Troubる   作:eeeeeeeei

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九話 彩南祭×殺し屋

ーーーーーー

 

「七瀬先輩。こっちもお願いします」

 

「…………」

 

「七瀬せんぱ〜い」

 

「わかったっての。ちょっとこっち落ち着いたら行くから」

 

 俺はそう言って机やら椅子やらを運んでいる。

 

「はーい。待ってますね」

 

 はぁ。どうして俺がこんなことを………。

 

「はぁ。終わった。次は二年B組だったかな」

 

ーーーーーー

 

 

「おい七瀬。授業終わったら職員室に来てくれ」

 

「……ん?俺ですか?」

 

 呼び出されたので仕方なく職員室に行くと、

 俺はわりと授業をサボっているので、卒業したいのなら文化祭の実行委員を手伝えとの話しだった。

 

 めんどくさい。

 しかし、卒業できないのも困る。才培さんとの『約束』もあるので仕方なく手伝うことにした。

 

 実行委員の集まりに参加した際、一年の猿山が俺を見て一瞬気絶しかけていたが、俺のせいじゃない。……はず。

 

と、いうわけで俺は彩南祭の準備まわりを手伝うことになった。

 

 

ーーーーーー

 

 

「あ!七瀬先輩、それはこっちにお願いします」

 

「はいはい。……なんか、このクラス用の物異常に多くないか?」

 

「あはは、それはたぶん天条院さんが個人的に用意してる物が多いからですよ」

 

「天条院?」

 

「え、知らないんですか?天条院グループの娘さんで、ある意味七瀬先輩より有名だと思いますけど……」

 

「人を勝手に有名人にするなよ。まーなんでもいいけど……これ全部入るのか?」

 

 俺はまだまだあるこの教室用のものらしい段ボールや、大道具用の材木やらを見て呟いた。

 

 

「こんなもんか?」

 

「お、いい感じです」

 

「じゃあ終わり、だな」

 

 俺や他の実行委員。もともとこのクラスのやつで数時間かけてようやく完成した。

 たしかに立派だ。昆虫喫茶だったか、森林をイメージしたようでかなり作り込まれている。

 

「ふぃーじゃあ俺は解放でいいよな?先生にはちゃんと手伝ったって報告しといてくれよ?」

 

「ありがとうございました。もちろんですよ。噂と違って、先輩も良い人でしたし」

 

「噂じゃ人はわからんだろ。ーーーじゃ、明日は楽しめよ」

 

 また噂。どうでも良いので基本スルーしているがこうやって話してみると、中には良いやつもいるもんだ。

 

 クズは問答無用で嫌い。

 仲間は大切。

 子供はかわいい。

 それ以外は、至極どうでもいい。

 

 今思えばすごく単純な世界にいたもんだ。

 

 殺しなんて普通。

 なんなら天空闘技場なんていう、この世界の視点で考えると狂人としか思えないような施設すらあった。

 

 まずは知ってから。なんてララには偉そうに言ってるからな。

 俺も、もう少し、他人との付き合い方でも考えてみるかな。

 

 

ーーーーーー

 

 

 彩南祭当日、俺は今日も駆り出され、一日風紀委員に入れられている。

 

 午前中にあらかた見回り、午後は各自でぶらついていると、見知った顔がいた。

 昨日の考えの実行だ!と西蓮寺へ話しかける。

 

「よう、西蓮寺」

 

「あ、七瀬先輩」

 

「どうだー楽しんでるか?」

 

「あ、えっと、はい」

 

「今から休み?」

 

「そうなんです。私の担当は終わったので、今からはお客さん側ですね」

 

「じゃあ、回ってきたらいいじゃん。ーーーリトでも誘って」

 

「え、ゆ、結城くんですか、?」

 

「あれ、嫌だったか?」

 

「え、あぅ、それは、嫌じゃないですけど」

 

 おっ。この感じはやっぱり脈アリそうだな。

 俺はその場で自販機のジュースを二つ買って、

 

「ほら、じゃあこれ、リトと西蓮寺の分。リトには西蓮寺から渡しておいてくれないか?」

 

 俺からジュースを受け取った西蓮寺は少し間を開けて、俺とは目を合わせずに、下を向いたまま聞いてきた。

 

 

ーーーーーー

 

 

 七瀬先輩。

 

 たぶん、私が結城くんの事が好きだって気付いてる。

 今も、私が結城くんを誘いやすいように誘導している。

 

 だから、意を決して聞いてみることにした。

 

「……七瀬先輩は、ララさんより私を結城くんと、その……。ララさんも、結城くんの事、好きなんですよ?ーーーどっちを、応援してるんですか?」

 

「ん?どっちって、俺はリトの味方だぞ」

 

 結城くんの。

 どういうことだろう?じゃあ、結城くんも、私を?え、違うよね?

