短いですが、どうぞ。
孝side》
「ハァッ...ハァッ...!」
俺は必死になって幼なじみである麗のいる教室に走って向かっている。
「クソっ...なんなんだよあれは...。」
先程、外階段から見えた校門付近での殺傷事件。
教員2人がすでに死亡して、尚且つその死体が次々に人を襲っていたのを見た。
それに、その後校門を登って校内に侵入していた5名程の軍人の様な人たち...。
「わけわかんねぇッ...。」
ガララッ
ついに目当ての教室の扉を勢いよく開ける。
「小室ッ、サボるだけに飽き足らず、授業の妨害まで...!」
と、教員が怒声を浴びせ、生徒達もその異様な自分の姿に驚きを隠せずに振り向いていた。
だがそんなことも無視して俺は麗に近寄っていき、
「来いよ、逃げるぞ!」
と、彼女の手を引いていこうとするが彼女は抵抗し
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ!」
聞きただしてくるが、今は時間がない。
急いで行こうとすると、後ろから
「どういうことだ、孝...。」
と、声をかけてきた男子生徒が1人。
俺はこいつを知っている。そして嫉妬の相手...
とは言え、今はそんなことを言ってる場合ではない。事情を説明する。
「永...校門で人が殺された。」
淡々と事実を述べるその様子から嘘は見受けられないようで彼も目を本気にして
「本当なのか...。」
と、普通ではあり得ない状況を理解していく。
「こんな状況で嘘を言えるか。」
と、永に逼迫した状況を伝える。
「な、なんなのよもう!いつも何考えて... 」
麗が自分の手を薙ぎ払い、いまだに抵抗しようとするが、すでに時間は迫ってきている。
このような問答をする必要はない。
今尽くすべきは
バチッッ
教室内に高い音が響き渡る。
自分でも驚きだが、麗に、人生で初めて女に手を振るった。
だが麗のパニックを抑えるにも、事を進ませるにもこうするしかない。
「いいからッ...いう事を聞け。」
と、傲慢とも感じれるほどの言葉を放つ。
永もこの行為には少し驚きがあったが、俺がここまで焦っている事に相当なことが起きていると理解したようで黙ってうなずく。
「いったいどういう事なのよ...。」
と、麗が走りながら聞いてくる。
今俺達は教室から抜け出し、ある場所に向かっている。
「...校門に誰かがいた...
体育教師が何人か向かったが、何かが起きて今教師同士で殺し合いをしてる。
それに軍人らしい人達も数名校舎内に入って行ってた。」
と、冷静に事を説明する。
非常識的なことだが、起きた上は仕方なし。
孝もそれは理解している。
「そんなバカな事...。」
と、麗がいまだに信じられない様に口走るが、永が立ち止まり
ガチャッ
ロッカーの扉を開ける。
「なんだ、忘れ物か?」
と、俺は聞くが
「その話が本当なら、武器がいるだろ?」
と、永が冷静にロッカーの中からモップを取り出し、肢の部分を足で踏んで折る。
そして先端の部分が尖った金属である事を確認すると、麗に渡す。
「なぁ永、お前は...。」
彼がなんの武装もしていないことを聞くが、大丈夫と言いたげに顔を横に振って
「これでも空手の有段者だよ。」
と、安心させる様に言う。
「ま、まずは警察よ、警察を呼べば...!」
麗が提案し、俺は隠し持っていた携帯電話を渡して電話をかけさせるのだった。
USEC_Frick side》
ダンッ ダダンッ
空気の破裂音が響き渡る。
『足を止めるなよ。』
先頭のUSECが言う。
「うっわゾンビグロすぎだろ。」
カチ カチカチ
そう言いつつ、俺はマウスの右クリックを押して画面上の近寄ってくる邪魔なゾンビを数体撃つ。
もちろんヘッドに向けて。
『この校舎沿いに進んで右側にあるもう一つの校舎 そこが目的の職員室って奴だ。』
『ロゼック、この肥溜から早く抜け出したいぜ。』
『そう言うなヘルナー。もう少しの辛抱だ。』
と、指示だし役のロゼックに最後尾である俺の前を進むヘルナーが軽口を叩く。
『右前方に二体確認。』
俺ことフリックもMumble 《おしゃべり》 を押して適当に呟き、持っていたAK-74MをADSして
ダンッ ダダンッ
ドスッ ガタンッ
発砲。
乾いた硝煙の匂いがあたりに充満するが、お相手側の二体は頭に小さな穴を開けられて床に伏せ倒れた。
『ナイスだフリック、そこの玄関口から中に入るぞ。』
『ラジェー ロゼック。』
と、若干ドイツ語っぽい発音で返すヘルナー。
まだ隊員の全員の名前は覚えていないが、そのうち覚えるだろ。
そう考えつつ校舎内に侵入した。
『...司令部、校舎内に侵入。目的の書類を探す オーバー。』
ロゼックがUSECの司令部に通達している様で、耳に挟んである通信機で応答させる。
『...了解、書類を回収し次第すぐに川を渡り空港への進路を取れ。回せる航空機系統の支援は補給のみである。』
と、司令部からの返答が返ってくる。
全員への返答であったため、俺にも無線機から聞こえた。
『...オーバー。』
ロゼックが通信を切る。
『聞いたな、お前ら。やるぞ。』
ロゼックが全員に通達する。
『あいよ、隊長。』
気の軽いロックナーが適当とも見れる返事を返す。
だが俺には少しだけ疑問があった。
「なんで脱出にヘリを向かわせないんだよ...?」
と画面越しに文句を垂れている。疑問に思っているのは俺だけじゃなく、
フリックも画面上で首を傾げた様な視点になっている。
俺はそれを見て再びMumbleを押す。
『なんたって司令部はヘリを遣さないんだ?』
と、ゲーム内のフリックも予想通りに聞いてくれた。
すると、それに応えるかの様にこの下駄箱が敷き詰められた校舎内の玄関口でヘルナーが口を開き、
『そりゃ、こんなご時世になるって分かってたからヘリも俺達程度の奴らには向けれないんだろうよ。』
と推測をいう。
『USECの保有するヘリの数は全世界で560機、世界中でこの事案が発生してるんだ、文句を言うな。』
ロゼックがフリックの疑問を解決するかの如く言い放つ。
「...確かに、全世界でこれ...って、妙に作り込まれてるな、このマップと...シナリオ、か?」
と、普通タルコフではありえない展開に再び気づく。
「...まーどうでもいいけどな、金さえ稼げれば。」
と、このレイドから帰還した時の旨みを考えてその考えをもみ消しにする。
『了解...急ごう、ロゼック。』
と、画面内のフリックも納得したかの様に会話を続ける。
『...ではこの階段を3回まで登った末に右側沿いに進め。途中 障害となるものは全て射殺しろ。』
と、ロゼックは指令する。
『『『『『了解。』』』』』