異界の太極・外伝――異世界を赤く(紅く)染め上げて   作:夜叉烏

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 こんにちは。夜叉烏です。

 海戦回です。ソ連・中国艦隊の無双シーンを描きます。


東の対艦ミサイルは西側のやつとはちと違う

 グラ・バルカス帝国外交官シエリアの口から放たれた全世界に対する事実上の服従宣言を受け、各国が怒りとともに行動する中、ソ連と中国も愚帝外交官の発言を祖国へと送っていた。

 

 ソ連書記長および中国国家主席、両国政府高官たちは激怒。

 愚帝がカルトアルパスを強襲し、外交官たちが危険に晒される事態を考慮し、すぐさま随伴している艦隊へ戦闘許可を与えた。

 

 同時に、アルタラス王国とパーパルディア皇国跡地――ソ連・中国外交官を未遂とはいえ殺害しようとしたパーパルディア皇国は、通常弾頭装備のRS-24"ヤルス"・RS-28"サルマト"、"東風"DF-31A・DF-41各種弾道ミサイルによる無差別飽和攻撃とTu-160、H-6による無差別爆撃で文字通り滅亡。一応警告と観光客への避難勧告は出していたため、第三国の被害者は出なかった――に建設していた飛行場では、ロシア空軍のSu-35、Tu-22M、中国空軍のJ-11BやJ-10D、両国の支援によって設立されたアルタラス空軍、クワ・トイネ空軍、クイラ空軍のMig-29とJ-10の輸出仕様が並べられている。

 

 同時に、クワ・トイネ、クイラ、アルタラス本国から各国海軍のソブレメンヌイ級駆逐艦、キロ級潜水艦、054A型フリゲートが艦隊を組んで出撃し、カルトアルパスへと向かう。

 

 一方、カルトアルパスに集結している国籍問わない艦隊は戦闘準備を整えているが、もたもたしている彼らを他所に、ソ連・中国艦隊はそそくさと沖合へ出ていった。

 各艦の火器に火が入れられ、『アドミラル・クズネツォフ』『遼寧』『吉林』の甲板へ艦載機が並べられた。

 

 

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 グラ・バルカス帝国艦隊の空母群から発艦した『アンタレス』『シリウス』『リゲル』の大群は一路、カルトアルパスへ集結中の世界連合艦隊へ向かっていた。

 

 今の今まで連戦連勝だった彼らにとって、ミリシアルにさえ気を付けていれば良いと思っていたし、その世界最強の艦隊――第零式魔導艦隊も先ほどの航空攻撃で撃破している。

 

 各機搭乗員が余裕そうな表情で長躯進撃していくが、そんな彼らの前方から必中の矢が音速を遥かに超える速度で突っ込んだ。

 

 ソ中三空母から発艦した戦闘機MiG-29Kとその中国ライセンス生産版であるJ-14から放たれたR-77・PL-12中距離空対空ミサイルが襲い掛かったのだ。

 西側のAIM-120"AMRAAM"に匹敵する性能を持つR-77と、動力性能ではそれを上回ると言われるPL-12は、時速300キロ程度で巡行飛行中のレシプロ機の大群を引き裂き、あっという間にその編隊を四分五裂にしてしまった。

 

 味方が一斉に爆散したのを見て騒然とする僚機に、空対空ミサイルの第2波が襲い掛かる。

 先と同じ数の機体が木っ端微塵に砕け散ったのを確認し、漸く回避行動を行ったが、その程度で避けられるわけがない。

 

 やがて、彼らの視界にもMig-29KとJ-14の姿が見えてきたが、両機は圧倒的な速度性能で距離を詰めると、胴体に組み込まれたGsh-30-1 30ミリ機関砲に火を噴かせる。

 "アンタレス"のモノコック構造の機体が30ミリ弾によって分断され、コクピットに巨弾を撃ち込まれた"シリウス"が風防の内側を真っ赤に染めながら墜落していく。

 

