Troubる   作:eeeeeeeei

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四十三話 天敵×花火

ーーーーーー

 

 

「く、くそ〜ヒャグレグは訳のわからないヤツと消えてしまうし……仕方ない!それいけガマたん二世!!」

 

 わなわなと震えるラコスポ。

 それもそのはず。せっかく雇った殺し屋は、過去に雇った殺し屋に阻まれ未だに結果の報告にも来ないし、自身の用心棒として雇った傭兵はこれまた謎の男に阻まれ何処かへ消えた。

 

 地球に一度来た際に、黒髪の女に囚われてしまい己の解放を条件に奪われたガマたんの息子、ガマたん二世と共に自分がこの状況を打破するしか無かった。

 

 ガマたん二世から吐き出される粘液がお静の胸部を襲う。

 

「キャ!……はれ?」

 

 シューと言う音はするが、自身に何の異常もない事を不思議に思うお静だったが、自身の形の良い胸があらわになっている事に気づき思わず人工体である身体から魂が抜けて霊化してしまう。

 

ひぇーーーっ!なんですかぁーーー!!

 

『イロガーマの粘液は都合よく服だけを溶かすのです!!』

 

 叫ぶお静に対してペケが律儀に状況説明をしてくれる。

 

「古手川さん!危ない!」

 

「ハルナさんも、避けて!!」

 

 

 その後も粘液を撒き散らすガマたん二世。

 お静に続き、古手川を庇おうとしたハルナを更に庇ったミカン。

 オーラでなんとかなると思ったようだが、オーラを貫通し浴衣が溶けて左上半身があらわとなっている。

 隠す衣服がなくなり見えてしまった左側の小さな乳房を隠すようにミカンは腕を組んでラコスポを睨む。

 

「美柑ちゃん!?」

 

「私は、ヘーキだけど……も〜〜!!まだユウリさんにも見せてないのに…!!」

 

 合っているかはミカンにしかわからないが、見せていない、と言うのはみんなは浴衣の事だと思っていた。

 その様子に、この場を任せると言われたララはラコスポへと怒る。

 

「コラー!!やめさせなさいラコスポ!!」

 

「ハハハ!──ララたんが僕たんと結婚するなら、やめてあげてもいいモン!!」

 

『ひ…ヒキョーな!』

 

「やっぱりそういう目的だったのね…」

 

 ペケとララはラコスポの狙いが結局ララとの結婚であり、しかも最低な方法で迫ってきている事を改めて理解した。

 

 突如として乱入者の声が聞こえる。

 

「そんなヤツの言う事、聞く事ないぜ姉上!!」

 

「好きでもない方との結婚なんて、耐えられませんからね」

 

「ナナ!モモ!」

 

 何かに乗り、デダイヤルを片手に持った二人がビルに並び立ち、現れた。

 

「お前たちは、確かララたんの妹の…」

 

「おっ、珍獣だな」

 

「この際妹でも、なんて絶対に言わないで下さいね。こんな方法を取るあなたとなんて、吐き気がしますから。あら、お兄様がいませんね……」

 

 ナナはラコスポの跨る巨大なカエルに興味津々。

 モモはキョロキョロと屋上を見渡し、この状況下に真っ先に駆けつけるであろう人物がいないことに気づく。

 

「ナナ、ここは任せました。私はお兄様を探しに行きます。──あと、リトさんとヤミさんも」

 

「あぁ」

 

 背中から翼を生やし空を舞うモモに軽く返事をして、ナナはニヤリと笑うと、

 

──シューーー……

 

 何か空気を吐くような音とともに、むくむくとナナの立つ場所がゆっくりとせり上がっていく。

 

「……イロガーマか…珍しーの飼ってんじゃん、お前」

 

 ナナが乗っているそれは、巨大な蛇の頭の上だった。

 

 

ーーーーーー

 

 

── 一閃

 

 爆発による煙にまぎれて突っ込むユウリにヒャグレグは分解した尻尾を剣のように持ちユウリの頬の皮一枚だけを裂いた。

 

 だがユウリはそれに怯むこともなく更に踏み込む。

 

「オラァァァーッ!」

 

 一度目の人生は紙防御として過ごした為に全てを躱す、いなす為に鍛え上げた攻撃予測は第二の人生になってもなお健在。

 念能力者同士での予測不能な戦いに慣れていたこともあり、その神がかった予測は物理的な殴り合いでは更に発揮される。

 

