Troubる   作:eeeeeeeei

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三十話 夢中×未知

ーーーーーー

 

 

「お兄様!?」

 

「大丈夫。悪意は感じない…」

 

 それに、どうやら意思を持った植物は生命力の塊ともいえるのか、オーラが見えるのでなんとなく精神状態はわかる。

 この先にいるやつは………

 

「ピイィィィィ!」

 

 タマネギ?もしくは剥き出しの球根のような見た目の、デパートにたまにいる着ぐるみみたいな、そんな奴が走ってくる。モモを背負った状態なので、とりあえず躱すが…

 

「……モモ、歩けそうか?」

 

「は、はい。もう大丈夫です」

 

「こいつ、だいぶ弱ってるな…」

 

「ピィィィ…」

 

 ベシャリとその場に倒れた。その胴体と顔を担っているだろう丸い体はだいぶ萎れているし、頭の葉には元気がないのか、葉っぱは乾いたようにくしゃっと乾燥しているように見える。

 

「み、水……。──と言っていますね…」

 

 やけに再現度が高い感じで言うモモ。こんな一面もあるんだなと思いつつも話を進める。

 

「やっぱそうだよな。よし、さっきのとこに戻るか」

 

「え?これは、私も見た事がないコですので…もしかしたら何か危険なコかも知れませんよ…?」

 

「いや、コイツはたぶん大丈夫だし、モモも植物好きだろ?戻るついでに次は反対側見に行こう。それに、仮に暴れられても俺が抑えるよ。この状態にはもう慣れた」

 

 オーラが練りにくい状態だったが、それにも慣れた。体力が減っていようが俺の潜在オーラが減ったわけじゃない。

 疲れてもないのに極度の疲労状態でのオーラ操作に最初は戸惑ったが、もうそれには慣れていた。

 

 モモは、何も喋らなかったが、歩くくらいには回復しているようで、俺はコイツを背負ってそのまま水辺まで戻ってきた。

 背中から降ろして水につける。

 

「これで、いいのか?」

 

 しおしおだった体と葉っぱは随分と潤ったようだ。

 この球根の三枚しかなかった葉っぱ部分は、今は木のようにその葉の数を増やしていた。

 

「お、元気になったっぽいな。もー死にかけんなよー元気でな。じゃあ、行こっか、ん?──モモ?」

 

 モモは、うつむいて何も言わない。なんだか様子もおかしいような。

 

「…お兄様は、誰にでも優しいんですね……」

 

「──え?」

 

「私は…他の人に優しくして欲しくないです。私を一番に見て欲しいです。誰にもあなたを渡したくない…」

 

 様子が、変だな…俯いたままで表情は読み取れないが、拳は強く握られておりぷるぷると少し震えている。

 

「……モモ…?」

 

「私は…初めて会ったあの時から、ずっとあなたと添い遂げる事だけを考えてきました…ミカンさんより、ヤミさんより、お姉様よりもずっと…ずっと早くから!!私は、あなたの事が……」

 

 俯いていた顔を上げたモモは、怒っているような、泣きそうなような顔で語尾を大きくしていった。

 モモ、俺は……

 

──ゴポゴポ──

 

 モモが最後のセリフを言いかけたところで、水音がする…【円】の範囲を広げて探知すると、正体がわかった、かなり巨大な、コンブの塊か?

 

──ビュ!!!──

 

 出てくると同時に伸びる触手。けど…遅いな。

 狙いは、モモか。

 

 

ーーーーーー

 

 

 また、邪魔が入る。

 私は、こういう星の元に生まれてしまったのだろうか?

 ユウリさんと添い遂げる、それは、叶わないことなんだろうか?

 そうして、半ば呆然と自分へと伸びてくる触手を見ていると、急に、触手が消えた。

 

「──邪魔だ」

 

 声が聞こえた。

 何処からかはわからなかったけど、目の前に浮かぶ赤黒い、全てを拒絶するような、ユウリさんの結界。

 いつもの綺麗な青空のような色ではない。

 

「フッ!!」

 

 気付いたら、巨体の目の前にいて、両手を突き出している。それだけで、リトさんの家ほどもありそうな巨大な水生植物は吹き飛んでいき、見えなくなった。

 

「…ユウリさん」

 

 驚き竦み上がっている助けたコの頭の葉を撫でて、私の目の前まで、歩いてくるユウリさん。

 

「──俺もモモの事好きだよ」

 

