長き旅路にて臨むもの   作:【風車之愚者】

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竜と少女と宝石獣 ④

 ■???

 

 幸せそうな人間が嫌いだ。

 苦労も苦痛も知らず、辛酸を舐めることなく、のうのうと生きる人種を見ていると腹が立って仕方がない。

 無神経に笑顔を振り撒いて、自分の価値観が万民に共通すると信じて疑わない愚か者ばかりだ。

 

 不幸を公言する人間が嫌いだ。

 そうやって自己主張する人種に限って、実際に背負っているものは大した重荷ではない。

 自分は頑張っている、可哀想だとアピールして他人に褒めて貰いたいだけなのだ。

 

 誰かに見下されることが嫌いだ。

 自分と他人を比較して、人を貶めることで、あいつよりはマシだと自分に言い聞かせる屑が嫌いだ。

 

 憐れみの目で見られることが嫌いだ。

 勝手に人の事情に首を突っ込んで、分かったような口振りで、その実何も理解していない偽善者が嫌いだ。

 

 家族が嫌いだ。

 血縁関係であるというだけで結局は他人。見苦しく争って、最後には全てを壊された。

 

 人間が嫌いだ。

 どうして人は群れるのか。喧しく囀って、悪感情を抱き合い、傷つけ合うだけなのに。

 

 ――こんな地獄、さっさと抜け出して楽になりたい。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 □■ <VOID>王国ギデオン支部・三階

 

 自身を憐れんだアリアリアが【亜竜毒蜘蛛】によって潰される瞬間、少年――カルマの口元に歪んだ笑みが浮かぶ。

 偉そうな態度で、上から目線の口調の女。だが実際はこんなもの。口ほどにもないのはお前の方だと内心で嘲笑う。

 

 <Infinite Dendrogram>はカルマにとって理想的なゲームだった。

 現実とは異なり、実力主義の無法地帯。嫌いな人間は力で排除できる。邪魔する者は押しのけて、ムカつく相手は殺してしまえる。

 

 それを成し得るのがカルマの<エンブリオ>。刻まれた銘は【繊糸万巧 カンダタ】。

 自分が悪人であると運営にレッテル貼りされたようなモチーフは気に食わないが、能力そのものは有用とカルマは考えている。

 糸の生成と操作というシンプルな特性。

 素材を投入するかMPを消費して糸を編み、SP消費により自在に操作する。

 第三形態の現在、生成時点で糸に粘着性や硬化といったある程度の特性を付与することが可能であり、今は冴えない男(・・・・・)から無理やり押し付けられた鉱石製の硬化鋼糸を使用している。

 【亜竜毒蜘蛛】を始めとするモンスターを操り、アリアリアの動きを止めたのも鋼糸によるものだ。

 使い手次第で性能が左右されるという意味では扱いが難しい<エンブリオ>だが、カルマは見事に使いこなしていた。

 

 だが、カルマが探している人物を殺すには念入りな準備が必要だ。強力なモンスターを駒として利用するのも策。一から育てていたのではコストがかかる。ならばあるところから奪えばいい。

 十の指でようやく制御できる、凶暴な【亜竜毒蜘蛛】がいたことは嬉しい誤算である。

 

「《スティール》」

 

 放心している支部長の手から【ジュエル】を奪う。

 つい先日【怪盗】に転職したことで《スティール》のスキルレベルは六に上昇しており、盗難対策が施されている宝石であってもカルマは容易に盗み取ることができた。

 

 もうこの場所に用はない。逃げた女とモンスターに関しては放置だ。そんな事に時間を費やす暇があるなら、探し人の情報を一つでも多く仕入れるべき。カルマは自分にそう言い聞かせる。

 

 【亜竜毒蜘蛛】を収納しようとしたとき、あり得ない光景にカルマは己の目を疑った。

 

「まだ勝負はついてないわよ」

 