 赤黒い刃が煌き、己の命を断ち切らんと斬撃が放たれる。

 それを躱し、時にいなし、拳や結界で撃ち落とす。

 そして結界でヒャグレグと同じく剣を生成し、斬り結ぶ。

 次々と閃く赤と青の剣閃が火花を散らしていた。

 

 今までの戦いから、明らかに格上の相手であるユウリに対する接近戦での武器の使用はヒャグレグにとっては必須だった。

 バラけた体では力が足りずダメージらしいダメージは与えられない。

 唯一喰らわせたダメージは己の半身以上のサイズの時のみ。

 ならば通常状態での素手をぶつけるよりも、殺傷力の高い自身の尾を武器とした方が良いと判断したのだ。

 まさかユウリも武器を生成してくるとは思っていなかったが。

 

「なんでもありだな。──化物か」

 

 思わず自嘲気味に呟くヒャグレグ。

 今まで彼の戦闘スタイルについてくるような相手はいなかった。

 だがこの地球人は完全についてくる。

 不可視の気弾を放ち、薄い青色をした箱を使い縦横無尽に飛び回り、今は武器までも作り出す。

 久しぶりの劣勢の戦い。

 ついに、自身の悲願を果たせるかもしれないと、ヒャグレグは無意識に言葉を紡いでいたのだ。

 

「体がばらけるムカデヤローに言われたかねーよ」

 

 言葉の応酬によって僅かに意識の逸れた瞬間にトンファーを生成。

 ヒャグレグの右足首を叩き、同時に左側頭部を叩く。

 同時に叩かれたヒャグレグはその場で天地が入れ替わるように回転。

 その状態でもなお突きを繰り出す。

 だが当たらない。それすらもユウリには予測されていた。

 回転するヒャグレグの頭を回転方向に再度トンファーで殴り加速させる。

 

──ヒュンヒュンヒュンヒュン

 

 空気を裂く音がする。

 ユウリはいつの間にか生成していた棍を、ヒャグレグとは逆回転に高速で回していた。

 

「覚悟を決めろよ〜。これはイテーぞ?」

 

──バガンッ!!

 

 およそ人体から発する音とは思えない轟音。

 

 高速回転によって生み出されたエネルギー同士の衝突がヒャグレグの頭で起きる。

 眼、耳、鼻、口。

 顔にある穴という穴全てから血と体液が吹き出し地面を転げ回る。

 

「ぶふっ!!……おぉぉぉ…!うが……ぁああっ!!」

 

「わーまだ意識あんの?すげータフだな」

 

 ヒャグレグはなんとか体を起こそうとするも、体は言うことを聞かない。

 だが、まだ戦闘不能になったわけではない。

 幾度となく戦いに身を置いてきた戦士としてのプライドもある。

 既に守るべき故郷は無くとも……

 

「ばはぁ……な、舐めるなよ、地球人!!俺は……臆病者の将などでは無い!!絶対に、逃げる事などしない!!」

 

 ヒャグレグの全身から気が放たれ、ユウリの結界を揺るがす。

 気の衝撃でユウリがよろめいた隙に跳躍し、空へと飛ぶ。

 体の分解で一時凌ぎなどはしない、最大の攻撃を放つための準備にとりかかる。

 

「これが、俺の最高の技だ!!!」

 

 赤黒い体はマグマの様に全身が真っ赤に変わっていく。どんどんと熱量を浴びて行くヒャグレグの体。

 その輝きが頂点に達し、金色のように光を放つと、ヒャグレグは両手を広げて叫んだ。

 

「ステラ・ノヴァ!!!」

 

 体は百はあろうかと言うほどに分かれ、空を舞う。

 一つ一つがマグマのような熱量を誇るヒャグレグの体。それが金色の流星群となって、ユウリへと降り注いだ。

 

 

 

「おお、お兄様!!?」

 

 迫りくる隕石にも似たヒャグレグの体のパーツ。

 それとともに聞こえる悲痛な叫び声。

 近くに来ている事には気付いていたが、まさかこのタイミングで来るとは思っていなかったユウリ。

 

 ユウリはどうしたものかと考えたが、地面へと念弾を放ち、砂煙を巻き起こす。

 結界の部屋を解除して、モモも巻き込むサイズの部屋を再度生成すると、モモを掴む。

 

「大丈夫だ。大丈夫だから、落ち着けって」

 

 いつかと同じような、自分を安心させてくれる声。

 あの時は、なにも言えず、なにもできなかったけど、今は、

 

