仲間がいる、中層攻略にはリリだけじゃなくて、もう一人パーティーを増やさないといけない、それが目下僕たちの悩みだ。
仲間を増やす、ここが特にイケない。何故なら、ヘスティアファミリアには重大な秘匿情報がある。それはもちろん、僕のことだ
ファンガイアの力があれば、正直十分に中層でも問題なくやっていけるだろう。実際、サポーターとして中層に同行していたリリも、僕の実力から見てそう安心だとお墨付きをくれた。けど
はたして、それは他者から見て正常と言えるだろうか、という問題が生じてしまう。
つまり、今後ダンジョンで中層に行くなら、それにふさわしい状態で挑まないといけない。
レベル2になりたてで、サポーター一人で難なく攻略できる僕は、きっと周囲から怪しまれ後々問題になりかねない。
……必要、なんだ。秘密を打ち明けられる、仲間が
けど、そんな都合のいい人間がそうすぐに
「おい、ベル……約束の時間どおりだな」
「……」
「お、どうした……なんか鳩に目ん玉つつかれたみたいな顔してるけどよ」
「……ッ」
僕の前に立つ、高身長で赤毛の青年。
彼の名はヴェルフクロッゾ。なんというか、彼は今日から、僕の仲間になる鍛冶師兼、冒険者でもある人だ。
……仲間、見つかっちゃったんだよね
〇
数日遡る。それは、アイズさんとティオナさんを見送る早朝に起きたことだった。
強化種騒動で僕らに付き合い、地上に戻ることになった二人は、遠征のグループに合流するべく出立する。その最後に、ティオナさんは僕にあるモノを手渡した。
「!」
「ほら、受け取って……一応さ、ドロップアイテムみたいなものだし」
強引に、力強い加減で手渡された。それは、レリーフが掘られた紫色のオブジェ。けど、すぐにそれを見て僕は一つの回答に至った。
……これ、あの強化種の!
「うん、あのミノタウ……ライオ……あぁ、えっと、ライオンミノタウロスが持ってたやつ。石化のカースが使える魔剣だよ。うん、すごく貴重だし欲しいけど……アルゴノウト君が倒したもんね。だから、はい!」
「……ぇ、あぁ……はぃ」
半ば強引にベルは受け取らされた。内心遠慮したい気持ちでいっぱいだが、それを言葉にするよりも先にアイズとティオナは
「じゃあ、また地上で合おうね!!」
「てぃ、ティオナ!」
「…………」
一人、ポツンと残されたベルは、手に持たされたオブジェを目に
……どうしよう、使えるのかな?
恐ろしい武器、故になんともおっかない印象だ。しかし、見た感じにはなんとも小さく、また大振りのハンマーだったとは思えないサイズ感だ。子供のおもちゃ、そう言われれば納得してしまうフォルム
扱いに困る、それが率直なベルの感想であった。
「……魔剣、か」
自分には縁遠い、高価な冒険者のアイテム。少なくともまだ自分の稼ぎ程度では手を出すのもはばかれるし、下手なものを使うなら自分で魔法を撃った方が早いし、なにより強い
「……けど」
いるかいらないか、そう考えるなんてのは贅沢者のすることだ。今手にした武器なら使うべき、だが使うには魔剣に詳しい人を、と思い僕はエイナさんに相談を持ち掛けた
ギルドで待ち合わせして、相談して紹介されたのはヘファイストスファミリア。紹介状もあってすんなりと通った僕が足を運んだのは、ヘファイストスファミリアの執務室というか、主神のいる部屋であった。
× × ×
「こんばんわ、ベルくんでいいのかしら」
「あ、はい。神さ……神ヘスティアのご友神、ヘファイストス神であられますところ、その……ご拝見できて」
「くす、あはは……もう、無理しなくていいわ。知らない相手じゃないんだし」
「……うっ」
部屋で響く笑い声に硬くなった背中が若干緩んだ。目の前の人は女神にふさわしく美しい人で、なんというかやっぱり、このオラリオにいる女神さまは皆年上のお姉さんといった感じで、初対面はどうしても緊張してしまう。
せっかく強くなったのだから、この緊張しいなメンタルも不動になってくれればよかったものに
「お、それが件の少年であるか……やや、初めまして」
続けて姿を現したのは、ぼくよりもまた背丈の大きいお姉さん。名前は知っている、ヘファイストスファミリアの団長、椿さんだ。
たくましい見た目と裏腹に、その容姿は整ったもので、またサラシで乱雑に納めたそれはたいそう豊かなものだと皆口にしている。酒場かどこかで聞いた通り、その大きさは神様にも劣らない。
「……ぁ、初めましてです。ぼく、ヘスティアファミリあばッ!」
「?」
「ひゃ、すす、すみませんッ」
ぼよんと、振り向く瞬間僕の顔が質量に負けた。質量の暴力で
だが飛びのいた先、そこにもまた質量の暴力が
「あら、危ないわね……怪我はないかしら」
「――――ッ」
後頭部が何かにぶつかる。けどなにも痛くないのは、そこにも質量の化け物が
「!!」
曲げた竹が元にしなるがごとく、体は勢いよく跳び上がり前へと、そこにはまたも質量。前門の質量後門にも質量、逃げ場がない!
