久々に更新して、感想と評価も増えてちょっと嬉しい今日この頃。他に書かないといけないものもありますが、取り合えずランクアップまではちょこちょこ頑張っていきます。目指せランキング上位
早朝、いつもより少しだけ寝坊した僕は急いで足を進める。
今日が最後、アイズさんとの稽古の最終日に、僕はなんてことを。道中、とっても綺麗な妖精さんに追いかけられたりと、けどそんなのは言い訳にならない。
「すみません、遅れ、ました……ッ!」
「ベル、どうしたの」
「えっと、森の妖精さんに……いえ、何でもないです」
「……休む?」
膝をポンと叩く、魅力的で一瞬傾きかけたけど、今はそれより
「いえ、お願いします!」
「……そう」
刃を構える。この一分一秒を無駄にしないために。
刃と刃がぶつかり合う。ロキファミリア遠征の出発日、これまでの全てを見せんがために、技と駆け引き、学んだものを全てぶつける勢いで挑む。
……証明するんだ。僕の強さを、真っ当な力で、僕は前に進めるってことを!
〇
朝と昼の間、ダンジョン前の広場で何時ものように待ち合わせ。体以上に大きなバッグを背負うリリはすぐに見つけられる。
「!……ベル様今日も時間どおりに……って、どうしましたその傷」
「あはは、いつものかな……うん、ちょっと手ひどくね」
頬や眉間の痣、最後の鍛錬は苛烈なまでに、だからか生傷がすぐに引かない。ちょっと不格好だと、我ながら理解している。
「ごめん、こんな格好で」
「いえ、謝る必要は……治りますよね?」
「うん、時間が経てばね」
ポーションはもったいない。思うところはあるけど、この体質は少しありがたい。
「……行こうか、ダンジョン」
「ええ、今日はどこまで行きますか?」
「そうだね、とりあえず10層を目指して……」
× × ×
―バベル、最上階―
「……貴様、あの男に何をさせた」
「あら、またいきなりな登場ね……なんて」
冗談、軽口を吹き、女神は仮面の男を見定める。自分のさせた行為を、その男がどのような反応をするか、少し楽しみにしていた。その結果は、上々だ。
「あなたには損はないわよ。あの子が強くなるために、私は試練を果してあげただけ。だから、あれはそのための細工よ」
「……貴様、わかっているのか」
男は、タイガは怒りを示す。今まで見せたことのない感情の震えを、タイガはフレイヤにさらす。
「あれをどこで手に入れた、いや聞くまい。どうせあの羽帽子が目論んだのだろう。」
「察しがいいわね。そうよ、良いものを貰ったわ。いい加減、私もあなた達ファンガイアのことは無知じゃないの。英雄にするにせよ、怪人に変えるにせよ、手を加えるのは私の役目。女神だもの、男の子を遊ぶのは雌の本能よ。」
饒舌に語る、タイガを前に有利に立つことを、今にも怒りでその鞭が振るわようと、女神は表情一つ溢さず笑いを飛ばすだろう。
「……ッ」
「あら、どこへ行くのかしら?」
「無論、ダンジョンだ……邪魔は「無駄よ、もうオッタルがことを済ましたわ」
「……正気か、貴様」
足を止め、タイガは女神の尊顔に今一度視線を向ける。亡霊である自分に美貌だのは通用しない、ただその真意に目を向けるのみ。
フレイヤの意志に誤りや軽さはない。すべてを承知したうえで、それでもと彼の少年を信じている。
「理解しているのか、あの男に託したもの。あの牙は」
「ええ、かつて存在したファンガイアの一部、実体化した吸命牙よ。あなた達ファンガイアの持つ特殊な魔力、ライフエナジーを含んだ物、それを打ち込めばどうなるか、想像するだけで面白いじゃない。」
フレイヤが地面に放り捨てる、それは蛇の牙のような、灰色でひびが入ったそれは容易く砕けて粉となった。
床に散る牙だったものの灰を見つめ、タイガはなおも問いかける。
「貴様は知らぬのだな。ファンガイアの中で、頂上に最も近しい存在を。これは、その中の一柱、かつてはチェックメイト4とあがめられた存在。それをわかって、貴様はあれをぶつけるのか!」
× × ×
