Troubる   作:eeeeeeeei

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三十二話 変身×不思議

ーーーーーー

 

 

「いいなあ、私も変身(トランス)使ってみたいな」

 

 小さな女の子の手から離れた風船が、昼下がりの青空へと飛んでいった。悲しげな少女の声が聞こえるが、隣にいた親友は、背に白く大きな翼を生やし、まるで天使のように、金色の長い髪を靡かせて空を舞う。

 空へと飛び立った風船を手に取り、少女へと手渡していた。先程まで悲しそうな顔をしていた少女は天使へとお礼を言い、その顔は笑顔へと変わっている。

 

 そんな様子を見て、ふと私も同じ事をしてみたいと思えた。

 

「ミカンが…ですか?」

 

「ヤミさんと体を交換できたらいいんだけどね。ってそんなのムリか〜。あははっ」

 

「できるよそれ!」

 

───まるまるチェンジくん!!───

 

 うちの同居人であるララさんの発明品、本当にそんな事ができるのだろうかと思うが、面白そうだ。

 

「ちょっとやってみない?ヤミさん」

 

「別にいいですよ。ユウリも仕事でいませんから、ヒマですし…」

 

 あっさりと同意してくれた親友と機械へと入る。

 

───チーン───

 

 電子レンジのような音がしたと思うと、扉が開く。

 外に出ると、自分の入ったはずの扉とは反対の扉から出てきていた。

 

「わーっ!ホントにヤミさんになっちゃった!!それじゃ私その辺で遊んでくるね!」

 

「では私はプリンセスと家に戻っています…」

 

 そう答えてくれた、私。

 今はヤミさんだけど、自分をこうして見ることなんて新鮮で、不思議。

 

 じゃあ、まずは、さっきのヤミさんみたいに飛んでみよっかな。

 

 

 

「気持ちいー♬」

 

 ホントに思い浮かべただけで翼が出せるんだ。

 空を飛ぶって、すごいなー。

 

──フッ──

 

「え?ひゃーーーっ」

 

 いてて、ちょっと気を抜くと消えちゃうのね…

 なれてないとこれ、けっこう難しいかも…

 

 でも、あの高さから落ちても痛いで済むなんて、ヤミさんのカラダって丈夫なんだな……

 

 あれ、またモヤモヤがカラダから出てる…

 ユウリさんの言うオーラってやつだ。

 ヤミさんも、普段これを使ってるのかな?

 

 

ーーー

 

 

「ふぁ〜」

 

 眠いな。

 欠伸を噛み殺せず、駄々漏らしながら街を歩く。最近も鍛錬ばっかりしてたので、若干眠たい。

 

「ユウリさん…」

 

 そういえば夕飯の買い物もしとかないとなと思いながら、街を歩いていると、誰もいないはずなのに声をかけられた。

 誰だとも思ったが、声から知ってるやつだったと思い出す。

 

「おぉ。透明か。久しぶりだなー仕事は順調?」

 

「順調ですよー!その節はどうも〜って!そうじゃなくて、今回はお伝えしたい事があって来たんですー!」

 

 はぐれ宇宙人の透明人間くんだった。

 仕事も順調だそうで良いことだが、お伝えしたいことってなんだろうと続きを促す。

 

「金色の闇を狙った賞金稼ぎがこの街に入り込んでるらしいんですよ。ベンドットから伝えてくれって頼まれまして…」

 

 透明人間くんは、私はあの子に殺されかけたんで直接は言いづらくて…と付け加えて教えてくれた。

 

「そうか。気をつけるよう伝えとくよ。サンキュな」

 

 御礼を言った後で、少し風を感じたのだが、恐らく会釈をしてくれたのだろうか、それではという声も聞こえて、足音が遠ざかっていく。

 

 ふーん。賞金稼ぎ(バウンティハンター)ね……どんなのが、何匹いるんだろうな。まぁ、ヤミなら返り討ちだろうけどニュルニュルにわりと捕まるから、少し心配ではあったので【円】を展開しながら街をぶらつく事にした。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ひぇ〜〜〜っ!こっ来ないでよヘンターーーイ!!」