「おっと」
「あば!」
「なんだ、乳でも恋しいのか?自分のよりも、そこな主神様に頼ればいいものを」
「ち、ちが……これは、事故で!」
「事故?何をよくわからんことを……しかし、男にしてはなんと華奢な。ちゃんと食わんと大きい男になれんぞ……はっはっは」
「へぶっ……おぶ、べぶふッ!?」
軽く謝罪の言葉を述べながら。その手はポンポンと胸に飲まれたベルの頭を叩く。本人は軽く小さい子に構っているつもりだろうが、ドワーフで一級冒険者なパワーでされるそれはさも床に弾ませる球技のごとく、ボスンボスンと子気味良い音を立ててベルの頭もといバスケットボールはツバキの胸に埋まって跳ね返っては埋まって
……ボスンボスンッ
「……ガクッ」
脳が揺れる、重力が可笑しくなって意識が遠のくベルであった。
「椿……その子嫌がってるわよ、もう」
「お、そうか……それはすまなんだ。いやはや、小さい童と遊ぶのは久しくてな、いや加減がな」
「……ぶはっ、あぁ」
開放された。ヘファイストスがベルの方を掴み椿から引き離す。顔色は少し青みがかかって若干グロッキーだ
「ごめんなさいね、うちの眷属が乱暴で」
「は、いえ……ボクも、失礼を」
「あぁ、胸のことは気にしなくていいわ。小さい子にちょっとおいたされて怒るほど、私たちは小さくないわ」
「……」
小さくない、やけにその言葉の意味が大きく受け取れる。自信があるのだろうか
「あ、あの……ぼく、14歳なんですけど」
「ん、ならば童ではないか。どれ、尻の毛が生えそろってるか見て……」
「椿、もうよしなさい……ベル君、あなたも本気に受け取らない。さて、と」
そろそろ話を戻すわと、神ヘファイストスはベルを半ば押すように椅子に座らせる。
談話用のソファと低いテーブル、向かい合って座ると
……ボスン
「……あの、どうして横に」
「ん、何か問題があるのか?」
「…………いえ」
椿さんが隣に、体格の差はもちろんのことさっきのこともあるから少しきまずい気分だ。
そんな状況は置いておき、ヘファイストス様は用意していた茶を用意する。出されたカップにそそがれる紅茶の香りが立ち少し場の空気が静まり返る。
「話、きかせてもらったわよ」
「……エイナさんから、ですよね」
「ええ、けどそれ以外にも……貴方自身のこともね」
「それって、その」
「ふふ、警戒しなくていいわ。エイナ嬢を通して、あの娘からも話が通っているのよ。ヘスティアも大変ね……あ、嫌味とかじゃなくて、ね。眷属を持つってことは、多かれ少なかれ大変なことだし」
「その、どこまで知って」
「聞いただけ、あなたには特別な力があって、それが血によるものだってこと。ファンガイアっていうのは私も知らないのよね。でも、血なら……血統で問題を抱えているのならうちの子も同じよ。
「?」
「……実はね、私は今日あなたに引き合わせたい子がいるの。」
きっと気が合うはずよと、そう言いヘファイストス様は
「ヴェルフ、入っておいで」
「………………っす」
「!」
ぬるっと、若干気が引けているのだろう。男が姿を現した
作業着のまま、燃えるような頭髪と切れ目な青年、ぼくよりも二つ三つは年が上だと見られる。
「紹介するわ、うちの眷属のヴェルフ・クロッゾ。クロッゾの魔剣で有名で」
「お、おい……止めてくれ。その名を出すのは」
「まあまあ、それよりヴェルフ……この子がリトル・ルーキー、話にしていた彼よ。あなたと同じ、仮面の英雄に熱中な子」
「「!」」
仮面の英雄、その言葉で思わず背筋がより張ってしまう。
ヴェルフという名の青年、この人も僕と同じものを信じて
「ベル君、魔剣について聞きたいならこの子に頼りなさい。でも、その見返りに……ちょっと付き合ってあげて。同じ、仮面の英雄を信奉するもの通し」
「……そ、そうなの」
「ま、まあな」
初対面、名前を名乗り合うよりも先に互いの信ずるものを打ち明けさせられた。距離が近いようで遠いような、少し気まずさが走る
「ヴェルフ、そんな肩意地はらないの」
「い、いやだって……こんな急に紹介されても」
「ベル君、この子は仮面の英雄が大好きで、英雄たちの武器を再現しようとするぐらいオタクで」
「バッ! 止めろ勝手に、人前で恥ずかしい事」
「――――ッ!?」
……今、すごいこと言って
「もう、そんなにカンカンしないで……あとで頭撫でてあげるから」
「い、いらねえ!……ガキ扱いは止めてくださいよぉっ!!」
片や、仮面ライダーに変身する者。そして、仮面ライダーの武器を造りし者
出会うべくしてか、二人は引き合いそして対面したのだった。
次回に続く
今回はここまで、次回ライダーネタ多めでクロスオーバーらしくしていきます。
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