Troubる   作:eeeeeeeei

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六十話 佳境×決着

ーーーーーー

 

 

「ヤミさん!!」「ヤミ!!」

 

 城を出て、ボロボロの城下町へと出てきたリトとミカンの元へ、白い翼をはためかせ、ヤミが舞い降りた。

 

「ミカン、結城リト、私の標的は排除しました。二人はもう、ここを離れてください。この戦いも、既に終盤に入っています」

 

 ヤミの言う通り、既に半数以上の幹部は脱落しており、残る戦いも佳境に入っている。

 黒蟒楼の中心にそびえ立っていた城も、ヤミとヘスティアの攻撃に加え、孔朱が離脱したことでもはや原形を留めていなかった。

 

「あぁ、俺たちも孔朱を倒したぞ!」

 

 得意げに孔朱を倒したというリトに驚くヤミ。

 ミカンも可愛らしく胸を張っていた。

 

「俺たちはザスティン達のところへ戻ろうと思ってる。ヤミは、どうするんだ?」

「ヤミさん……ユウリさんを…私、嫌な予感がするの」

 

「えぇ……あとは、私に任せてください…」

 

 ヤミは二人にこくりとうなずき、再度空を舞う。

 ユウリの戦闘場所。

 それは事前に聞いていた。

 郊外に作られた市街地(・・・)

 

 そこに向かってヤミは一直線に飛んでいく。

 

 

「よし、いくか美柑」

 

 リトと二人で城下町から出て、電脳世界の地面へと降り立った。

 電脳世界のだが、彩南町の外れ。

 

 どうしようもないほどに、不安になった。

 居なくなってしまうのではないかと。

 それは、ヤミの向かった方とは違う場所。

 ただの杞憂かもしれない。

 自分が向かったところでどうにもならないことなどわかっている。

 ただ、それでも行かずにはいれなかった。

 

「リト、私ユウリさんを探す……リトはモモさん達のところへ行ってて!」

 

 リトを置いて、ミカンは走り出す。

 その小さな背を、リトは追うことしかできなかった。

 自分ではなく、兄が、助けるのだろうと言う予感がしたから。

 

 

ーーーーーー

 

 

──バチュンッ!!

 

「な、なに!?」

 

 藍碑の拘束を終えたところで、ララは急に動けなくなった。

 よく見ると、黒いナニカに腕と足に巻き付かれ、拘束されている。

 動かせるのは、拘束から逃れている尻尾だけ。

 いったい、何が…

 

「これが藍碑の実態か。初めて見たが、人ではなく妖花だったのか」

 

「…な、なんであなたが!?ナナは!?ナナはどうしたの!?」

 

「──藍碑?……なるほど、白の蟲か…随分と凶暴なのを入れられているようだな」

 

 ララがまるでいないかのように、まっすぐ藍碑へと近づいていく碧暗。

 

「もう、なんなのこれは!?」

 

 でも、尻尾さえ動かせれば……!

 ララはエネルギーを尾の先に集中させた。

 

「核である蟲に、私の命令を白の命令と誤認させれば、いけるか?」

 

 それでも碧暗はララなど気にも留めていない。

 百珠眼でララのしようとしていることも、しつこい第二王女が追ってきていることにも気づている上での、余裕。

 ララが狙っている場所に自身はいないし、ナナの乱入まではもう少しかかる。

 今は藍碑を操り、二対二の状況に持ち込む方が先決だと考えているからだ。

 

「いっけーっ!!」

 

 ララの尾から強烈な青白いレーザーが放たれるも、

 碧暗をすり抜けて、レーザーは城の壁を破壊しながら突き抜けていった。

 が、碧暗の余裕は崩れ、後方へと飛ぶ。

 わずかな時間差で部屋の真下から、極太の青白いレーザーが突き上げた。

 

「いい加減、しつこいぞ…」

 

「許さないって、言っただろ!!」

 