「はい。信じてますから」

 

 ギュッとユウリにしがみ付くモモ。

 ユウリはそのまま『堕天堕悪の閨(ベリアル・ゲート)』を発動し、その空間の裂け目へと入る。

 

「ここは……?」

 

「『堕天堕悪の閨(ベリアル・ゲート)』の中。おれの作った次元の裂け目だよ」

 

 ユラユラと揺らめく七色の光。それ以外には、何も無い世界。

 上と下の感覚はなく、浮いているのか、沈んでいるのかすらもわからない。

 そんな幻想的な世界でモモはユウリにしがみ付いていた。

『ベリアル、私の名前と同じ?』

 ユウリの言う技の名前が自分の名前と同じ事に気付き疑問に思うが、

 

「そろそろ、かな。じゃ、出るか」

 しばらく経ったのちに、モモを片手で抱き寄せたままユウリは亜空間から出てきた。

 

「ゲホ…ゴホ…」

 

「最高の技ってだけあって、確かにすげー技だったな。当たればだけど」

 

 今はバラバラになったヒャグレグの体は元の色、と言うよりも炭のように黒くなっていた。

 

「命を燃やす技かな?わりーけど、受けるのはきつそうだったから逃げちったよ。後はどっかにある核を破壊すりゃ終わりかな?」

 

 ヒャグレグは息を荒げていたが、何処か清々しい顔をしていた。

 

「女連れに、簡単に躱されるとはな……」

 

 ここまでやられてヒャグレグは思う。これほどまでにやりにくい相手は初めてだったと。

 

「まさに…俺の天敵だな。ここが俺の死場所か、さっさと殺せ。──核の位置も、どうせもうわかってるのだろう?」

 

 やけに潔いヒャグレグ。

 傭兵と言っていたし、クズってわけでも無さそうだと戦いながら思っていた。

 ユウリは気付いていた。最初の攻撃も古手川ではなく明らかに自分を狙っていた事にも、最後の攻撃もモモの乱入から攻撃の着弾まで明らかに時間があった。つまり、攻撃の手を緩めていた事に。

 

 ユウリはニヤリと笑い言い放つ。

 

「やなこった。死にたきゃ一人で勝手に死ね」

 

「また、死に場所を……なぜ誰も、俺に死に場所を与えてくれない!?」

 

 炭化したような身体を無理やりに起こし叫ぶヒャグレグ。

 指先などの体の突端はバラバラになる訳ではなく、ボロボロと崩れて風化している。

 

「なんだ?意味のある死が欲しいタイプの死にたがりかお前?」

 

 首を傾げて顔も顰めるユウリ。

 モモは既にユウリから離れ、少し後ろで見守っている。

 

 ヒャグレグは体が風化しているにも関わらずなおも起き上がり、叫ぶ。

 

「俺は故郷を失った……仲間も部下も、何もかも……戦いに身を置いてもなぜか、生き残ってしまう……なぜ殺さない!?お前程の実力があるのならば、俺を殺す事など造作も無いだろう!?」

 

「あぁ、そういう系……じゃあ、もう少しこの星にいろよ」

「え?」

 

 ユウリの言葉に、ヒャグレグよりもモモが驚いていた。

 

 ユウリはなんとなく、理解した。

 生きている意味と、背負うものを亡くした生きる屍がコイツなんだと。

 

「…どういう意味だ?」

 

「もうすぐ戦争が起きるからな。こっちは10人ちょい。相手は黒蟒楼。そんなに殺して欲しけりゃ最後に役に立てよ」

 

 なんて事ないように話すユウリ。

 覚悟は決めていたが、戦争という言葉にユウリのコートの裾を掴み、不安そうな顔をするモモ。

 そんなモモの様子から、冗談では無い事がわかり、目を見開くヒャグレグ。

 

「…黒蟒楼……良いだろう。傭兵として依頼を受けよう。金はいらん。俺の命を逆に受け取れ。それが条件だ」

 

 戦争というワードと、黒蟒楼に反応した事をユウリはわかっていた。

 そして、まるで学生同士の昼休みの会話のようなテンションで話す。

 

「いいよ。お互い生き残ってたら、次はサクッと殺してやろう」

 

「フッ。そうしてくれ」

 

 ヒャグレグも、初めてニヤリと笑みを浮かべた。

 

「じゃ、彩南高校の旧校舎の地下に行ってみな。そこにいりゃ戦争に連れてってやるよ」

 

