STAR LIGHT デビューってなんだっけ編   作:aiyamamiyu

5 / 7
変化

最初はライブを楽しめなかった怜だが、少しずつ気持ちが変わっていった。

 

 

変わった理由のひとつは、振付師や周りの研修生から心配されてしまうことだ。

 

 

盛り上がる曲の時にもずっと真面目な顔で踊っていると、具合が悪いのではないかつまらないのではないかと思われるようだった。

 

 

表情の指摘を受けてからは笑顔で踊るように気をつけるようになった。

 

 

曲に合わせて笑顔で踊ると、明るい曲がより楽しく踊れるような気がした。

 

 

ふたつめの理由は周りの研修生のパフォーマンスだ。

 

 

最初は自分のことで精一杯だったが、そのうちライブ中に周りを見る余裕が出てきた。

 

 

すると、他の研修生がその場の雰囲気に合わせて軽やかに踊り、時には客や研修生と身振り手振りでコミュニケーションを取っていることに気づいた。

 

 

客も研修生に応えて手を振ったり身振りで何かを伝えたりして楽しんでいた。

 

 

ステージの周りで賑わいを出すだけでなく、メインの出演者が着替えたり遠くにいたりするときに客を楽しませることも研修生の役目なのだろうと思うようになった。

 

 

段々と大きなステージでのバックダンサーの仕事に慣れていき、最初よりはその場の空気を楽しんで踊れるようになってきた。

 

 

 

 

 

怜は高校生になり、研修生ライブにも出演するようになった。

 

 

ライブの構成を自分たちで考えるのは難しさもあったが楽しかった。

 

 

デビューした先輩のライブでバックダンサーをする時とは違い、研修生を応援している客がほとんどなので内輪感があり先輩のライブよりは安心してパフォーマンスができた。

 

 

怜と永遠は、二人組でデビューした先輩の人気曲を何度かふたりでパフォーマンスした。

 

 

客からは、なかなか好評だった。

 

 

一緒に活動する前から怜は永遠に対し、人当たりが良く優しい人というイメージを持っていたが、共に活動してから更にその印象が強まった。

 

 

後輩をよく気遣ったり、忙しい時でもスタッフに丁寧に接している様子を見て、すごいなと思いながらも怜は自分のコミュニケーション力の無さを思い知らされる感じがした。

 

 

 

 

 

やがてスターライトに入って三年が経ち、怜は高校三年生になった。

 

 

永遠は高校を卒業して社会人になった。

 

 

春休みの研修生ライブが終わった頃、怜は社長に呼び出された。

 

 

社長に呼ばれることなどめったになく、特に何かした覚えもないのでなぜ呼ばれたのだろうと不安に思っていた。

 

 

社長に研修生が呼ばれるといえば、CDデビューの話ではないかと一瞬考えたが、特に結果を出したわけでも有名になったわけでもない自分がデビューするなんてことはないだろうと思い直した。

 

 

「失礼します。」

 

 

社長室に入ると、社長と永遠がいた。

 

 

「メンバー揃ったわね。

 

今日は大事な話があって来てもらったんだけど。」

 

 

「はい。」

 

 

社長の言葉を待つ間、静まった部屋に緊張感が流れた。

 

 

「えー、単刀直入に言うと、ふたりのデビューが決まりました。」

 

 

「え?」

「デビュー?」

 

 

社長の言葉に、永遠も怜も驚きポカンとしてしまった。

 

 

「デビューって、僕と怜がふたりでCDデビューするってことですか?」

 

 

永遠がとまどいながら言った。

 

 

「そう。

 

永遠と怜が一緒に活動している様子を見て、バランスがいいなと思って。」

 

 

「バランスいいですか?」

 

 

怜が不思議そうに聞いた。

 

 

「うん。

 

永遠は昔からかわいくて明るい子という印象で、成長しても周りを明るくする子でいてくれたじゃない?

 

研修生は高校生になった頃からとがったりチャラくなったりしがちで、もちろんそれで新たな魅力が開花することもあるんだけど、永遠をとがったグループにいれるのはなんか違うなと思って、どうしようかなって思ってたの。

 

そんなとき怜が事務所に入ってきて、普段は物静かなんだけど曲がかかると感情がこもったダンスをする子がいるって聞いたのよね。

 

それで見てみたら本当にうまくて、特に幻想的な曲とかセンチメンタルな曲はすごく引き込まれるパフォーマンスができる子だった。

 

きれい系の大人しめな怜とかわいい系の明るい永遠が、パフォーマンス力が高い者同士組んだら、お互いのいい点が引き立つんじゃないかと思って組んでみたの。

 

そうしたら、パフォーマンスも上質だし、ケンカもしないし、いい感じだった。」

 

 

「そうだったんですか。」

 

 

怜は、社長にそんなによく見られていたとは知らなかったので呆気に取られて言った。

 

 

 

 

 

社長室を出て、この後仕事がある永遠と別れた。

 

 

怜は混乱していた。

 

 

「自分が本当にCDデビューするんだろうか。

 

永遠はふたりでデビューすることをどう思っているのだろう。

 

自分よりもっとがんばっている人もっとデビューしたい人もいるのに自分がデビューしていいのか。

 

これからどんな仕事をし、どんな生活になるのか。」

 

 

次々に疑問が湧いてくる。

 

 

しかし、関係者以外にデビューのことを話さないようにと言われたため、親や凛に相談することもできなかった。

 

 

 

 

 

デビュー曲は、事務所が有名な作家に依頼して作られた。

 

 

怜たちがデビューを告げられてから二ヶ月後にはレコーディング・振付・アーティスト写真の撮影が秘密裏に行われた。

 

 

そして、デビュー発表の日がきた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。