biohazard Four heroes“NT”   作:ナッツガン

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バロクと対峙するベルトウェイ
悩むアベル
さまざまな思いを秘める


命懸け

 目の前に立っている男は、意外そうな顔をしつつ睨みつけている。俺はそんな姿を見ながら遠くに上がった爆発を眺める。

「あれもお前が仕込んだものか?」

「だとしたらどうする?」

「別に、レオンなら大丈夫だろ。あれでもアメリカが誇るエージェントだ」

 一人でも十分にやって行けるだろう。俺があれに参加するだけ無駄と言う者だ。逆にこの状況ではデメリットしか生まない。

「それに、お前をここで封じ込めておくだけで十分。それとも、俺をここから離す為に言っているのかな?」

 俺はヘリの前から動こうとしない様子をバロクは眺める。すると、バロクはあっさりとその場から離れだす。どうやら諦めたようだ。

「さてレオンの手伝いをするべきか……」

 この場所から離れるべきでは無いな。そう判断した俺はヘリの中で静かにレオンの帰りと、救援が来るのを待っていた。

 

 

「クソ!クソ!クソ!!」

 失敗だ。何もかも失敗した。

「ベルトウェイのせいだ。あいつのせいで!」

 私は興奮したまま、その場を離れて行く。ここまで用意周到に進めていたのに、ベルトウェイはその行動すら呼んできた。

「なんであいつはここに居たんだ」

 私は合流地点に向かう。

 あいつのいた場所を眺めながら。

 

 

 バロクがその場から移動してから、30分が経っていた。ヘリの操縦席でボーットしていると、不意にヘリが近づいてくる。

「おっ!ようやく応援が来たか?」

 俺はヘリの操縦席から降りると、上を眺める。ヘリは今にも降りようとしていると、中から兵士が下りてきた。何人も降りるとその内の一人は俺が知っている人だった。というか、ジルだった。

「見つけたわよ!ベル!」

「ジ、ジル!?どうしてここに!?」

「あなたが突然消えるから探しに来たんでしょ!」

「だって……暇なんだもん」

 俺はそこら辺で小さくなりながらジルに返事をする。ジルは俺の首根っこを掴むと、俺は引きずる様に連れて行く。

 ジルのこの力はどこから出てくるのだろうか?疑問に思う。俺の体重を簡単に引きずることが出来るのは精々クリス達ぐらいだと思ったが……。どうやら認識を改める必要があるようだ。

「さあ!帰るわよ!」

「待ってくれよ!俺が居た方がここの士気にもつながると思うんだが……」

「大丈夫よ!アメリカ兵士さん達はあなたが居なくても十分士気が高いから」

「いや、それはそれでどうなんだろ……」

 普通に士気が高いって、普通に怖いんだけど。なんか、テンションが常に高い壊れた人間みたいで……。

「それより、早く戻ってきて頂戴。BSAAの各支部が行動しているのに、肝心の代表がこんなところで遊んでいると知った暁には、BSAA内の士気が下がるのよ」

「大丈夫だろ。俺が居なくても……。それに俺はあいつらなら大丈夫だと確信している」

「そんな事を言って逃げようとしないでちょうだい」

「俺……退屈で死にそうなんだ」

「どうせ書類整理でも死にそうになるでしょ?どうせ一緒よ」

「今、書類整理って言った!?書類整理をさせるつもりなのか!?」

「当たり前でしょ!あなたがハンコを押さないと書類が通らないのよ!」

「いーやーだー!」

「駄々をこねない!」

「こねる!俺はこねるぞ!ハンコを押したくないし!書類整理もしたくない!」

「いいから来る!」

「助けて――!変態に襲われる!」

「どういう悲鳴を上げているの!誤解を受けるでしょ!」

 そんなやり取りをしていると、周囲の兵士達は俺達をかわいそうな視線を送りながら手を振っている。

 俺はそれを恨み憎しみを込めた視線を込めつつ睨みつける。ガスマスク越しでは分からないが、どうやら俺が睨んでいると分かっているようで、彼らはそれぞれの仕事に入った。

「覚えていろ!憎んでやる!恨んでやる!呪い殺してやる!!」

「物騒な事を言わないで!」

 俺はこれから行われるであろう拷問の数々を思うとテンションを下げていった。

 

 

 施設内でハンクとの会話を終えた俺は歩く速度が明らかに遅いのに、走る気になれなかった。

「何が目的なんだ?何がしたいんだお前は……」

 俺はハンクの策略に踊らされているのだろうか?だからと言ってハンクの目的がここで理解できるわけでもない。

 施設内を迷うように歩くと、ようやくと言っていいのか、俺は施設の外に出る事が出来た。

 ハンクはバロクがクリスを殺す為に、策を用意しているという事だった。それをハンクは俺に教えた。それにどんなメリットがあるのだろうか?

「こんな気持ち……あいつがあんなことを言わなければ」

 複雑な気持ちが俺の仕事へのテンションを下げていた。足取りもおぼつかない。それにどうやってそいつを探し出すかで俺の頭は一杯だ。

「どうするか……」

 そんな事を考えている内に俺は目的のビルにたどり着いた。ビルの入り口付近では多くのゾンビが徘徊している。さすがに俺はそこに突っ込もうとするほど愚かではない。前もって作戦は在った。このビルには出入り口がいくつか存在する。一つは正面にある一般向けの玄関だ。もう一つは地下駐車場からの出入り口。今回俺が入ろうとしているのは地下ショッピングモールにある、スタッフ専用出入り口だ。普段から使われてない上に、最近では地下駐車場から入る事が多いため、忘れられている。

「今は考えないようにするか……」

 どうやって民間人に紛れたバロクの仲間を探すのかは後回しにすることにした。

 