 他のみんなはキメラを相手取っているため、ナナと胸元のマジローのみでの突貫。

 ナナの怒りは既に頂点に達していた。

 尻尾に込められたエネルギーはララの倍はある程の極太のレーザー。

 直前で放たれる事は視ていたので躱してはいるが、規模の大きさにバランスを崩している碧暗。

 

 いくら幻覚を見せようと、ナナ達には通じない。

 そのまま碧暗へと肉薄するナナだったが、碧暗はまたもララと位置を入れ替える。

 拳を振り上げたナナが眼前にいるが、ララはニコリと笑った。

 

「そうすると、思ったよっ!」

 

 入れ替わる前、ララは自分のいた場所に発明品を一つ残していた。

 それは、『まぐまぐジシャクくん』任意の相手を引き寄せるアイテム。

 それにナナを設定して、自身のいた地面に置いておいたのだ。

 

「──!!」

 

 姉の企みに気付いていたわけではないが、ナナは拳を振り被ったまま自動的に碧暗の元へと吸い寄せられていく。

 想像だにしなかった碧暗。

 幻覚も、五感支配もマジローにだけは効かない。

 全てを視て、対応策をたて行動する、事前情報ありきでの戦闘経験しかなかった彼に、超高速で繰り広げられる戦闘に対する手段はなかった。

 

「オラァァァア!!!」

 

 ナナの拳が深々と突き刺さり、吹き飛ぶ碧暗。

 だがナナはそれでも止まらない。同じ速度でナナは飛び、なおも殴り続けている。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!!」

 

 ナナの咆哮と殴打による衝撃で藍碑の研究室の壁は崩れ、水道管を破壊したのか、辺りは水浸しとなっていた。

 勢いよく飛び散る水の一滴がナナの目に入った、わずかな攻撃の切れ間に碧暗は反撃を繰り出した。

 

「調子に……乗るな!!」

 

 碧暗はナナの胸元を掴むと、そのままマジローごと引きちぎり影へと潜った。

 

「マ……アゥ!?」

 

 直後ナナは先程のララ同様に拘束され、二人とも視覚と聴覚を奪われた。

 

「ナナ!!大丈夫!?どこにいるの!?」

 

 無音の暗闇。

 それはだだっ広い場所に一人ぼっちでようなもの。

 寂しさと怖さが二人を支配する。

 

「人質は、一人でいいか。追いかけっこはもう終わりだ」

 

 マジローを爪のように伸ばした影で深くえぐると、ボロ雑巾のように投げ捨て、念のためとキメラの側へと転送する。碧暗はナナの細い首へと手をやった。

 指先がナナに触れ、へし折らんと力を込める。

 いくらデビルーク星人の力が強かろうが、デダイヤルを操作することも、尾からビームを放つこともできないよう、指や尻尾の先までも影で縛る。

 動かない相手の首を絞め殺すことくらいはできる。

 ナナは筋肉を硬直させそれをどうにか阻止しようとするが、爪はミリミリと音を立てて、少しづつ食い込んでいく。

 

──影縫い

 影を操り、縛る力。

 その影は、対象の影を使うため、自分自身で縛っていると同意。

 いくらナナの力が強かろうとも、相手も自分であるために影を振り解くことはできない。ただ、自分自身と同意であるために、攻撃自体は自分でやる必要があるのだが。

 

「グッ…ば、ばぁあ゛か……」

 

 この状況でも悪態をつけるナナにもはや感心するが、手を緩めることはない。が、身体に何やら水蒸気のような、灰色の煙がまとわりついている。良く見れば、それはナナの口から吐き出されていた。

 それを認識したと同時に、煙は碧暗を一気に覆い尽くした。

 

「──!!」

 

 マズいと思ったところで、もう遅い。

 その煙の正体は、クラウドンと言うナナのペットである、意思を持った雲。

 戦闘が始まる前からずっと、クラウドンはナナの体内に隠れていたのだ。

 

 碧暗の術が発動するよりも速く、雷雲となり電撃を碧暗にぶち撒ける。

 

「ぐうぅぅぅぅうああぁぁぁあッ!!」

 

「ゲホッゴホッゴホッ……」

 