 アリアリアは【亜竜毒蜘蛛】の攻撃を受け止め、耐え切っていた。

 構えるのは身の丈を超える漆黒の両手剣。その腹を盾にして、亜竜級のモンスターと拮抗している。

 

「なんだと……」

 

 疑問に思ったカルマはすかさずアリアリアに対して《看破》を発動する。

 

 

 アリアリア

 職業:【闘士】

 レベル:50(合計レベル:50)

 

 

(ああ、そうだ。最初に見たときと同じ)

 

 下級職一つ。一つである。【従魔師】や【獣戦士】かと考えたが、初手に使用した《看破》がもたらした情報はカルマの推測を否定した。それに変化はない。

 

(<エンブリオ>のスキル? なら、あの狼のガードナーはどこに)

 

 カルマはルゥが吹き飛ばされた方向に視線を向ける。たしかに、そこには転倒から起き上がった狼がいた。

 

 ――【ティールウルフ】という表示付きで。

 

(モンスターを使った偽装……クソ、あの黒い両手剣が本来の得物か)

 

 アリアリアは【亜竜毒蜘蛛】を力任せに押し退け、二種類の糸をまとめて切り払う。

 

「読み合いはこれでイーブンね。はあ……やっぱり頭を使うのは疲れるわ。ルゥもお疲れ様」

 

 駆け寄った【ティールウルフ】を労い、

 

「ここからは第二ラウンド。――さあ、喰らい裂く時間よ!」

 

 アリアリアが掲げた漆黒の刀身は顎門の如く上下に分かたれ、一息に【ティールウルフ(・・・・・・・)】を捕食した。

 

 まさかの凶行に驚愕するカルマだったが、反射的に【カンダタ】の糸をすべて【亜竜毒蜘蛛】の制御に回す。

 突進したアリアリアは上段からの切り下ろし、薙ぎ払い、そして回転斬りを放った。それを巨体の蜘蛛は後退からの跳躍で回避。

 両手剣は得物の刃渡りから、どうしても動作が大振りになる。それは空振りした場合の隙に直結するわけで。

 

(今なら防御も回避もできないはず)

 

 カルマは蜘蛛糸による拘束を狙う。

 動けなくしてから確実に仕留める算段だ。ただでさえ不明瞭な<エンブリオ>のスキルを使用不能に追い込みたいという気持ちもあった。

 

「甘いわ」

 

 だが、両手剣はアリアリアの手の中で蠢くと、その形状を長槍へと変化させる。

 柄が伸びたことで間合いを離され、蜘蛛糸は不発。長槍は収縮して長弓になり、遠距離から火矢を射掛けてくる。

 【亜竜毒蜘蛛】が近づけば、今度は弓を手甲に変化させて近距離格闘に持ち込まれる。

 

(この無秩序さは何だ? 形状変化にしては数が多い)

 

 カルマは片手のみ糸の制御を中断してナイフを投擲する。牽制になれば上等、というレベルの行動だ。

 それを、

 

「いただきっ」

 

 手甲が捕食して同速で撃ち返した。【亜竜毒蜘蛛】に阻まれて届かなかったそれは、カルマが投擲したものと全く同じ形状でありながら、蠢く漆黒の影に覆われている。

 

「……装備の侵食」

「当たらずとも遠からず。六十点ってところね」

 

 この影こそがアリアリアの<エンブリオ>。

 TYPE:チャリオッツ・ガードナー・アームズの【捕蝕叫影 マーナガルム】である。

 基本性能として、【マーナガルム】はアイテムや従魔を内部に取り込み、それを覆うガワとなって基本性能とアリアリアのステータスを強化するスキルを持つ。

 単体では意味を成さず、アイテムかモンスターに騎乗(いぞん)するチャリオッツ。

 依代を肉体と見做して活動可能なガードナー。

 装備、主に武器としての性質を発揮するアームズ。

 以上のタイプを合わせた、世にも珍しい三重複合型(トリプル・ハイブリッド)

