那田蜘蛛山の件から一日経った日の昼。柱合会議が開かれたため柱が続々と集まる。いつもはお館様が来るまではたわいの無い世間話をしていたのだが、今回はそうもいかない。鬼を庇うと言う違反に加えその実行犯が柱である俺だからだ。
「お前何でこんなことしたんだ?女には困ってないだろ?」
「そんな理由で庇うわけないですよ」
「なら何で」
「それは…」
「理由もないのに庇ったと言うのか。呆れた。柱でもあろうものが鬼に同情を持って殺せないなんて前代未聞だ」
伊黒の言う通りだ。俺は鬼殺隊の柱である一人だ。家族や恋人、友人が鬼になりその人を自分の手で殺めたり、その憎しみから無惨を倒すといった人たちが鬼殺隊のほとんどだ。悲鳴嶼さんや実弥、無一郎もその中の一人だ。
「理由ならある。禰豆子は鬼の力で鬼を攻撃する。那田蜘蛛山でも血鬼術を使ったと聞いている。それに人を襲ったことは一度もない」
「なぜそう断言できる。これから人を襲ったらどう責任取るつもりだ」
「その時は炭治郎と禰豆子を殺し俺も腹を切ろう」
迷いなく言い放った俺の言葉に皆は静まり返る。誰も声を上げれない空気の中お館様はやってきた。いつもの挨拶は実弥がしていた。それを羨ましそうに見つめる蜜璃がいた。
「さっそくだけど本題に入らせてもらうね。竈門禰豆子について元水柱の鱗滝左近次から手紙をもらっている」
その言葉に俺と炭治郎、義勇さんは驚く。内容は禰豆子に催眠をかけていること。そしてもし禰豆子が人を襲えば俺と炭治郎、そして鱗滝さんが腹を切り詫びると言うことだ。
「私は構わないと思っているが、何か意見があるものはいるかい?」
「俺は認めないが、お館様がそう言うならいいだろう。だがそいつが人を襲わない証拠はどこにある。兄を守ったのも兄妹だからとかかもしれないだろ。それに血鬼術も使える様だが制御はできてるのか?」
「それは…」
伊黒の言葉に黙ってしまう。確かに側から見たら兄妹だから守ったとかたまたま血鬼術を出したとかそう聞こえるだろう。人を襲わないのも鱗滝さんの催眠術だからあまり信用がない。今は大人しいが夜になるといつ暴れるかわからない。どうやって説明しようかと悩んでると実弥が話し出す。
「なら稀血の俺がそいつに血を見せて襲ってくるかどうかで判断すればいい。万一襲ってきたら即首を落とす。それでいいな?」
「ああ。それで構わない」
実弥の提案に伊黒が賛成する。稀血とは鬼が特に好む血で口にすると猫がまたたびを食った様になるらしい。そんな血を禰豆子が目の前にしたら襲うかもしれないが、逆に我慢できれば人を襲わない証拠になる。禰豆子に我慢してくれと祈りつつ見守る。
実弥が少し乱暴に禰 豆子を箱の中からだし血を見せる。最初は目を開き食いつきそうになっていたが目を瞑り顔を逸らす。実弥が腕を近づけても首を振り一向に舐めようとしない。
「小芭内はこれで満足かい?」
「…はい」
お館様の言葉に伊黒は返事をし頭を下げる。よかった。本当に良かった。これで禰豆子が実弥を襲おうとしていたら俺はこの場から禰 豆子と炭治郎を連れ逃げ出すとこだった。
「これでこの件は終わりにする。だが秋月と炭治郎には隊立違反としてしばらく十二鬼月の捜査と討伐に当たってもらう事にする」
「御意」
こうして柱合会議が終わった。炭治郎は治療のため禰豆子と共に蝶屋敷連れて行ってもらい俺は伊黒、義勇さん、時透以外の柱と話をした。
「さっきは助かったよ実弥」
「恩があるからそれを返しただけだ」
「それよりお前がそんな派手な秘密を隠していたとは。派手に驚いたぜ」
「そうですよ!私たちにも相談してくださいよ!」
「うむ!貴方には世話になっているからぜひ協力したい!」
「いや、流石に鬼を匿っていたらどうなるのか分からなかったし…」
「遅かれ早かれこうなるのは目に見えていただろう。それに柱合会議とはこう言う事態をどうするかを決めるために集まるのだ」
「すみません…」
一人でなんとかしようと考えていた事に少し反省する。何かと面倒見のいい悲鳴嶼さんと宇髄さん。それに慕ってくれている甘露寺と杏寿郎。いい人たちに恵まれたものだなと思う。
「で、実際十二鬼月の居場所に当てはあるのか?」
「いや、全く」
「む、なら自分と一緒に来てはもらえないだろうか」
「当てがあるのか?」
「次の任務で恐らく十二鬼月がいるであろう場所に向かう事になっている。貴方がいてくれると心強い!」
「そう言うことなら一緒に行こうか」
杏寿郎の提案に俺は賛成して次の任務が決まった。ぶっちゃけ杏寿郎がいるなら俺の出番はないのだがまだ下弦か上弦か分からないし。上弦なら杏寿郎一人じゃ厳しいだろうしな。こうして次の目的地が決まった。
次の投稿はまたいつになるかわかりませんが更新はしていくと思います。