 クラウドンの電撃にもがき、碧暗はナナの首から手を離した。

 解放されたナナは咳き込んでいるが、首の周りからパラパラと砂が溢れていた。

 影に紛れて見えなかったが、首を薄く覆っていた黒い砂。今は袖や裾、体中からもどんどんと吐き出している。

 クラウドンと共に、隠していたもう一体の友達。

 身体を砂のようにバラバラにした友達を、黒コートの内側に隠していたのだ。

 

「姐さん…も、もう、いいだろう」

 

「ゴホッ……あぁ。頼んだ、鵺一《やいち》」

 

 鵺一と呼ばれた黒い砂は、今なお雷撃を浴びる碧暗へと纏わり付き、そのまま包み込むと、その身体を圧縮し碧暗を固める。

 術の出所であろう体中の目や耳に砂の粒子を減り込ませ、そこすらも動かないようにしていた。

 これにより、碧暗は先程までのナナと一緒で、視界は黒で覆われ、完全に動けなくなり、術すらも発動できずにいた。

 

「すぅーーーはぁーー……」

 

 呼吸を整える。

 今までは、逃さない為に、当てる為の速い拳を放ってきた。

 これでもう、逃げられない。

 

 小指から順に、指の根本まで折り曲げる。そして次は人差し指から順に握り込み、仕上げに親指で締め、拳を作る。

 構えには、拘らない。

 肉体の求めるままに、右半身を引いた姿勢からナナは拳を繰り出した。

 それは右足親指から始まり、足首へ、足首から膝へ、膝から股関節へ、股関節から腰へ、腰から肩へ、肩から肘へ、肘から手首へ。

 踏みしめた大地の力を余す事なく拳へと乗せ、加速させる。

 

「おらァぁぁぁぁあ!!!

 

 そして、インパクトの瞬間に、加速に使った関節の全てを完全に固定化し、体を硬直させ、体重の全てを拳に乗せた。

 人が打撃を放つ際に稼働する関節は数十箇所にもおよび、これは同時に、その箇所だけ関節というクッションが存在することを意味しており、これこそが打撃力の最大の障害となる。

 だが、そのクッションを完全に固定化したとき、体重と威力を全て拳に乗せることができ、拳は鉄球と化す。

 

 その技の名前は、

──剛体術

 

『俺もそうだが、これをまともに喰らえばひとたまりも無い。クラウドンと鵺一で捕らえた後の、一発でいいんだ。それで終わる』

 

 そう言って笑った兄の顔が、体中の全ての目から光を失う碧暗を見ていたら、脳裏に浮かんだ。

 

 碧暗は吹き飛ぶ事なく、ナナの拳は貫通寸前な程に碧暗の胸に突き刺さっており、碧暗は悲鳴を上げることもなく、ズルリと膝から崩れ落ちる。

 そのまま地面へ倒れると、ピクリとも動くことは無かった。

 

「ナナッ!!」

 

「姉上……」

 

 ナナは達成感よりも、心配が勝っていた。

 マジローは、みんなは、無事だろうかと。

 

「ナナ、大丈夫。ナナのお友達は、きっと、大丈夫だよ」

 

 優しい姉に抱かれ、涙が溢れそうになったところで、色々な声が、頭に響き、ナナが振り向くと、その目から涙が溢れた。

 

「おや、こちらも片付きましたか。砂くずも無事なようで」

 

 月之承の軽口に腹を立てた鵺一が襲いかかり、ジローネとドラ助が止めに入っている。

 そして、ライゾーの背に、ボロボロのマジローがいた。

 

「……なんとか、生きてるよ……ナナ、ありがとな」

 

 苦しいだろうに、自分を安心させるため、小さくそう言ったマジローを抱きしめると、ナナは声を出して泣いた。

 

 

ーーーーーー

 

 

「……はぁ…うぁぁぁぁぁああ!…ぐぅぅ…ゴポォ…ゲホッゴホッ!」

 