「── お兄様、良いんですか?」

 

「あぁ。実際、猫の手も借りたいくらいだからな。さ、みんなのところに戻ろうか」

 

 モモの少し癖のある髪をなでながら答え、この場を去ろうとしたところで思い出した。

 

「──あ!忘れてた!そこで関わっちゃダメなのが俺含めてあと四人いるから、そこにゃ間違っても手ぇ出すなよな!じゃ、またなー」

 

 言いたい事を言い終えて、ユウリとモモはそのまま飛び立ち、去って行った。

 

 不思議なヤツだ。

 さっきまで殺し合いをしていたはず。

 少なくとも、コチラは相手を殺すつもりだった。

 それなのに、最後にはまるで知り合いと話すかのように振る舞い、それに対しても何も思っていないような捉え所のないヤツ。

 

 黒蟒楼……自身の最後を飾るにはふさわしい程のビッグネーム。

 ヒャグレグは、一人空を見て故郷を思い出していると、その空には、夜空を彩る花火が上がっていた。

 

 

ーーーーーー

 

 

「そそそ、それは!」

 

「なぁ、あたしのペットになれよ!いいだろ!!」

 

「イロガーマの天敵、ジロ・スネーク!!」

 

 まさにヘビに睨まれたカエル。

 ジロ・スネークのチロチロと出した舌がガマたん二世に近づいていく。

 冷や汗を出しているように鎧や兜の隙間からうっすらと湿り気を帯びた汗のようなものがたれ、泣きそうな顔をしているガマたん二世。

 ジロ・スネークの頭から飛び降りたナナがガマたん二世の前までニコニコと笑いながら近づくと、

 

「ほれ、お手」

 

 ひょい、といとも簡単にガマたん二世はナナの掌に自身の前足を重ねた。

 

「あーーー!!ボクたんを裏切るのか〜〜〜!!?」

 

 その光景に憤慨するラコスポ。

 この場はおさまったことに安堵するみんなであった。

 

「……ちょうど良かったです。コレも持って帰ってください」

 

「よっと!」

 

 ヤミとリトが屋上に現れ、地球人に擬態した二人の殺し屋をラコスポの前へと転がす。

 

「そんな……!!ランジュラとバイダーが……」

 

「…また、私の前に現れるとは良い度胸ですね?」

 

 金色の髪を刃に変えて、ヤミはラコスポの方を向く。

 

「こここ、金色の闇…!金は出す!僕たんをここから逃してくれ!!」

 

「…いいえ、報酬はいりません。なおも私に依頼をしようとするとは……あなたの命をもらいましょうか?」

 

 ヤミのセリフと眼を見て絶望するラコスポの前に、もうふたつ、人影が降り立った。

 

「あれ?ヤミとリトもやりあってたのか?」

 

「皆さん、ご無事ですか?」

 

 頬の切り傷以外に外傷は見受けられないユウリと、無傷のモモだった。

 ユウリは屋上に降り立ち、あたりを見回していたが、その視線の先がある場所で止まると目の光が失われどんどんと暗くなっていく。

 

「オマエ、なんで!!?」

 

「………」

 

 怒鳴るラコスポを無視してミカンの傍へと行くユウリ。

 破れた浴衣に黒コートを千切りかけて、お静の胸元も同様にコートをかけた。

 すると不気味なオーラがユウリから噴き出した。

 

「ひぇ!!!」

 

「わ、私は大丈夫ですから、落ち着いてください、ユウリさん…!!」

 

 ミカンに抱きつかれてオーラは霧散する。

 きょとんとした顔をするユウリ。

 

「大丈夫ですから……」

 

「……ちょっと脅しただけで、冗談みたいなもんだよ。こんな小物、本気で殺したりはしないって。だからそんな顔するなよ」

 

 よしよしとミカンの頭を撫でる。

 ユウリのオーラが無くなった事に安堵し、ホッと息を吐くラコスポだったが、先程言いかけた言葉をようやく口にする。

 

「オマエ!!ヒャグレグをどうしたのだ!?」

 

「バラバラと分かれてうっとーしーから、粉になるまで擦り潰してやったけど?」

 

「なななっ!!?」

 

 ラコスポの方を見る事なく言い放つユウリ。

 その顔を見ているミカンは嘘だと気付いていた。

 

「ユウ兄!なにも殺すこと……!!」

 