 

「むっひょ〜今日のヤミちゃんいつもと違ってコーフンしますなぁ」

 

 ヤミさんの姿のまま、街を歩いて遊んでいたのだが、ミイラ男の姿をした、リトやララさんの通う高校の校長に追いかけ回される。

 でも、今はヤミさんのカラダ。こうなったら変身(トランス)で…

 

「いっ……いやーーーっ!!」

 

──ゴォン──

 

 半ば無意識にイメージした、普段ヤミさんが行っているように、髪の毛を変身(トランス)でフライパンへと変えて校長の顔を叩いた。

 

「フ…フライパンとはまたプリティー…」

 

「な…なんなのよもうっ!」

 

「確かにプリティー」

「ひよったってのは本当だったらしいな」

 

「だ、誰!?」

 

 膝から崩れ落ちる校長を見ていると、どこかから声がした。

 

「誰…ね。特A級賞金首。宇宙一とも噂される金色の闇が、あげる声じゃねぇな」

 

「プロなら、誰かなんていちいち聞かねーだろ!死ねぇ!!!」

 

「…キャ!」

 

 金髪の長い髪にハットを被った細身の男と、同じく金髪のモヒカンにパンチパーマを当てているような太った男がいた。

 二人の姿を認識したと同時に太った方の男が叫び、手に持ったバズーカのようなものをこちらへと発砲してくる。

 飛んできたのは、人の顔ほどもあるおおきな鉄球。無意識に変身(トランス)した盾で防ぐが、体に響く衝撃に変わりはない…もう一度は、防げそうにない…

 

「ハハハッ!流石の金色の闇もこの重みには耐えられないだろう」

「そら!もう一発!!コイツで終わ…」

 

──ヒュン──

 

 私に向けて再度バズーカを打とうとしている宇宙人を見ていると、何かが横を高速で通り抜けるような音がして、バズーカを持った宇宙人に黒い影が襲いかかっていた。

 

「──プロなら言う以前に、頭の中に思い浮かべた時にはその行動はもうすでに終わってるって、何かで見たけどな。物騒なモン持ってるその腕、へし折るぞ」

 

 私の横を通り抜けた黒い影が太った男の前で止まり、言葉を言い終えたその時には、既に男の両腕は普段折れるはずがない、変な方向に曲がっていた。手に持っていたバズーカもガシャンと大きな音を立ててアスファルトに落ちる。

 

「アぁぁぁぁあ!!」

「クソッ!!な、何者だ!?」

 

「お前も聞いてんじゃねーかバカ」

 

 細身の男は、さっきの私と同じ事を叫んだ。

 離れた位置にいる私には、夕陽に照らされながら空に浮かぶ、青い大きな結界が落ちてくるのが見えるが、彼らからすれば殆ど真上から落ちてきているので認識できていないし、そもそも太った方は痛みに悶えている真っ最中。

 なす術もなく、その結界に押し潰されて、細身の男も太った男も地面に大の字になっていた。

 

「ユウリさんっ!」

 

「ヤミ、こんな奴らにどうした?──え、なんでオーラが………」

 

 ユウリさんが二人を早々に倒して結界に閉じ込めると私を見て驚いている。顎に手を当ててまじまじと私をながめると……

 

「──もしかして、ミカン?」

 

「な、なんでわかるんですか…?」

 

 え…やばい…今の私は完全にヤミさんなのに……なんだか、すごく嬉しいっ!

 

「ははは。俺くらいになるとわかるよ」

 

「もぉ、なんですかそれ…」

 

「雰囲気と、オーラってのもあるけどな。──あと、その左手…」

 

 少し大袈裟に笑いながら胸を張る黒コート姿のユウリさん。雰囲気で私ってわかるなんて、ユウリさんは凄い。でもオーラ、それと左手?

 気になって、自分の左手を見ると…

 

「……ひゃ!?」

 

 また、この子……?あれ以来、一度も出てこなかったのに…なんで?

