青薔薇の姫君と蒼き竜騎士   作:ka-主

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おそらく5話に限った話ではないけど、紗夜編はシリアスが多めになります……多分。


season1 紗夜編:5話 郷田猛

「それじゃあユキさん、後はお願いします」

「任せて。もう遅いから道中は気をつけるのよ」

「分かってます」

 

ある日の晩方……孤児院のやる事をユキさんに任せて俺は帰路に着いた。

春なのにまだ風が冷たく冷え込んでおり、冷たい風が俺の肌を燻った。

 

「今回のライブ……子供達に見せたかったな」

 

今回のライブというのは、今日は氷川さん達Roseliaのライブの日だった。あの日見たライブよりも技術面やその他諸々上達していてこれがRoseliaのライブなんだと再度思い知らされた。それだけ良いライブだった為子供達にも是非……と思ったが時間的な関係もあり、誘うのを断念してしまった。

 

(何時か……孤児院でライブしてくれるか聞いてみるか)

 

1度だけで良い……何としてでも見せてやりたいと思いながら夜道を歩いていた。

 

そして俺の目の前に……アイツは現れた。

 

「よぉ……久しぶりだなぁ、蒼司」

「郷田……務所で知り合って以来だな」

 

目の前に現れた俺よりもガタイがよく大柄で右頬に引っかき傷があるこの男こそ……ユキさんが言っていた男であり、因縁の好敵手……郷田猛(ごうだ たける)その人だった。

 

「俺の目の前に現れたって事は出所出来たのか……で?誰の差し金で出てこれたかは聞かないが俺に何の用だ?生憎決着(・・)の方は今忙しくてそれ所じゃないんだが」

 

そう言いながら俺は郷田を睨めた。

 

「まあ俺も出来ればお前とのケリはつけたいが……生憎依頼主(・・・)がどうしてもお前に会いたいってな。悪いがちっとツラ貸せ」

「依頼主……はぁ、拒否権はないみたいだし丁度暇だから、着いてくぜ」

「話が早くて助かる。こっちだ」

 

どうやら郷田は、依頼主とやらに頼まれ俺を探していたそうだ。多分拒否権なんざないだろうと察した俺は誰にも見られてないことを確認し、郷田の後について行った。

 

 

 

ーー丁度俺の真後ろの電柱に、水色の短い髪が風でなびいたことを見逃した事に気付かずに……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「おい……ここって、下水道じゃねえかよ……」

 

郷田に連れられやってきたのはとある河川のトンネル……つまり、下水道だった。こんな所に依頼主がいるって……どんな趣味だよ……

 

「……っておい……行くしかないのか……」

 

俺の突っ込みなどお構い無しに郷田は下水道のトンネルの中へと入っていった。幸い、人が歩ける場所は確保されてる為下水に足を突っ込むことはせずに済みそうだ。

 

「……此処だ」

「此処は……『制御室』?」

 

少し歩いて壁側に制御室と書かれた看板が貼ってある扉を見つけた。此処の近くに水力発電、ましてやダムなんてなかったはずだが……

 

「もしかして、カモフラージュか?」

「ご名答。ま、本人曰くちゃんと業者やらに許可はとってるとの事らしいがな」

 

そう言って郷田は「戻ったぞ」と言いながら中へ入っていった。それに続く形で俺も中に入った。

中はカモフラージュなだけあって多少こぜまいが1人や2人こもる分には不便無い広さだった。そして一辺の壁側には大きなモニターがビッシリと設置されていて、その下にはキーボードが2、3台程設置されている。そしてモニターには羽丘や花咲の街中の様子が至る所で見れるようになっていた。

 

「お勤めご苦労様♪そしてようこそ、私のアジトへ♪」

 

そして部屋の奥で何やらデスクトップと1対1で作業をしていた白衣姿の若々しい女性がそう言って席をたち振り返った。

 

「!!……あ、あんたは……」

 

そして彼女の事は前にユキさんから教えられていた為知っていた。まさか、こんな所で出くわすとは……

 

