「聖騎士蒼司、ただいま戻りました」
「無事で何よりです。これでひとまずは魔物らの動きも抑制出来たはずです。ここまでの激務、ご苦労さまでした……どうか明日にかけてその疲れたお身体を癒してください。他の団員の皆さんにも、そうお伝えくださいな」
「ありがたきお言葉感謝いたします」
最近ソウジの姿を見ないと思えば、どうやら遠征へ出ていたらしい。そしてユキナは、下がろうとしていた彼を引き止めた。
「時に聖騎士ソウジ。今晩……私の部屋にいらっしゃい。
「!は……それではこれにて失礼する」
そう言ってソウジは玉座の間をさって行った。
(はて……?今晩、か……)
俺は夜まで場内で時間をら潰すことにした。
…………………………
………………
…………
コンコンッ……
「陛下、言いつけ通り参りましたぞ」
「!……どうぞ」
ソウジについて行く形で中へ入ろうとしたがーー
(……っ!?なんだこれ?)
結界……だろうか?何者かが俺の侵入を阻む何かを部屋の内側からかけてると俺はそう捉えた。それだけでなくーー
(……防音効果もあるのか?さっきから物音1つすら聞こえて来ない。……こうなってしまうとーー)
今日はここにいる理由はもう無いな……そう思った俺は目が覚めるまで何処かで暇を潰すことにしたのだった……。
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「……朝か」
カーテンから微かに刺す陽の光によって目覚めた俺はポツリとそう呟いた。
(あの時のユキナ……きっと今の友希那と同じ心境なんだろうな)
「にゃ〜ん」
さっき見た夢の事で考え事をしている俺の元にシャルルが歩み寄ってきた。
「なあシャルル。お前がもし恋人が出来たら、お前はどうしたい?」
「にゃ〜?」
「俺は友希那と付き合うと決めたあの日から……できる限りの事をしてやろうと頑張ってきた。だけど……今思えばそれは友希那の為になってるのか……分からないんだよ」
「にゃお〜ん」
シャルルはそう鳴いて俺から離れ、部屋を出ていった。
(……友希那……お前はどうしたいんだ?)
俺は学校に行くまでもう暫くその事について考える事にした。
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いつも通り教室へ入るとリサと目が合った。しかし友希那の姿が見当たらなかった。確か今日は日直だっけか?
「あっ!おはよぉー蒼司!元気そうで何よりだよ〜♪」
「おはようリサ。……友希那は日直の仕事?いつもリサついて行ってなかったか?」
「うん、今日はちょ〜っと訳ありでね……蒼司で釣ったら1人で行ったよ〜♪」
「おい……」
リサさんや。俺はいつからあたかも魚とかをおびき寄せる餌になったんだ?まあ相手が友希那なら文句はいわないけどよ……
「所でリサ。昨日は済まないな……友希那の事で迷惑かけちまって」
昨日ーー突如として暴走しだした友希那の面倒という名の更生をリサが請負ってくれた。一晩でどれだけ更生出来たかはさておき、その時精神共々疲れ切っていた俺にとってリサの行動は感謝そのものだった。
「いいって!幼馴染みのお節介焼きはアタシの十八番何だから!……でもさ、どうして友希那があんな風になってたの?」
「それが……俺にもさっぱり……」
「そっか〜……」
俺とリサで友希那が暴走した理由を考えていると……
「何をそんなに考え込んでるの?」
友希那が日直の仕事を済ませ戻ってきた。
「あっ!」
「お、おはよう友希那……その、昨日はごめーー」
友希那を暴走させたのは俺のせいでは?と思った俺は友希那に謝罪をしようとしたが……
「会いたかったわ!ダーリ〜ン……!!!」
「んなぁっ!?」
なんということでしょう!青薔薇の歌姫さんは相も変わらず俺に向かってまっしぐらにダイブしてくるじゃありませんか!