 強化率は取り込んだ物の数と性能に比例し、第三形態における上限は八つまで。

 取り込んでいる武器には自在に変化でき、最弱と言われる【ティールウルフ】のステータスを亜竜級まで引き上げることも可能だ。

 

「お互い手札が割れたことだし、決着をつけましょうか」

 

 大鎌になった【マーナガルム】をクルリと回したアリアリアは、勢いをつけて跳んだ。

 あえて逃げ場のない空中に躍り出るのは自信の表れ。

 正々堂々、小細工抜きに正面から力で押し切ってみせるという挑戦状だ。

 

 なぜなら、今から放つのはアリアリアが有する最大最強の攻撃。

 未だ<下級エンブリオ>止まりの【マーナガルム】に必殺スキルは芽生えていない。

 それでも。

 決まれば『必ず殺す』ことができるという自負は、その技を一つの『必殺』にまで昇華させる。

 

「とっておき、喰らいなさい!」

 

 振り下ろされた大鎌は狼の頭部に変じ、【亜竜毒蜘蛛】に牙を剥く。

 

「《咬み殺し(キリングバイト)》!」

 

 黒狼が蜘蛛の肉体を半分ほど食い千切り、HPが一割を切ったところで【亜竜毒蜘蛛】は《送還》される。

 そして……

 

「あ、あいつ逃げた!? 信じられない嘘でしょう!? 一発殴ってやりたかったのに!」

 

 カルマは、アリアリアの前から姿を消していたのだった。

 

 

 ◆

 

 

「……やり過ぎたな」

 

 【ジュエル】を手に、カルマは舌打ちをする。

 

「あんな奴らに付き合う暇はないんだ。なのに、どいつもこいつも邪魔しやがって」

 

 せっかく手に入れた戦力だというのに、いきなり瀕死にされれば苛立つに決まっている。

 風竜を連れた白髪の従魔師と、金髪の女闘士。

 次に彼女らと遭遇したら報復を考えなくてはなるまい。

 

「情報の収穫も無し」

 

 探し人の手掛かりは少ない。

 現実と同じ顔であるのは分かっているが名前は不明。居場所も特定できない。

 ネット上のスクリーンショット、ギデオンの闘技場を背景とした一枚に映り込んでいたので、この街に訪れたことがあるのは間違いないのに。

 

「どこにいやがる。クソ兄貴」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 □決闘都市ギデオン 【従魔師】サラ

 

 わたしは建物から脱出した後、できるだけ強そうな人に声をかけて、助けてくださいとお願いした。

 最初はハリネズミを連れたきれいなお姉さんに声をかけた。でも断られちゃったんだよね。

 声をかけた二人目が引き受けてくれてよかった。

 ところで、隣のひよ蒟蒻さんが目をパチパチしてわたしを見てきたのはなんだったんだろう?

 

「ありがとう、セラくん!」

「お気になさらず。名前が似ている者同士、これも何かの縁なのです」

 

 彼はセラ・ケセラくん。見た目はわたしと同じくらいだけど、レベル500になっている大先輩だ。

 なんでもひよ蒟蒻さんのお得意様らしい。ひよ蒟蒻さんはセラくんと会ったときに顔が引き攣っていたけど。何かあるのかな?

 

「あー、セラくん? ちょおーっとばかし向こうで僕とお喋りしない?」

「結構なのですよ。だいたい察したのです。後でリリアンさんと本人に報告しておくのです」

「アハハのハハハ」

 

 とりあえず仲はいいみたいだね!

 

「たしかお友達は三階にいるのですね?」

「うん! 大きなクモと戦ってるの!」

「了解なのです。では早速突入して……いえ、やっぱり無しなのです」

「え、どうして!?」

 

 もしかしてクモが苦手とか?

 わたしも実はあんまり得意じゃないから、気持ちはすごくわかるけど!

