が起きたりもしたのだが、それはまた別の話。
True End
(U・ω・U)<後半は筆が乗ったのでおまけ
(U・ω・U)<本編よりやさしめのギャグコメ風味となっております
余談というか今回の蛇足。
(U・ω・U)<本文で言及しきれなかったところ中心
【勇雄不断 フルンティング】
TYPE:エルダーアームズ 到達形態:Ⅵ
能力特性:非殺傷
モチーフ:古代イングランドの叙事詩『ベーオウルフ』に登場する剣“フルンティング”
備考:絶対に相手を倒せない<エンブリオ>。衝撃でノックバックや気絶させるのが主な使用法。
(U・ω・U)<必殺は致命攻撃にならない(必ず生き残る)ので【ブローチ】で防げない
(U・ω・U)<個人生存型含む一部の相手に有利。リップの他にエミリー、マニゴルドとか。スプとカルルは詳細が出てないからなんとも
(Є・◇・)<攻撃面の話で、相手も攻めてくること考えたら普通にやられますけどね
(U・ω・U)<あと攻撃力は攻撃回数に比例して強化される
黒薔薇
(U・ω・U)<リップの特典武具はいつものドレス
(U・ω・U)<【夜想衣 ローズビューティ】
(U・ω・U)<茨に触れた相手に三つの状態異常をランダムで付与する
(U・ω・U)<話は変わるけど、薔薇は色や本数で花言葉が違うって有名だよね
(Є・◇・)<…………
リップ
(U・ω・U)<SGぽく言うなら
(U・ω・U)<①破滅願望、②利己主義、③渇愛
(U・ω・U)<実は由緒正しい家系のお嬢様
(U・ω・U)<父は仕事で忙しく、母は見守ることしかしてこなかったけど、きちんと彼女を愛している(伝わってなかったけど)
(U・ω・U)<ひねくれた要因はだいたい元の主治医(ハゲタヌキ)が悪い
(U・ω・U)<ということで作者の脳内では全会一致しました
(U・ω・U)<ちなみにアバターは『成長した自分』なのでリアルも美少女
P
(U・ω・U)<シャチョ=サン
(U・ω・U)<リップにデンドロを贈呈したのは彼です
(U・ω・U)<パスポートの準備からプライベートジェットの手配、SPと自社製品を用いた人間輸送()サービスまでこなす
( P )<お金があれば大抵の無茶は通せるのさ
Ψ(▽W▽)Ψ<私の! 部屋は! 賃貸なんだよぉッ!
Ψ(▽W▽)E) P )<ソレハゴメン