 ブルブルと全身は震え、目からは血を流している。

 何かしらの拒絶反応のように腕や頭を血が出るほどに己で掻き毟る様は見ていて滑稽だった。

 

──バージョン3?完全に失敗だろう。

 

 神黒はつまらなそうな顔をしたと同時に、

 神黒の中で、音が消えた。

 

 いつのまにか背後にいたユウリは、神黒の耳に結界の棒を突っ込んで脳を掻き回していた。

 なんであれ、生物でさえあればこれで、即死するだろうが、やはり神黒は再生を繰り返す。

 臓器が臓器として成立していない。

 細胞の一つ一つが、それぞれ一個の神黒なのだと理解した。

 

「……この状態、慣れてないんだ。悪かったな」

 

「ち…聞こえねーってのもわりと不便だな」

 

 両耳の穴から鮮血を吹き出してはいるものの、倒れる気配すら無い。

 

 飛び退いて、続け様にユウリは【堕天堕悪の閨(ベリアル・ゲート)】を発動。 

 神黒の周りに、一斉にいくつもの扉がこじ開けられた。

 

「…ま、さっさと死んどけ!!」

 

 その複数の扉から一斉に赤黒いオーラ弾を放つ。

 神黒のオーラも爆発したかのように力強さを増し、扉の外へとエスケープする。

 絶界の波に飲み込まれたはずだが、消滅していない。

 なみはずれた、馬鹿げた量のオーラで相殺したのだ。

 だが、驚くこともなく、逃れる方向を予測していたユウリは神黒の頭へと掌底を打ち込む。

 それは顔を包み込むように数度打ち込み、脳を揺らして頭蓋骨へと打ち付けると、最後に顎を跳ね上げる。

 そして眼の焦点が合っていない神黒に、再度絶界を打ち込む。

 が、それすらもオーラで相殺され、脳の揺れを戻すように回転しながら宙返りをしながら神黒は着地した。

 そこが死の沼とも知らずに。

  

悪魔王の溜息(サタン・ブレス)

 

 神黒の周り一体には赤黒いオーラがモヤモヤと、沼のように滞留している。

 触れれば消し飛ぶその沼に神黒の下半身は徐々に消滅していき、逃れようと飛び上がる神黒を、モグラ叩きのように何度も叩き落とすユウリ。

 その度に顔を、体を地面へと強く押し付ける。

 細胞一つ残さず消し去らんという強い殺意を持って。

 

 

ーーー

 

 

 その光景を見ているものが一人いた。

 

「マジかよ…神黒とあんだけやりあえるとは……地球にいるやつも、対外バケモン揃いだったてわけか」

 

 興味本位で見にきていた紫音。

 自分が直感で危ないと判断した小僧は、確かに危ないやつだった。

 けど、神黒は尻上がりだ。そろそろ決めないと、跡がないぜ。小僧……

 宙に浮く結界のから、神黒を冷たく見下ろしているユウリがチラリとこちらを見て、手を翳した。

 

「────うっ!!」

 

 気づいた時には、真横を赤黒い、極太のレーザーが既に突き抜けている。

 一瞬で、紫音は力の差を悟ってしまった。

 

 次元が違う。

 攻撃の予兆すらも感じなかった。

 暗殺家業、殺し屋家業は200年以上行ってきた。

 そんな紫音にとって初めての経験。

 

 ……生かされた。

 

 血の涙を流し、こちらに一瞥をくれた子供。

 その目が語っていた。

 

──邪魔するなら、殺す。

 

 と。

 そして、それをするだけの力が、あいつにはある。

 綺麗に丸く抉れた岩山の横に立ち、紫音は冷や汗を垂らす。

 見たい気持ちもあったが、すぐにこの場を離れる事にした。

 

 

ーーー

 

 

『マズいな……絶界にも対応され始めている……時間も、もうない』

 

 現状はユウリが圧倒的優位に見えるだろう。

 が、既にユウリは己の体内で暴れ狂うデビルークの力に、脆弱な肉体が弾け飛びそうになっているのを無理やり押さえ込んで戦っているのだ。

 そして、それほどの力を持ってしても一方的に倒すことのできない神黒は、それほどに別次元の強者なのだ。

 

