みたいなの考えたんですが、さすがに荷が重いので踏みとどまりました。
次回もできるだけ早めに頑張ります。
第一話 発現
背景 天国のお爺ちゃんへ
お爺ちゃんが亡くなって、もうだいぶ時間が経ってきました。
今僕はオラリオで、なんと冒険者をしています。
まだまだ駆け出しで、できないことだらけな毎日ですが
それでも、一歩一歩確実に前に進むのはとても嬉しいです。
いつか話してくれたお爺ちゃんの様に、可愛い女の子と出会って……暗い所に行くのが楽しみです。
だから、僕は冒険を続けます。
あっ、そうだ。実は僕、今日は思い切って初めての五層に挑戦しました!
そして僕は出会いました。
これがいわゆる運命の出会い、と言う奴なのでしょうか
もしこれがそうなら。
運命を、呪います。
「ヴゥゥオオオオゥオオオォオ!!!!!!」
「何で……こんなところに!」
筋骨隆々で牛の頭を持つダンジョンの怪物。
赤黒い皮膚に血走った目、まず間違いなく友好でないことは確かだ。
少なくとも、僕は学んだ。おじいちゃんがよく言っていた、曲がり角には運命の美女が待ち受けていると、けれど違った。
ダンジョンの曲がり角、そこで出会えるの身眼麗しい女の人ではなく
「ヴオオオゥ、ヴゥゥオオオウゥ、ヴウゥルモゥォォォオオオオオ!!!!!?!?!?」
「なんで、こんなところにミノタウルスがいるんだよ!!!!」
殺意がほとばしる、まさしく運命的な出会い、そして別れであった。それも一方的な
⚪
「はぁ、はっ…ぐっ」
突然の襲撃にパニックになったが、それでもベルは足を止めない。運よく、敵は手負いなのか、足の速さだけならかろうじて逃げ切れる。かもしれない
重厚な蹄が地面を砕き、荒げた叫びと呼吸が背後を恐怖で撫でられる。入り組んだ洞窟の道を蛇行しながら、なんとか活路を見出さんとする。
……こいつ、まだ追いかける。なんで!
「ヴるぅぅおおお、ヴモォォオオオ!!!!!」
ミノタウロスは執拗なまでにベルを追いかける。なりふり構わず追い続けるその形相はまさしく怪物のそれだ。コボルドやゴブリンとは違う、明確すぎるほどの殺意で、命を奪う本当の敵
当然、ベルには対処する手段はない。このまま闘争を続けて、向こうを振り切るしかない。すでに体力は切れぎれで、足が今にも崩れ落ちそうなほどだ。
「…ッ…あと少しで、上に!!」
ベルは無我夢中で走り抜け、入り組んだ道は直線に差し掛かる。
……よし、ここで一気に距離を!
だが、これがまずかった。
「――――…ヴゥォ!!!」
下層までの知識しか持ち合わせていないベルには、中層のミノタウロスの性質を知りえなかった。
人型の形を持っているが、結局のところその本質は暴牛であり、その一番の武器は強靭な拳や、岩盤を砕く蹄でもない
ミノタウロスが腰を下ろし、前傾姿勢で頭を構える。
「……はっ、追ってこない。やった!これで…」
一瞬、その怪物の放つ鋼の一刺しは
「……へっ?」
「ヴゥゥルゥォォォ……!!」
地面を砕き、砲弾と化した暴牛の一突きをもって
「…えっ…なんで……僕」
刺されているのに、痛いはずのに
……どうして、何も…感じな…
少年の命に終止符を打った。
〇
「………!」
…何か、聞こえる
体が重い、鉛のように手足は重いし。それに……なんだか臭い
ない力を振り絞り、どうにか体を起こす。目元の何かを拭い、どうにか視界を確保するが、じっとりと濡れるそれはどうにも拭いきれない。
「……み、…え!」
……誰かいる。僕、確かミノタウロスに……
「………ねぇ、これ」
そう言い、目の前の誰かは僕に何かを差し出す。何やら布のような、これで顔を拭けということだろうか。
顔を拭い、ようやく目の前の視界が明らかになる。
「あの…ありがとうございます。助けて……いた、だき……」
「……うん、怪我は……ないみたい、だね……立てる、かな?」
「………!!!!!」
牛に変わって視界に現れたのは少女だった。