 思わず顔を上げて七瀬先輩の顔を見ると、

 悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。

 

「ま、やりたいようにやれよ後輩。ララはいつだってやりたいようにやってると思うぞ」

 

 そうして七瀬先輩は去っていき、

 私は結城くんにジュースを渡した後、二人で文化祭を回る事ができた。

 

 七瀬先輩は結城くんの味方。やっぱり、血の繋がりなんてなくても兄弟なんだな。

 ありがとう、結城くんのお兄さん。

 

 私はやっぱり結城くんが好き。

 

 今度、誕生日プレゼントは何がいいか、お兄さんに聞いてみようかな?

 もし他の人と被ったら、嫌だもんね。

 

 

ーーーーーー

 

 

 彩南祭も無事に終わり、リトの誕生日は才培さんも帰ってきてくれて楽しく過ごせた。

 

 俺とミカンのプレゼントも喜んでいたし、ララのプレゼントは、この家の番犬ではなく番植物となっているが……。

 

 ミカンは気付いてるみたいだが、西蓮寺からのプレゼントもちゃんともらったようで、めちゃくちゃ喜んでたなーリト。

 

 

 その後はリトが風邪を引き、ララが風邪を引いたりとあったが、概ね平和な日々が続いている。

 

 

 俺のオーラもすでに完全に戻っており、今も技の研鑽を積んでいる。

 

 学校も終わり、仕事という名の修行に行こうとしてる途中で、河原に座り込むララを見つけた。

 

「何してんだ?」

 

「あ、お兄ちゃん……」

 

「どうかしたのか?一人でいるなんて珍しいな」

 

「リトは、やっぱり私の事好きじゃないのかな?」

 

 またリトとの言い合いで喧嘩をしたそうで、

 ペケはララ様には不釣り合いだの言っている。

 珍しく、落ち込んでるな。

 

「お兄ちゃんは、私の事好き?」

 

「俺か?俺は、好きだぞ」

 

「ほんとに?私の、どんなところが好き?」

 

「本当だって。どこって、全部じゃないか?ララが好きなんだから」

 

「え!それは嬉しい……けど、嫌なところは、ないの……?」

 

 一瞬パッと明るい顔をしたが、また不安そうな顔にもどるララ。

 

「ララの嫌なところ?どーだろな?それはきっとあるけどわかんないな」

 

「んー……それが聞きたいのに」

 

「俺は嫌なとこ見ないんだよ」

 

「あはは。それはずるいよー」

 

「好きなもんってさ、慣れちゃうんだよ。でも嫌いなものはずっと目に付くから、俺は見ないの」

 

「好きなものに、慣れる……?」

 

「そ。だから、一回見直すのも手だな」

 

 少し遠くからこちらへ向かって歩いている人影を見る。

 ん?あれは、西蓮寺か?

 

「まぁ、友達とゆっくり話してみるのもいい手かもな。ーーあとはララの思うようにしたらいいさ」

 

 そう言ってララの頭を撫でてやりその場を後にした。

 

 

ーーーーーー

 

 

 その後、修行を行おうと思った時に連絡が来た。

 

『七瀬くん、一度事務所に来れないかな?そちらに加賀見くんを送るから、一緒に戻ってきて欲しい』

 

 断ることも無いし、俺は加賀見さんと事務所へ戻る。

 

「やぁ七瀬くん。今回は、少し様子を探ってきて欲しいんだ」

 

 珍しいな。様子を?どういう事だろう。

 話を聞くと、宇宙一の殺し屋として有名なやつが地球に来ているらしい。

 

 刺激したくは無いが、目的がわからないので一旦探りを入れろとのことなので、了承する。

 

「加賀見さん、時間かかってもいいので、すぐそばに飛ばしてくれませんか?視界に入ってるのがベストですね」

 

「わかりました。七瀬さんが使える移動方法、と思わせたいんですよね?」

 

「はい。もう、いつ飛ばしてもらっても大丈夫なんで」

 

 話がはやいな。

 宇宙で有名って、規模がデカ過ぎてもはやよくわからないので、相手が勝手に俺の手札と思ってくれたらいいなと言うくらいだが、やらないよりはマシだろう。

 

 久々の、命のやり取りの予感。

 集中しろ。今の俺は万全だ。

 話し合いで終わらない可能性の方が高いだろう。

 何しろ相手の肩書きは宇宙一の『殺し屋』。

 

