「しぜんを あいする おじょうさま」その名をエリカ。
男子禁制のタマムシジムに所属するジムリーダー。
対戦を申し込んできた主人公を目の前にして、わずかな間とはいえ居眠りをするほどおっとりしている性格。
これはつまり男性との接点や耐性はあまり無いのではないか?
恋に落ちたら主人公とすごいとっくんをさせれるのではないか?
なのに彼女が出てくる小説が少ない。
ならば書くしかねぇ!
そんな感じで主人公が彼女と出会い、ポケモンが勝手に洗脳誘導してた結果、なんやかんやあって主人公が捕食される小説にしていければなと思ってます。
(ちなみに捕食する描写は)ないです。
豊かな森の幸。
湖に暮らす水の恵み。
どこからともなく吹いてくる風が全身を包むようにやさしく肌を撫でた。
日が昇ると同時に目覚め、そして日が沈むと同時に一日を終える。
そんな生活を続けていると、時折なんで自分はこの世界に生を受けたのかと考えることがある。
周囲を見渡しても人間は自分一人しかいない。
時折飛ぶポッポや湖で跳ねるコイキングを視界に入れながら身体を温めるために焚かれた小さな火を水飛沫で消さない様に注意しながら釣りをしていた。
偶にケースに入れられた2匹のコイキングが弱ってないか確認しつつ釣り針に意識を向けていると、サーナイトとエーフィが近くの散策を終えて近寄ってくる。
釣りをしている自分の頭を撫でるサーナイトと背中に頬を擦り付けるエーフィの行動をくすぐったく思っていると、手元に反応有り。
手に握られたふつうのつりざおを通して送られてくる振動を頼りに竿を勢いよく引っ張り上げる。釣り針に見事引っかかったコイキングがピチピチと針先で暴れていた。
「うっし。今日の食糧調達完了っと」
コイキングを目標数釣り上げたところで作業を終えてつりざおを片付ける。
忘れ物がないことを確認し、コイキングを入れたケースを見るとエーフィがねんりきを使って器用に持ち上げてこちらを待っていた。
サーナイトが抱きかかえている箱には木の実が入っており、うろ覚えで作った割には大分長持ちしている。
「ありがとう。んじゃ行こうか」
「サナ~」
「フィィー…」
ほうようポケモン サーナイト。ニックネームはセシリア。
たいようポケモン エーフィ。ニックネームはイゾルデ。
自分の言葉に鳴き声を上げるそんな二匹のポケモンであるが、わざわざ声に出さなくても会話が出来たりする。
それはエスパータイプであることを活用した会話を出会ったときから始めていたおかげなのか、二匹とも人間がしゃべる言葉の意味を完全に理解しており、念話で話すことが出来るようになっている。
そんなこと可能なのかって?
アニメでロケット団のニャースが独学で人語を話せるようになってたから可能(暴論)。
ふよふよ浮きながらついてくるサーナイトは兎も角、エーフィの鳴き声から察するにまたそんな魚を食べるのかという目をしていることだろう。
普段木の実を好んで食べる二匹にとって魚を食べるのはよほどのことがない限りしない。
更にコイキングは鱗や皮、そして骨が多く食べられる部位は少ない欠点も存在する。
しかしこの湖でよく釣れてくれる大変貴重なタンパク質なのだ。摂取しないという選択肢は自分には存在しなかった。
ホネまでキレイにして ていねいにみずのなかにおくる
そうするとポケモンは ふたたびにくたいをつけてもどってくるのだ
詳しくは知らないがこんな文献がシンオウ地方に存在するらしい。
かつて飢餓の時代を救ったとされるコイキングだけでなく、ポケモンを含めた命の糧に感謝を込めて向き合うことを説いているその文献は後世に残し続けてほしいものだ。
そしていつかはその文献を実際にこの目で拝んでみたいとも思う。
自分がいるこの場所がどこなのかは全くわからないけども。
「なぁセシリアにイゾルデ。俺たちって一体どこに暮らしてるんだろうな?」
『フィ~(そんなのわかる訳ないじゃないの)』