 それでも我武者羅に進撃を続ける攻撃機隊に、ソ連・中国海軍の長距離艦対空ミサイル――48N6E2とHHQ-9Bが突っ込んできた。

 直撃を喰らった機体はいずれも爆散して破片に変わり、異世界の海原へ散っていく。

 

 この戦いに参加しているグラ・バルカス艦隊の空母は総勢12隻に及ぶ。そこから発艦した攻撃隊の総数は実に700機以上。この世界の国々が自信を持って送り出した艦船のすべてを水底に送れるだけの数と性能と技量を持っていた。

 

 そんな強大な戦力が、100機程度の高速戦闘機と視界外からの謎の攻撃で一方的にすり減らされている。

 謎の戦闘機は弾切れになったのか姿を消したが、こちらの"アンタレス"も全機が消えていた。

 

 その現実に搭乗員たちが打ちのめされていると、目標地点であるカルトアルパスよりもかなり近い海域にいくつかの護衛に囲われた巨大艦の姿を見出した。

 

 巨大な1隻の空母がグレード・アトラスター級に匹敵しようかという巨大戦艦2隻をはじめとする艦隊で護衛したと艦隊、これまた巨大空母2隻を多数の駆逐艦・巡洋艦クラスで囲った艦隊だ。

 

 あいつらが仲間を大勢殺した――直感でその答えを出した"シリウス"、"リゲル"の搭乗員たちは、ためらうことなく敵艦隊へ機首を向けた。

 あの忌々しい敵機はいない。味方は散々打ち減らされ300機前後しか残っていないが、この数を対空砲火のみで切り抜けられるはずがない――そう確信し、まだ遠い敵へ突っ込もうとした瞬間、敵艦から小規模な白煙が立ち上った。

 

 直後、その白煙がこちらに向かって超高速で突っ込んでくる。

 ソ連・中国海軍艦隊防空網の第2陣、9M96E2とHHQ-16B中距離艦対空ミサイルだ。

 

 先ほどの光景が再現される。

 爆弾や魚雷を抱えた身重な機体が回避行動をとるが、関係ないとばかりに追従し、直撃する。

 

 数だけを頼った決死の突撃を敢行している彼らに、速射砲の砲撃が襲い掛かる。

 AK-130、A-192M、PJ-45、PJ-38各種130ミリ速射砲の弾幕が急降下爆撃の準備に入る"シリウス"を射すくめ、雷撃のため高度を下げる"リゲル"をAK-176、PJ-26 76ミリ速射砲が機関銃の如き猛射を浴びせる。

 

 それに加えた短距離艦対空ミサイルの正確無比な攻撃を辛うじて潜り抜けた数機が空母『アドミラル・クズネツォフ』『遼寧』に肉薄するが、両艦の最終防衛システムが起動する。

 前者の8基を装備した3M89"パラシ"と6基のAK-630M2"デュエット"、後者の1130型30ミリCIWS 3基から毎分1万発の発射速度でばら撒かれた30ミリ弾の嵐がジュラルミン製の機体を文字通り『消滅』させた。

 

 敵の全滅を確認した戦艦『ソヴィエツキー・ソユーズ』、空母『遼寧』のCICに陣取る両艦隊の司令が新たな指示を出す。

 

 「「対水上戦闘用意!」」

 

 

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 グレード・アトラスター級2隻をはじめとした水上打撃部隊に先んじての空襲が目的だった愚帝艦隊機動部隊は、航空隊全機からの連絡が途絶えたことに首を傾げていた。

 

 しかし、誰も敵に撃墜されたとは考えていなかった。

 この世界は魔法というまったく未知の概念があるが、基本的に何百年も前の文明だ。

 

 そんな蛮国の軍隊に撃ち落とされるほど、自国の艦載機は弱くない。

 事実、この世界最強のミリシアル帝国が誇る第零魔導艦隊を撃破しているのだ。

 

 この世界特有の局所的な磁気嵐によって通信障害が起きているだけだと結論づけられようとしたとき、旗艦のペガサス級航空母艦の艦上へ見張り員の声が響いた。

 

