biohazard Four heroes“NT” 作:ナッツガン
アベルの接触するハンクの真意とは?
「お前に話があるんだ」
そう言った俺の右手から血が出ている。ナイフを握っているからだろう。それでも、俺にはこいつとの話すことがある。
「俺には無い!」
「お前には無くともこちらにはあるんだ」
「お前の勧誘を受ける気は無い」
本当ならベルトウェイの方がいいのだが、あいつはおそらく北米支部から出てくることはないだろう。
「まずは落ち着け。話したことがあるだけだ。その後は、好きなようにすればいい」
そう言うと、アベルは疑うような視線を向けると、ナイフを片付けた。
俺はアベルから一定の距離を取ると、本題に入る。
「バロクの狙いは世界を滅ぼす事より、べつにある」
「なんでお前が今更…………!」
アベルは強く、憎い、そんな声を上げる。
分かるような気がする。
俺の立場だったら襲い掛かっている所だろう。
「……さあ?最近になって分からなくなってきたんだ。俺がどうしたいのか?」
自分自身をある程度制御できるのだろう。そう思えるようになった。自分自身のやりたいことを思い出したいっと感じるようになった。
「バロクはウイルスで世界を滅ぼす事以外に目的が在る。……今、バロクはクリスという男を、ビルの地下に閉じ込めている。それをバロクは知っている」
そこまで言うと、アベルも考え出す。
「バロクの狙いはクリスの命って事か?」
「だろうな……。少なくとも、クリスという男はBSAA内では有名だ」
クリスという男が今まで重ねてきた実績を思えば、当たり前の事なのだろう。
「クリスという男を殺す事で、BSAAを一時的に沈黙させる事が目的なんだろうけどな」
「なんで……、なんで今更!!」
「なんでだろうな……」
なんでだろう。憎しみ、復讐する道を選んだはずなのに……。そうすることで自分を満たしてきたはずなのに……。復讐が終わると、俺は自分自身でさえ、分からなくなった。
「俺がなぜ生きているのか……俺自身が分からないようになった」
そして羨ましいと感じるようになったのだろう。……ベルトウェイを
「ベルトウェイみたいになりたかった。あいつが羨ましい。あいつみたいになりたい」
「お前……」
アベルは同情されているような気がするが、俺はそれに対しては気にしないことにした。
「だからだろうな、あいつに協力したいと感じた」
「本題に入るぞ」
「ああ」
「バロクはクリスを殺す過程で、お前が邪魔しにくると考えていた」
俺はポケットの中をあさりながら、ある鍵を取り出す。
「クリスだけを殺すだけでいい、だったらやりようは色々とある。例えば、巨大なBOWを使う」
「それだったら、BOWを退治している間に、民間人と一緒に逃げればいいだろ?」
「そうしている間に、民間人に紛れている仲間が……」
アベルは何かを思いついた。
「囚われている民間人の中にお前達の仲間がいるのか?」
「ああ、ベルトウェイは気づいていたかもしれないが……」
ベルトウェイは最近、勘が鋭い所がある。そういう意味では、ベルトウェイが来ればよかったのだが……。それは無理だろう。そう考えてこの作戦を実行することになったのだから。
「だったら兄貴が行けば!」
「ベルトウェイは、あれでもBSAAの代表だ。戦争が始まった以上、最初の内は支部で指揮を執るはずだ」
俺は、部屋から出て行こうとする。
「この鍵は?」
「この訓練場の鍵だ」
そう言うと、俺はアベルの前から消えた。
ハンクからの最後の返事から少し時間が経っている。
私は大きなビルの屋上に立っていた。ここは、アメリカのある軍事基地だ。
「綺麗な姿だ」
前に足を踏み出すと、私は落ちるか落ちないかの瀬戸際で立ち尽くす。
「もっと綺麗にしてやろう」
ウイルスによる、ウイルスの為に、ウイルスの世界を。
私の居る軍事基地内は既に地獄絵図のようになっている。
「もっとだ。もっと苦しめ!」
私が着ている白衣は風になびいている。強い風は火を強く、強くしていく。
綺麗な姿だったと思えるほどに……。
私はビルの屋上から降りるように、ビルの中に入って行く。
アメリカ軍人が私を囲んでいる。
「貴様!何者だ!?」
「汚い容姿だな。だが、大丈夫だ。もう少しで綺麗になれる」
大きな咆哮と共に、アメリカ軍人は遠くに吹き飛んでいく。生き残った軍人も吹き飛ばした化物を見て立ち尽くしている。
「ほら、綺麗になった」
化物は私を守るように、任務を全うするように軍人を殺していく。最後の軍人が殺されると、私は再び歩き出す。
「綺麗になって行く」
この施設を制圧することが、私がすべきこと。
「さて、どこに向かうかな?」
