それでは……どうぞ!
(……何回見ても大広間は広いな……)
俺は今例の夢の中……異世界のブルーローズ城の大広間にいる。そこには使用人や騎士団……メイドと言った場内の使用人から国民らが大勢いる。どうやら何か大事な式を執り行う様だ。
「これより、4代目ブルーローズ国王……ブルーローズ
「ブルーローズ女王Ⅰ世……ブルーローズ家長女、ユキナ殿。此方へ」
「はい」
端に控えていたユキナは、この国の紋章が描かれた蒼いマントを蒼いドレスの上に纏っていた。
(ユキナ……女王になれたんだな。……美しいな……まるでF.W.Fの友希那の姿が脳裏に浮かぶ)
「神に……太陽に、月に……国民に……そして青薔薇に。女王としての使命を全うする事を誓いますか?」
「誓います」
「それではブルーローズ女王陛下、頭をお下げください……ブルーローズ・ティアラ、授与」
教会の神父の言われるがままに、ユキナは国王……父親の目の前で頭を下げた。そして……ユキナの頭の上には青薔薇をかたどったティアラ……ブルーローズ・ティアラが彼女の頭にのせられた。
「今この瞬間……この国を治める女王が誕生致しました」
その言葉に呼応するかのように、周りから拍手の雨が降り注いだ。
「それでは最後に、王剣授与」
(王剣……授与?)
「青薔薇の竜騎士団団長、ソウジ。前へ」
(!?……い、今……ソウジ……って……!?)
語られる事のなかった彼の名前に俺は驚いた。そして……
(マジか……)
ユキナに呼ばれたソウジは兜をとっていた。初めて見る彼の素顔だが……
(俺と全く同じ……)
青髪、蒼眼……瓜二つと言っていいくらいだ。
そんな彼がユキナの元へ歩み寄り目の前でしゃがみ伏せた。
そして大臣が1本のとある剣を両手に持ち、ユキナに渡した。
(!……綺麗な刃……)
鞘から現れた刃はこの日の為に鍛えられたと言わんばかりの鋼色をしており、白銀に煌めいていた。
「神に……太陽に、月に……国民に……そして青薔薇に。汝の魂をこの剣に宿し、我の刃となりて悪を切り、盾となりて我をまもり……汝、我の聖騎士としてその使命を全うする事を誓いますか?」
「神に……太陽に、月に……国民に。我が同士に……そして青薔薇、己のプライド、魂に掛けて……貴女を全身全霊でお守りする事を誓います」
そう答えると同時に、ユキナは剣を鞘に収め、ソウジにその剣を渡した。直後……教会中に拍手、歓声が響き渡ったのだった……。
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「……ん?」
どうやら……夢から覚めた様だ。目を開くとそこは自宅の自分の部屋だった。
(ソウジ……か。今日も驚かされるような夢だったけど、何はともあれ2人とも、おめでとう)
なんだか、
1ヶ月たってもいまだ返事は帰ってこないが、所属したての時よりもやり甲斐のある事務所だとそう感じたのだ。
そして……
「すぅ……すぅ……」
俺の隣には
「……ホントに可愛くなったよな、友希那って……」
クイクイッ……
「……ゴロゴロゴロゴロ」
「…………」
ああ……これ、猫です。ウチの新しい猫!世にも珍しい人に化けれる猫なんですよ!
「にゃお〜ん」
「お、シロナおはよ。すまない、友希那のやつを起こしてくれないか?」
「にゃ〜んペロペロッ」
言葉が通じたかどうかは知らないが、友希那の顔をペロペロと舐め始めた。
「んにゃッ♡く、くすぐったいわ……ッ!し、シロナちゃん、止め……ンンッ♡」
「…………」
えっと……猫に舐められるだけでそんな反応する物なのか?そう思いながら俺はもうそろそろ起きるであろう彼女を眺めていた。
「蒼司……起きてたのね?」
「おはよう友希那。グッスリ眠れた?」
「ええ……お陰様で……あっ!シロナちゃん……」
友希那が起きたと同時にシロナはベットから降りて部屋を出ていった。シロナと少し戯れていたかったのだろう、出ていったシロナを見て友希那は少し残念そうな顔をした。
「多分お腹が空いたから来たんだろうな。俺達もご飯食べよ?」
「そうね……私も手伝うわ」
「ありがとう。助かるよ」
俺達もベットから降りて朝食にした。
「今日は午前中からスタジオ借りてたんだよな?これ食べて準備出来次第CIRCLEに向かうか」
「そうね……でも蒼司?」
「ん?」
朝食を済ませ、食器を片付けていると友希那が何やらモジモジし始めた。
「まだ……CIRCLEに行くまでに時間はあるわ」
顔を赤くしながら友希那はそう言った。……時間はある。つまりは、そう言う事……なのか?