 俺は地下ショッピングモールに入ると、ゾンビを撃退しながら先に進んで行くと、スタッフ専用通路と書かれた場所に入って行く。長い通路の先に倉庫代わりにしていたであろう場所に出る。

「この先だな。しかし、なんだ?この荷物の多さは……。少しは整理したらどうだ?」

 とにかく荷物を詰め込んだ感がある場所を進んで行く。今にも段ボールが落ちてきそうだ。

 すると、先に大きな両開きのドアを発見した。

「ここか?」

 そこには隣のビルにつながるドアが在った。しかし、案の定ここには電子ロックがかけられている。俺はBSAA北米支部から持ってきた電子ロック解除用機器を取り出すと、電子ロックを解除した。

「全く。めんどくさい事この上ないな」

 静かにドア開けて行くと、長い通路に出る。通路にはゾンビの声と思わしきものが響きわたる。

「さすがにここにもゾンビは居るか……」

 当たり前の事とはいえ、さすがにため息が出てしまう。この長い通路を歩けば、クリス達の所まではすぐにたどり着く。俺は歩きながら、ゾンビを倒しながら先に進んで行く。

 

 俺が真っ先に行動したのは、正面玄関や地下駐車場とつながる連絡ドアを塞ぐことだった。これによって脱出までのタイムログをなくすためだ。これをしないかで助かる人命の数も変わってくる。脱出は素早くかつ迅速に行わなければならない。その場合は前もっての準備が大事だ。俺はドアの封鎖と念のために持ってきた罠をドアの付近に設置する。これが爆発すれば、ドア自体が崩れるはずだ。

 これで準備が整った。

「行くか」

 俺は赤い両開きのドアの前に立ち塞がる。ドアをゆっくり開けて行くと、中には多くの民間人がおびえながらこちらを見つめ、BSAAの隊員達が銃を構えた。

「全員無事だな?」

 俺は周囲を見回す。十人ほどだが、明らかに数が少なくなっている。俺はクリスを探すように見回すと、1人の男に視線がいった。その男は周囲の人間と違い明らかに動揺や焦り、不安が見えてこない。表面上ではそう思わせておいても、目を見れば明らかに違う事が俺からは良くわかる。

「アベル!助かった」

「クリス、無事か?」

 俺は男から視線を外さないようにすると、クリスとの会話に臨む。

「ああ、しかし、ここまで来るのに隊員達がかなりやられてしまった」

「だろうな」

 俺はクリスにさらに接近すると、小声で話す。

「クリス。あそこに居る男なんだが……」

 俺は視線でクリスの教えると、クリスも小声で対応してきた。

「あの男がどうした?」

「ずっとあの調子なのか?」

「ああ」

 そうか……。どうもあの男っぽいな。

「それはいいが、どうやって此処から脱出する?」

「念の為に正面玄関と地下駐車場につながる通路は封鎖してある。地下ショッピングモールまで安全に行けるだろう。問題は……」

「地下ショッピングモールからどうやって脱出するかだろ?」

 そうなのだ。地下ショッピングモール内には今でもゾンビがひしめきあっている。脱出できたとしても、ポイントΔに向かうのにどれだけの人命が犠牲になるか……。

「お前達はポイントΔに向かうようにと言われているが、俺は途中で別れる事になっている」

 クリス達と別れるまでは良いとしても、別れた後でクリスが襲われる事を想像すると、俺が付いて行った方がいいのかもしれないが……。問題はどうやってそれを説明するかだ。ハンクから手に入れた情報など上は信用しないだろうし、兄貴なんて問題外だ。

「どうした?」

「……位置をポイントΔまでは俺が付いて行こう」

「良いのか?別の任務があるんだろ?」

「……少し気になることがあってな」

 仕方が無い、すべては兄が悪かったという事にしておこう。最近ではそれで通るようになった。まあ、兄貴がよくサボる様になったのが原因なのだが……

「じゃあ行こうか?」

「しかし、どうする?」

「俺とお前で地下ショッピングモールのゾンビをある程度倒して、隙を作る。そして一気に……」

 クリスは黙って頷くと、隊員達に時間の指定をする。俺は武器の最終確認する。

「行こう」

 俺とクリスは先に脱出すると、地下ショッピングモールに向かって走る。俺とクリスはスッタフ専用出入り口の所からショッピングモールの大通りを確認する。

「ゾンビが多いな」

 俺は武器を構えると、一気に前に出る。ゾンビを一体一体倒すと、ゾンビが俺達を狙って集まってくる。クリスは後ろのゾンビを倒しながら、俺はゾンビの目を引き付ける。

「今だな」

 ゾンビの殆どが俺達に集まった。脱出するならこれ以上の時間をかけるわけにはいかないだろう。クリスが合図を出そうとした時……

「助けて――――!

「悲鳴!?」

 脱出場所とは反対側の所から大きな悲鳴が上がると、同時に民間人と隊員達が走って行く。クリスが悲鳴の元に走って行こうとするのを俺が止める。

「止めるな!助けなければ!」

「もう助からない!」

「まだ助かるかもしれないだろう!」

 俺はクリスの手首を握ると、引きずる様に逃げ出す。

「まだ!まだ助かる!アベル!」

「クリス!!頼むから……助けるべき相手を間違えるな。1人の人間を助けるのに大勢の人間が犠牲になるような事はするな」

「アベル」

 クリスは踏みとどまり、俺と共に走り出す。




ナッツガンです!
今回は基本的にアベル視点が多かったですね…
次回もアベル視点が多いんじゃないかな?
もしかしたらハンクも出てくるかも?

っというわけで、次回もよろしく!
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