 嘘……じゃないよね?目は開いてるはずなのに、目の前が真っ白になったような気がする。

 

「でも、恋愛感情ってものが、俺はそもそもわからないんだ」

 

「──えっ?」

 

「モモの言う通り、ミカンもヤミもララもナナも、モモの事も大好きなんだ。そこに順番なんか無くて、兄と呼んでくれたり、一緒にいてくれるみんなを、初めてできた家族だと思ってる」

 

 そんな…そんなの……

 

「だから、もう少し、待ってくれないか…?俺も勉強するからさ。今はまだ、みんなといるだけで幸せなんだ」

 

 思い描いていた、憧れて私が勝手に作り上げていた、ユウリさん像と、今目の前にいるユウリさん像はあまりにもかけ離れている。

 颯爽と現れて、傷だらけになりながらも私を助けてくれる最高の王子様。ゲームの主人公のような、なんでもできる人だと、勝手に想像して妄想して作り上げていたユウリさん。

 でも、違った。地球に来て、異世界人だと言うことを知って、みんなの前で泣きそうな顔もしてたり……会うたびに、話すたびに私の中のユウリさんをどんどんと修正していって、でも、変わらず私はユウリさんが好き。

 

「フフッ」

 

「あ!何笑ってんだよ?めっちゃ真面目に答えたのに」

 

「答えたも何も、私まだ何も言ってませんよ?」

 

 待ちますよ。

 ここから、スタートなんですね。

 会った順番なんて関係なかった…私も勉強しますね。ユウリさんの事を。この想いは本物だって事を。

 

「〜〜〜!」

 

 顔を真っ赤にしてるユウリさん。

 ふふふっ。私の想像のユウリさんではありえない姿だけど、凄く可愛いと思えた。

 

「ふふふ♫…私()、ユウリさんの事好きですよ?」

 

「……はいはい。気ぃ使わなくていいよ。先走って勘違いした俺が悪い…」

 

 不思議な人。あんなに、落ちていた私の心が、今は飛び跳ねている。

 私の恋は、想像のユウリさんから本物のユウリさんへと変わり、今からまた始まるんだ。やっぱり、私はあの日から、ずっとあなたに夢中ですよ。

 

 今度は絶対に、私が一番って言わせて見せますね。ユウリさん♫

 

 

ーーーーーー

 

 

「あ!ユウリさん!このコ!!」

 

 俺史上最大に恥ずかしい勘違いをかました後なので、心が抉られている俺にモモは大声で何か言っているが、モモに背を向けて座っている俺の頭に入ってこない。

 

「もぉ、ユウリさん、機嫌直してください。ほら!命の恩人だから、持っていってくれって!」

 

「キーキー!」

 

「ん?この実、リンゴみたいな…って事は!?」

 

「はい♡これがラックベリーです。食べてみてください♫」

 

 本当に、最初は三枚しかなかった頭の葉っぱは数を増やし、木のように伸びていた。そこにはいくつも実がなっており、モモは既に両手に一個づつラックベリーを持っていたので、一個もらってかじってみる。

 ん、美味い。──あれっ?

 

「これは…」

 

「はい。どうやら、パワダの実の効果を打ち消す力もあるようですね。こんな効果もあるなんて、調べがいがあります」

 

 体力と力が戻った。これで、いつも通り動けるな。

 モモは図鑑でも実の部分しか載っていなかったらしいラックベリーに興味津々で話しており、その実もいくつも貰っていた。

 その話もひと段落したところで、みんなの元へと戻ることにする。

 

「ありがとなラックベリー!助かったよ。また世話になるかも知れないし、元気でやれよー」

 

「これで、セリーヌさんを助けてあげられますね。カレカレ病とはいえまだ一日くらいの猶予はあるはずですが、早いに越したことは無いですから」

 

「あぁ。じゃあ急いでみんなと合流するか!って、モモは飛べるか?」

 

 そういえば、機械が動かせないのは霧のせいだったんだったよな?

 一応聞いてみるが…

 

「いえ、やはり半重力ウィングは、作動しませんね…じゃあ、お願いしますね♡」

 

 そう言って俺の胸に飛び込んできたので受け止める。お姫様抱っこのような格好になった。腕は首に巻きついており顔が異常に近い…からかわれてんのか?