「──しまっ……」

 

 一瞬で神黒はユウリの眼前に迫る。

 残像を残し放たれる神黒の拳の弾幕を避け、いなし、攻撃の隙間を縫うようにユウリの人差し指と中指が喉仏をえぐり取る。

 一瞬咳き込み、動きを止めた神黒から距離を取り、同時に絶界のオーラ弾を放つも、神黒は跳躍し、オーラ弾をユウリへと発射した。

 

 【念】を知らない神黒。遠距離攻撃などナイフの投擲ぐらいだったが、この戦いの中で、自分を理解し始めたのだとユウリは気付く。

 一瞬思考の止まったユウリは【堕天堕悪の閨(ベリアル・ゲート)】を発動し吸い込もうとするも、オーラ弾は扉を躱すように軌道を曲げながらユウリへ襲い掛かる。

 

 ユウリはこれに指先まで真っ直ぐに伸ばした右腕を翳す。その伸びた指先に触れると同時に廻し受け、指から腕へと滑らせるように軌道を逸らす。

 後方で、膨大なオーラの爆発が起きているようだが、そんなことは気に留めていられない。

 

「だいぶ、お前のこと理解してきたよ」

 

「はぁっ……はぁ……」

 

 良い勝負、と言いたいところだが、ユウリの消耗が激しい。

 全身から汗が吹き出し、足は小刻みに震えている。

 

──まずい…な…これで、決めるしかない……

 

 デビルーク星人のエネルギーがそろそろ底をつきそうな今、最後の攻撃を仕掛ける事に決めた。

 

「はあっ!」

 

 ユウリが声をあげ、腕を振り下ろす。

 するとそれに呼応して、空から巨大な結界が降り注ぐ。

 地面にビルが突き刺さったかのような光景。

 だが神黒は余裕を持ってそれを受け止めていた。

 己に向かって落ちてきた結界を両の腕で止め、それを真っ二つに引き裂いた。

 

「終焉が近いな。そろそろゲームオーバーだぞ」

 

 しかし、裂かれた結界の隙間からユウリが懐へと飛び込み、一撃入れると直ぐに離れる。

 

堕天堕悪の悪巧(ベリアル・リープ)

 

 神黒は何をされたかを理解した。

 だが、理解が出来ていても躱せるわけではない。

 神黒に許されたのは『次元を超えて殴られた』という事実を理解する事だけ。

 

「おぉぉぉぉぉ!!!」

 

 【堕天堕悪の閨(ベリアル・ゲート)】の応用技。

 神黒のオーラに自分のオーラを少し混ぜこむ。

 その残光を出口とし、自分の拳を跳ばしたのだ。

 数十、数百と、回避不能な拳の弾幕を叩き込み、神黒の反撃がくる寸前でオーラの残光ごと神黒に突き刺さる腕を引き抜く。

 

「ゲホッ!はっはっ!…ひっさしぶりだわ、かなり効いたぞ…!!」

 

 内に宿す数百の命を散らしながらも、神黒は倒れない。

 大技で終わらせるしかない。

 オーラと力を高めるべく、距離を取り、研ぎ澄ます。

 

「やりたい事もわかってる。いいよ、乗ってやる。これで、終いにするか」

 

 神黒のオーラが爆発的に高まり、左腕に集中する。

 ユウリの攻撃も止まらない、もう止まれないところまで来ている。

 既に両腕が今にも爆発しそうな程に力が集まっていた。

 

「終わりだ!!」

「【悪魔王の逆鱗(サタン・フレア)】ァァァァ!!!」

 

 神黒から放たれる黒いオーラの奔流。

 対してユウリの左手にはデビルーク星人の青白いエネルギー、右腕には赤黒いオーラ。 

 二つの手を合わせ、灰色の光の奔流が神黒へと解き放たれる。

 

 黒と灰色、二つの輝きが一つに混じり合い、爆ぜた。 

 

 

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