けれども、自分より年上で、寡黙なその人はいわゆる気品のようなものにつつまれていた。
「……?あの、君…」
はっきり言おう、一言でいえば女神だった。
薄暗い中でも眩しいばかりに美しい金色の長髪、しなやかで健康的な見た目に蒼玉のような目といたいけな少女のような容貌
わずかに付く返り血でさえ、その美しさを彩る模様のように見えてしまう。
「――……っ!!?」
僕は出会ってしまったのだ。
「?……ねぇ、君……いったい」
差し伸ばした手がベルの頬に触れる。か細くて、剣を持つのには全く不向きともいえるような。
けれども、そのふれた指の感覚、近づいて薫る匂い、僕は魅了されたのだ。
おじいちゃんが言っていた。ダンジョンには出会いがあると。とくにその出会いについてはやたらと強調していたお爺ちゃんであったが、今日僕は死にかけて、それでも、やはりその言葉が正しいと知れた。
〇
ヘスティアホーム、教会の地下にて
「……で、君はそのヴァレン某に一目ぼれして。お近づきになるために担当に話を聞こうと駆け込んで、血まみれのままなのをうっかり忘れてたせいで大騒ぎになったと」
「…まぁ、そういことです。……あのあと、こっぴどく叱られました。」
「……はぁ、ベル君、君の行動力の良さは美点でもあるけど、いささか無鉄砲すぎないかい」
「………えっと、それは、反省しています。」
……この子は、本当に
あの後、ベルは初めての異性との接触でパニックになり、脱兎のごとくその場を逃げ出してしまった。その後、ギルドでアイズの情報を聞き出し、ベルはそのままホームに帰還した。今は、今日会った報告もかねて、いつもの儀式に取り掛かっている。
「……じゃあ、ステータスの更新といきますか」
その後、ヘスティアからいかに自分の抱いた夢が的外れか、冒険者の事情を交えて話が続く。どうにも、神様はロキ・ファミリアについて話すとき、少しだけ機嫌が悪くなるらしい。
「……じゃあ、更新するよ」
ベルは今ベッドの上で上半身裸で寝そべっている。そのうえでヘスティアがベルの背中に自身の血を垂らし、すると背中に掘られた神聖文字が浮き上がる。光を伴い、立体的に浮かび上がる。それはどこか幻想的で、地上で見られる神のみぞなせるわざなのだ。
それがファミリアに所属する冒険者の特典、神の恩恵とその更新である。
冒険者の経験値を測り、それに応じただけの力を付与する。種族を超えた、まさに冒険者を形作る神の御加護である。
「…………。」
最後に、羊皮紙を背中に張り付け、その刻印を写し取る。だが、そのさい、ヘスティアはベルにばれないように手癖を加える。
「……。よし、オーケーだよ、自分で確認してご覧」
ヘスティアから受け取り、自身の成長を確かめる。
「……力は、少し……あっでも敏捷、すごく伸びてます!」
うん、命からがらで、逃走劇をしただけはあったみたいだ。
ステータスを見て、変わったのはわずかな力、そして多めに敏捷、そして
「あれ、耐久も上がっている。でも」
ダンジョンの記憶を思い起こすが、どうにも記憶が欠如している。ミノタウロスに追い詰められたところまでは覚えている。けれど、どうにもその間が思い出せない。
「……はぁ」
「どうしたんだい、ため息ばかり……幸せを投げ捨てるのはよくないと思うよ。
「………」
思い出すほど、あの人の美麗さが脳裏から離れない。記憶がないにせよ、せめてもう少しだけ、あの人の姿をこの目にとどめておきたかった。
……せめて、もう少し
僕が、あのミノタウロスと互角に戦えれば、あの人も僕のことを……
「もっと、強くならないと……」
ステータスを見渡す。駆け出しらしいこの結果をいつかもっとおおきなもので塗りつぶす、そんな願望を胸に抱いて
一歩一歩、確実に成長すれば、この空欄も……って
「あの……神さま
「?」
「そのスキルの欄、なんだか消されたみたいな跡が「ああ、それただの手違いだから、手元が狂ったんだよ」