「あら?初対面……の筈なのに私の事をしってるようね?でもいいわ♪私の名前は九童百合香(くどうゆりか)。宜しくね、騎龍蒼司君(・・・・・)♪」

「……郷田から聞いたのか?」

「いいえ、貴方の事はずっと前から興味を持って調べてたの♪『血の海事件』のときから」

「!!??」

 

俺の名前を知っていた事もそうだが……まさかあの事件の事も知っていたとはな……

 

「全く、驚いたわ。若干12歳にしてあんな虐殺が出来るなんて。ねぇねぇ、あの時(・・・)どんな気持ちだったの?実の両親をこれまでない以上に無惨にkーー」

 

「黙れ!!!!」

 

俺は聞くに耐えなくなり叫んだ。あの事件は……あの過去は……自分の中に封印しておきたかったのに……

 

「そのくらいにしておけ、百合香。そろそろ本題に入れよ……済まない蒼司。コイツは見た目以上の無神経でな、さっきの事は俺から詫びる」

「いいんだ……俺も、少し取り乱した。それで?本題はなんだ?」

 

代わりに詫びをした郷田に軽く手を振りそう答えた俺は百合香に本題を聞き出した。

 

「そうだったわね♪今回貴方をここに呼んだのは、貴方を『蒼龍』と見込んでの依頼よ」

「それまで知ってんのかよ……」

 

蒼龍……牢獄生活を送っていた際に、あまりの脅威さ故に他の囚人らから……そして警官らからそう呼ばれていた。まああだ名みたいなもの……だな。

 

「話を戻すわ。蒼司君、貴方は『三国会』って聞いたことある?」

「三国会……確か中国の犯罪組織の名前だっけか?そして上層部らが三国志の偉人らの名前であることから三国会って由来だったはず」

 

その他に彼らは密輸、密猟……麻薬取り引き強盗などと色んな犯罪を犯してる。俺の知ってる限りではそんなところだ。

 

「それだけ知ってるのなら話が早いわ。依頼と言うのは彼らが現在日本で犯してる『都内連続女子高生誘拐事件』の黒幕なの。そこで貴方には誘拐された女子高生の救出と彼らの殲滅を依頼いたいの」

「おい、今の話を聞いてるとその以来を俺1人で受けろって言ってるように聞こえるんだが」

「そこは問題ないわ。依頼には彼にも同行させるから」

「郷田と……?」

 

冗談じゃない。なんで因縁のあるやつと一緒にそんな危なっかしい真似をしなきゃ行けないんだ。

そう思った俺は百合香にこの依頼を断ろうとした。しかしーー

 

「断ってもいいけど、そうなれば貴方の最も大切な人(・・・・・・)を私の研究のモルモットにするけど?」

「……ゲス野郎が……ギリッ」

 

百合香は俺の大切な人を人質にとると……否、自身が行ってる研究のモルモットにすると脅してきた。

 

「……わかった、その以来承った。だから約束だ。俺の大切な人に指1本触れるな」

「そう言ってくれるとありがたいわ。依頼する側として、貴方の約束も

必ず守るわ」

「そうと決まれば、直ぐに取り掛かった方がいいのか?」

「いいえ、まず先に彼らの根城を特定してからよそれに関しては私も手を貸すから安心して♪」

「聞いてた話より慎重なんだな」

「そお?私はこう見えて最前の道を進む派なの。何も知らずに突っ込んでおじゃんはごめんだからね♪」

 

「わかった。俺も空いた時間に奴らの居場所を特定してみる」

「ありがとう♪報酬は弾ませておくわね♪」

 

そう言葉を交わして、俺は研究所を後にしたのだった。

 

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〜郷田side〜

 

「それで?お目当ての人物と接触出来た感想は?」

「ふふふっ……あぁ、まだゾクゾクが止まらない……私の想像していた以上の人物で……私のモルモットとして過ごしてくれたらって思うと……ウプッ……いけないわ♪興奮し過ぎて鼻血が……」

 