 私の左手には、あの時の丸っこい顔のようなものがオーラとして浮かび上がっていた。

 あの時と、少し顔が違うような……そういえば、前は右手だったはず……顔のパーツも、前は窪みだったのだが今は膨らんでいるし、口のようなところは棒みたいなものがくっついてる。ユウリさんが来た時よりももっと前に、リトが作ってくれた不細工な雪だるまに見えないこともない、かな?

 

「能力が発動してる?ミカン、何か変わったこと起きてはないか?」

 

「え?ヤミさんになってるって以外には、何も無いよ。それに【小悪魔の追体験(ワンダーグラフ)】も話しかけてこないし…」

 

『【小悪魔の追体験(ワンダーグラフ)】ではなく、私は【小悪魔の不思議体験(ワンダー×ワンダー)】です』

 

「……は?」

 

「なるほど、自動操縦(オート)の念獣のようなものがミカンの能力か……何ができる能力なのか、教えてくれるか?」

 

 話しかけてきたと思えば、この間とは違うこと言ってる……

 ユウリさんはなぜか納得して右手のこの子へと話しかけているし…何がなんだかわからない。

 

 そんな話をしている間に、ユウリさんの結界で捕まえていた二人組は黒い渦へと飲み込まれて消えていた。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 これで、ミカンの念能力がだいたい把握できた。

 

小悪魔の不思議体験(ワンダー×ワンダー)

 自身と近い者だけを対象とする念能力。左手に浮かび上がる顔に似た念獣。そいつの持つ能力は顔に浮かぶ膨らんだ箇所の数だけなので三つ。能力発動時は右手に移動して、能力ごとによって顔が変わる。

 

小悪魔の追体験(ワンダーグラフ)

 対象に触れている間、自分は動けないがその人間の過去の経験を体験する事ができる。

 対象から離れると能力は解除される。

 なお、使用オーラは発動時は自身のオーラを消費するが、再生中は対象のオーラを使用する。

 これがオレの過去を覗いた能力。あとの二つはまだ使用した事のない能力だが、

 

小悪魔の再体験(ワンダーリライブ)

 自身の過去の経験を再現することができる。

 再現できる時間は自身のオーラ量による。

 例えオーラが残っていても能力で一度再体験した過去は巻き戻すまで(再体験していた時間が経つまで)この能力を再度使用する事はできない。巻き戻し中はワンダーワンダーの使用はできない。

 

小悪魔達の不思議な体験(ワンダーワンダーエクスペリエンス)

 自身の体験を他者に見せる事ができる。自身はその間動けず、体験者は自身と一日以上の体験(過ごしている)時間が必要。また、体験者は自分の意思で再生を中断する事ができる。

 

 幼い頃からリトと二人での生活が多かったミカンの、自身と共に時間を過ごす者との思い出に対する想いの強さが具現化した能力だと考察していた。

 左手に浮かぶ顔も、小さな頃にリトと作った雪だるまの顔に似ているらしいし、よっぽど外れた考えではないはず。

 

 戦闘用でも無いこの能力は俺からするとミカンらしくて好ましい能力に思えた。

 

 

ーーーーーー

 

 

「すごいなミカン。こんなの前の世界でも聞いたことないようなすごい能力だぞ」

 

「そうなんですか?と言われても全然実感はないですけど……」

 

「ミカンらしいと言うか、良い能力だと思うよ。使い所は確かによくわかんないけどな」

 

 ヤミさんの姿である私と手を繋いで歩くユウリさん。

 私のこの『念能力』と言うものは、その中でも凄くレアな【特質系】の能力とのことだが全く理解はできていなかった。

 ただ、私は別にそれでいいのであまり気にしていない。

 久しぶりにユウリさんと二人っきりなのでその方が嬉しいけど、ヤミさんのカラダだからなぁ。なんだかフクザツ……

 能力の使い道、一つだけ思いついたので言ってみた。

 

「ユウリさんに使えば、何時どこで誰と何してたか、全部わかっちゃいますね」

 

「え……それは、なんかやだな…」 

 