「全く……友希那をこんなダメな娘に育てた覚えはないんだけどな」
「ダメ……かしら?( ・᷄-・᷅ )」
「……しょうが無いな、1回だけだぞ?」
「ええ……ありがとう、蒼司\(❁´∀`❁)/」
……友希那と付き合いはじめてからというものの、友希那のその顔に対して全く耐性が付かない。まあそれでもいいと思うが……
「それじゃあ……ベットの方へ行こっか?」
「ええ♡」
そう言って俺は友希那と手を繋ぎながら自室へと向かった。
……それから先の出来事はご想像にお任せを。尚、時間に遅れ紗夜に説教されたのは内緒の話だ。
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CIRCLEで練習を初めて暫くすると、不思議な事が起きた。
「……今のところ、凄くいい感じじゃない?」
「俺も……リサと同意見だ」
「何か今日……凄いよね?まだ2、3回しか合わせてないのに」
そう……これまでなら、何回か互いに意見を出し合って、それを元に何回か合わせ直していた。しかし今日はたった2、3回程度で納得のいく……少なくとも俺とリサはそう思うくらいに仕上がっていた。
「ええ、今度のライブはこのアレンジで良さそうね。湊さん、気になるところとかありましたか?」
「リサや蒼司と同じ意見よ。この曲はこれでいいと思うわ。少し休憩したら次の曲に取り掛かりましょう?」
「次の曲……ですか?」
「ん?どうかしたのか?燐子」
いつも通りの会話……の筈なのに燐子は何故そんな事を言ったのか?……疑問に思ったが、その答えはあこが出してくれた。
「あのー友希那さん。今日練習する予定の曲全部終わっちゃいましたよ?」
「マジか……」
「……まだスタジオの時間は1時間残ってるのに、思ったより早く終わったわね」
全く気づかなかった。実際に時計を見てみるが、あこの言う通り1時間余ってしまった。
「あっはは〜、今日はいつにも増してスムーズに練習進んだからね〜♪」
「もしかして日頃の行いがいいからかな?」とリサが冗談っぽく呟いた。それに対して俺は「そうかもしれないな」と相づちをうった。
「あっ!そう言えばあこ、さっきカウンターで色んなバンドのイベントのフライヤーを集めたんですよ!良ければ次のライブの参考にしませんか!?」
「いいね〜!みんなで見よーよ♪ほら、蒼司も!」
「……」
(このバンド……F.W.Fにいたよな……)
俺はあこが持ってきたフライヤーの中の1番上にあったそれに映っていたバンドを知っていた。F.W.FでエントリーNo.10で出演し、審査員賞を受賞したバンドだ。
「蒼司?」
「……」
(確か……フェスが終わって直ぐだったと思う。ウチの事務所経由でメジャーデビューをしたっけな?)
そしてこのフライヤーには、メジャーデビューを記念としたウチの事務所主催のライブイベントの告知であった。メジャーデビューするとここまで優遇されるんだなと俺は思った。
「蒼司ってば!」
「うおっ!?ゆ、友希那……?どうかしたか?」
「「どうかしたか?」……じゃないわよ……さっきから呼んでたのよ?何か気になるイベントでもあったのかしら?」
「ああ……実はこのフライヤーに載ってるバンドーー」
ピロピロリンッ♪ピロピロリン♪
このバンドについて説明しようとした矢先、着信がきた。相手は事務所のマネージャーからだ。
「済まない、少し席を外す……もしもし?……はい……今からですか?……分かりました。至急そちらにおうかがいします」
「蒼司……さっきの電話は……?」
「事務所からだ。済まないが先に上がるよ」
そう言って俺は友希那の頭を撫でて、スタジオを出ていった。
〜友希那side〜
「蒼司……」
『いつか自分の翼で未来へと羽ばたいて……友希那達が今見てる景色を一緒にみたい……』
とどのつまり……蒼司のアーティストとしての魂に火がついたのだ。未来へ……更なる高みへ続く景色を見たくなったのだ。
『蒼司な……きっと出来るわ。諦めず前を……高みだけを見ていれば』
そして私はそれを止めなかった。私もまた1人のアーティストとして、蒼司に私達が今見てるこの景色と同じものを見てほしかったから……。
ーーけど、
ー私の前から居なくなるかもしれない。
ーそんなの嫌だ。
ー私だけを見て欲しい。
「……どうすれば、私の元から離れられなくなるのかしら……」
「ゆ〜きな♪」
「リサ……?」
「気になるフライヤーいっぱい見つけたんだ!友希那も見よーよ!」
そしてその答えは……今日1日が終わるまで出る事はなかった……。
ーーそして、蒼司が見ていたこの1枚のフライヤーが私達にまた1つ大きな出会いをもたらすとは思いもしなかった……。
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〜蒼司side〜
「会長……今の話……本当ですか?」
俺は今、事務所の会長室にてこれまでにない……
「……俺が……メジャーデビュー……?」
〜END〜
次回も日常回かな……?頑張ります!
高評価、感想等よろしくお願いします!
紗夜編後投稿して欲しいストーリー
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リサ編
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あこ編