『サナ~?(服を着ずに過ごせる程よい気候の場所としかわかりませんよ)』
「だよな~」
呆れたようなエーフィの表情はとても豊かだ。
名探偵ピカチュウに出演できそうなぐらい豊かな表情をするのでどんなことを考えているのかもわかりやすいので助かるのだが、時折豊かすぎる弊害でイラッとくることも多い。
しかしエーフィ自身こちらを本気で嫌悪しているわけじゃないことを理解しているので、今では大分流せるようになった。
対するサーナイトは普段から冷静で一歩下がるようについてくるメイド気質がある。
時折変な行動を取っていることはあるが、基本的に丁寧な対応と口調なので色んな意味で安心できる存在だ。
頭を撫でるのが好きなのか時間に余裕があるときなどは撫でてくることが多い。
撫でかえすと嬉しそうに照れるのがカワイイ。
「大分身体の方も成長してきたし、そろそろ都市でも集落でもいいから人を探しに遠出するかなぁ。すごく居心地はいいけど一生ここで生きていくのは流石に勿体ない気がする」
『サナサナ~(例え地の果て水の果てでもお供しますよ)』
『フィッフィッフィ~(遠出はいいけど、全裸に慣れてる時点で遠出は厳しいんじゃないの?)』
「流石に服を着て違和感を感じる事は…無いと信じたいな。うん」
ふと呟くと念話で返答してくるがそうなのだ。
エーフィの指摘通り、今の自分は服を着ていない。全裸なのである。
これには深い訳がある…わけではない。
ただ何をしようにも汚れてしまうこの大自然の中で、服を着ていても洗う手間と破らない様に気を配る手間を考えた結果、あるがままの姿で生きる事に慣れてしまったのだ。
服は拠点に使用しているウッドハウスに丁寧に畳んで保管してある。
ちなみに素足で動き回っている影響で足の皮は前世よりも大分分厚くなり、筋肉の付き具合も我ながら良いものになってきている。
その話は可笑しな点がある?
何故人が一切おらず、ポケモンしかいない大自然の中で服を持ってるだって?
それについては知らぬ。
気づけば近代生活とおさらばし、縮んだ身体がこの土地で目を覚ました時点で現状把握など不可能である。
ポツンと建っていた現拠点のウッドハウスの中にそれぞれの成長に合わせた服が一式入っていたことで衣服の確保はできた。丁寧に保管しているので、虫食いにあってさえいなければまだ着れるだろう。
なおなぜ一式入っていたのかは全くの謎。ここに来ている理由も謎。考えるのは止めた。
ハウスの中に衣服はあるのだが、冷蔵庫やコンロと言ったものは存在しなかった。
なので食料保管用に穴を掘り、れいとうビームを打ち込んで作ったオリジナル冷蔵庫やほのおのパンチ(手加減)で使用可能になる調理台。なんちゃってトイレや風呂などを必死になって運用して幾星霜。
動物性タンパク質の摂取も怠らなかったおかげなのか己の身体に成長期がやってきて、今ではある程度の丸太を軽々運べるようになり、筋肉もついたのは行幸である。
細々とそこらに生えていた草を草食動物の如く食べて生活をしていた頃、さも当然のようにハウスへ入って来て生活をし始めたこの二匹のポケモンがいなければこの生活も送っていなかっただろう。
人間とポケモン。
当然初めは意思疎通など出来るはずもなく色々あったが、今では離れられない相棒達だ。
二匹に付けたセシリアとイゾルデはゲームをしていた時に付けていたニックネームだったりするのだが、名づけ時には
理由は念話が出来た時にわかった。
かつてゲーム内で育ててたポケモンそのものだった。なので当然レベルは高レベルのはず。尚この世界にレベルの概念があるのかは知らない。
その時、二匹から改めて自分の名をつけてもらったのだ。
おれの名はタツミ。
ポケモンマスターにはならないけど、折角なので原作キャラにあってみたい男だ!
なおロケット団特務工作に所属している幹部(アニメ)と同じ名前らしいのだが、全く関係ありません!
……ないよね?