そう考えていると、基地内で数か所戦闘が行われている。
端末からマップを確認すると、どうやら戦闘施設内で行われているらしい。
「どうやって追い詰めてやるか?」
普通に追い詰めたのでは面白くない。アメリカ軍人を追い詰めて、苦しませて、懇願させて、そして、殺そう。
「ああ、つまらない」
私は大きな建物の前に立ちつくすと、中から戦闘音が聞こえてきた。指示を飛ばす声もだ。
「いいね。もっと頑張れ」
そして、私はそれを壊して殺すだけだ。
私は中に入ると、兵士はこちらに向く。
「なんだ!貴様!?」
私は後ろの居る化物に指示を出す。
化物は私の指示を受けると、そのままためらいなく向かって行く。
「お前達を殺してやる。苦しいだろ?もう楽になりたいだろ?」
どんどん殺していく中、私は生き残っていた兵士の襟元を掴む。
「生き残りたいか?」
「た、助けて」
「どうしようかな~」
「た、頼む」
「…………だ・め・だ」
そう言う声と共に化物の腕は兵士の体を無残にも押しつぶした。化物が腕を上げると、そこにはミンチになった兵士の姿だ。
「…………フフフ」
いいざまだ。私を陥れるとこういうことになるんだ。
「そこまでだ!バロク・シン」
私を呼ぶ声が聞こえた。振り返って見せると、そこに居たのはアメリカのエージェントだった。
「貴様もここに居たのだな。レオン・S・ケネディ」
アメリカのエージェントだ。かなり有名な男なので、私でも知っている。
「お前がここにいるとは思わなかった」
「貴様はどうしてここにいるんだ?」
レオン・S・ケネディはBSAAの北米支部に居たはずだ。なのにここにきているという事は、今大統領を守る戦力が少ないと言う事だ。
「なるほど……予定を変更するか」
大統領を討つチャンスという事か……。だとしたら、ここにいるより面白い。
「君と戦ってもいいが、それより面白い事を思い付いたよ」
「まさか……貴様!」
レオンは私の考えにたどり着いたようで、驚いて見せると私に銃撃してきた。私は銃撃を避けると建物の陰に隠れた。
「貴様を大統領の元に行かせるわけにはいかない!」
「それを決めるのは君次第だよ。まあ、あれが君をほっておくとは思えないが……」
私を助けるように化物がレオンの前に立ち塞がる。
「くっ!邪魔をするな!」
「グォォ!」
咆哮を上げると、化物はレオンを追い回す。私はその隙にレオンがやって来たであろう、ヘリに向かって歩き出す。
「では、次に君がある大統領は……死体だ」
「待て!待つんだ!バロク!!」
さて……。行くか。
ヘリポートに着陸しているヘリの周囲にはアメリカ政府軍が囲んでいる。どうやらレオンが来るのを待っているようだ。
私はあらかじめ仕掛けておいた爆弾を起爆させると、兵士達はそちらに数人を送り込んだ。
「君たちは少しは自分の任務に集中した方がいい」
「なんだ!?貴様は!!」
私はもう一度起爆スイッチを押すと、先ほどと同じ場所で大きな爆発がする。兵士たちの悲鳴と共に。
「何をしたんだ!貴様!」
「君たちがこれから起きる事と同じことをしたのさ」
兵士達は私を囲むように立ち尽くすと、私はもう一つの起爆スイッチを押す。私の周囲に設置しておいた爆弾が一気に爆発していく。
「言ったろ。同じようになると」
私はヘリの元に向かうと、ヘリの中に待機していた兵士に話しかける。
「大統領の元に向え。出なければ……」
次の言葉を言おうとした時、兵士が語り出す。
「何をするか教えてくれ。バロク」
「その声は……。ベルトウェイ!」
私はヘリから距離を取ると、兵士のふりをしていたベルトウェイに銃を向ける。
「気になってついて来たが……。まさかお前に会えるとはな……」
「ついて来ていたのか?」
「ああ、お前がすぐに動くとは思えなかったからな。まさかそれと反して動いていたとは……」
ベルトウェイは兵士の服装を解くと、そのガスマスク姿をさらしだす。
「どうした?そんなに俺がここに居るのが気になるか?」
「ああ、貴様の事だから必ずBSAA北米支部からは動かないと思っていたが」
「そのつもりだったがな、動かないというのもつまらんからな……。それに、北米支部の人間は優秀でな、俺の仕事が無いんだ」
「仕事を放棄したという事か?」
「まあな。感心するだろ?」
「なめているのか?貴様」
この男は私をなめているのか?
「イライラするなよ。血圧が上がるぞ」
「上げているのは誰だ?」
「俺か?」
「貴様に決まっているだろう!!」
徹底的になめている行動に出るベルトウェイ。私は銃撃をベルトウェイに浴びせる。
ナッツガンです。
今回はハンクとバロクの行動を書きました。
ハンクの行動の真意はいずれ……
っというわけで、また会いましょう!