「お、ようやく帰ってきたか。…ってボロボロじゃないか」
「少し無茶して神楽を連続で使用してその間にやられてしまって…」
「やっぱ連続の使用は厳しいみたいだな。俺も無理やりなら連続で出せるが威力がなくなるからな…。謎が多いな」
「でも少し手応えは感じたのでまた秋月さんに見てもらえれば今よりもっと強くなれると思います!」
「それならいいんだけどな。ま、これからは実戦を交えつつ神楽の特訓だな」
「はい!」
いい顔だ。以前は鬼の首を斬るのに躊躇していたが今では迷いがない。体つきもだいぶ変わりしっかりしている。元々山を上り降りしていたから腰も強いので攻撃を受け切れるだけの筋肉もある。ただ弱点は戦っている最中に視野が狭くなりやすいからもっと広く見るように教えてあげなければいけない。
「そう言えば日輪刀はいつ届くんだ?」
「一週間くらいかかるらしいです。なんか鉱石?を選んだのですがよく分からないので勘で選んだのですが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だろ。どの鉱石を選ぼうが、誰に刀を作ってもらおうがお前の持ってる技術は変わらない。万が一日輪刀の色が黒になっても俺と同じって事だから大丈夫だ」
「黒は何か悪いんですか?」
「ああ。例えば赤になったら炎の呼吸、青くなったら水の呼吸ってな感じで日輪刀の色によってどの呼吸を極めたらいいかわかるんだ。だが日輪刀が黒くなったらどの呼吸を極めていいか分からないんだ。それに俺以外に出世した奴もいないって聞くしな。まぁ現柱が黒い日輪刀で独自の呼吸を使って生きてるんだ。お前はそんな人から呼吸を教えてもらったんだから死なないさ」
不安そうな炭治郎の頭を軽く撫でて安心させる。気休めかもしれないが人に頭を撫でられると安心するって聞くしな。蜜璃に聞いたから本当かどうか分からないけど。
「それじゃあまた来週ここに来るからそれまで体がなまらないようにしつつゆっくり休んどけ」
「どこか行くんですか?」
「ああ。柱の人が集まって会議するんだ。今回は入隊した隊士…まぁ炭治郎達のこととか各自鬼の調査をしてるからその結果とかそう言うのを報告する感じだ。禰 豆子のことは誰にも言ってないから安心していいぞ。責任は俺が取るから」
「そ、そんな、悪いですよ!責任なら俺一人が!」
「入ったばかりのやつがそんな責任取れるか。禰豆子ごとお前の首を斬られるぞ。俺なら上手いこと誤魔化して余計な詮索させないようにさせるから」
任せとけと一言言い産屋敷亭に向かう。
産屋敷亭に着くともうすでに俺以外の柱は揃っていた。まだお館様は来てないから遅刻ではないはず。てか最近柱になった奴らは自由すぎだろ。木の上で寝そべってる奴や空見上げてボケーっとしてる奴。それに相変わらずみんなから離れてる奴。
「自由だな…」
「そうか?」
「柱九人揃ったんですからもっと一致団結するべきですよ。何かあった時にうまく連携取れないですよ」
「俺も派手にそう思うがあいつらの強さは本物だ。連携しなくとも上弦に勝てるんだろ。ま、俺も派手に勝つけどな」
「俺ももう負けないですよ」
とうたう柱は九人揃った。それに加えて古参組は技の練度をさらに高めた。お館様曰く過去最高の柱達だそうだ。
「みんな待たせたね」
優しい声と共にお館様が来た。それと同時に俺たちは一列に並び膝を突き頭を下げる。いつもの挨拶は早い者勝ちで今日は悲鳴嶼さんだった。俺も言いたかった。
「今回は色々情報があってしまって何から話せばいいか分からないけど…まずは嬉しい情報からかな」
「嬉しいとは新しい隊士達の事ですか?」