アイツが此処を出てから俺は彼女に感想の方を聞くと、顔を赤くし身体をモジモジさせながら両手で頬をさすって……鼻血出しながら感想を述べた。初めてあった時から思ったが……ホントに気味悪い他にない。あの時も、彼女の口から「騎龍蒼司という男に興味を持ってるんだけど……会えないかしら?」と出た時の状態もこんなんだった。

 

「それで……あんな出来た(・・・)依頼をさせて……しくじったらどうするんだよ」

 

そう……アイツに出した依頼は大方デマに近い。いや、三国会は実際するが『都内連続女子高生誘拐事件』は彼女のでっち上げに近い。何故なら……

 

「心配ないわ♪偶然にも彼らに同じ指示を出していたからそれを利用した迄よ。それに……」

 

そこまで言って彼女は俺に背を向け、自分の作業机でとある画面を見ながら嬉しそうに……否、半ら狂気の笑みを浮かべながらこう言った。

 

「貴方はそれを望んでいる。彼との決着がつけれるのだから」

「……違いねぇ」

 

悔しいが、彼女のゆう通りだ。俺はアイツと決着を付けるために、彼女はアイツに興味を抱いて研究したいが故に今回の計画に出た。

 

「それにしても……可哀想なもんだ。アイツをおびき出すために……なんの罪もない彼女らはお前のモルモットにされて人生を終えるんだからよ……」

 

俺は彼女が見ている映像を見ながら皮肉そうにそう言った。そこに映っているのは別の何処かの施設の一部屋で、その中には監禁された女子高生……みたいな()達がいた。

1人は何かを欲するように頭の毛をみだらに掻きむしりながら喚き散らしたり、またある1人は何かに取り憑かれたかのように怒り狂い自傷行為をしたり、そしてある1人は性的禁断症状に犯され自慰行為やら同じ衝動の者と性的行為に空けていたりと……モニターから映るその光景はまさに地獄絵図。これこそが彼女が昔からしてきた研究その一端だ。

 

「一生を終えてしまったらそれまでよ。でも……何かに縛られて無惨に生きてくよりも……心の底に閉ざした欲求、衝動等を爆発させて狂ったように生きて私の為(・・・)に一生を終える……とても名誉な事じゃない♪」

 

そう言って彼女は研究結果を見せている(?)女子高生らを見て息を荒くしながらまた興奮していた。

 

ホントに……可哀想なもんだ。

 

そう思いながら俺は彼女に「一休みしてくる」と言って用意された別室に行き、寝転びながらさっきのやり取りを振り返りそっと呟いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アイツとの決着の為に……実の妹(・・・)に手をかける真似をしなきゃ行けないなんてな……この世は残酷だ。今も昔も……」

 

そう言って俺は静かに目を閉じた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜百合香side〜

 

「……ふぅ、今日も一通り楽しんだわ♪」

 

私は今日の研究成果を一通り見てPCを閉じた。

 

そしてモニター側に移り、とある画面を呼び出してまた興奮しながらその映像を眺めた。そこにはCIRCLEと呼ばれるライブハウスから出てきた5人の女子高生らが帰路につこうとしているところだった。

 

そして私は、今回のメイン(・・・)ターゲットをみて舌なめずりをしながら呟いた。

 

「私の研究の為に、犠牲になってもらうわよ……♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……氷川紗夜ちゃん♡」

 

そう言って私は狂ったように笑った。

 

その後別室で休んでいた郷田に1発ゲンコツを喰らったのは……また別の話。

 

あぁ……早く会いたいわ……♪

 

 

 

 

〜END〜

 




如何でしたか?次回はあの子が登場します。先に言いますが、『キャラ崩壊』を含んでいるため対象のキャラを推してる読者さんがもつイメージが崩れる恐れがありますが紗夜編のストーリー上そうせざるを得なかったためご了承ください。(要するに、ストーリー上読者の期待に応えるようなキャラ設定なのでご了承ください)
それを理解の上……次回もお楽しみに!
感想、高評価等お待ちしております!

紗夜編後投稿して欲しいストーリー

  • リサ編
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