魔法剣士の劣等生~劔神と呼ばれし14番目の戦略級魔法師~   作:桜華乱舞

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7話 エリカとの決闘?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学式から数日経ち、この数日中西城レオンハルトと出会い、一科生の1年A組の森なんとかさんたちに絡まれたり、達也君の妹の深雪さんが生徒会に入ったり、放課後のA組とのいざこざで風紀委員長渡辺先輩に目を付けられ生徒会枠で一高初の二科生で風紀委員に抜擢された達也くん。そして来週の月曜日から新入生勧誘週間が始まる。一高生になって初めての土曜日鼎はエリカの家の道場にいた。何故鼎がエリカの家にいるのかというと昨日エリカに今日用事がないか聞かれ「ない」と答えると一枚の紙切れを手渡され、「絶対に来てね!」と笑顔で言い美月の元に戻って行った。そしてエリカとの約束の日である今日鼎は指定された時間、場所に着き、一呼吸置きインターホンをを鳴らすと門下生なのか?使用人なのか?分からないが一人の男性が出てきて、自分の名を告げると道場に案内され、ここで待つように言われ数分後、道着と袴姿のエリカがやってきた。手には2振りの木刀を持って。

 

 

「鼎くん、お待たせ!今日は来てくれてありがと」

 

「……う、ううん。だ、大丈夫」

 

「もしかして、緊張してる?」

 

「…そ、そんなことないよ」

 

「アハハ…!」

 

緊張した様子の鼎を見て笑うエリカであった。

 

「……そ、それで今日僕を此処に呼んだ理由って?ただ遊びたかったからじゃないんでしょ?」

 

「…そうね。今日は鼎くんに確かめたいことがあって」

 

「確かめたい事?」

 

「うん。…だから」

 

そう言ってエリカは手に持っていた木刀を鼎に渡した。唐突にエリカから木刀を渡され呆然としていると急にエリカが鼎に向かって木刀を振り下ろした。鼎は上半身を後ろに反らし間一髪のところでエリカの一閃を躱す。「へぇ」エリカは思わず感嘆し、続けざまに鼎に切りかかる。鼎は全てを躱す。

 

(…凄い!凄いよ鼎くん!だけど史華さんの息子ならこれくらい当たり前なのかな?)

 

エリカは思わず感嘆し顔がにやけてしまうのを必死で抑えようとするが、まさか全て躱されるとは思いもよらなかった。その出来事に驚き以上に嬉しくもあった。自分が尊敬し憧れた人の子が自分の想像以上の強さで有ったことこれを嬉しく思わずなんと思えばいいのか。笑わずにはいられない。多少の加減は有ったしかし、全て急所を狙いに行ったのも事実。それが受けるのでもなく全て躱された。それも直前まで当たると誤認させるまで引き付け当たる寸前で最小限の動きで躱される。5回、6回数を重ねていくと謙虚に分かるようになった。刀を振るう度に感じる。剣士としての直感が告げる。完全に見切られた。刀が当たる気がしない。目の前の男に全てを感情、思考、呼吸を読まれた。初めての経験だ。これまでも兄や自分以上の強者と剣を交えたことは多々ある。しかしここまでの経験はない。つまり目の前の自分と同い年の少年は、今まで私が戦ってきた者たちよりも数段上の存在であることを今の1分と掛かるか掛からないかの一瞬で体感したのだ。今までにない快感と高揚感がエリカを襲う。今まだ見ぬ世界に胸が高鳴る。目の前の少年と共にいれば新たな世界が見れるのではないかと思わず笑みが零れてしまうほど胸の高鳴りが止まらない。

 

「エリカさんが今日僕を此処に招いた理由(わけ)ってこれの為?」

 

「そうだよ」

 

「……そっか。なんか僕エリカさんに嫌られることしたかな。もしそうだったら謝るし、何処が駄目だったのか言って欲しいし、出来るだけ直せるよう努力するからごめんなさい。だから許してください。」

 

「…え?」

 

鼎の突然の見当違いの発言に一瞬呆けてしまう。そんなエリカのことなどお構いなしに鼎は突然土下座までして何度も何度も謝る鼎に慌てるエリカ。傍から見ればいじめっ子といじめられっ子のような場面である。エリカは突然の出来事にどう対処していいのか分からないでいた。確かに何も言わず木刀を渡し切りかかった自分も自分だが、何もそこまですることでものないような気もする。というか何故そういう結論にたどり着くのか疑問が疑問を呼び収拾のつかない。とりあえずエリカは一呼吸置き鼎に話しかける

 

「鼎くんちょっと落ち着いて。大丈夫だからあたし鼎くんのこと嫌ってなんかないよ」

 

「…ホント?」

 

鼎は上目遣いで目尻に涙を浮かべエリカを見る。女の子のような出で立ちも相まって思わず顔を赤らめ顔を反らしてしまう。

 

(ちょ、ちょっと可愛すぎるんですけど。破壊力抜群なんですけど。っていうか鼎くんホントに男の子だよね。女の子にしか見えないんですけど…そんな涙交じりの眼であたしを見ないでぇ~。ってそんなこと思っている場合じゃないんだけど、早くこの場を何とかしないと)

 

エリカは気を取り直し鼎に向き直す。

 

「あたしこそごめんね。そりゃ突然こんなことされたら戸惑っちゃうよね。ほんとごめん!」

 

「…う、ううんエリカさんに嫌われたんじゃないかって思ってびっくりしただけだから。エリカさんが謝ることじゃないから」

 

鼎はアワアワしながらエリカに告げる。

 

「鼎くん。都城史華って人知ってる?」

 

「……うん」

 

