いつの間にか柱になりました。   作:マーブルチョコ

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六話

カナエさんが抜けた穴を埋めるために入ってきた新しい柱の水柱である冨岡義勇。彼は物静かで凛としている。年は俺より一つ上の十九で身長も少し高い。鱗滝さんの元で育ったのできっと強いのだろう。そんな彼から発せられた一言に柱達は驚いた。

 

「俺は選抜試験を突破していない。だから俺は辞退する」

「「「はぁ?」」」

 

いきなりの事に俺、宇髄さん、煉獄さんは素っ頓狂な声を出す。それはそうだろう。選抜試験を受けないと鬼殺隊に入れない。俺も一応は突破している。

 

「お館様。こいつの言ってる事は本当なんですか?鳴海みたいに鬼を殺してないって事ですか?」

「うん。義勇は選抜試験で鬼を殺していない。だが頭と技を使い生き残った」

「ならそう言えよ。そんなこと言ってると嫌われるぞ」

「…そんなつもりはない」

「ならもっと愛嬌よくしろよ」

「必要ない」

 

煉獄さんの言葉にズバッと答える義勇さん。そんな義勇さんを見てイラッとしていた煉獄さんは刀を抜こうとしていたので必死に抑える。

 

「お館様の見てるところで喧嘩はダメですよ煉獄さん!」

「ああ?!ならお前が代わりにやるか?!」

「それはいい提案だな!俺も成長した秋月の戦いを見てみたい!」

「何言ってるんですか宇髄さん!隊士同士で争うのは違反ですよ!」

「私がみてるから構わないよ。秋月。それに義勇の強さを知ったらみんなも受け入れるだろう」

「…お館様がそう言うなら」

 

お館様の提案で仕方なく義勇さんと手合わせをする事になった。もちろん木刀で。正直気が乗らないが、後には引けない。お互いに準備ができたところをお館様が確認して手を上から下に下げる。

 

『水ノ呼吸漆ノ型 雫波紋突き』

『暦ノ呼吸冬ノ型 氷柱』

 

勢いよく突きを放ってきた義勇に対してこちらも素早い突きをぶつける。このまま力比べをしても仕方がないので一度距離を取りこちらから仕掛ける。

 

『暦ノ呼吸秋ノ型 紅葉舞踊』

『水ノ呼吸肆ノ型 打ち潮』

 

紅葉がひらひら落ちるように緩急をつけて斬りかかる俺に対して、義勇は滑らかな動きで避けて攻撃を仕掛けてくる。

 

「似たような技を使ってるけどそれって俺の真似ですか?」

「違う」

「そっか。ならこれは真似できるかな?!」

 

『暦ノ呼吸夏ノ型 陽炎』

 

紅葉舞踊の緩急ある動きに勢いをつけて陽炎に移る。不意をついたり死角を取るのにうってつけの連携技だ。これは流石に勝ったと思ったが予想外のことが起きる。

 

『水ノ呼吸拾壱ノ型…』

 

「拾壱ノ型?!ハッタリか何かか?ちゃんと避けないと怪我するぞ!」

 

『凪』

 

勝利を確信しつつ斬りかかる。が俺の木刀は義勇に届く事はなかった。義勇の間合いに入った瞬間勢いよく弾かれた。見えなかった。刀を抜くところも弾かれたところも。何が起こったのか分からなく動けないでいると義勇は軽く頭を下げ去っていった。

 

「派手に負けたな」

「いやいや、負けてないです!俺はまだ戦えました!」

「いや負けてただろう。お前の攻撃当たってなかったじゃないか」

「それを言ったら義勇さんの攻撃も俺に当たってないですよ!それよりも拾壱ノ型ってなんですか?!」

「知るか。…だが俺も見えなかった。多分派手に刀を振り回して防いだんだろう。それも恐ろしく早い速さで」

「あの速さで振るのは容易いがその場から動けなくなるのは欠点だな」

 

俺との勝負で義勇さん戦闘評価が上がった。無愛想なのは変わらなかったので少し近づきにくい事は変わらなかった。

 

 

ここ最近忙しくてカナエさんのお見舞いに行けてなかったので会議終わりに蝶屋敷に寄る事にした。少し奮発して高級菓子のカステラと藤の花を持って。

 

「お邪魔します」

「あら、いらっしゃい秋月くん。怪我の調子はどう?」

「…カナエさん?!え、いつ目覚めたんですか?!てか怪我大丈夫なんですか?!

「半月ほど前に目が覚めたの。車椅子に乗らなくちゃいけなかったから大変だけど他は大丈夫よ。目も片方だけどちゃんと見えてるし」

「…すいません!あの時ちゃんと首を斬っていれば怪我をせずに済んだのに!」

「それはもういいわ。ちゃんと謝ってくれたしこうして生きてるし。それに私の後がちゃんと育っているし私は引退して普通の女の子としての幸せを見つける事にするわ」

 

ニコニコと笑ってカナエさんはこれからのことを楽しそうに語ってる。本当にこの人は強い。俺にできることなら何でもしてあげたい。それが俺にできる罪滅ぼしだと思う。そう思いカナエさんの手を握り声をかける。

 

「カナエさん!俺が必ず幸せにして見せますから!!」




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