「だってそれしか思いつかないんですもん」

 

 苦笑いを浮かべるユウリさんに、私は笑いかける。

 浮気調査って訳じゃないけど、

 

「何かやましいことがあるんで───」

 

 

──ブワァ!!──

 

「ミカン、大丈夫だから、動かないでいろよ」

 

 急に、ユウリさんのオーラが膨れ上がる。力強いオーラに包まれたかと思えば、いつのまにか結界の中にいた。

 しかもいつもの薄い青色をした結界ではなく、深い青色の結界。何重にも囲まれているようで、外の様子は伺えないほどだった。

 

 ユウリさん…大丈夫、だよね…?

 

 

ーーーーーー

 

 

 ユウリと、ヤミの姿をしたミカンはついさっきまで、なんてことない会話をしながら歩いていたのだが、前からテクテクと歩いてくる一人のスーツ姿の男性。特に変わった様子もないこの男が視界に入ると同時にユウリはオーラを練り込み、何重にも重ねた結界でミカンを囲う。

 外の様子が見えないように、結界は通常の、空のような薄い青ではなく、海の底のように暗い青。

 

 

「なんか用か?」

 

 感情の無い顔をした男はユウリの目の前まで来て、ユウリの声に反応したのか、立ち止まる。すると…

 

 

── べりべりべり… ──

 

 突如、その男が剥けた(・・・)

 まるでバナナの皮を剥くように、頭が裂けて人間の皮が剥がれていく……

 

 これは、見せなくてよかった。

 こんな異常な、グロテスクすぎる光景はとてもじゃないがミカンには見せられないな…

 人間の皮が頭皮から足にかけて剥けていき、ボタボタと粘液のようなものが飛び散りながらも、中にはドロドロの何かが詰まっており、それはだんだんと大きくなっている。

 その肉の塊のようなものが、突然弾けた。

 

 

『グギャやややギャギャガや!!』

 

 

 大量の化物が弾け飛び、意味不明な事を叫んでいる。

 妖怪とでも言えるような、人型でも無い異形のモノばかりだった。

 だが、それを見て思うが、言葉も話せないしどいつもこいつも程度の低い雑魚。それに、全部蟲入りだろう。逃すわけにはいかない。

 

「消えろ──」

 

 絶界で全てを、一瞬で消し去る。

 この程度のレベルのやつなら、いくら来ようと関係ない。

 ただ、最近数は増えているので、時は近いと感じていた。

 

 先程の場所は、飛び散ったナニカで汚くなったため、場所を少し変えてからミカンを囲んでいた結界を解く。

 

──どっ──

 

「………大丈夫でしたか…?」

 

「う、おおう」

 

 結界を解くと同時に抱きつかれた。見た目はヤミだが中身はミカン。ヤミが普段見せないような、潤んだ赤い瞳。抱きついている為に、必然的に上目使いとなってこちらを心配するミカンであるはずのヤミに、変な声を出すユウリ。

 

「どうしたんですか!?やっぱり、どこかまた怪我したんじゃ……!?」

 

「してないしてない!ホント、一発たりとも貰ってないし!」

 

─── じぃぃぃ ───

 

「あ…私、何も見てませんからっ!!」

「私は、ハッキリみたよーん♬」

「ヤミちゃんやるねっ!」

 

 ミカンがいつもよりもユウリが狼狽るものだから心配して更に顔を近づけていたのだが、ハルナとリサミオの仲良し三人組がたまたま見ており、三人からするとヤミがユウリへと抱きついてキスをせまっているように見えなくもない、という場面を凝視していた。

 ミカンはヤミに悪いと咄嗟に離れて訂正するのだが、今は逆効果だった。

 

「あ…いや、違うんですよっ!私は…」

 

「えー!狼狽るヤミちゃんかわいー!おにーさん、綺麗なおねーさんの次はヤミちゃんを手籠にぃ?」

 

「モテモテなんですねぇ、おにーさん?」

 

「二人とも、七瀬さんにもヤミちゃんにも悪いよ。何か、理由があるんですよね?」

 