「史華さんって鼎くんのご家族?」

 

「……うん。母だよ」

 

「そっか。あたしね史華さんみたいな剣士になることが夢なの。まだ小学生のころ一度だけ史華さんの剣を見たことがあるの。その時を今でも鮮明に覚えているよ、まるで舞でも舞っているかのような姿に目を奪われた。それからね必死に剣の腕を磨き続けた。史華さんに一歩でも近くづけるように。また会えた時にあの時のお礼が言えるように。できれば史華さんと剣を交えることが出来るように。毎日毎日修行してたんだ。そんな時に鼎くんとであったの。鼎くんを見た時ね。史華さんにどこか似ているなって思ったの。名前も一緒だったからもしかしてって思って確かめたかったの鼎くんが、あたしが憧れた史華さんの子供なんじゃないかなって」

 

「……そっか。エリカさんの気持ちわかったよ」

 

そう言うと鼎はスッと立ち上がり、エリカと距離を取り左手で鐔の辺りを持ち半身となり、膝を曲げ腰を落とし、右手は柄に手を当てる。まるで居合い切りのような構えで立つ。エリカも気持ちを切り替えて正眼に構え鼎を見据える。鼎は軽く深呼吸をし、目を閉じ、心を落ち着かせる。再び目を開けエリカを見据える。

 

「……っ!?」

 

エリカは思わず目を見開く。先程まで泣きそうで、気弱な感じであった。しかし今目の前にいる鼎のそれはまるで歴戦の猛者、いやそれではまだ生温い、今まで相見えたことがない相手にエリカの剣士としての勘が「こいつはヤバい、下手に動けば殺される」と警告を鳴らす。ここ迄一瞬にして雰囲気を変えられるのかと感心してしまう一方、恐怖、絶望そういった感情も抱いてしまう。目の前の強大な相手に戦くも気を取り直し鼎に意識を向ける。その瞬間目の前にいた筈の鼎が消える。

 

「……っ!?」

 

そして次の瞬間気付くと持っていた筈の木刀を手放し尻餅をついていた。

 

「僕の勝ちですね」

 

鼎はエリカの首筋に木刀の切っ先を当てエリカに告げる。エリカは未だに状況が理解出来ず呆然としていた。何も分からなかったいつ鼎が動いたのか。鼎が何をしたのか。理解が追い付かない。でも確かなのは目の前の少年に負けたという事実だけ。

 

「あぁ~あ、負けちゃった。やっぱり強いね鼎くん。さすが史華さんの子だね。ま、でもさすがにショックだなぁ。ここまで何も出来ないまま終わっちゃうんなんて流石に思わなかったよ。でも、なんで史華さんの子だって言うの躊躇っていたの?」

 

「…弱いから」

 

「弱い?鼎くんが?」

 

「弱いよ。何の覚悟もなく。夢も目的もなく、ただ都城史華の子だから剣を振っていただけ。エリカさんみたいな夢もなく、覚悟もない。だから僕の剣は凄く軽いし、覚悟もないから信念もないだからすぐ折れるし説得力もない。全てが借り物で偽物の剣なんだよ。だから僕は弱い」

 

「……」

 

エリカは鼎に対しなんと声を掛ければ良いのか。どうした良いのか分からない。まだ知り合って数日の自分が同情したとしたってたぶん何も変わらないと思うし、今の自分が何を言っても説得力に欠けるような気がした。鼎が弱い筈がない。何せこれでも千葉家の娘である自分に何もさせず完勝した相手がだ。自分の力に驕ったことはないが、過小に蔑むこともないある程度の敵なら打ち勝つだけの力量はあるという自信はあったし確信もあった。それでも届かない、今の自分と鼎の差は広く、広大で多少の努力じゃ埋まることのないと感じるほど痛感した。鼎の過去に原因があるのか、それとも生来そんな性格なのか分からないが、鼎は異常なまでの卑屈と自分への自信のなさが原因なのだろう。

 

「だけど、だけど弱くてちっぽけな僕だけど負ける訳にはいかないの。それがあの人との約束だから」

 

そう言う鼎の眼は先ほどまでの弱弱しいモノではなく、力強いモノであった。

 

(なんだやっぱり君は強いよ。あたしも負けられないよ。今度やる時は絶対に勝つからね!鼎くん )

 

エリカも新たな目標が生まれた瞬間であった。

 

それから二人は他愛のない会話をし鼎は帰った。鼎が帰ったあとエリカは自室に戻り鼎の事を思い出す度に胸が高鳴りが収まらない強者との出会い剣士としての高揚感、そしてまた別の感情を抱き始めていた。普段は気弱で頼りなく感じるところもある。しかしここぞという場面で時折見せたあのオーラ。此処までギャップがあるのも珍しく思うが、これが俗にいうギャップ萌えというやつなのか…それにあの上目遣いで見られた時の高揚感はヤバいホントに男なのか疑わざる負えないほどの可愛さがあり、思い出すだけでも身悶えする。女性である私以上に女性のような雰囲気を醸し出していた。そこが愛らしく、可愛く思うエリカであった。これがどういった感情なのか。恋慕なのか。弟のいない自分にとって弟に近い感覚なのか。なんなのかまだ分からないが今はまだそのままで良いと思うエリカであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか

エリカの口調が崩壊してしまいました。

申し訳ない。

エリカの夢だったり、目標だったり原作改変してしまいましたが、物語進行上止む無しだったのです。

エリカファンの方申し訳ございません。

多少の読み辛さはご容赦ください。

感想待ってます。

だけど、誹謗中傷は辞めて下さい。

お願いします(土下座

では、また次回お会いしましょう。


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