 ただ、悪戯っぽく見上げてくるモモがめちゃくちゃ可愛く見えて、妙に意識してしまう。

 

「はいはい。──舌噛まないようにね。お姫様」

 

 そんな自分を隠すように、軽口を叩きながらも結界を生成し、巨大な樹に沿って飛び上がった。

 

 

ーーーーーー

 

 

「キャハハハハハハ!!!」

「ニュルニュルは……キライです」

 

 手足を蔦に拘束されて体をくすぐられているナナ。

 粘液を垂らす、ヌルッとした長いモノに身体をまさぐられているヤミ。

 

 この状況になる少し前。ユウリとモモがこの惑星の底とも言えるような穴へと落ちていった後、幾度かの植物達との戦闘を終えて、二人とラックベリーを探していたのだが、ヤミは霧の影響で体内のナノマシンがうまく働かず、変身(トランス)ができなくなってしまい、ナナとララもデダイヤルが作動せず、全員体術だけでの戦闘を余儀なくされていた。

 とはいえ、デビルーク星人の高い身体能力を持った二人のプリンセスと殺し屋でもあるヤミは体術だけでも食人植物たちを圧倒していたのだが、ここに来て学習した食人植物達は、近接での戦闘をやめて、驚異的に数を増やし、遠距離からのツルや蔦での不意打ちの攻撃主体に切替たのだ。

 そのため、ニュルニュルの苦手なヤミと、それに気を取られたナナは遂に捕らえられてしまったのだった。

 そして、唯一無事なリトとララも苦戦を強いられていた。

 

「クソ!早くしないとヤミとナナが……」

 

「ヤァーー!」

 

 粘土のように相手をべとべとで絡めとるべとべとランチャーくんを小さくしたような、ハンドガンサイズの銃を乱射するリトと、体術を駆使して闘うララ。

 ユウリからの助言でリトは、ルナティーク号内にていくつかの武器にもなる発明品をララから受け取っていた。

 

「うぉぉぉぉお!!待ってろよ二人とも!!」

 

「……結城リト…」

「キャハハ…ハ」

 

 リトは今回この惑星に来た人間の中で一番弱い。そんな事は誰しもがわかっているが、それでもなお、自分よりも何倍も強いのに捕らえられてしまった二人へと向かう事をやめない、底抜けのお人好し。

 そんなリトの姿を見て、二人の少女の心には石を投げ入れたかのような波紋が起きた。

 

「う、うわぁぁあ!!」

「リト!?キャァアァア!!…し、尻尾は、ダメぇ!」

 

 乱射していたが故に、あと一歩でヤミに届くというところで弾が底を尽き、ツルに足を取られ逆さ吊りにされてしまったリト。

 そのリトへと視線を移したララの隙をつき、幾つものネバネバとした触手に拘束されるララ。敏感すぎる、弱点な尻尾にも絡み付かれて力が抜けたようになすがままになってしまった。

 

 リトは、逆さ吊りの状態でユウリからもらった、今着ている黒コートの襟の内側に隠されたボタンを両手で強く押す。

 

「ユウ兄…」

 

『ギャハハハ!!巨乳ピンクの可愛子ちゃんは俺のモンだァァ!!』

 

『このさえねーヤローはもう食っていいよなぁ!?ギャハハ!』

 

『金髪ロリッ娘サイコーーー!!』

 

『俺のツルペタ娘もサイコーだぜぇー!』

 

 下卑た食人植物同士の会話は、ここにいた人間達には理解はできなかった。

 

 だが、たった今ここに来た人間にはわかる者がいた。

 

 

 

──── ズゥゥゥゥゥン ────

 

 その場にいる、人間も植物も全てのものが突如、得体の知れない、不気味なプレッシャーに押し潰されるような感覚に陥る。

 

「クズ…いえ、おバカさん達……」

「…死んだ方がマシだと思う程の暴力、体験してみるか?」

 

 遥か深くから飛び上がってきた一つの影は、空中で二つに分かれて着地する。

 モモはナナとヤミのそばに。

 ユウリはララとリトのそばへとそれぞれ着地した。

 

『なんだぁテメーは!?』

 

『こっちの女は俺のだぁー!!』

 

 モモは、自分へと不用意に近づいてくる食人植物の足のような、幾つもある根の内の一つを掴み、力任せに地面に叩きつけそのまま踏みつける。そのまま注射器を使ってなにかの液体を食人植物へと注入した。

 

『!!』

 

 そうすると、もがく事もなく何かを注射された食人植物はピクリとも動かなくなった…

 

『そいつに何をしたぁ!?』

 