 

 セラくんは無言で建物の入り口を指差す。

 ちょうど、ルゥを抱いたアリアリアちゃんがクモの巣を払いながら出てくるところだった。

 

「アリアリアちゃん!」

「あら、サラさん。お互い無事で何よりだわ」

Wofwonwooon(敵は恐れをなして逃げ出しましたぞ)!』

 

 わたしたちは健闘をたたえてハイタッチをする。

 ルゥともハイタッチ。いえーい!

 

「ところで【カーバンクル】は? ジェイドの姿も見えないけど」

「うん。ちょっと待ってね」

 

 わたしは【ジュエル】の中が見えるように右手を上げる。ジェイドと並んでぐっすり眠っているのは、赤い毛並みの女の子。

 今日はいろいろあって疲れちゃったんだろう。

 

「起こすのはかわいそうなので紹介だけ。【カーバンクル】のルビーです!」

「テイムしたのね。おめでとう」

「えへへー。ありがとう!」

 

 ルビーは悪い人たちに捕まって王国にやってきたらしく、帰る場所がないそうだ。

 これからどうしたいかを聞いたら、わたしと一緒がいいという答えが返ってきた。

 クエストは街に入り込んだ野生モンスターの保護か討伐が目的。実際に人や物に被害が出たという話はない。

 だからルビーがわたしの従魔になってもだいじょうぶ、というのはセラくんの言葉だ。

 

「めでたしめでたし、なのです。ではグ……『ひよ蒟蒻』。僕たちはお暇するのですよ」

「いやいや待ってくれたまえよ。僕はまだ本来の目的を果たしちゃいないんだぜ?」

「シャラップ。いたいけな少女たちを何に巻き込むつもりなのです? 教育上よろしくないのですよ」

「えー、ケチー」

 

 セラくんは不満そうなひよ蒟蒻さんを無理やりに引きずっていく。

 なんだろう、小さいお父さんと大きい子どもみたいな? あべこべなのにしっくりくるのは、セラくんがとても大人っぽいからだろう。

 手を振って二人を見送るわたしの隣で、アリアリアちゃんが一言。

 

「……ちょっと待って。私、ひよ蒟蒻の荷物取り返してきたんだけど」

「へ?」

 

 その手には、いかにも高そうな刺繍が入ったアイテムボックスが一つ。

 わわ、ど、どうしよう!? これぜったいにないとひよ蒟蒻さんがこまるやつだよ!

 

「い、今から追いかければ間に合うかな!?」

「そうね! 急いで駆け足よ!」

 

 

 ◇

 

 

 わたしたちは二人を探して、またギデオンを探し回ったのだけど……結局見つけることができなかった。

 目撃情報をまとめると、どうやらセラくんは王都の<墓標迷宮>に向かったらしい。ひよ蒟蒻さんは誰も姿を見ていないというから、ログアウトしたのかもしれない。

 

「あら? サラさん、それは?」

 

 どうしようかと二人で話し合っていると、アリアリアちゃんがわたしの帽子にはさまっていた紙切れをつまんだ。

 広げて読んでみると、それはひよ蒟蒻さんが書いた置き手紙だった。いつの間に。

 

『拝啓、勇敢なるお嬢さん方。この度は助けてくれてありがとう。お礼にそのアイテムボックスは差し上げます。鍵の解除コードは■◎△◆です。中身は足が早いものですので、どうぞすぐにご使用下さりますよう。敬具』

 

「わー! お菓子かな? それとも果物かな?」

「さあ? ……少し怪しいけれど、好意を無碍にはできないわね。貰っておきましょう」

 

 わくわく。中身はなにかなー?

 オープン!

