STAR LIGHT デビューってなんだっけ編 作:aiyamamiyu
スターライトの研修生は、デビューしたグループのように音楽番組に出たり冠番組を持ったりはしない。
よって、怜の仕事がバックダンサーのみだった頃は、怜がスターライトで活動しているという実感が凛にはなかった。
スターライトに入ると言いに来た時以降、怜とは少し気まずい状態になっていたが、仕事に関してのメールは時々していた。
ある時、スターライトの月刊情報誌に出ることになったと怜から連絡が来たので、買って読んでみた。
知り合いが雑誌に載っているというのは不思議な感覚だった。
顔と名前は確かに自分が知っているその人なのだが、ですます調で仕事について答えているインタビューを文字で読んでも、いつもの姿と結び付かず本人が答えているという感じがしなかった。
その後しばらくして雑誌に載っているのにも慣れ始めた頃、研修生ライブに怜が出演した。
見に行きたかったが、都会にひとりで行くのは親が心配するし、部活もあったので行けずじまいだった。
スターライトのウェブページには、所属タレントのライブのダイジェスト動画があげられており、研修生ライブの動画もあった。
動画の中の怜のパフォーマンスを見て凛は驚いた。
一緒にスクールでダンスレッスンを受けていた小学生の頃は、基本的な動きが身についておらず、どう動けばいいのか戸惑っていた印象だったが、今はなめらかな動きで踊っている。
離れていた中学生の間にこんなにダンスがうまくなっていたとは思わなかった。
何より、昔は不安そうな表情で踊っていることが多かった怜が、明るい曲だからということもあるかもしれないが、楽しそうな表情で踊っていることに凛は感動した。
凛の心には、森山日向が引退して以来あまり感じていなかった「ステージを見ることでのときめき」が戻って来た。
こうして凛は怜の活動をしっかり応援することになったのだが、数日後、怜に関した困惑する出来事が起きた。
その日はぽかぽかした天気だったので、ぼんやりしながら次の授業が行われる教室に移動していた。
その時、後ろの方から「最近、Towaと一緒に載ってるReiって子いるじゃん。」と言う声が聞こえてきた。
凛は驚いて、そっと後ろを振り向いた。
少し離れたところに、スターライトのタレントの話をよくしている女子たちのグループが見えた。
「スターライトの研修生のRei」とは言っていないが、スターライトが好きな子たちがTowaと一緒に名前を出すReiといえば怜のことだろう。
なぜか体中に緊張が走ったのが分かり、慌てて教室に入った。
席に座っても動悸がしばらく続いていた。
自分の悪口を言われたわけでもなく、知り合いの名前が聞こえただけなのに、なぜこんな風になっているのか凛は自分でも分からなった。
褒めようとして名前を出した可能性もあるが、なぜか聞きたくなかった。
怜が悪く思われているのではないかと心配しているのか、自分にとって重要な人が悪く言われることで自分が傷つくことを恐れているのか、次に何を言われるか分からず不安になっているのか。
このうちどれが理由か分からないし、この全てが理由なのかもしれない。
森山日向がよくテレビに出ていたのは、凛が小学校の頃だったが、周りの子たちも日向を好きなのが当たり前だったので悪口を心配してこんな感情になることはなかった。
凛はこれ以降、このよく分からない感情に度々悩まされることになった。