僕のお父さんは俗に言う〖敵(ヴィラン)〗という奴だ。この世は勝手に個性を使って悪事を働く者をヴィランと呼ぶ。世間では悪とされているが僕はヴィランである父をとても好いている。
「お父さん、おかえり!」
「おぉ、帰ったぞ!我が息子よ!」
「お父さん、今日の晩御飯は何?」
「今日はな…とんかつだ!」
「本当?やったぁあ!…どうやってそれを手に入れたの?」
「それはだな…ご近所さんに頂いてな」
この言葉は嘘という事を僕は知っている。ご近所さんと言っているが実際は隣の町の商店街から奪ってきたのであろう。
因みにだが僕個性は「発見」という個性だ。説明をすると、相手から愛情を受けたのならその人を思っている事を知る事ができる、というものだ。この個性は未だに父親以外なら貰ったことがない。
「そうなの?ありがとう!お父さん!」
「!?…おう」
父親の個性は「透視」見透かす事ができるが、継続期間は3秒という短い間だが未来を見透かす事ができるが特に意味はない。
「あのね、お父さん」
「ん?どうした?」
「今度学校でね授業参観があるんだけどね…」
「…ごめんな、お父さんは行けない」
「だよね…ごめんね」
お父さんは僕が7歳の時にヒーローに捕まった事がある。ヴィランはマスコミに晒され社会のおもちゃにされた。その被害は当然僕にも来た、ある時は靴を隠され…またある時はトイレに入っている最中に水をかけられ、しまいには暴力まで食らった。当時はお父さんを憎んだが、お父さんは僕が明日生きる為に必死に手段は汚いが、動いてくれたのだ。
それを世間は〖ヒーロー〗が愚痴愚痴と叩き、そして、〖ヒーロー〗を志す者が社会的弱者を苛める。〖ヒーロー〗は何をしても良いのか!?〖ヒーロー〗は何をしても罪に問われないのか?そんな〖ヒーロー〗に少なくとも僕は憧れない。
僕は〖ヴィラン〗であるお父さんを心から誇りに思う。
「今度さ、お父さんについての作文なんだ」
「くっ…ごめんな…」
「お父さん、僕はね。世間でどう扱われようが、お父さんは僕が誇りに思う。立派な人だよ?そこら辺にいるヒーロー何かより」
「…ありがとう!本当にありがとう!」
「もう、お父さん苦しいよ〜」
「ありがとう…ありがとう…」
こちらこそいつもありがとう、お父さん
そして、授業参観当日。僕は保護者からの視線をクギ付けにしていた。『あれがヴィランの息子の…』『どうして学校に通っているのかしら…』『うちの子の教育に悪い…』等々僕に対して言いたい放題である。これがこの世界の現実。
だが、今の僕は何を言われてもいい。何をされてもいい。だって、お父さんが無理をしてまで学校に来てくれたんだもん!頑張らなきゃ!
「次!○×〜君!」
「はい!僕のお父さんは〜」
僕が作文を読み終えた後周りは静かだった。
周りは血だらけで、元クラスメイトやその保護者だったものの肉がそこら中にある。
僕は血の海に伏せながら思った。
『お父さん…今までありがとう。さようなら』
最後は、主人公とそのお父さんの心中に巻き込まれた授業参観でした。
お父さんが大好きだった息子を殺すのを戸惑いその葛藤を周りにいた人に八つ当たりそして、作文を読み切ったタイミングで主人公を殺し、自殺しました。