 

「……また紙切れじゃないの。おちょくってるのかしら、あの男」

 

 アリアリアちゃんがぐしゃりと握りしめたそれには、なにか文字が書かれていた。わたしはげんこつからほんのちょっとはみ出たそれを読んでいく。

 ええっと、なになに。

 

「アリアリアちゃん、<超級激突>のイベントチケットだって! ちゃんと二枚入ってる!」

「あら本当だわ。今日の夜か……サラさんは空いてる?」

「うん! 一緒に観ようよ!」

「決まりね。S席ってことは結構アタリなんじゃないかしら。案外やり手ね、ひよ蒟蒻」

 

 わたしたちはギデオンでもめったに行われない一大イベントにわくわくしながら、早く夜が来ることを祈った。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 □■ 決闘都市ギデオン

 

 ギデオンの東門から少し離れた場所にある、人気のない細い路地。そこに二つの人影が現れる。

 片や、特徴のない風貌の冴えない男。街中ですれ違っても、次の瞬間には忘れているような……不自然なまでに平均的、人工的な顔立ちをしている。

 片や、逆に特徴があり過ぎる人物。思わず二度見をしてしまいそうな、ペンギンの着ぐるみだ。

 

ご機嫌いかがかな(Guten tag)お嬢さん(Fräulein)

『それ止めてもらえるかねぇ』

「なんでさ? 君と僕の仲だろう」

『私たちは単なるビジネスパートナーだけどねぇ。いつ仲良くしたっけ?』

「おやおや、これは手厳しい。元は同じ窯の飯を食べた同士だろう。一緒にメカ作って、爆発して、風呂で背中を流し合った思い出を忘れたかい?」

『ありもしない上に悍ましい記憶を捏造するのは勘弁してほしいねぇ!?』

 

 ハハハ、と笑った男はペンギンに紙束を手渡す。

 

「はいこれレポート。王国に所属していない、かつ君たちが企てた“計画”の邪魔になりそうな不穏分子のリストね。もちろん全員始末済み。高価くつくよ?」

『……流石に仕事は優秀だねぇ』

 

 ペンギンは確認のため一通りレポートに目を通していく。そして、ある頁に目を止めた。

 

『【征伐王(キング・オブ・オーダー)】と“超戦隊”……私の記憶が正しければ、これそっちのお仲間じゃなかったかねぇ?』

「いいのいいの。うちのクランは同士討ちとかしょっちゅうだから。まー、ほとんどは僕がそうなるように仕向けてるんですけどねえ!」

 

 ペンギンは思う。「こいつ、頭のネジが数本外れているんじゃないか?」と。

 とはいえ、男の仕事は十分過ぎる出来であることは事実。この二人に関してはギデオンでの目撃情報も多い。また、計画が実行された際には間違いなく阻止に動くであろう厄介者だった。

 

『興味本位で尋ねるけど、誰を動かしたのかな?』

「聞きたい? 追加料金で一千万リルになりまーす……って嘘だよ、冗談。そんなに怒るな、シワが増える……いやマジで勘弁。自慢じゃないが、僕はそこらのゴブリンが相手でも死ぬ自信がある」

 

 お互い騒ぎを起こすのは得策でないと知っている。だが、男の態度はペンギンの神経を逆撫でするもの。

 それが同族嫌悪に近しい感情であることに、ペンギンは気が付いていない。

 

「じゃあ【征伐王】こと、ひよ蒟蒻くんから。彼に有象無象をぶつけるのはナンセンス。でも定石だとつまらないだろ? だから、まずは変態の国の精鋭と【屍将軍(デス・ジェネラル)】に武器を提供して一騒動起こした。彼が鎮圧に乗り出したところで、【狼王(キング・オブ・ウルブズ)】にトドメを刺してもらったよ。これが一昨日の話」

『布陣がエグ過ぎやしないかねぇ』

「僕もそう思う。で、“超戦隊”の方だけど……こっちは僕の趣味全開にしたんだよなあ。試作機含めた僕の手勢三〇〇〇を突っ込ませて、堪能したところで“未踏鏡面”と“論理破綻”の二人に倒してもらった。これは昨日だね」

 

 話を聞きながら、ペンギンはもう一度レポートに視線を落とす。

 【征伐王】はいい。そこらにいる(それでも全体として数が多いわけではないが)準<超級>が、準<超級>二人に倒されたというだけの話。

 