「……じゃあ」
分かりやすく項垂れる。この年頃だ、何かの拍子に特出したものが芽生えることを期待しないのがおかしい。だが
「まぁ、スキルなんてよっぽどのことがない限り身につかないものさ。だから、地道に頑張るのが一番、無理せず、担当の言いつけを守って冒険をしておくれ」
そう言い、子供をあやすように頭を撫でる。恥ずかしさはあるが、こうした扱いも最近は慣れてしまっている。それ以上に添い寝や抱き着きが多いせいか、大抵のスキンシップ(神様限定)は慣れてしまった。
「僕、明日もダンジョン行きますから。もう寝ます」
「…………。」
「?……神さま」
「!……いや、なに。ちょっと寝る前に夜風を浴びてくるよ。」
〇
階段を上がり、上の教会の階へ移る。そこにはさびれた家具の中に混じって、ほろをかぶされたベルの私物、鉄の二輪が置かれていた。
……結局、これが何か、僕にはわからない。
ベル君はこれに乗ってオラリオに来たと言っていた。けれど、この乗り物?はどうあがいても動かないし、いったい何で動くのかもわからない。
「………あの子は」
ヘスティアの手元にあるもう一つの羊皮紙。ベルのステータスを写し取ったものだが、それは先ほど渡したモノとは違い、念のため、映したものを二重に映しとって、ベルには見せず隠し持っていた。
……あの子は、優しい子だ。だから、きっと悪い事なんか起きるはずがない。
先ほどのヘスティアの言葉には嘘があった。手に持つ羊皮紙を広げると、そこには
その手に持つ羊皮紙には“二”つ“のスキルがあった。
「………」
一つはレアスキル。聞いたことのない名前と効果で、これがきっと今日の彼の経験、つまりアイズ・ヴァレンシュタインをきっかけに発言したものだとわかる。
「リアリス……フレーゼ。……効果は早熟、思いのたけに伴って効果を発揮……たく、ベルくんらしいけど……なんだい、おもしろくない」
赤の他人の手で自分の愛する子が成長していく、そんな事実がもどかしく何度も黒髪かき乱す。。
「!!……僕と言うものがありながら」
つい羊皮紙を握る力が強くなり、ない腕力で破ろうとしてしまうが当然破れず。
気がむなしくなり、ヘスティアは肩を落とす。
「………」
問題はそれだけじゃない。この子の場合、きっとこれが一番の謎だ。
リアリスフレーゼは今日の更新で現れた。けど、彼のステータスには最初から異変があった。
「………」
種族名、彼はヒューマンと自ら申告した。ステータスにもそれは乗っている。けれど
「……また、読めない」
ベル・クラネルの種族名、そこにまるで黒いシミが付いているような、ぼやけた一文がある。
常にはヒューマンと明記されているが、どうしてか日によってその部分が読めなくなる。
そして今日の更新で、更に異変が増えていた。
「これ、スキルだよね。でも」
リアリスフレーゼの下に、なぜか黒で塗りつぶされた長文の内容がある、わずかにかすれた部分でかろうじて読める箇所に目を凝らす。
「……ふ…ん…イア、いや、ガイアか。ここも、ふぇ…ふぁん……ファン」
繰り返す、聞いたことのない言葉。意味も発音もあっているかわからない、謎の言葉を口ずさむ。
「ふぁん……がい、あ……ファン、ガイア……」
……ファンガイア、ベル君の……秘密
次回に続く
ベル・クラネル Lv.1
種族:■■■■■
力 : I 77 →79
耐久 : I 13→26
器用 : I 96
敏捷 :H 148 →172
魔力 : I 0
《魔法》
【】
《スキル》
【憧憬一途】
・早熟する
・懸想(思い)が続く限り効果持続
・懸想(思い)の丈により効果向上
【■■■■■■■】
読了、お疲れ様です。
今作ではキバの設定をだいぶアレンジしています。変身も当分先ですし、覚醒的なものもまだですね。
まぁ気長に読んでいただけたら幸いです。
すいません 急遽スキルを訂正しました。