「これは『イソウロンα』という植物用の毒薬……!まもなくこのコの体は根元から腐り始める」

 

 ニィ…と口角を吊り上げるモモ…

 

 一方ユウリの所では…

 

『ギィヤアァアァアァア!!!』

 

 ユウリと食人植物が、青い結界でできた部屋の中にいる。色は薄く、外からは丸見えだ。その部屋は異様に小さく、トイレの個室に二人で入っているかのようにキツキツの状態だった。

 他の食人植物も援護をしようとツルや蔦を伸ばしたり、種を弾丸のように飛ばしてきたりもするが結界に阻まれ手出しができない。

 

 ユウリはその部屋の中で、一方的に食人植物を殴り続けている。その拳は残像を残すような速度で繰り出されているが、何度殴られようとも結界の壁に囲まれ、吹き飛ぶ事もできず、ただのサンドバックと化した食人植物は悲鳴を上げ続けていた。

 もはや殴られていない箇所がない程殴られたあたりで、悲鳴が静かになってきた。すると、結界の部屋は無くなり、壁という支えを失った食人植物はドチャリと音を立ててその場に倒れ伏す。死んだようにも見えるが、まだピクピクと多少動いてはいた。

 

「…まだちょっと撫でただけだろうが…大袈裟なヤツだな」

 

 倒れ伏した食人植物を他のやつらの中心へと投げつけて、

 ニヤァ…と口角を吊り上げるユウリ…

 

 離れた場所にいるはずなのに、同時に凶悪そうな笑みを浮かべた二人。そして、声すらも重なった。

 

「「さぁ……次は」」

「どなた…?」「どいつ…?」

 

 一瞬の静寂の後に、

 

『あ、悪魔だーーーー!!』

『こいつ、目がヤベーー!』

『逃げろーーー!!!』

 

 モモ以外にはギイギイという鳴き声にしか聞こえないが、食人植物達は我先にと、一目散にこの場から逃げ出していった。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ありがとうお兄ちゃん!モモ!」

 

「助かったよ。二人とも」

 

「はぁ……死ぬかと思った……それにしても、オソロシー薬持ってるな。モモ」

 

「…二人には、借りができてしまいましたね……」

 

 その後全員の拘束を解いて無事に合流を果たした。

 素直にお礼を言ってくれるリトとララ。ナナは呼吸困難で死にそうだったようだが、今は復活して、その後はモモと薬がどうのと話している。食人植物に毒薬を注射したと言ったらしいがそれはハッタリだったようで中身は睡眠作用のある栄養剤だったらしい。

 

「ヤミさんともあろう者が、弱点あったんだねぇー。キライなえっちぃ事とニュルニュル同時にされて顔真っ赤だったもんなぁー」

 

 ヤミは借りがどうのと言っているので少しからかってみる。

 旧校舎の時もそうだったが、タコやらイカやらのようなヌルッとした触手、いやゆるニュルニュルした物が苦手なヤミ。この世界の女の子はやたらと敏感なのか、ヤミだけではなく他の女の子達も、そう言った場合には赤い顔をして嬌声をあげている気がする。

 俺が付き合いのある女性の中でそんな姿を見た事ないのは、ミカンとナナとモモくらいかな?

 もちろん、加賀見さんはノーカウントで。

 

「……」

 

 無言でヤミから繰り出される上段蹴りを躱す。

 からかいながらも脳内で女の子の顔ばかり浮かんでいたのでギリギリになったが躱す事ができた。

 

「おわっ!あっぶねぇだろ!」

 

「……からかわれるのも、キライです」

 

 えぇ…そんなん言ってたっけ?えっちぃのとニュルニュルだけじゃなかったのか?

 

「悪かったよ。でも、貸しとか借りとかいーんだよ。家族だろ?素直にありがとだけでいい」

 

「………ありがとうございました、ユウリ、プリンセス・モモ」

 

 怒っているような無表情から、少し柔らかい表情になったヤミは素直に俺とモモにお礼を言ってくれた。

 

「どーいたしまして」

「モモでいいですよ。ヤミさん」

 

「じゃあ、地球に帰るか。ヤミ、ルナティーク号呼べるか?」

 

「え!?ラックベリーは!?」

 

 特に何も説明せずに帰ろうと言ったので、全員目を見開き驚いた顔をしており、ナナが俺に向かって目的のものの名を叫んだ。

 ニヤリと笑みを浮かべ、教えてやる。

 