「ああ。今年は五人だ。どの子も優秀な子たちだよ。特に秋月とカナエの継子はいい成績を残しているね」
「秋月がそんな事やるなんて珍しいな」
「昔助けてあげたらそいつが興味湧いたんで教えただけですよ。まだまだ弱いですが」
「秋月殿が教えたのなら大丈夫だろう!」
「そうですよ!秋月さん強いんですから!」
この場で炭治郎のことを話してはいけないと思いすぐに話を切ろうとしたが、新しく入ってきた杏寿郎と蜜璃が声をあげる。嬉しいが今は会議中だから後で話そうと言い切り上げる。
「これからも後進育成頼むよ秋月」
「はい」
「悪い情報なんだが…。新しく上弦ノニが現れた」
お館様の一言で俺たちは一瞬身構える。今までそんな情報や噂など聞いた事ない。目配りをして他の人の反応を見るが誰も知らない感じだ。
「新しい上弦ノニは背丈がかなり高く身体能力が高い二人組だそうだ。恐らく海外から来た者が鬼になったんだと思う」
「それだけ情報があればすぐに見つかるだろ?派手派手だからな!」
「そんな事で見つかれば苦労はしない。問題は今までと違って二人一組でいるって事だ。そんなことも分からないのか脳筋」
「うっせえチビ」
「は?」
「あ?」
「二人ともお館様の前だ」
宇髄さんと伊黒が喧嘩してるのを悲鳴嶼さんが合掌し音を鳴らして止める。流石にこれには誰も逆らえないので二人とも黙る。まぁこんな巨漢にいきなりでかい音鳴らされたらビビるよな。
「小芭内の言った通り敵は二人一組。それに外国人とかなり分かりやすい特徴を持っているがまだ確定には至らない。君たちには負荷がかかると思うが調査してほしい」
「「「「御意」」」
会議の後、珍しくほとんどの柱が残り対策を立てていた。対策というより上弦の強さがどのくらいか俺に聞きに来ていた。
「上弦の強さは桁違いだ。首はかなり硬い。それに回復速度も異常だ。有効な攻撃を与えても何事もなかったかのように攻撃を仕掛けてくる」
「そ、そんなに強いんですか?」
「ああ。何か今の間に策を練っておかないと…」
「煉獄家には何かないのか?炎の呼吸はずっとお前の家系だろ?」
「俺もそう思ったのだが煉獄家に伝わる手記は父に破かれてしまい使い物にならない。内容を読む前に破かれたから俺も分からん!」
「あのおっさんなにやってんだよ…」
みんながみんな呆れている。奥さんを亡くしてからやる気がないと聞いていたがここまで酷いとは思っていなかった。
「とにかく上弦と遭遇したら誰かと合流した方がいい。烏たちを使って近くにいる柱に連絡して二人以上で戦うこと。合流するまでは命を守ること。こうでもしないと勝てない相手ってことを肝に銘じておくこと」
「それじゃあ地味すぎないか?」
「地味でも生き残るためには絶対です。俺もカナエさんと二人で挑んで重傷を負いながらなんとか勝ちました。それくらい上弦は強いんですよ」
眼帯に手をやりながら説明する。俺は目だけで済んだが、カナエさんはもう歩けない。カナエさんは明るく振る舞っていたが裏でもっと俺と一緒に任務したかったと泣いていたのを知っている。もう俺のせいで誰かが傷つくのは嫌だ。そう思い俯いていたら背中を叩かれた。
「派手に守ってやるから安心しろ!」
「俺は一度お前に助けられた…。借りた者はちゃんと返す」
「うむ!あなたに教えてもらった技術は必ずあなたの役に立たせます!」
「わ、私も頑張ります!」
みんな重い思いに声をかけると出ていった。実弥にまで励まされるとは思わなかった。情けない先輩だと思いながら俺は帰路に着いた。
無理やり終わらせたかんじですいません。
あと、この作品ではしのぶが柱ではなく秋月が柱ということになるのでご了承ください。他は変わりません。