 いずれにせよ、こいつを知ることで俺はこの世界で上位の実力者の強さを知る事ができる。

 

「じゃあ、行きますよ」

 

「………はい」

 

 いつも通り、俺は黒い渦へと飲み込まれていった。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ーーーーッ!!!何か、ようですか?」

 

「こんばんは。逆に聞きたくてね。あの『金色の闇』が、わざわざ地球に何用で?」

 

 うーん。

 どう見ても、ミカンくらいの歳の女の子。

 ただ、宇宙一というのは伊達じゃ無いらしい。

 

 出てきた瞬間でもガードされたかな。

 【凝】で見るも、オーラの流れは見えない。

 ただ、素の身体的能力値が俺よりもはるかに高い。

 

「……私を知っているんですか、私も有名になったものですね」

 

「いや、俺は知らなかったよ。知ってる人に教えてもらっただけ」

 

「そうですか、ここへはもちろん依頼で、ですよ」

 

 話してる間も隙は見えない。

 厳密には隙だらけなんだが、攻撃が入る気がしない。

 直感でしかないが、こういう時の直感は頼りになる。

 ひとまず、最初の依頼通り情報を探り出すか。

 

「へぇ。ちなみに、ターゲットは?知ってたら教えてあげられるし、俺も別にアンタと戦いたいわけじゃないし」

 

「まぁ、情報は必要ですね。私のターゲットは『結城 リト』と言う者です」

 

ーーー!!!!名前が聞こえたと同時に俺は臨戦態勢に入る。

 

「その依頼、取り下げらんないかな?」

 

「……私と、やるきですか?依頼は既に受けているので、無理ですね」

 

「そいつは、殺らせない……!!」

 

 瞬間、俺は体全体から強力なオーラを吐き出し。念弾を撃ち出す。

 見えていないだろうが【隠】も使っている。

 

「ーーーッ!!……何をしたのかはわかりませんが、どうやら、本気のようですね…」 

 

 直撃の瞬間躱された。

 俺は足元に粘度の高い結界を念弾を撃ち出すのと同時にはっていたのでそれを踏み抜き、跳ね飛ぶ。

 

 一瞬で肉薄し、俺は広げた両腕に小太刀のような結界を作り握りしめる。

 そのまま首を切断せんと素早く両腕を閉じる。

 

「疾ッ!!」

 

 金色の闇はその交差する青色の刃を紙一重で躱す。そして超至近距離までつめきてなおも攻撃モーションに入らない。それを不審に思いながら防御を固めたところで、金色の髪がいくつもの腕に代わり連続の拳打。防御体制は既に整っている。俺は結界で攻撃をいなし、【堅】で漏れ出る衝撃を受ける。

 

 髪が、自由に形を変えるのが能力か?

 

 夥しい数の拳によるラッシュの僅かな隙間を縫って青色の棍を突き出すが、寸前で察知されたのか、髪の拳で掴まれた。

 そのまま俺は棍を消し、逆の手に再度生成。高速で横に薙ぐが、次は本物の腕で止められる。そこには盾が生み出されていた。

 俺と似た能力か?

 またも棍を消し、迫りくる髪の拳部分を全て結界で囲い、同時に回し蹴りを放つ。しかしいつのまにか金色の髪の拳は刀身にかわっており、俺の結界は切り裂かれ俺へと刃が伸びている。

 

「ラァ!!」

 

 俺は回し蹴りをそのまま高速で振り抜き、その場で全身を高速回転させて髪の刃を弾く。追撃で念弾を乱射。

 たまらず金色の闇は距離を開けると、口を開いた。

 

「……なかなか、やりますね」

 

「なぜ、結城リトを狙う?結城リトはデビルークの王座になど興味はないぞ」

 

 こいつは、強い。俺の【堅】の持続時間は、通常でも70分程度。結界の使用量にもよるが、このままだと、あと30分もつかどうか。

 

 まだ戦るなら、短期決戦に持ち込むしかない。

 が、こいつとは、なぜか話したくなった。

 

「……逆に、なぜあなたはあんな最低な者を殺させたくないんですか?」

 

「最低?結城リトがか?もしそれが理由なら、結城リトを調べてみろ。お前の思うような人間ではない」

 

 それに、

 

「本気で結城リトを殺すと言うなら、俺がなにをしてでもお前を殺す」

 

「……そこまで、ですか…いいでしょう。私がターゲットを殺すのは依頼内容と合致しているかを確認してからとします。………あなたは、何者ですか?」

 

「ハンターだよ」

 

 俺が答えると、彼女は夜の闇へと消えていった。

 

 

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