「俺とモモが落ちてから、ただ戻ってくるだけでこんなに時間がかかったと思ってんのか?」

 

「ラックベリーは私達が見つけましたから。はやくセリーヌさんのところへ」

 

「やったーーー!」

「お兄ちゃん!モモ!すごーい!」

「流石ユウ兄!モモもありがとう!よし、はやく帰ろう!」

 

 喜んで飛び跳ねるナナとララ。

 セリーヌが心配なリトも早く帰ろうと言う。

 

「では、ルナティーク号を上空へ呼びましょう。ユウリ」

「ん、任せとけ。全員あんまし動くなよ」

 

 みんなを結界の部屋で囲い、そのまま空へと操作して浮かぶ。

 霧からの遮断と、上空という事もあってかヤミの持つ端末でルナティーク号は迎えにきてくれて、ペケも無事に回復した。

 

 ルナティーク号に乗船してすぐにリトが叫ぶ。

 

「良し、急いで帰ろう!」

 

 こういう感じを素で出せる根っからの主人公な義弟。かっこいいな。でも俺が言ってたら……似合わないなー。

 と、思いながら、リトの発言に少し水を差す。

 

「お前らはぴょんぴょんワープくんDXで先に帰れ。俺とヤミはルナティーク号で戻るから」

 

「え?────あ!そういえば出発前に!」

 

 リトが間の抜けた顔をしているが、俺が地球を出る前に、ララに言って乗せ込んでいたのを思い出したのか、納得した顔をしていた。

 

「わかった!ユウ兄、ヤミ、また後で!」

 

 そうして俺とヤミ以外のみんなはワープをして消えていった。

 

 

ーーーーーー

 

 

「…ヤミ、宇宙って、広いんだなー」

 

 騒がしかった他の者達は既に地球へと帰還しており、この船には今は私とユウリしか残っていない。

 宇宙空間を眺めながら呟くユウリに答える。

 

「なんですか…急に」

 

 私の方には顔を向けず、宇宙空間を眺めたままで続きを話す。

 

「植物がこんなにヤバイなんて考えた事もなかった。未知の物だらけだよ。いつかは、この宇宙を旅でもしてみたいな。元の世界にも絶対にいなかった、『宇宙の未知を求めるハンター』みたいな。カッコよくない?」

 

「そうですか…でも、なぜユウリは…そもそもハンターでは無かったのでしょう?」

 

 ユウリがたまに言う、ハントだったりの用語は、そもそもハンターとしての用語のようなもので、更に名乗っていたハンターと言うのは元々の世界での職業の一つらしい。話を聞いても全く理解は出来なかったし、言った通り、ユウリからは自分はハンターでは無かった、と聞いている。

 

「今の俺なら、なってただろうな…あの頃は、そんな状態じゃ無かったし…」

 

 そう言った後、ずっと外を向いていた顔を私の方に向けた。

 

「『未知』って言葉には魔力が宿ってると思うんだよ。惹きつけられる何かが。── それに魅せられた奴等が、ハンターなんだ」

 

 『未知』たしかに、物語には良く出てくるし、私の場合は恋愛という感情や、家族といったものは『未知』だ。それに私も、それを知りたいと、欲している。

 

「色々片付いたらさ、ヤミとルナティークと、ミカンとか他にも興味ある奴と、宇宙の『未知』でも見に行きたいな。モモも今回で見たような知らない植物をもっと見てみたいって言ってたし」

 

 そう言ったユウリは、子供のような無邪気な笑顔を浮かべていた。

 ユウリと、ミカンと、相棒(パートナー)と。

 そんな未来を想像して、悪く無いなと思った。

 

「…仕方ないですね…ユウリがそこまで言うのなら…」

 

「またそれかよ。嫌ならいーっての。ルナティーク!ヤミは置いといて、俺と旅しよーぜ!」

 

「はぁ!?おいおいニイちゃん!俺の主人(マスター)はヤミちゃんだけだぜ!?」

 

 なぜか私の事を、ヤミちゃんと言うルナティーク。直接呼ばれる時はいつも通り主人(マスター)だったので気にならなかったが、今のは不意打ちだったのでビックリした。でも、悪くは無いな。

 

「ユウリ、私の相棒(パートナー)を勝手に口説かないでください」

 

 そんな事を話しながらも、いつか、ユウリの言うような未来が来たらいいと思っている自分がいた。

 

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