 「報告!何かが高速で…」

 

 それ以上先は続かなかった。

 

 ソ連艦隊から放たれたP-800B"オーニクス"が着弾したのだ。

 超音速で各空母へ突入した直径0.7メートルの弾体は旧海日本軍の翔鶴型航空母艦に酷似した艦の舷側を食い破り、艦内で320キロ――B型は炸薬量が増えている――もの高性能炸薬の威力を解き放った。

 

 爆発エネルギーが内部を席巻し、格納庫や機関室、そして新たに設置された戦闘指揮所でさえも飲み込んでいく。

 爆弾庫や魚雷庫、燃料タンクも巻き込まれ、誘爆の炎が飛行甲板を引き裂いて天へ噴き上がった。

 

 素人が見ても、12隻の空母が祖国の港へ錨を降ろすことが無くなったのは明らかだった。

 

 全空母が一瞬で火だるまに変わったのを護衛艦の乗組員が信じられない面持ちで見つめていると、轟音が聞こえてきた。

 それに彼らが周囲を見回した瞬間、『機動部隊の守護神』の異名を持つオリオン級戦艦8隻から巨大な爆炎が立ち上った。

 

 中国海軍駆逐艦から発射された対艦巡行ミサイルYJ-18A――弾頭は対装甲艦用の徹甲榴弾――が遅れて到達したのだ。

 直径0.53メートル、炸薬量300キロの高性能炸薬を搭載したミサイルが、マッハ3の終端速度で艦体のど真ん中へ突き刺さる。

 

 先に戦果を上げたソ連製のP-800ともども、やまと型重装護衛艦、モンタナ級・アイオワ級戦艦を撃沈させるべく開発された中国製ミサイルは、旧日本海軍の金剛型に酷似した戦艦の主要防御区画の装甲を容易く貫き、機関の息の根を止めた。

 主砲塔直下への直撃弾はバーベットを撃ち抜いて炸裂し、第零魔導艦隊との交戦でいくらか消費しながらもまだ多数が残されていた35.6センチ砲弾を一斉に誘爆させ、巨大な爆発とともに艦体を真っ二つにへし折る。

 上部構造物への直撃弾は艦橋や煙突、後檣を根こそぎ薙ぎ払い、艦上を火炎地獄へと変えた。

 

 これが西側で広く普及している米国製のハープーン、日本製の17式艦対艦誘導弾、韓国製のSSM-700K"海星"であれば耐えられたかもしれない。

 

 一瞬で主力艦が撃沈確実乃至戦闘・航行不能に陥る事態を目の当たりにした巡洋艦、駆逐艦の乗組員が騒然とする中、彼らにも終焉が迫っていた。

 

 中国艦隊の054A型フリゲートと商級、元級潜水艦から放たれたYJ-12A、同C型艦対艦ミサイルの大群だ。

 因みに、駆逐艦のYJ-18Aとソ連艦艇のP-800、潜水艦の長魚雷は過剰だと判断され、後の対水上戦に備えて発射されなかった。

 

 YJ-83の後継として開発された超音速艦対艦ミサイルは、戦艦に比べて遥かに装甲の薄い巡洋艦と、防御力など無きに等しい駆逐艦の艦体を叩き折り、主力艦乗組員救助のための艦艇さえも沈めていく。

 

 ――敵艦隊の全滅を確認したソ連・中国艦隊の司令部は、さらにやってくるであろう敵…巨大戦艦2隻をはじめとする有力な水上部隊との戦闘前に、補給艦を呼び寄せての弾薬補給と、乗組員全員に対して休憩を行うよう命じた。

 各々交代でロシアンティーや烏龍茶に口をつけながら、彼らはひと時の休息を味わっていた。




 これ書いてると本編の韓国召喚ものも愚帝戦から始めればよかったなぁ…って思っちゃいますね。
 
 次回はソユーズ級vsグレートアトラスター級の最強対決です。
 ミリシアルにも花を持たせてやってもいいかなぁって思ってます。
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