――――
「フィィフィフィ~」
「サナァ~?サナサナー」
タツミが現拠点から移動することを決定した少し後、サーナイトとエーフィは今後の方針を話し合っていた。
この場所に来て身体がある程度成長するまでは下手に好奇心を出して遠出することはせずに鍛え続けていたタツミだが、その影響もあって周囲がどのような環境でどこが危険なのかと言った地理的知識は少ない。
そのため普段二匹は木の実回収を兼ねてテレポートを用いた偵察を行っていた。
今回の議題はどのルートを用いて町を探すかというもの。
ゲーム内においてはポケモンから逃げたり、手持ちのポケモンと入れ替わる技であったが、この世界においてその法則は当てはまらない。
サイコパワーを多量使用することになるが、目視した場所や事前にマーキングを施した場所に移動することができる「テレポート」。これを日頃から多用してある程度進行ルートをすでに何個か絞っていたのだ。
よほど使い続けて熟練度を上げていない限り戦闘中に狙った場所に現れるのは難しいが、これまでの時間を活用していたと言えるだろう。
『サナ~(どうします?森を抜けるルートはスピアーの軍勢がいるので正直通り抜けたくはないのですが…)』
『フィ~(かといって山のルートを行くはゴローニャがゴロゴロいるでしょ。山頂からいわなだれされたら流石の私達でも厳しいわよ)』
『サナー…(ですよねー…)』
彼女たちが心配しているのは自身の心配ではない。
自分達のトレーナーたるタツミの心配であった。
多くの技を扱えるポケモンとは違い、タツミは人間である。
野生では強襲など当たり前。
毒を貰えば体調を崩して最悪の場合死に至る可能性もあるし、「いわなだれ」と言った技を喰らえば骨が折れるだけでは済まないだろう。
故の心配。
彼女達にとってはトレーナーという存在は一種の枷に近いのかもしれない。
「よっしゃぁ!準備できたし、オヤブンと最後に語り合ってくるか!!」
二匹がそんなことを考えているとは思っていないだろうタツミは「うぉぉおおお!」と叫びながら駆けていく。
そんな己のトレーナーを見送って、状況を把握した二匹は同時に飛びあがった。
『『ファッ!?((馬鹿なんですかあの方は!!?))』』
声も出ないほど驚愕しつつ、すぐさま後を追いかけていくのだった。
湖の主といえばどんなポケモンを思い浮かべるだろうか?
ポケモンの世界で暮らす住民たちからすれば意見が多々上がってくるだろうが、某R団の影響で狂暴化してしまった赤いギャラドスが印象強いのではないだろうか?
もっともこの湖にはギャラドスになっているものはおれど、湖の主にまで上り詰めてはいない。
ギャラドスとは別の、水ポケモンがトップに君臨している。
「おぉ…準備万端って感じだな…オヤブン」
「ニョロ…ボン!!」
それがおたまポケモン ニョロボンである。
勝手に名付けたニックネームはオヤブン。
普段見るニョロゾなどと違って身体が一回り大きく、特徴的な腹部のうずまき模様に刻まれた大きな傷跡がこれまで戦ってきた経歴を示していた。
にらみつけるだけで格下のポケモンであれば一目散に逃げだしてしまいそうになるだろうその眼光は知り合ってから全く変わっていない。
出会った当初は見事なまでにフルボッコにされたのは今でも記憶に新しい。
明らかに手加減されていたので大事にはいたらなかったのだが。
「ニュ…ボン!!」
水泳のオリンピック選手ですら悠々と抜いていくと言われる強靭な筋肉から放たれる拳で数多の猛者を打ち負かし、この湖に君臨してきた猛者が構える。
今日はこれが最初の出会いだというのに、言葉は不要だとその姿から語っていた。
「言葉は不要か…そうだな。
タツミもそれを感じ取り、多くを語らない。
もしかしたらニョロボンは、自分が旅立つ日が来るとわかっていたのかもしれない。
そしてそれが今日であることを自分を見て確信したのだ。
湖の主として暇ではないだろうに、わざわざこのために姿を見せてくれたニョロボンに感謝と自分の想いを拳に込める。
それがタツミなりのニョロボンへの返礼だった。
「ニュルボッ!!」
「ルァアア!!」
オヤブン の メガトンパンチ!
タツミ の きあいパンチ!