ダンジョンの奥深く、そこで最後の仕上げが行われた。そして、それは現在進行形で。
ダンジョンの隠れた、まだ誰も知らぬ場所でその獣は倒れていた。
命を失ったわけではない、ましてや眠りに落ちているわけでもない。獣は、ただ痛みに耐えていた。
「……見事だな」
オッタルは見下ろす。三日前、受け取った牙を打ち込んで、そしてそのまま意識を落としてからここまで時間が経った。全身にステンドグラスの紋章が広がり、そのまま動かぬ人形と化して、そして今に至る。
あたりには獣の流血がしみ込み、薄暗いダンジョン故に獣は闇に飲まれた死肉も同然、何も感じず、ただ激痛の中で時を待つ。
「恨むか、人間を」
問いかける、今はその言葉御意味が理解できる。その返答は、まさしく肯定だ。
「俺を殺したいなら、いつでも受け持つ。だが、それは後だ」
オッタルは去る。覚醒を見届けた今、これ以上の調教は不要だからだ。
「白髪の赤眼、それが貴様の撃つべき敵だ。ミノタウロス……いや」
立ち上がる、のろのろと二本の足で、形状を歪めながら、その姿は酷くいびつで、しかして荒々しくも気高い風貌すらある。
「……命令されているのは調教だけだ。故に、これは俺の勝手だ」
新しく誕生した戦士。大鎚を振るい、方向を上げる獣はもはや獣にあらず。自分と同じ、この世界におのが存在を示す戦士、いわば強者だ。
「聞いた話だ、貴様に流しこまれたもの、それの名はルークとかいうらしい。だが、今の貴様にそれは相応しくなかろう。モンスターである、その在り方を俺は尊重する。」
ルークの名を冠するファンガイア、その血統を流し込まれた獣。獅子のたてがみと牙を持つ、新たな暴牛の名を
「ミノタウロスを超えた貴様は強化種であって強化種ではない、この世界に生まれた新たな強者。
× × ×
「……」
自分を育て上げた男の背中を見送った。後ろから襲う選択肢もあったが、それは違う気がする。そう感じた。
男に与えられた力、それに対し自分はむしろ喜びすら感じている。手に持つ大鎚、その重さが苦にならない。それどころか自分にこたえようとさえしている。
試したい。おのが力を、その猛りを思うがままに
「……チカイ」
感じる、男の言った標的が。異常なまでに発達した感覚がその気配を捉える。
姿も見えない、音も聞こえない、しかしその気配はもれなく、今の自分と酷似している。
「ヴゥオォ」
「おい、なんだあれ」
「ミノタウロス、何でこんな階層に」
「――ッ」
考えるよりも、行動が早かった。瞬時に足を蹴った、一歩が宙を蹴り、次の呼吸をする間もなく行動は完了していた。
「……はっ?」
冒険者は見えなかった。そして気づいた時には一面が真っ赤に、少しして、自分のすぐ横にいるミノタウロスへの恐怖、そしてつい今まで傍にいた仲間が見るも無残な肉片と化していたことへの確認、遅れて全てを飲み込む。
……ぐちゃり
「!!」
腕に絡む、それはぬめりと生暖かさを放つ、昔見た家畜の解体で見た臓物の一部、その傷と照合して始めて理解する。
「いやだ、イヤダイヤダヤダヤダヤダヤああぁあああああ……うぁああああぁあああああッ!!?!?!?!?」
走り出した、おののいた、恥も外聞も忘れてただ走り抜けた。死ぬ、殺される、走馬灯と後悔の自責に胃液を吐露しながら、男は走り続ける。
「……」
遅い、醜い、これほどまでに矮小なものかと、獣はその脳裏で自己完結する。
人間的に考えるなら、これは実験という概念だろう。だが、それすらにも及ばない。もはやここより近い場所で、この力を試すことは叶わない。
「……イク、カ」
目指すべきは彼の標的、自分と同じ力を有するその者であれば、この力を知るには、実戦で試す以外に他なし。ドッガハンマ―を振り二人分の血の汚れと肉片を払い落とす。
時間は十分にある、たどり着く頃にはこの武器の能力も使いこなせることだろう。
今回はここまで、アステリオス君をすんごい魔改造しちゃった。まあ二次創作だし、仮面ライダー設定だし、キバがまだ出せない分こういう所で点数稼がな。