2020/00/00
「世界を磁気の波で満たす」
私の存在意義で唯一の
タマシイはあるけどヴァーチャルな私を創ったママ鳥は、最初はそう言ったけどそんなこと気にせず好きなことをしていいと言った。個性(キャラクター)だから、とも。
個性にしては他の二人と比べて磁気ってわかりづらいよ。パッパが言って自ら変えたらしいけど、何すれば良いか分かんなくない? 磁気の波って。そもそも象徴が外付けのカチューシャしかない上外れたら死ぬ(生命維持器官がうんぬんではなくアイデンティティ喪失のため)。なんでよ。
まあ好きなことをしていいって言葉に嘘は無くて、初めは皆の期待に応えられるか不安で本当に胃が痛かったけど、好きなことをしてる私をママ鳥も含めて皆が受け入れてくれた。皆が私を好きになってくれた。色んな人と出会って色んなことをして、私の「楽しい」を共有できるジト民もたくさん増えた。そのうち私の人間らしさ(モンスターだけど)を皆がたくさん見つけてくれて、"磁"属性のモンスターっていうのは私を構成する一部に。生まれつきの個性は、たくさんある私の個性の1つになった。
でも、私は何をするモンスター? おしゃべりモンスターだから喋ることだったり、頑張る目標として登録者を増やしたいだったりは色々思い付く。
けどやっぱり、一番は「世界を磁気の波で満たす」が出る。まあ冗談みたいなものだと自分でも思ってるけど、これは私の生得観念。ママ鳥が決めた私の在り方。正直具体像がまるで想像出来ない行動理念、でも私は、「そういうもの」だからって感じている。1日1日、ジト民の皆と楽しい配信をして、友達や凄い人たちと遊んだりして、少しずつ私を好きになってくれる人が増えていく。この毎日がとても楽しい。だからこうやって、日々を重ねて──
2020/09/13
私の知らない世界になってた。
2020/09/14
色々調べてみたけど全く分からない。日本語の看板と日本語の警報が聞こえるから日本だとは思うけど、なにがなにやら。
本当に嫌な感じがするんだけど、生きている人をこの前から一度も見てない。こんなポストアポカリプスな世界に突然なることある? 死ぬほど元気なのだけが救いかも。異世界転生か何かなのか。
嫌な感じといえばこの世界でもう三回も聞いた警報だけど、どういう意味か一向に分からない。"ジキアラシ"って聞こえるけどどういう漢字書くんだ? 警報が鳴ると黒い柱が至るところに勝手に出来て(一回寄ってきた奴を触ったらすごい固かった) 危ない。いつ起きるか分からないなら生きてる人も迂闊に外出れないだろうな。磁富も出来るなら引きこもりてえよ
2020/09/15
ようやく入れる建物が見つかった。研究所のような建物だけど、屋根から壁まで崩れててセキュリティも何もない状態で勿論人もいなかった。この研究所のロゴ? 名前? があったけど読めねえ。Magnetic wave ??? だと思うけどなんだろう。でもロゴが磁場を書くあれっぽいし、多分マグネットなんちゃら。
調べてみたらレポートみたいなのが見つかった。こんなだけど壊れた研究所を探索してレポートを読むってのはゲームみたいで場違いだけどちょっと楽しい。ただ私はゲームの主人公と違ってレポート読んでも内容が理解出来ないんだよな。タイトルは『地磁気の極反転と異常増加について』。磁気嵐の意味の変更と警報、磁鉄鉱床の増加原因、モノポールの存在を確認、とかまず単語がわかんない。要約みたいな文章をそのまま引用すると
「大規模な太陽フレアによるCME後に磁気嵐が発生、回復相が発生せず短期間で地磁気が失われた後、極反転と共に大幅な地磁気の増加」
があったらしい? まだ全然飲み込めてないけど、磁気が悪さしてるみたい。じゃああの黒い柱は砂鉄なのか? というかこれだとまるで
「磁気の波で満たされたみたい?」
弾かれたように顔を上げる。声が聞こえてきた方向は研究所の廊下の方向で、壁や天井が残っていて暗く人影はシルエットしか分からない。
私がここに来て初めての他人の声。本来なら待ち望んでいたはずの出来事なのに、背筋が凍りついて鳥肌が立つ。これはあっちゃいけないことだ、という直感が働いて、逃げ出したいのに足が動かない。
「顔色悪いよ、大丈夫? 磁力で満たされてる環境だし体調は今までで一番いいはずだけど」
聞きなれた声が聞き慣れないことを喋り、少しずつ近づいてくる。距離が縮まるにつれて身長が分かり、嫌な予想通りなことを悟る。
ここ最近、何も食べず、何も飲まず、寝ずに動いてるのに力が漲るということ。疑問はあるのに、夢だからだとか、異世界転生でのチートだとか、思考を停止させておいたことが結び付く。
「あなた、は? こんな、一体どうして」
「あれ? 『どうして』とか言うんだ。分かってるくせに目を逸らすのは感心しないな」
見慣れたブーツが目に入る。見慣れたパーカーが目に入る。蒼白い光が影を作り、モノトーンの色調に青色が射し込まれる。
彼女の姿を視認すると、後ろから主に惹かれる犬のようにあらゆる建物の隙間から砂鉄の柱が延び、その長さを増していくのが分かる。それもここ数日、見慣れた景色だった。
お互いの目が合う。彼女はパーカーで口元を隠しながら、その青い目で真っ直ぐに私を見つめている。
私は、目を逸らせなかった。彼女が言う言葉が分かっていたのに。
「
しまどりる企画室で何が生まれるのか楽しみ~~~~!!! ってなりすぎて衝動で書いた作品です。いないと思うけどまだ知らない人がいたら磁富モノエとしまどりる企画室をよろしくね。
あの砂鉄の柱がBLACK磁富に延びてたのが超かっこよかったのと、勝手にお互いの磁富がモノポールになってるとか色々飛躍させてしまった! 多分この世界では少しだけ生きてる人達(配信者かも)と磁富が出会って失われた命を知って、もう一人の自分がやったことの重みを頑張って耐えて世界が磁力の波で満たされたことによるスーパー磁富人化を用いて世界を救うために砂鉄を操って剣飛ばしたりブラックホール作ったりしてもう一人の自分と対消滅を目指す痛快バトルアクションになります。わかりません。BLACK磁富は悪い顔せずに真剣な目だったから悪役ではないんじゃないか説も唱えたい今日この頃。何はともあれこの企画がどこまでいくのか期待。
知らない人は今から追っかけよう! ここまで読んでくれてありがとうございました!