 じーん。と、ハルナの優しさに心を打たれる二人。一方は弟に、一方は兄には勿体ないくらいのできた人だと心の中で同じ事を思っていた。

 

「あぁ。実は────」

 

「えーーー!ヤミちゃんじゃなくて、ミカンちゃんなの!?」

 

 理由を説明するが、ララの発明の一言だけで納得するあたり、だいぶ毒されているなと二人は思った。

 

 

ーーーーーー

 

 

「はーーーっ。ヘンタイ校長に追いかけられたり、賞金稼ぎに狙われたり大変だった〜〜。でも楽しかったよ、ありがと!ヤミさん」

 

「賞金稼ぎ……無事だったのですか…?」

 

 日も落ちて、すっかり暗くなった結城家の庭で、ララの発明品であるまるまるチェンジくんから出てきた二人は、慣れ親しんだ自分のカラダに戻り、ミカンは軽く伸びをしながら話し、ヤミは不穏な言葉に少し驚きつつも聞き返した。

 

「うん!見ての通り大丈夫だったよ。ユウリさんに助けてもらったから。でも、ヤミさんだったら簡単にやっつけちゃうんだろうなー。それよりも、ヤミさんはどうだった?」

 

「そうですか、ユウリが…良かったですね。私も、貴重な体験ができましたよ。結城リトは、少しユウリと似ていますね」

 

「リトが?うーん。似てるかなぁ…。私にはわかんないけど…でも、ユウリさんにはヤミさんの見た目なのに私って気づかれちゃった」

 

「……!」

 

「リトも、気付いてた?」

 

「…どうでしょうか…でも、ユウリと同じで、あたたかかったですよ」

 

「そっか。ヤミさんが楽しかったなら良かった。ユウリさんも来てるし、今日はうちで夕飯食べて行きなよっ!」

 

「…夕飯でしたら、私が作りました」

 

「え!?ヤミさんが!?」

 

 この後、ミカンとユウリはリトは既に食べたらしい、すべての料理にたい焼きが投入された甘ったるい夕飯を食べる事になった。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「なんだこれ!?ララ!!またなにかの発明品かよ!?」

 

「えー?わたしじゃないよ!」

 

「何さわいでんだよリト?」

 

「何って、見りゃわかるだろ猿山」

 

 翌日、彩南高校に登校したリトは自分の教室である2年A組に入ったのだが、自分の机のそばまで行ったところで異変に気づく。

 なぜか、自分の机の周りにだけ、たい焼きが生えて(・・・)いた。

 

「いや、何を見りゃいいんだよ?」

 

「見えないのかよ?たい焼きが俺の机に生えてるじゃないか」

 

「私にも見えるけど……猿山くんには見えないの?」

 

「え、西蓮寺まで何を言い出すんだよ…」

 

「ちょっと結城くん!また非常識なモノを学校に持ち込んで!!」

 

「ユイも見えるの!?私も見えるよーっ!私たち四人にしか見えないのかな…?」

 

 どうやら自分以外には春菜とララと古手川以外には見えていないらしく、特に他のクラスメイトは反応しておらず、騒動にうるさいリサミオも特に騒いでおらず落ち着いていた。

 

 そのまま何事もなかったように朝のホームルームが始まる。

 

 他のみんなに見えないのもおかしいし、ララじゃないなら一体なんなんだろうな。ほんと、不思議な事もあるものだ……

 

 妙な声が聞こえたのは、リトがそう考えた時であった。

 

『おい、小童!』

 

 突然リトの机の上に現れた手のひらサイズの小さな葉っぱの妖怪?みたいなナニカは、リトに向かってそう言った。

 

『異界のモノを見る眼を持つ者ならばわかるだろう、生命力を操る術師をここへ案内せよ!』

 

「異界…術師…?っていうかお前なんだよ!?」

 

 リトが大声を出したからか、教室はザワザワと騒ぎ出し、春菜、ララ 、古手川の三人はリト、ではなくリトの机の上を目を丸くして凝視していた。

 

 

 

 

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