「私も見てましたから、相当悲惨ですよ……貴方も、同じ目に合わせてあげましょうか?」

 

 モモも悪戯に乗っかりラコスポを必要以上に脅す。

 すっかり怯え切ってしまい、ブルブルと震え、絶望の表情を浮かべるラコスポだった。

 

「ラコスポ!!」

 

 そこにララがデダイヤルを操作して、大きなボールのようなものを取り出し、ラコスポへと投げつけた。

 

「もう二度と来ないで!!」

 

 そのボールには、導火線のようなものがついており、それはバチバチと音を立ててどんどんと短くなっている。

 

「おうっ!!」

 

 ララの怪力で放たれた、ラコスポの半分くらいはあるボールに吹き飛ばされて、夜空に舞うラコスポ。

 

『ぱんぱん花火くん!!』

 

──パーーーン

「あ〜れ〜〜だも〜〜ん!」

 

 ラコスポの叫び声と同時に、名前の通り、大きな音を響かせ夜空に綺麗な光の花を描いた。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ほ、本当に、ユウ兄殺しちゃったのか……?」

 

 いまだにそう思っているのかこの兄は……

 

「ばっか。冗談だっての。アイツしつこいから、脅した方がいいと思ってさ」

 

「ふふふ。そうですよリトさん。あの方の雇い主は今はお兄様ですからね」

 

 モモさん、いつの間にかユウリさんの横にいる。

 ユウリさんを真ん中に、三人で並んで花火を見上げながら話していた。

 

「私、花火を見るのは初めてです。お祭りというのも、花火も、この浴衣と言うのも、全部がすごくステキですね…」

 

「地球って面白いよなー。俺の世界でも祭りとか花火とかあったけど、こんなんはなかったからな。花火見るのも、久しぶりだしな」

 

 ここだ、と思い二人の間に入るすこし意地悪な私。

 

「そうですね。ララさんが来る前に、三人で来た時以来ですかね」

 

 モモさん、少しムッとした顔をした気がする。

 

「そーいえば、最近は来てなかったな」

 

「リトが思春期に突入したからな。3年前くらいじゃなかったっけ?」

 

「し、思春期ってなんだよ!?」

 

「ユウリさん、リトはまだ思春期ですよ?」

 

「確かに。このままおじさんになりそーで俺は心配だぞリト?」

 

「そんなわけないだろ!」

 

 ユウリさんとリトと、昔話に花が咲く。

 なんだか三人で話すのも久しぶりかも。

 

「…ミカン、食べますか?ユウリがたい焼きを買ってきてくれました」

 

「お兄ちゃん!たこ焼き食べよーよー!」

 

「はいはい。さっき古手川と食べたやつと違う店かな?」

 

「リトくーん!遅れてごめんね。何かあったらしいけど、大丈夫なの!?」

 

 でもそれは一瞬のことで、周りには人が増えてどんどんと騒がしくなる。

 

 ララさん達姉妹とたこ焼きを食べてるユウリさん。

 遅れてきたルンさんと春菜さん達と花火を見上げてるリト。

 親友とたい焼きを食べてる私。

 

 大人数で見る花火は、トラブルもあったけど、賑やかで楽しかった。

 でも、たまには二人でゆっくりしたいなんて思ったりもする。

 

 私の、本当の家族になって欲しい人と。

 

「賑やかなのも良いけどさ」

 

 そう思ってたら、話しかけられる。

 この人は……心でも読めるんじゃないだろうか?

 

「次はゆっくりしたいもんだな。浴衣も、残念だったなー、似合ってたんだろうに」

 

「そうですね。浴衣は、また新しいの買いますよ。私はまだまだ成長期ですから」

 

 あの時、冗談って言ってたけど、たぶん本気で怒ってくれてたから、次は、成長に期待して少し大きな、大人っぽいのを買おうかな。

 

「大人になったらミカンは絶対良い女になるな」

 

「あ、ありがとうございます。────じゃあ、大人になっても、私と、一緒にいてくれますか?」

 

 すごく嬉しいことを言われたので、少し欲張ってみる。

 

「ミカンが俺に愛想尽かしてなきゃな」

 

 ポフポフと頭を撫でられる。

 子供扱いされてるみたいに見えるけど、嫌な気はしない。

 

 その後、ヤミさんと笑いながら話してるユウリさんを見て決めた。

 私が大人になったら、妹扱いなんてできないような魅力的な女性に絶対なってやる、と。

 

 

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