互いの拳がぶつかりあう。
これまで幾度となく振るってきた拳であるが、この瞬間に放った拳は自分が生きてきた中で最高の一振りだと断言できる。
全身が一つの砲弾になったの如き衝撃を拳一つで受け止めてくれるニョロボンに最大の感謝を。
そして、それでも頂きに届かなかったことへの悔しさをタツミは噛み締めた。
結果は相殺。
自分の全力をニョロボンが見事受け切り、絶妙な力加減で互いに発生する被害を最小限にした結果だった。
「っかぁー!!相変わらず強い!」
それに対して不満など感じない。
相手との力量差など10年も前から理解している。
だがそれでも悔しさは確かにあった。
「…これで最後とは言わないけど、しばらくお別れ…か」
「ボン」
「ありがとうオヤブン」
地面に大の字で倒れたタツミにニョロボンは左手を差し出した。
出会ってからというもの、彼に勝つために鍛えてきたが力の面でも気遣いの面でもまだまだ勝てる気がしない。
手を引かれた勢いで立ち上がるタツミは
『サナーーー!!(何をやらかしているのですかぁぁ!!)』
「いってぇ!!」
そんな漢同士の友情を深めていたところに不意を打つ形で頭にサーナイトの「はたきおとす」が叩き込まれる。
こうげきの種族値は低いといえども共に鍛えて近接戦闘も出来るようになっている
仲間からまさかのテレポートからのふいうちに思わず頭を押さえてしゃがみこんだ。
走って追いついてきた
ここで物理的に重いとか思ったり呟くと半殺しにされるので言わない。
「…ニョロ」
もう用はないといった感じであるが、彼なりの激励だったとタツミ自身は思っている。
再び彼の背に向けて感謝を述べると片腕を上げて応えた後、湖へと飛び込んでいった。
『サナ~(二度とあのような無茶をしないでください)』
『フィフィ~(流石に今回の一件は反省しなさいな)』
「すんまそん」
ねんりきで身体を捻られながら持ち上げられて拠点へと連行されながら、まだまだ強くならなければと心に決めた。
今日は記念すべき出発の日。
あわよくば素敵な出会いがあればと願いながら、一人と二匹はこの地を旅立つのであった。
・タツミ(19)
年齢は旅立ち時準拠。
YAMA育ちの為、一般人よりもはるかに戦闘能力が高い。
全裸で過ごすことに違和感を感じなくなってきたが、人と出会う際は流石に不味いと考える知性は残っていた模様。
短髪でサッパリとした印象を受けるが身体には生傷が多く刻まれている。
野生で育ったためかポケモンと人間の生き死にに関しては特に思うところはない。
スーパーマサラ人ほどではないが、努力値の関係上身体能力は群を抜いている。
・セシリア(サーナイト)
主と認めた相手にとにかく尽くす性格で仮に主が死んだら間違いなく後を追うタイプ。
家事でも戦闘でもなんでもござれ。ただ主やその関係者以外にその腕を振るうことは決してない。
偶に忠誠心が鼻から出ることがあったり、人が寝ていた布団を使って何かをしていることがあるらしい。
戦闘能力に特化しており、ある程度近接戦闘もこなす。
最近のムーブメントは“テレポート”からの相手のきゅうしょを狙って物理の一撃で仕留めるヒットマンスタイル。
だが当然ながら特殊タイプなので中~遠距離戦の方が強い。
タツミの脳内を読んだのか“サイコキネシス”と“はかいこうせん”を使って他作品の技再現にハマっているらしい。
・イゾルデ(エーフィ)
名探偵ピカチュウばりの表情筋の柔らかさを魅せながらちょくちょく小言を言う。
たまにしわしわエーフィになる。
それは信頼の裏返しであり、ためになる発言も多いためかタツミもよく発言を受け入れて行動を修正している。
面白いことに首をつっこみやすいが体毛で危機を感知できるので程々のところで切り上げてくるから怒るに怒れない。
危険を察知しやすく、リフレクターやひかりのかべを角度をつけて展開することで攻撃を受け流したり、サイコパワーを混ぜ込み威力を上げて反射するなどもできる絡めて型。
両壁で安全圏を維持しつつ“みらいよち”を混ぜ込んだ固定砲台が主な戦闘方法になるが、指示せずとも“くさむすび”で妨害したり隙を見つければ“めいそう”を積んでくる。