おいおいおいおい!?全く更生されてないじゃねえかよ!俺はそう思ってリサの方を向いた。
「おいリサ!なんだよこれ、友希那全然ーー」
「まって蒼司。アタシに任せて♪」
そう言うと友希那の前に立ち塞がったリサ。そして大きく息を吸い込み……
「友希那っ!!!」
「「!!??」」
友希那に怒鳴った。初めて見た……友希那に怒鳴るリサ。子供を叱りつけるような声は幾度か聞いた事はあるがリサが今発した声はそれとは圧倒的に違かった。まるで……脅しかかってるような……
「友希那〜?昨日あれ程教えたのに守れないのかな〜?「蒼司は『ダーリン』って呼ばれるのが嫌だから呼んじゃダメ」……って、言ったよね?……ボキボキ」
「ご……ごめんなさい!……やっぱり
「それも蒼司の生写真とかで克服したじゃん……その時友希那自分で「これでもう大丈夫よ!」……って言ってたのに……まだ教育が必要なんだね♪(蒼司、今の内に屋上にいって♪)」
「……!」
友希那の視界が遮られてる間に、俺は静かに屋上へむかった。
「いゃぁああああああああぁぁぁ……!!!」
しばらくして……友希那の悲鳴声が響きわたったのだった。
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「……」
屋上に来た俺は1人思い悩んでいた。
(友希那……彼女と付き合ってからは俺の出来る限りの範囲で彼女を愛し、尽くしてきた……)
バンドの練習以外で彼女の練習に付きっきりで付き合ったり、彼女の好きな物を今月生活していける範囲で買ってあげたり、偶に好きな所で羽を伸ばさせたりもした。時には晩方2人きりの空間で身体をまじ合わせたりした。個人的な偏見だが、故に彼女に何不自由ないよう最善な恋愛をして来たつもりだ。しかし……
(友希那の中でまだ……俺に求めるものがあるということ……なのか?)
しかしそれが何か、今の俺には分からなかった。恐らくそれが友希那を暴走させた理由……なんだろうな。
(リサがどうにかしてくれたにせよ、俺が何とかしなきゃ意味が無い)
「だが一体……どうすれば……」
考えても考えても……答えは見つからなかった。どうしたらいいか悩んでると、屋上の扉が開いた音がした。
「友希那……」
「蒼司……隣、いいかしら?」
「ああ……」
そう言うと友希那は俺の隣へ歩み寄ってきた。
「「…………」」
長く続く沈黙……会話仕様にも友希那に何を話せばいいか分からない。そう思っているとーー
「ねえ……蒼司?」
「ん?」
「私……貴方の彼女失格かしら?」
「!そ、それは……」
友希那の唐突な問に、おれは答えられなかった。
「私……蒼司にいつも迷惑かけてばかりで、貴方に何も返せてないわ。いつか返そうと試みても……いつもタイミングが悪くて返せなくて……貴方の愛に身を委ねる形で1日1日がおわってしまう……」
「友希那……」
「このままだと何時しか蒼司は私の事を愛してくれなくなるんじゃないかって……そう思うようになったの」
悲しい顔をしながら……友希那はそう言った。
「だ、だからね……そんな自分を変えたくて……蒼司にいっぱい甘えて……沢山愛する……私の愛をいっぱい主張して独り占めすれば……」
「……友希那」
「……っ!?」
無意識に、俺は友希那を抱きしめていた。
「えっ!?そ、蒼司?」
「……なあ友希那」
「蒼司?恥ずかしい……だ、誰か来たら……」
「……っと、済まない」
恐らく友希那に指摘されていなければ俺はずっとこのまま人目構わず抱きしめていただろう。そして俺は友希那から離れ、今度は此方から話しかけた。
「友希那。お前は……俺の彼女としてどうして欲しいんだ?」
「え?……そ、うね……蒼司と、もっと一緒に居たいわ……」
「それだけ?」
「後は……蒼司の事をもっといっぱい愛したいわ……」
「愛したいだけでいいのか?」
「そ、それは……ってもう!焦らさないでよ!それは蒼司が一番よく知ってるんじゃないの!?」
どうしてそう思うのかはさて置き、どうやら少しからかいすぎたと俺は思った。
「あはは……!済まない友希那、少しふざけすぎた」
「も、もう!蒼司ったら……!///」
そして今度は友希那が俺の胸元へ飛び込み、俺の胸をポコスカポコスカと叩き始めた。
「ごめんって友希那……だから……これ」
「……携帯?」
俺が取り出したのは自分の携帯。しかし今さら何故に携帯?と友希那はおもったんだろうな。
「さっきのやり取りで気づいたんだ。俺達はまだ、互いの事をしれてないんだなって……だから、携帯にあるメモ機能使ってトリセツを作るんだよ!」
「『トリセツ』……ふふ、蒼司らしいわね」
「そうでもないよ……こうして考えが纏まったのはリサのおかげなんだ」
「……そうね、いつか2人でお礼をしましょう」
キーンコーンカーンコーン……♪
「「…………」」
「授業……はじまったな」
「ええ……ねえ、蒼司?」
「ん?」
この後どうしようかと思っていたら友希那が顔を赤くして尋ねてきた。
(おい、まさか……)
「このまま……屋上で……しましょ?」
「!!……全く、悪い娘になったな……友希那」
「良くも悪くも……蒼司のお陰よ?♡」
「そうかもな……」
……こうして俺は友希那の暴走(?)を止めることができ、2人で授業をサボったのであった。
……その後、リサに色々と言及&説教をされたのはまた別の話だ……。
〜END〜
次回から本編に移ります。お楽しみに!
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紗夜編後投稿して欲しいストーリー
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リサ編
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あこ編