 ただ、“超戦隊”。

 彼女に関しては少々話が変わってくる。

 かつて、カルディナ北部の都市に現れた神話級<UBM>を討伐せしめた六名の<超級>の一人。

 添付された情報を見るに、彼女は全力を発揮するための条件がかなり厳しい。単体ではそれほど脅威になり得ない……とはいえ。

 目の前の男は、自分と並べて語られるそれを謀殺することが可能である――しかも下手人の二人は彼女と同じ事件で活躍したフリーの<超級>――ということに、ペンギンは冷や汗をかく。

 

(<超級>って、そんなポンポンと出していい戦力じゃないと思うんだけどねぇ?)

 

 自分のことを棚に上げてペンギンはボヤいた。

 

「ん、どうかした?」

『……やっぱり君を敵に回したくはないねぇ。グリオマンP』

「それはこちらの台詞さ。Mr.フランクリン」

 

 ペンギンに対して男は告げる。

 

「僕はね、君に身元をバラされないか常に戦々恐々として過ごしているんだぜ。姿を見せない情報屋ってことで通ってるんだから」

『そのわりに今日は堂々と動いていたよねぇ。介入しかり、市街の人払いと監視カメラしかり。潜伏中の私に対する当てつけかな?』

「別にい? 彼女たち、うちの新人にどうかなと思っただけさ。後は……狂宴の招待状を、ね」

 

 だって、とグリオマンPは無垢な子供のような笑顔を浮かべた。

 

「皇国に手を貸したら、王国にも同じだけ施さなくちゃフェアじゃない。戦争(ゲーム)は同じレベルの相手同士でやるから良いんだ。一方的な蹂躙は見ていても面白くない」

 

 天秤を釣り合わせるため、左右の皿へ交互に重りを乗せていくように。

 火種に風を送り、さらに激しく燃焼させるように。

 強者と強者の対戦カードをセッティングするように。

 戦況を思うがままにコントロールする彼は、争いをばら撒く死の商人。

 その二つ名は、

 

『――“戦争屋(マッチメーカー)”』

「何だよ“最弱最悪”。その二つ名はもう返上したつもりなんだけど。お得意様相手を除いて、今は真っ当な商売をしてるんだよ僕ぁ」

『私がお得意様扱いなのは驚きだ。で、その彼女たちとやらが計画を邪魔するとは考えなかったのかねぇ。それ、契約違反だよ?』

「いやあ、ないでしょ。いい勝負はしてくれることは保証するけど、君の想像を超えた動きをする子じゃないって……じゃあ僕は帰るから」

 

 グリオマンPは半透明のバイザーを付けて表情を隠す。

 

「今後とも僕たちのクラン<仮面兵団(マスカレイド)>をご贔屓に」




余談というか今回の蛇足。

アリアリアが攻撃を防いだギミック
(U・ω・U)<①ルゥを排出(生物を取り込んでいると格納できないため)

(U・ω・U)<②<エンブリオ>を紋章に格納

(U・ω・U)<③再び取り出して装備


冴えない男
(  P  )<はいはあい

(  P  )<プロデューサー、プロフェッサー、プランナー、好きなように呼んでくれたまえ

(U・ω・U)<たいてい拙作の裏側にいる黒幕


【マーナガルム】
(U・ω・U)<騎士は徒手にて〇せずみたいな

(U・ω・U)<《咬み殺し》はGEの捕食形態


セラ・ケセラ
(U・ω・U)<合法ショタ

(U・ω・U)<ダンジョン攻略専門で、タイムアタック動画とかを投稿している配信者


<超級激突>
(U・ω・U)<こうして本編の影で二人は頑張るわけで

(U・ω・U)<でも戦況を変えるほどではないので割愛


気がついたら退場してた人たち
(Є・◇・)<……
Ψ(▽W▽)Ψ<……

(  P  )<ゲラゲラゲラ♪
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